2024年12月4日 ゼミ主催のワークショップ「学校の未来を考えよう」を実施しました
2024年12月4日 ゼミ主催のワークショップ「学校の未来を考えよう」を実施しました
12月4日のお昼休みに、有賀ゼミの学生が主催の学内向け科学コミュニケーションイベントを実施しました。
有賀ゼミは秋学期に4つのチームに分かれ、それぞれ科学に関わる分析やアナログゲーム開発、イベント企画を行っています。そのうちのひとつ、イベントチームが自分たちで考えて企画したのが「学校の未来を考えよう」というワークショップです。学生・教職員対象で、参加者と一緒に将来の学校にほしい科学技術は何か、みんなでアイデアを出し合って考えようという内容です。
当日は参加者を7名ずつ2つのグループに分けて、自分がほしい科学技術とその理由のアイデアを出し合いました。あくまでアイデアなので、まだ実現していない科学技術でもよいとしています。ディスカッションでは「タイムマシンで歴史を実際にみたい」といった意見や、「認証システムを導入して出欠管理したらどうか」、「移動が大変なので学内ループがほしい」など、学生目線で活発にアイデアが出てきました。また、単にアイデアを出すだけでなく、その良い影響や悪い影響についても議論し、考えを深めることができました。
参加者は皆さん楽しそうに話をしていました。企画したゼミ生は春学期に練習したファシリテーションのスキルを活用しながらうまく時間も管理していました。お昼休みにしたため短い時間になってしまいましたが、身近な学校の中の科学技術について自由に意見を出し合える議論ができたことはよいことだと思います。
参加者の皆さん、企画したゼミ生の3人、サポートしてくれたほかのゼミ生の皆さん、お疲れさまでした。
グループで議論する様子
アイデアを貼りだすファシリテーター
グループで議論した結果の全体共有の様子
グループで議論した結果の全体共有の様子
2024年11月6日 ゼミ中間発表
秋学期も半ばになり、本日はゼミの中間発表がありました。今年度のゼミ生は13名。ここでは今年のゼミの活動を紹介したいと思います。
秋学期の有賀ゼミでは、複数のチームに分かれ、チームごとに関心のあるテーマに取り組みます。テーマは科学技術・リスクにかかわる情報提供・学習・対話に関係していれば、なんの分野・どんな方法を対象にするかは自由に設定してもらっています。今年は、過去最多の4つのチームに分かれ、アナログゲーム開発が2チーム、対話イベント企画が1チーム、事例の批判的分析が1チームとなりました。中間発表では、今日まででまとまった企画や分析内容を報告してもらいました。
アナログチームの2チームは「環境カードゲーム」と「防災対策スゴロク」を開発中。それぞれ、環境問題の知識や防災の知識をゲーム形式で楽しく能動的に学べるゲームです。ルール設定からデザイン、必要な小道具制作もすべて自分たちで考えています。現在はルールや概要が決まったので、学期後半で環境や防災に関する調査を行い、内容を詰めていきます。
イベントチームは「学校の未来を考えよう」というテーマでお昼休みに実施するワークショップイベントを企画中です。このイベントでは、学校にあってほしい科学技術を参加者にグループで自由に考えてもらうというもの。春学期の学びを生かしつつ、チームの3名が協力して内容も企画も広報戦略も考えています。12月4日のお昼休みの実施に向け、現在は広報などの準備をしています。
分析チームはとある商品の(いちおう商品名は伏せます)健康効果に関わる広告の伝え方を科学コミュニケーションの観点から批判しています。2名と少人数のチームですが、活発に議論しながら広告の根拠になったデータを精査し、クリティカルシンキングを駆使して問題点などを指摘しました。秋学期後半では、自分たちを実験台にその商品の健康効果を検証するということで、こちらも学生ならではの発想で楽しそうです。
秋学期のゼミは全員で取り組んだ春学期の学びとは異なり、自分たちで考え、話し合い、進めていきます。長いようで短い半学期、学びの濃い時間を送ってもらいたいです。
アナログゲームチーム(環境カードゲーム)の発表の様子
アナログゲームチーム(防災対策スゴロク)の発表の様子
イベントチームが仕事を進める様子
分析チームの議論の様子。
2024年10月8日 卒研・卒論がだいぶ進んできました
私の今年度の卒研・卒論生は、今年度は3名です(桜美林大学では卒研卒論は希望者のみ)。テーマはいずれも科学コミュニケーションで、制作系が2名と分析系が1名がいます。秋学期に入り、そろそろ卒論執筆の材料がそろってきたという段階です。ここでは3人の研究を紹介します。
科学コミュニケーションでは、様々な専門的・学術的知識や、リスクにかかわる知識をわかりやすく関心を引きながら伝える方法や、科学に関わるテーマについて対話する方法を提案したり、考えたりします。今年の卒論生は自分の関心のある分野を選び、その科学コミュニケーションの方法を検討しています。
学生のひとりが開発しているのは健康にかかわる知識が学べる、カード付きすごろくです。昨年のゼミで制作したゲームの改良版で、卒研生がルールやコンテンツ、盤面のイラスト・デザイン等を創意工夫しました。単なるすごろくではなく、クイズや運動があり、健康に関する知識も学べるよう工夫されています。
10月に完成し、現在は効果検証の評価段階です。ゲームの評価(体験+アンケート評価)にはゼミ生とほかの卒研生に協力してもらいました。私も卒研生と一緒にやってみましたが、テーマが生活習慣なので身近で会話も盛り上がります。手作り感はほとんど感じず、売っているゲームのようでした。
制作した健康すごろくゲーム
卒研生と一緒にゲームしているところ
ゼミ生がゲームしているところ
もうひとりはA2サイズのポスター制作で9月末に完成しました。一枚で恋愛観の多様性を知ってもらうという内容で、ジェンダー研究の情報を伝える内容です。コンテンツはほかではあまり見たことがなくオリジナリティがあり、ジェンダー多様性を考える材料として面白いです。現在はインタビュー調査でポスターの効果の評価を進めています。
制作系の学生は二人ともデザインやイラストの訓練はほとんど受けていません(せいぜい1~2科目分?)。コンテンツの調査編集からライティング・イラスト・デザインまで考えることが多い中でよく頑張っています。
もうひとりの学生は企業の化粧品の成分を紹介するウェブサイトの科学/リスクコミュニケーション上の課題を分析しています。分析結果の記述を読むと、グイグイ批判しており痛快な気分になります。科学コミュニケーションの研究は企業系が少なめなのですが※こういう研究も必要と思います(※RRIや多様なステークホルダーを集めるアセスメントの場合は企業も含まれます)。
卒論卒研は、私はサポートはしますが、実際に考えながら進めるのは学生自身です。自分の発想になかったアイデアも出てくるのが楽しいです。
※写真や作品は学生の許可をとって公開しています
恋愛観の多様性を知ってもらうA2サイズポスター
2024年9月26日 秋学期「科学技術史」の授業で映画「オッペンハイマー」を見ることに決定
昨年、映画「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督、2023年公開)が世界中で話題になりました。第96回アカデミー賞も最多7部門受賞、テーマ的にも科学技術史の授業に合致するということで、授業で鑑賞出来たらいいなと思っていたのですが、待てどもなかなか日本語版の動画・DVDが来ませんでした。
そして9月になって、日本語版の動画・DVDが出ていることに気づき、急いで購入しました。ひとりの科学者にフォーカスし、科学者の役割の変容や科学の社会(特に政治・戦争)への影響、科学者の倫理観(罪の意識)を考えるうえでよい教材になると判断したのですが、シラバスには映画を見るとは書かなかったので、「さて、今年の授業で教材として使っていいものか」と迷っていました。
そこでこの秋学期の科学技術史の授業で映画「オッペンハイマー」を見たいかアンケートをとったところ、どちらでもよい1名をのぞく全員が「見たい」と回答しました。さすが、関心が高い!ということで後半の授業を少し削って、授業1コマ分で映画を活用することにします。
※ただし見るのは全部ではなく部分。今回はマンハッタン計画への関与が決まったあたりから核実験後直後あたりまで。見たい人は全部見てほしいです。
※藤永茂(2021)『ロバート・オッペンハイマー:愚者としての科学者』筑摩書房もあわせて読むとよいと思います。
2024年9月15日 秋学期1限「科学・技術・社会B」の授業内容を考える
もうすぐ秋学期が始まります。履修登録期間が終了したため、講義ごとの受講者がわかるようになりました。
私が担当する秋学期の「科学・技術・社会B」は、昨年まではリスクとリスクコミュニケーションをテーマにしていました。受講した学生の満足度は非常に高い印象ですが、受講者数が少ないのが課題でした。
そんな折に、学生から「リスクはかたくて難しそう」と言われ、「そうかそう見えるのか…」と反省しました。私自身はリスクというテーマは面白いと思っているのですが、はたから見ると敷居が高いようです。受講しないとおもしろさがわからないのであれば、そりゃあ受講しようとは思わないですよね。
また、いまの科学コミュニケーションプログラム科目では、どちらかというと科学・技術をメタ的あるいは批判的に捉えるコンテンツが多いので、科学が好きな学生も関心を持てるコンテンツを増やしたいと考えました。
そこで今年は「関心を引く科学コミュニケーション」というテーマも追加して講義で話すことにしました。科学コミュニケーションの漫画や文書を中心に、関心をひきつけるためにどのような手法があるのかを考えます(まだまだ探求途中ですが)。ただし、リスクの話も重要なので、内容量は削減しましたが、重要ポイントは引き続き入れました。
この変更のおかげあってか、「科学・技術・社会B」のこの秋の受講者数が数倍増えました。教育する意義のある内容を妥協してはいけませんが、学生の関心にも寄り添う必要があると痛感しています。意味のある学びを提供できるかは、学生の反応を見ながらこれから検証していきます。
追記(2024年9月26日)
受講生の反応をみるとリスクコミュニケーションに関心を持った学生もそれなりに来ているようで、コンテンツ入れ替え以外の対策(情報発信等)もプラスしているもよう。
2024年8月1日 ゼミ(専攻演習Ⅰ)としてイベントを実施しました
8月1日に、ディスカバ!にて有賀ゼミとして「未来×デザインの世界:ひみつ道具から未来を想像しよう」というタイトルのワークショップを実施しました。
ディスカバ!とは桜美林大学が提供する高校生のためのキャリア支援プロジェクトで毎年様々なプロジェクトがワークショップや体験を提供しています(ディスカバ!についてはこちら)。
有賀ゼミとして企画・参加したのは、ドラえもんのひみつ道具を例に、最先端科学技術の社会への影響を多面的に考えるワークショップです。当日の参加者は43名、高校生を中心に大学生や中学生も参加し、みんなで活発にディスカッションしました。
イベントでは12名のゼミ生が議論をサポートしました。初めて顔を合わせる高校生でも楽しんで議論に参加できるよう、アイスブレーキングやヒントカードなど、様々な支援方法をゼミ生に考えてもらいました。また、付箋を使って意見を可視化しながら議論を促す方法も、何度も練習しました。ゼミ生の努力や工夫もあり、参加者は話し合いを楽しんでいる様子で、活発で熱気あるイベントになったと感じています。終了後のアンケートを見ても、満足度は高い印象でした。
ゼミ生のなかには、4月の自己紹介の際に人見知りだと話した学生が何人もいます。また、当日体調不良で参加できなかった学生もいます。そういう学生も含めて、みんなで協力して工夫を重ねたこと、またそれぞれの学生の個性も尊重しながら準備を進められたことが、今年のメンバーの良さだなと感じています。参加者の皆さんも、ゼミ生の皆さんも、お疲れさまでした!
参考:ディスカバ!「未来×デザインの世界:ひみつ道具から未来を想像しよう」参加者募集ページ
https://discova.jp/program/technology/
2024年7月1日 ウェブサイトを公開しました
昨年に学生への情報発信をメインとしたウェブサイトを作成しようと考え、今年の1月からウェブサイト作りの作業を進めていました。どんな中身にしようか迷いながら作っていたらずいぶん時間がかかってしまいました。なんとか春学期末までに公開することができてよかったです。
このウェブサイトの一番の目的は、授業やプログラム、ゼミなどの紹介をするためです。学内にはオンラインのツールがあふれている一方で、「教員」の単位で、どのような授業を行っているのかを知る手段があまりないと感じていました。たまにでもゆるくリアルタイムな発信もできるとよいと思い、このブログページも追加しました。
基本は学生向けですが、外部の方や研究者、受験生なども含めてどのような教育を行っているのかがわかるようになればと思っています。