私たち市民ができること
無差別大量破壊兵器による大量虐殺を経験した長崎が、同じような危機に直面しているガザ、パレスチナとつながることで、自由と平和の実現に貢献できることを願ってスタートしました。 → 「パレスチナと長崎をつなぐ会」のはじまり
8.9 長崎 イラン大使講演会 ご報告
8月9日、長崎原爆の日に合わせて長崎を訪問された、ペイマン・セアダット駐日イラン・イスラム共和国特命全権大使をお迎えし、「8.9 イラン大使講演会」を開催しました。
本講演会は、平和、核、中東情勢について、当事国の声を直接聞き、参加者の皆様とともに考える機会として企画したものです。
当日は多くの皆様にご参加いただき、大使による講演に続いて、会場からの質問にもお答えいただきました。
講演の冒頭、大使は13世紀のイランの詩人サアディーの言葉を紹介しました。
人類は一つの体のようなものであり、一部が痛みを感じれば、ほかの部分もその痛みと無関係ではいられない――という趣旨の言葉です。
そして、長崎、広島、ベトナム、イランなど、時代や場所は異なっても、戦争によってもたらされる苦しみは「人類が共有すべき苦しみ」であると語りました。
大使は、第二次世界大戦後、人類は国連憲章や国際法、国際人道法など、紛争を武力ではなく平和的に解決するための仕組みをつくってきたと指摘しました。
一方で、国際法に反する行為があっても責任が問われず、国際社会が沈黙すれば、それが新たな前例となり、さらに別の違反を生みかねないとの懸念を示しました。
「戦争が通常の状態となり、平和が願望のようになってしまっている」と現在の国際社会への危機感と、国際法に基づく秩序を守ることの重要性を訴えました。
現在のイランをめぐる情勢についても説明がありました。
大使は、イランが核問題や制裁解除をめぐって外交交渉を続けてきた経緯を紹介し、外交による解決を目指してきたとのイラン側の立場を説明しました。
また、戦争によって民間人の命が失われ、学校や病院、大学、研究施設などにも被害が及んでいるとして、軍事的な解決ではなく外交による解決の必要性を強調しました。
日本にとっても関心の高いホルムズ海峡についても言及がありました。
大使は、ホルムズ海峡はイランにとっても重要な「生命線」であり、安全で自由な航行は重要であると説明しました。
その一方で、同海峡周辺を起点としてイランへの軍事攻撃が行なわれる状況では、自国民を守るための対応が必要になるとの立場を示しました。
また、ホルムズ海峡の不安定化は、世界のエネルギー供給や価格にも大きな影響を与えるとして、戦争の終結と地域の安定の重要性を訴えました。
講演の最後に大使が強調したのは、戦争によって最も大きな被害を受けるのは「人」であるということでした。
石油や経済への損失以上に、罪のない人々が命を失い、傷つき、それまでの日常生活を失ってしまうことこそが、戦争による最大の損失であると語りました。
そして国際社会には、力が支配する世界に身を任せるのか、それとも国際法に基づく秩序を守るのかという選択があるとして、平和のために行動する必要性を訴えました。
講演後には、会場の参加者との質疑応答が行なわれました。
長崎市長による平和宣言についての質問に対して、大使は、国際法違反に対して沈黙するのではなく、明確に声を上げることの重要性について語りました。
また、「日本の市民にどのようなことをしてほしいか」という質問には、かつては大手メディアが世論に大きな影響を与えていたものの、現在はSNSなどを通して市民や市民団体の声が広がる時代になり、市民の影響力は以前より大きくなっていると指摘しました。
どこの国で起きている戦争であっても無関心でいるのではなく、戦争に反対し、平和を求めて声を上げることが大切であるとの考えを示しました。
イランの核開発と核兵器廃絶についての質問もありました。
大使は、イランは核兵器不拡散条約(NPT)の加盟国であり、NPTでは原子力の平和利用の権利が認められる一方、軍事転用をしないことが求められていると説明しました。
核問題をめぐる国際社会の懸念については、検証と外交交渉によって解決していくことが必要であり、「残されている道は外交である」との考えを示しました。
また、長崎から世界に発信してほしいこととして、核兵器だけでなく、生物兵器、化学兵器を含めた大量破壊兵器の廃絶の必要性を挙げました。
大使は今回、昨年に続き2回目となる長崎平和祈念式典への参列でした。
被爆者とも直接話をした経験に触れ、広島・長崎を訪れ、原爆の恐ろしさを知りながら、無関心なまま自国へ帰ることがあってはならないと語りました。
そして、自身にも被爆者の方々の声をイランの人々へ伝えていく責任があるとの思いを述べました。
8月9日の長崎で、イランという当事国の視点から現在の世界情勢を聞き、戦争、核兵器、国際法、そして私たち市民にできることについて考える貴重な時間となりました。
ご登壇いただきましたペイマン・セアダット駐日イラン・イスラム共和国特命全権大使、ご参加いただいた皆様、そして開催にご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
(2026/8/13)
8.9 長崎 イラン大使講演会
ガザ支援船団へのエール
いま海の上で命を懸けて支援を届けようとしている人々に、私たちは深い連帯の想いを寄せます。
拿捕という報に接し、乗船されている方々の安全と、支援物資が一刻も早くガザの人々に届くことを心から願います。
暴力ではなく、人道と尊厳のために立ち上がる人々を応援し、長崎からも声を上げ続けます。(2025/10/2)
【関連情報】
7月13日に、人道支援とガザ封鎖への抗議のため、「ハンダラ号」が航海しました。先日、船が拿捕されましたが、活動は継続。医療者や人権活動家らが乗船し、非暴力で封鎖に立ち向かっています。https://freedomflotilla.org/2025/07/07/the-freedom-flotilla-is-setting-sail-again/
先日のイベント(ご報告)
長崎新聞
NBC長崎放送
KTNテレビ長崎
ncc長崎文化放送
NIB長崎国際テレビ