研究室での生活

大学の研究室,一体どういうところでしょうか.新たな配属先を探す学生さんにとっては不安になるところかと思います.知っておきたいことは,研究室の運営はその研究室ごとに「色」があるということです.学生さんの普段の生活も,その方針によって違ってきます.ここでは,研究室での学生さんの生活スタイルについて,津守グループでの目標や方針も絡め,ここで触れておきます.

到達目標は?

グループに所属する4年生も多くは大学院に進学します.さて,最終的にどのような学生に修士号が与えられるか,これは航空宇宙工学専攻の「ディプロマポリシー」に示されています.

重要な要件のひとつは知識の修得であり,学部時代そして大学院での講義や演習・実習によって主に培われます.そして,これ以外の,プロジェクト遂行能力の涵養,コミュニケーション能力の獲得といった内容は研究室で学ぶものです.学生さんには研究室でこれらの修得を目標としてもらいたいと思います.

自立した研究者へ向けて

津守研究室では基本的にOJT(On-the-Job Training)を実施します.4年生から研究を「自ら」遂行することを目指します.「自ら」と強調しました.「卒業研究,自分でやるのが当然でしょう?」そう思うかもしれません.しかしながら,与えられた作業をこなすだけでは研究ではありません.そして,研究を一からデザインすることは思った以上にハードルが高いものです.研究テーマを急に学生さんに提案してもらおうとしても,なかなか困難です.そういう意味で最初は「自らの研究」は難しいものと思ってください.

そこで,卒業研究では用意したトピック(テーマ)を選択してもらうことにしています.また,最初はある程度,教員から方向性を示します.しかし,できるだけ自分でテーマを発展・拡張させてください.大学院を卒業するまで,徐々に自立した研究者への成長を期待しています.

基幹教育ではActive Learnerという言葉を聞いたと思います.まさに,これを実践して欲しいのです.修士では自分の研究にますます独自の「味つけ」をしましょう.そして,修了するころには自分で研究テーマを立ち上げることができる実力を身につけてください(つまり博士課程に入るレベルに到達してください.博士課程の進学とは関係なく,実力としてそこまで到達してほしいのです).

国際会議・英文誌投稿

もうひとつ,国際コミュニケーション能力を高めることを目指しましょう.自分の研究を進めたうえで「学外発表」を行います.基本的に4年生から国際会議発表と関連した国際ジャーナルへの投稿にチャレンジします.

もちろん,一人の仕事ではありません.学会発表は先輩や教員と連名で行います.つまり,教員や先輩学生も共同研究者として一緒に発表を作り上げます.そういう意味で,厚いサポート体制があります.そして12月までに学外発表をこなしていれば,卒論を執筆できるだけの能力が自然に身につきます.2月の卒論締切前に徹夜を繰り返すなんてことはありません(徹夜は典型的なマネージメントの失敗です).

学会参加を進めることで,卒業論文の質は各段に向上しています.2021年度の4年生も,国際会議の発表(中でもIEEE-MEMS2022での口頭発表は特筆すべき成果です.トップカンファレンス,口頭発表の採択率11%),3月時点でのJJAP誌(応物学会英文誌)へのアクセプト,といった具合に大きな成果をあげています.これら,外部の審査に勝ち抜いた研究をベースとした卒論の質は当然ながら高いものとなります.

広い会場の英語口頭発表では度胸も試されます!

居心地の良い環境を

上記のような目標の達成には,学生さんたちが日々を送る「居心地のよい」研究環境が必須です.日々の研究の遂行に加え,定期的なグループミーティングとSlackによる情報交換を中心として研究を進めます.

これ以外に,この3月から毎朝の輪読を開始しました.30分を目標に英語論文を毎日ひとつずつ読み込みます.輪速読と言えるでしょうか.毎月20本も論文を読んでいるB4はほかではほとんどいないでしょう.この機会に最新の研究の現状確認ができます.また,機械翻訳が発展していますが専門用語を含む英文の速読スキルは学生さんの成長につながっています.

進捗については,教員の押し付け(ノルマ)よりも学生さんの主体性が重要です.自らの研究をいかに進めるか,また,研究室をいかに楽しめるようにするか,自主的な取り組みに期待しています.このあたり,毎年,グループワークを行っています.研究室運営について学生さんの不満点もどんどんオープンにお願いします.

効率的な研究とアフターファイブ(午前中から集中して研究したら,5時と言わず3時,4時くらいから遊びましょう)の楽しみと,全員で快適・愉快な環境を構築していきましょう!

グループワークによる研究室運営カイゼン会議(2019年).

2021年度「釣り部」も大活躍!