受賞講演

個体群生態学会奨励賞受賞者

深谷 肇一

国立環境研究所

受賞式および受賞講演|11月15日|09:30〜10:30 | 言語 [日・英]

生物多様性の理解におけるプレストン不備の解決に向けて

深谷 肇一 (国立環境研究所)

個体群の大きさを表す個体数量は、生態学において主要な量である。しかし、その正確な定量には注意深い標本抽出や地道な計数を行う必要があり、多くの労力や専門知識が要求される。野外での計測を簡便にする新たな生態観測手法も相次いで出現しているが、個体数量の評価と予測は依然容易でない問題である。結果として、どの種が、いつ、どこに、どれだけいるのか、という基本的な問いに対する現代の生態学の答えは必ずしも十分なものではない。本講演では、種の個体数量の時空間分布を網羅的に理解するという(法外かもしれない)目標に向けて、現時点で考えられるアプローチと解決すべき課題を示し、個体数量の観点から生物多様性をより深く解明するための道筋を考察したい。