純邦楽について

「叡風会について」でも述べたように、叡風会で扱っている音楽は純邦楽、特に

    1. 江戸・明治時代に作られた古典的な曲(地唄・箏曲・尺八本曲)
    2. 明治時代以降に作られた現代的な曲(新日本音楽・宮城道雄作品・現代曲)

の二つです。

しかし、ほとんどの人はこれらの音楽がどういったものなのか、想像もつかないでしょう。

そこでこのページでは、これらの音楽について説明致します。純邦楽について少しでも知るきっかけとなれば幸いです。

古典的な曲について

・地唄・箏曲

古くは江戸時代から伝わるお座敷音楽です。

地唄は、その名の通り「唄」を中心とした声楽的な分野で、歴史上の出来事・恋愛・自然への賛美などが唄われます。曲が作られた当初は三味線の伴奏による弾き唄いが主でしたが、のちに箏や胡弓・尺八の伴奏がつけられました。現代は主に箏・三味線・尺八の三重奏で演奏されるため、この合奏形式を三曲合奏と呼びます。

箏曲は箏の独奏または二重奏のために作曲されたもので、地唄とは違って唄がないものも多く、純粋な器楽曲として高い完成度を誇ります。

・尺八本曲

尺八の流派ごとにその根本となる曲として定められた楽曲で、主に尺八の独奏(あるいは二重奏以上)で演奏されます。

叡風会で主に扱っている都山流本曲は、明治時代に流祖・中尾都山が作曲したもので、古典的な「間」の概念と西洋音楽由来の拍節リズムを組みあわせた点が特徴です。

尺八の本曲としては他に、江戸時代に虚無僧たちが伝承してきた古典本曲が一般に知られており、この系統の古典曲を伝えている流派もあります。


現代的な曲について

明治時代以降、西洋音楽の影響を受けて作られ始めた邦楽作品です。西洋的なリズム・テンポを持つ楽曲に邦楽器を用いるもの、純邦楽の伝統を踏襲しながら新たな表現を目指したもの、世界的な現代音楽の潮流の上に作曲されたものなど、多種多様です。

・新日本音楽

大正時代、西洋音楽の影響を受けて作曲された一連の邦楽曲、あるいはそうした運動のことを「新日本音楽」と呼びます。宮城道雄・吉田晴風・本居長予らが新日本音楽の代表者とされます。

ただ、宮城道雄は自分の音楽活動を新日本音楽とみなされることを好んでおられなかったようです(詳しくは、宮城道雄『新編 春の海』[岩波文庫]の「音楽の世界的大勢と日本音楽の将来」をお読みください)。

・宮城道雄作品

作曲家・宮城道雄が作曲した邦楽曲です。正月に流されることの多い「春の海」をはじめ、膨大な楽曲を作曲されておられます。古典的な地唄の形式を踏襲したものから、地唄・箏曲と西洋音楽とを折衷したもの、西洋音楽の強い影響下にあるものなど、その曲風は様々です。

邦楽に関するページ

邦楽についてもっと知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。

地唄について要領よく的確にまとめられたページです。ただ、邦楽についてあまり知らない方には詳細すぎてとっつきにくいので、他のページである程度予備知識を得てから、このページを読んで知識を整理するのがよいかもしれません。