モバイルロボットのアルゴリズム

近年、自律的に移動するモバイルロボットを複数台で協調動作させることで、生産工場の物品配送などを効率化する取り組みが行われています。生産工場が大規模化し、ロボットの台数が増えてくると、各ロボットを集中制御することは難しくなります。そこで、本研究室では、各ロボットが限られた範囲の情報を観測し、その情報に基づいて自律的に判断・移動する必要があるという状況のもとで、さまざまなタスクを実現するためのアルゴリズムを開発しています。また、150台のkilobotと15台のKhepra IVを用いて、開発したアルゴリズムの実証実験も進めています。

図1:Kilobot

図2:Khepera IV

リングに対する探索・集合アルゴリズム

本研究では、ロボットが動作する環境をリンググラフでモデル化し、各ロボットは自分から距離Φ以内に存在するロボットだけが見えるという状況で、環境全体を探索するアルゴリズム、全ロボットを一か所に集合させるアルゴリズムを開発しました。ロボットの低コスト化を実現するためには、できるだけ低機能なロボットでこれらのタスクを実現する必要があります。本研究では、ロボットの通信能力、記憶能力をライトという機能でモデル化し、その最適性を示しています。

ビザンチン故障に対する故障耐性の実現

多数のロボットを協調動作させる場合、その一部がソフトウェアのバグやウィルスによって、異常な動作をする可能性があります。本研究では、そのような不具合をビザンチン故障としてモデル化し、ビザンチン故障を起こしたロボットに対応するためのアルゴリズムを開発しました。具体的には、ビザンチン故障を起こしたロボットを発見し、それを他のロボットで取り囲むことで、ビザンチン故障を起こしたロボットが全体に悪影響を与えないようにしています。また、詳細は省きますが、自己安定性を実現するために、定期的にビザンチン故障のロボットを忘れるというForgive-and-forgetアプローチも提案しています。(イスラエル・ネゲブ=ベングリオン大学との共同研究)