「イモをどうやって調理(ちょうり)していたのですか」
シンメーナービというものがあります。
だいたい28リットルくらいの水が入る大きな鍋(なべ)です。家族(かぞく)が少(すく)ない場合(ばあい)はもうすこし小さいサンメーナービというのもあります。それからクンメーナービというのもあるみたい。
でも、一番(いちばん)よく使(つか)われていた鍋(なべ)は、シンメーナービです。
シンメーナービはイモを入れたあとに水を入れて、かまどで炊(た)きます。
木でできたふたはあまり使わないんだけど、かわりに野草(やそう)などで編(あ)んだふた(カマンタ)をすることもあります。そうすると、なべの中の圧力(あつりょく)が上がってイモがよく炊(た)けるんだ。
大きな農家(のうか)ではかまどを作るところもあるけど、ふつうの農家では石を三個(こ)並(なら)べて、かまどのかわりにしていた家(いえ)もありましたね。
那覇市(なはし)にある沖縄県立博物館・美術館(おきなわけんりつはくぶつかん・びじゅつかん)の常設展(じょうせつてん)では、『海と島に生きる』をテーマに沖縄特有(とくゆう)の自然(しぜん)、気候(きこう)・風土(ふうど)、この島で育(はぐく)まれた歴史・文化(れきし・ぶんか)を紹介(しょうかい)しています。
昔(むかし)の沖縄の民家(みんか)を再現(さいげん)したコーナーでは、土間(どま)(台所(だいどころ))などをみることができます。
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昔(むかし)の民家(みんか)の台所(だいどころ)のなかで、気になるところを大きくしてみることができます。
コンロにあたるもの。ガスや電気(でんき)ではなく、薪(まき)をもやして火を起(お)こしていた。シンメーナービに入れた大量(たいりょう)のイモが煮(に)えるまで暑(あつ)いかまどの前にすわり、火が消えないように薪を入れ続(つづ)けなければいけなかった。
大きななべ。大量(たいりょう)のイモを煮(に)るために使われていた。なべには、イモに火をよく通(とお)すため、ふた(カマンタ)がしてある。毎朝(まいあさ)、なべに家族全員(かぞくぜんいん)が一日に食べる量(りょう)のイモ( 約30kg)と、イモが浸(ひた)るくらいのたくさんの水を入れて炊(た)いていた。
つる(チル)がついた浅(あさ)めのなべ。炒(いた)め物(もの)(イリチーやンブシー)や汁物(しるもの)を作るためのなべ。
油(アンダー)を保存(ほぞん)するためのつぼ。おもに豚(ぶた)の脂(あぶら)が入っている。台所(だいどころ)の風通(かぜとお)しがよいところにつり下げられていた。
蒸(む)し器(き)は、ムーチーやもちなどを蒸すための道具(どうぐ)。米(こめ)びつは、米を保存(ほぞん)するための道具。
ムンヌキムンは魔(ま)よけ。火の神(ヒヌカン)は、台所(だいどころ)や火の神(かみ)さま。女(おんな)の人が香炉(こうろ)に線香(せんこう)を立て、火の神を通(とお)していろいろな神さまに家族(かぞく)の安全(あんぜん)をいのったり、さまざまな報告(ほうこく)をする。
冷蔵庫(れいぞうこ)にあたるもの。なかに食べものを入れて保存(ほぞん)するために使われていた。家の軒先(のきさき)や庭木(にわき)の枝(えだ)など、風通(かぜとお)しのよいところにつるしていた。
まな板(いた)とおたま。
イモすり器(き)とたらい。これは木でつくられているが、ブリキでできたものや、トタンにクギでななめに穴(あな)をたくさんあけたものなどがある。
食べものを塩(しお)づけ(スーチキー)にして保存(ほぞん)するためのつぼ。虫(むし)やねずみなどをよけるため、ふたをして使(つか)っていた。
食器(しょっき)とそれを置(お)くためのざる。
台所(だいどころ)を見上げると、天井(てんじょう)がはられていない。かまどで薪(まき)をもやしたときに出る煙(けむり)が、台所の屋根裏(やねうら)に吹(ふ)き抜(ぬ)けるようになっている。台所が煙だらけにならないための工夫(くふう)。吹き抜けた煙は建物(たてもの)を丈夫(じょうぶ)にする。
なべのふた(カマンタ)は、カヤやワラなどの草(くさ)を編(あ)んで作られている。てっぺんにある持(も)ち手をつかんで持ち上げる。
鉄板(てついた)を4枚(まい)使って作られた鍋(なべ)だから、シンメーナービ(四枚鍋(よんまいなべ))という説(せつ)がある。これより小さいなべにサンメーナービー(三枚鍋(さんまいなべ))などがある。
なべのなかの蒸気(じょうき)がにげないように、少しのすき間(ま)もなく、ぎっちりと編(あ)まれている。ずっしりと重(おも)い。
草をいくつもたばねて編(あ)まれているため、とても頑丈(がんじょう)でこわれにくい。
昔の食卓(しょくたく)を再現(さいげん)したコーナー。今日のメニューは、「粟飯(あわめし)」「アオサ汁(じる)」「島らっきょう」と「イモ」です。よくみると、食卓にはいろいろな道具(どうぐ)がありますね。なにに使う道具でしょうか。
沖縄県立博物館・美術館さまに掲載の許可をいただいています