はじめのひと言
本WEBサイトでは,脳神経機能/伝達物質の役割/薬物効果などに関して,実験動物を用いた鳥瞰的/巨視的神経行動解析研究の内容を述べることを主旨としています。それは,前臨床医学研究の枠組み内としてのことです。
本画面目次
本WEBサイトの内容は,神経機能ならびに身体機能の最終発現としての行動について,マクロ(巨視的/鳥瞰的)視点からの解析研究です。ここでは,行動という生体の最終的統合的機能を客観的,定量的に計測し,解析する方法論の重要性を基本とします。それは,医薬品の効果判定や安全性評価などにかかわる前臨床医学研究に役立ち得るからとの考えに基づいています。
行動の背後には,組織・器官などの生理学的レベルが存在します(下図参照)。さらに,その下には,細胞,分子,遺伝子などの各レベルも存在します。しかし,本WEBサイトの一貫した視点は,行動それ自身をサイエンスの科学的研究対象として解析することであり,その背後にある器官・組織,細胞,分子,遺伝子レベルレベルなどについて,行動との関与が明らかな場合にのみ,行動解析の範囲をそこへ広げます。しかし,動物実験による行動解析研究において,”こころ”や”精神”に関する事象を,現段階のサイエンスの対象として取り扱うつもりはありません。しかしながら,われわれの日常生活においては,その WELL-BEING を支える要因として,こころや精神の重要性を否定するつもりはありません。要は,実験研究で得られた観察対象は,エビデンスとしてとらえ解析しますが,それ以上のものではあり得ないという考えに基づいています。
以上のような研究視点の広がりが,環 (Link) となり,やがてネットワーク (Links) を形成することを願って,「神経行動解析リンクス」という WEB サイトを,ひとつのプラットフォームとして,たちあげました。
本WEBサイトは,著者のささやかな研究歴をベースとして,神経行動解析研究の魅力や意義について,少しでも表現できればと考えて作成しました。また,これから研究を志す若い方々などに,この様な研究のながれについて,少しでも参考としていただければとの想いもあります。
著者は,神経精神疾患に関する前臨床医学研究を永年実施してきました。これは,これらの疾患について,実験動物を用いた医薬品などの効果や安全性などについての基礎データを得ることが目的でした。この様な研究ができたのは,大学ではない独立した公益法人の研究機関に所属していたからだと考えています。これまでの所属研究機関には,医学,薬学,獣医学,生化学,遺伝子解析学,数学(コンピュータサイエンス)などの様々な分野の専門家との有機的な繋がりがあり,そこでの共同研究をとおして,それらの方々から,いろいろなことがらや考え方を深く学ぶことができました。
前臨床医学研究の内容としては,神経精神疾患の治療薬の効果,作用機序,安全性などについて研究する精神薬理学,オペラント行動を駆使した行動薬理学(注1),行動科学(実験行動分析学: The Experimental Analysis of Behavior) と密接な関わりのある薬物依存に関する研究(注2),サル類実験モデルとして,運動機能障害なるが故に,もっともヒトの疾患との間に類似性があるパーキンソン病などを研究課題としてきました(注 3)。特に,サル類のパーキンソン病モデル研究は,他の神経精神疾患モデル研究のうち,統合失調症,躁うつ病,認知症,自閉スペクトラム症などのヒトに固有と考えられる疾患モデル研究とは異なり,動物実験により,もっともヒト疾患との類似性(妥当性)が高く,動物実験を進めやすい意義があると考えてきました(注4)。その意味で,マーモセットを用いた神経精神疾患の遺伝子改変モデルを作成する研究者には,なにはさておき,あるいはとっかかりとして,パーキンソン病遺伝子を導入するモデル開発に,まずは特化し,集中してもらいたいと常々考え続けてきました。
注1:本WEBサイト内 オペラント行動と神経科学 参照
注2:薬物依存の概念 参照
注3:マーモセット・パーキンソン病モデル 参照
注4:ヒト疾患モデル動物 参照
これらの研究を遂行するには,研究を実施しながらも様々な領域の知識と固有の考え方などを学ばざるを得ませんでした。それらのうち,神経/脳科学では,すでに著しい発展のあった遺伝子工学,分子生物学,生化学などの高度な学問領域を横目で眺めながら,自身の携われる道は,脳と行動についての巨視的/鳥瞰的視点に立つことでしかないと考えました(注5)。考えてみると,行動は,生体(遺伝子,分子生物学,生化学,生理学などのレベルを裏で包括している)の統合的最終的アウトプットであり,これの原理原則を巨視的鳥瞰的に理解することには,極めて重要な意義があると考えました。研究対象としての行動は,”こころ”や”精神”を探るための手段ではなく,行動それ自身を科学研究の対象とすべきとの Harvard 大学の行動科学者 B.F. Skinner の Radical Behaviorism 思想を研究の土台とし,原理原則としていました(注1 & 注6)。また,薬理学は,製薬企業との共同研究や受託試験などを実施するチャンスがあり,行動科学が生かせる中枢神経の薬理学を学習して武器にしようとしてきました。また,所属した研究機関が,たまたま各種の実験動物の開発やその有用性評価を目的としたところであったために,マウス,ラット,マーモセット,アカゲザル,カニクイザルなどの実験動物を利用でき,その際に,これらに関する実験動物学も習得する機会に恵まれました(注7)。
注5:マーモセット脳画像解析 参照
注6:薬物依存と行動解析 参照
注7:実験動物マーモセット 参照
以上の研究を実施する際のスタンスとしては,製薬企業の共同研究や受託試験において,たとえば,医薬品に実験動物レベルで薬効あるいは毒性の有無について明確に結論づけなければならない基本原則がありました。その意味で,研究は,常に分かりやすく明確な有用性がなければならないとの意識がありました。以上の目的のためにも,単に医薬品の有効性や毒性の有無だけでなく,その医薬品の作用機序解明もまた,重要な課題として受け止めてきました。また,動物実験のデータは,常に大きなばらつきがあり,なかなか明確な結論を下せない場合があります。そのような場合も,それをあるがままに受け入れて,よりばらつきの少ない実験方法を考えて,実施することもありました。また,製薬企業の受託試験では, Good Laboratory Practice (GLP) 基準での試験実施が求められるので,それ以外の学術的研究についても,GLP基準の精神を尊重して,研究を実施するようにしました。GLP では,実験データに関する正確性,データの記録保管性,何年か経過した後にも,記録されたデータをもとに,その実験を再構成(再現)できることが求められ,これは一般の学術研究にも極めて重要なことと考えました。それ故に,自前の学術的基礎研究でも,GLP基準の精神を重視する中での研究を実施してきました。研究の最後のゴールは,結論がはっきりする様に,簡潔にレポートにまとめることです。製薬企業との受託試験や共同研究では,あらかじめ秘密保持契約をしているため,報告書は,スポンサーである製薬企業に提出します。スポンサーから,公表依頼があった場合のみ,論文公表となります。一方,自前の基礎的学術研究の場合には,国際学術誌に公表することをもって,やっと,そこまでの研究にけじめをつけることができると考えてきました。実験を実施した苦労とは別に,論文公表それ自身にも,極めて大きな苦労があります。しかし,研究には,研究者の膨大な時間,多額の研究費,施設,実験動物などの多大なリソースの使用があり,研究内容を,適切な報告書や公表論文のかたちにまとめることがもっとも重要な最終ステップとなります(注8)。
注8:論文公表への道のり 参照
以上の研究遂行の流れは,単なる一つの研究者事例に過ぎないかもしれません。しかし,それぞれが,置かれた立場において,何がなんでも研究を続けたいという動機づけを失わないで,置かれた状況に応じて,真摯に一生懸命,課題に取り組んでいれば,周囲も様々なチャンスを与えてくれると思っています。その意味でも,これまで接してきた多くの指導者,協力者,仲間に深く感謝の意を捧げたいと思っています。そして,上記の事柄が,様々な研究をすすめられている方々に,少しでもお役に立てれば,著者のよろこびとするところです。
3.1. 神経行動解析研究の視点
人は生まれると,まずは泣き,乳を吸い,動き,眠る。やがて,そこから様々な刺激に反応し,笑い,音声を発し,それが言葉となり,親兄弟家族と交流し,玩具で遊び,さらには家族から社会へと多様な行動レパートリーを広げてゆく。この流れから,行動は内部感覚刺激への反応に始まり,やがて外部感覚刺激への反応を包括してゆくことがわかる。このような反応の基盤には,生体に本来的に備わっている生理学的反射(反応)と行動学的な自発反応(行動)がある。さらには,この両者を土台として,前者は条件反射(反応)となり,後者はオペラント条件反応(行動)という学習行動が形成されてゆく。そして,これらが複雑に絡み合って統合されてゆくなかで,環境への適応的な生存が確保されてゆく。いずれも,まずは外部環境内での人体の形態的身体特性に規定されており,その身体内部的制約条件の中には,生理学的機能,生化学的機能,分子生物学的機能,遺伝子基盤などの生物学的要因に支配される中で,自発的行動が形成されてゆく。
ここで主題とする行動的側面は,人の一生を通して最も統合的な生体機能である。また,それは,生体の多様な生理学的プロセスなどを含めた最終的アウトプットといえる。健全な行動の背後には,脳と神経系が正常に働くことが前提となる。実際には,これらが常に正常とは限らず,様々な神経精神疾患が存在している。また,疾患と診断されなくとも,われわれの脳は極めて脆弱であり,その行動が,常に高い Quality of Life (QOL) あるいは Well Being (WB) をもたらすとは限らない。それゆえ,神経精神疾患の診断と治療法確立にも,また高い QOL あるいは WB 維持のためにも,ヒトの行動に関する科学的理解と自身の適切な行動制御が,われわれの人生にとって,最重要課題のひとつとなる。
以上の背景を踏まえた行動理解とその背後にある脳の神経機序解明は,神経科学 ( Neuroscience ) のテーマであり,そのうちのひとつに神経行動解析研究の視点が存在する。なお,経済学において,Micro Economy と Macro Economy の分類があるように,神経科学にも,ニューロンや細胞活動,分子生物学的事象,遺伝子解析などを主題とする Micro Neuroscience と,生体の統合的システムとしての行動を研究対象とする Macro Neuroscience の視点があると考えている。本WEBサイトでは,主として後者である Macro Neuroscience 視点での神経行動解析研究について,自由に記載してゆくこととした。
3.2. 行動に始まり,行動に終わる
われわれにとっての最大の関心事は,自身の身近な行動であり,他人の行動であろう。たとえ,眼を遠い宇宙のはて,あるいは遠い過去の歴史にむけているつもりであっても,関心事は,やはり人々の行動であることを否定はできないと思う。さらに,社会も,経済も,政治も,宗教でさえも,そして歴史も,乗り越えがたい環境条件が存在する中での人々の行動の集積の結果といえよう。
もちろん,物理的環境としての世界は,広大無限であり,われわれの認識の範囲をはるかに超えた世界が厳然と存在している。しかし,このうちのごく限られた微細な部分のみが人間に直接かかわりを持ち,人間行動を規定してゆく。この限局された環境での人間の適応行動あるいは不適応行動の結果が,人間生活,社会,文化,文明,歴史をかたちづくってきたといえる。このような背景を前提とし,世界を人間中心のひとつのミクロコスモス(微小宇宙)ととらえれば,この世界のすべては,人間の行動に始まり,人間の行動がゴールとなり,結局はその行動に終わるという視点も想定できると考えている。
自身の行動については,四肢体幹の動き,歩行,運動,感覚的認知,言語,思考,ゴールに向けた遂行行動などがある。このような行動の際の自覚的,内省的感覚も行動に深く関わる要因といえる。これらの行動の流れのうち,自身で客観的に把握できる側面はほんの一部であり,残りの大部分は,自身の認識や自覚あるいは意識を超えた大きな広がりのなかに存在する。これらいずれの側面においても,身体的構造としての脳の役割は大きく,それ以外には,各種の身体器官や組織が関わっている。そこには形態学的生理学的事象,生化学的事象,細胞学的事象,分子生物学的事象,遺伝子レベルの事象などが細密かつ複雑に絡み合っている。これらの事象は,研究する側が,その研究の進展とともに,研究対象を便宜的に区分したものである。しかし,生体それ自身は,そのような区分とは関わりなく,ひとつの統合的システムとして存在していると考えている。このような生体機能の大きなストリームの中で,われわれにはっきりみえている部分としての行動が存在する。この意味において,先にも述べたとおり,行動に始まり,行動それ自身が研究のターゲットあるいはゴールとなり,行動に終わるという視点を想定できると考えて,永年にわたり,神経行動解析研究を実施してきた。
3.3. 神経行動解析からみた前臨床医学研究
著者は,大学では心理学を専攻した。大学院課程修了後は,薬物依存の世界的研究者であった柳田知司博士 (1930 - 2016) から,薬物依存学,薬理学,精神薬理学などのみならず,研究の進め方,論文の書き方などに関する丁寧な指導を受けた。その後も,多くのすぐれた指導者,共同研究者,仲間などに恵まれて,神経行動解析研究と前臨床医学研究などを永年にわたり継続してきた。
研究の内容としては,神経行動解析の視点に立って,神経精神疾患に関する基礎研究と前臨床医学研究を実施することであった。これらにおいて,実験動物としては,マウス,ラット,コモンマーモセット,カニクイザルザル,アカゲザルを利用してきた。個別の研究においては,それぞれの実験動物の特性をフル活用することに心がけた。これは,個々の研究目的からみて,それぞれの実験動物の長所と短所を踏まえることであり,特定実験動物に固着して,無理に研究を継続しないようにした。今にして思えば,これは通常では容易なことではなく,実験動物開発を目的とした研究機関に在籍したために可能だった面もあると考えている。
また,実験動物を用いた基礎研究の実施については,前臨床医学研究同様に,次の二つの点を念頭においた。第一は,医療の臨床場面において,患者と医師の遭遇している現実であり,第二は,疾患治療薬開発を実施している製薬企業が遭遇している現実についてであった。それぞれについては,自分のわかる範囲内で,研究実施の重要なフィードバックとした。前臨床医学研究については,言わずもがなであるが,基礎研究でにおいても,上記二つの視点からの厳しい眼差しを意識することなしに,研究を永年にわたり継続的に実施することはできないと考えてきた。
3.4. 神経行動解析からみた神経精神疾患
多くの神経精神疾患の治療の場合には,まずは行動の変異としての症候に関する診断からスタートすると思っている。症候 (Syndrome) には,症状 (symptom) と徴候 (sign) が含まれる。症状は,患者が医師に訴える頭痛,吐き気などの患者自身の自覚的な訴えに基づく側面であり,自覚「症状」といわれる。一方,徴候は,症状とは別に,医師が他覚的客観的に患者を診察した結果みとめられる患者の体調や行動変異などである。いずれも,このような臨床場面での診断については,神経行動解析学的研究において極めて重要なスタート側面ととらえてきた。
神経精神疾患の治療場面において,症候に関する診断が確定すると心理療法や投薬などの治療が開始される。そこで,患者の疾患の行動上の寛解の程度あるいは症候の軽減が治療のとりあえずのゴールとなろう。例えば,進行性の神経疾患であるパーキンソン病の場合には,患者自身あるいは家族が,その運動機能の変異とそれに基づく日常生活での不便に気付き,医師の診断をあおぎ,診断が確定すると投薬などの治療が開始され,その行動改善に関する治療効果が重要な課題となろう。この意味において,神経精神科領域における治療は,行動に始まり,行動がゴールとなるといえよう。
3.5. すべてが行動に始まり,行動に終わるのだろうか?
上記に,治療は,「行動に始まり,行動に終わる」例について述べたが,すべてがそうであろうか? 例えば,パーキンソン病を例にとると,症候をベースに,そう診断された場合にも,それ以前に既に,患者の大脳基底核の黒質-線条体系ドーパミン神経に変性あるいは脱落が進行しており,これは,Positron Emission Tomography (PET) や Single Photon Emission Tomography (SPECT) などの脳画像解析により,早い段階で診断がつく場合がある。また,家族性パーキンソン病の場合には,α-synuclein, parkin, LRRK2 などの遺伝子変異に基づいて発症することが知られており,遺伝子検査により発症の可能性についての予知はできるであろう。さらに,別の神経変性疾患のハンチントン病の場合には,第4染色体上に局在している遺伝子の変異が原因で発症することが知られている。すなわち,遺伝子 huntingtin がタンパク質をミスコードして,一定の年齢になると神経障害などを発症する可能性が知られている。また,これらの例を示すまでもなく,脳神経外科領域の脳血管性疾患や脳腫瘍などについては,人間ドックなどの脳画像検査により,患者の自覚症状なしに疾患がみつかる場合はいくらでもあろう。以上を踏まえると,当然ながら,神経精神疾患も,身体疾患同様に,すべてが行動に始まり行動に終わるわけではないという指摘があって当然であろう。
神経精神疾患の診断,治療,機序解明のためには,他の身体疾患同様に,遺伝子レベル,分子生物学的事象,細胞学的事象,生化学的事象,形態学的/生理学的/病理学的事象などに関する研究が重要であり,実際これまでもそのような流れの中で神経精神疾患に関する基礎研究は進められてきた。しかし,本WEBサイトでは,生体の統合されたシステムとしての行動そのものについて,客観的にして定量的な精密測定法を駆使する重要性についても強調したいと考えただけである。
以上を踏まえて,実験動物を用いた in vivo レベルの前臨床医学研究においては,神経精神疾患の症候の特定側面に,まずは的確な焦点をあててみた。そこで,その焦点について客観的かつ定量的に測定するスタイルで,これまで研究を進めてきた。今にして思うと,このような研究スタイルは,大学での計量心理学と実験行動分析学(注1参照) の教育のお陰と考えている。以後は,これをベースとして,いくつかの研究機関において,少しずつ視野を広げる機会が与えられた。結果的には,そこから各種実験動物を用いた神経精神疾患の基礎研究と前臨床医学研究に専門を広げることができた。
注1)実験行動分析学 (The Experimental Analysis of Behavior) : 本WEBサイト オペラント行動と神経科学 参照
追記:「細胞に始まり,細胞に終わる」世界にも触れて
行動科学をベースとした研究を永年継続していると,すべては行動に始まり行動に終わるという視点に到達してしまう。しかし,一方で,そのような固定観念から解き離れたいと思い,病理学も独学で勉強した。もともとの心理学専攻者にとっては,生理学を学ぶことも重要と考えてきたが,むしろ病理学を学ぶ方が,門外漢にとって知識を吸収しやすい面があると感じた。その理由は,生理学では,ノーマルな状態を前提とした身体のシステムをひたすら学習するが,病理学では,壊れた身体のシステムを学習することによって,ノーマルなシステムも同時に学べるという2面性が存在し,これは,個人的には,学習しやすい要因と感じた。もちろん,生理学についても病理学についても,どのレベルの勉強をするかということがあり,著者の場合には,ごく初歩的レベルでの話となる。
以上については,著者の過去の経験として,行動科学を薬物効果との関連で学んだ行動薬理学の学習にも類似していた。薬物によって変容した行動から,薬物作用と同時に,本来の行動そのものについての2側面について同時に学ぶことができて,効率的であった。
以上から,病理学を学ぶと,すべては細胞(の異常)に始まり,細胞に終わるという視点も出てくる世界の存在を知った。ただし,それは主として身体疾患の解明されている部分についてであり,神経精神疾患のうち,とくに精神疾患,たとえば統合失調症などでは,細胞レベルでの確定がなされていないものも,いまだ存在している。このようなところには,やはり「行動に始まり,行動に終わる」という視点の入り込む余地が,少なくとも現時点では存在すると感じている。なお,大学医学部で正規の病理学を学習し,医療に携わっている医師にとっては,病理学が細胞に始まり,細胞に終わるという視点は,本末転倒と感じられるであろう。なぜなら,疾患を治療するための病理学という位置付けが,医療においても教育においても明確に存在するであろうからだ。それゆえ,上記(細胞に始まり,細胞に終わる)については,病理学の門外漢が,独学で教科書のみを通して学習した,うわべの印象と思い込みを述べたに過ぎない。
上記の基本的な思考の流れをベースにして,これまで著者が実施してきた研究などについて,下記目次の内容で,本WEBサイトを構成した。
本WEBサイトの目次と内容
タイトル 🖱 : Click OR 👆 : Tap
神経行動解析研究 :神経精神疾患に関する前臨床研究
実験動物マーモセット:その特性と有用性
マーモセット・パーキンソン病モデル:ヒト疾患との高い類似性
マーモセット脳画像解析 :in vitro & in vivo イメージング
北米神経科学会 ( SfN ):世界最大の学術集会でのマーモセット利用研究の動向
オペラント行動と神経科学 :齧歯類とサル類のオペラント行動 & 動物実験倫理
薬物依存の概念 :薬物依存研究の考え方と用語解説
薬物依存と行動解析 :薬物依存研究における行動解析の重要性
ヒト疾患モデル動物 :神経精神疾患に関する実験動物モデルの有用性と限界
神経行動解析論文 :著者によるマーモセット利用英文原著論文と和文解説論文
論文公表への道のり:原著論文投稿 - 非受理 - 受理 - 公刊までの長い道のり
神経行動解析トピックス:本WEBサイトの内容トピックス
Relaxing Time & Relaxing Days :研究者の余暇さまざま
Google サイトによる本 WEBサイト制作 :自力無料で作成できるWEBサイト
神経行動解析リンクス主宰者 :WEBサイト制作者の略歴と研究実施施設