一年前、私はこの「つゆくさ」で、「平成25年という年は、日本がどんどん良い方向に進んでいく出発の年になるように思う」と書きました。 それは、衆参のねじれが解消し、安倍さんが首相になったからです。
安倍さんは大変誠実で、私利私欲が極めて少なく、しかも強い信念を持った政治家だと見ていたからです。
あれから一年、昨年は東京オリンピックが決定し、経済もアベノミクスが順調で、少し明るいきざしが見えてきました。 平成26年はさらにその明るさが増していくだろうと思っています
ただ、ここでいう「明るさ」は経済に限ってのことですが、私が「日本がどんどん良い方向に進んでいく」と言ったのは、経済もさることながら、それ以上に、日本人が自信を取り戻し、自国に誇りを持ち、世界から尊敬される国になっていくのではないかと考えたからです。
それは、安倍さんが教育改革に並々ならぬ熱意を持っていたからです。
私は教育こそが国の根幹だと考えているのですが、これまで本気で取り組む政治家がいなかったように思います。それは、教育はとても長い時間がかかり、すぐには成果が現れませんし、「票」にも結びつきません。その上、強い反対があったからだと思います。
安倍さんは、最初に首相になったときから、教育再生を最重要課題と位置づけ、教育基本法の改正を成し遂げました。
教育基本法は昭和22年に施行されたのですが、その中に「教育は、不当な支配に服することなく」の一文があります。この一文をいつしか先生方は「政治不介入」の一文だとして、行政の言うことをまったく聞かなくなりました。特に組合の強い地域はそうでした。
その結果、学校で国歌を一度も習ったことがない生徒が見られるようになったのです。もう十年以上前の話になりますが、大阪の地下街で、貴乃花だったか、優勝したときにテレビから「君が代」が流れていました。その時の若いカップルの会話が、「あれ何の歌」、「さあ、知らない」でした。
六十年ぶりに改正された現在の基本法では、「教育は、不当な支配に服することなく」の後に「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」の一文が追加されています。「政治不介入」の行き過ぎに歯止めをかけたのです。
また安倍さんは、教育再生の目指すところについて、「すべての子どもに高い学力と規範意識を身に付ける機会を保障すると共に、我が国の歴史・伝統・文化をしっかり学んでもらうことです」と述べています。
確かに、子どもの頃に規範意識を身に付けさせることは大事なことだと思います。
どれほど法律を整備しても、ずるいことや卑怯なことをしてでもうまくやればそれで良い、といった風潮が広がれば、まじめにやる人がいなくなり、ついには世界からも軽蔑され、その国は滅びてしまうからです。
話は変わりますが、二年前に日本青年研究所が四カ国の高校生におこなったアンケート調査があります。「自分はダメな人間だと思うか」の質問に、YESと答えた日本の高校生は66%もありました。ちなみに、中国は13%、米国は22%、韓国は45%でした。
現文科大臣の下村博文氏は共著『サッチャー改革に学ぶ』のなかで、次のように語っています。
かつて英国の歴史教育はなんと自虐史観だったんです。
英国では元々、教科書検定や学習指導要領が明確でなく、それぞれの教師が自主的に教材を選んで使うことが許されていました。その結果、労働組合などが中心に作った教科書が広く使われていました。
その教科書には、いかに英国という国が植民地の人たちの血と涙を搾取することで発展繁栄をしてきたかということが書かれているのです。それを読めば子供たちは自分の国に対して誇りも自信もなくなりますよね。そういう歴史教育を行っていたのです。
歴史には「光」と「影」の部分があります。サッチャーは影ばかりに焦点をあてて、自信を喪失してしまわないよう、英国には世界に誇れる素晴らしい歴史と文化があることを子供たちに教えたのです。
日本だけかと思ったら、戦勝国のイギリスでも自虐史観教育をしていたとは驚きました。
それはともかく、私は、長い時間かかるけれど、教育再生がうまくいけば、きっと日本は世界から尊敬される国になり、どんどん良い方向に進んでいくと考えているのです。
そのためにも、私は安倍首相が、テロや事故に遭いませんように、病気になりませんようにとひそかに祈っているのです。 合掌