機械学習を用いた集積回路のテスト品質向上

集積回路の設計・製造フローには、ウェハテスト、バーインテスト、パッケージテスト、スピードビニングといった各種テスト、故障解析、テスト容易化設計、テスト生成など、ディペンダビリティを向上させるための様々な工程が含まれています。

ウェハテスト、パッケージテストでは多数のテスト項目を複数の温度設定でテストし、すべてのテスト項目をパスしたチップだけが次の工程に進みます。バーインテストでは、高温高圧などストレス化でのテストを行い、潜在的な故障を顕在化させます。潜在的な故障は、バーインがなければすべてのテストをパスして出荷され、使用開始後の初期に故障が顕在化する恐れのある故障です。バーインテストを行うことで、集積回路が組み込まれた製品の信頼性を向上します。故障解析では、各種テストでフェールしたチップを詳細に解析し、設計・製造フローにフィードバックすることで、製品品質を向上につなげます。

集積回路は、構成要素であるトランジスタ が微細化し、低電力で高速動作が可能です。その一方、集積度が高まることで、チップ内のトランジスタ 数が増大し、外部ピンだけからのアクセスで行うテストは複雑でコストのかかる問題となっています。そのため、テストを容易にするための設計変更であるテスト容易化設計や高品質テストを低コストで実現するためのテストパターンを生成するテスト生成アルゴリズムの研究が行われています。

微細化による回路の大規模化、トランジスタのばらつき増加、テスト時の過大電力の影響などで、テストコストの増大やテスト見逃しが問題となっています。ディペンダブルシステム学研究室では、機械学習を用いてテストコストを抑えてテスト品質を向上させる技術を研究しています。具体的には、コストのかかるバーンインテストの結果をテスト前に予測することで、バーンインテストのコストを抑える研究、不良品のテスト見逃しを予測することで製品品質を向上させる研究を行っています。