「君が選んだものならなんでも嬉しいよ」
「はぁ〜!?」
リビングのソファーに座る彼女が眉を八の字に曲げ信じられないと言葉を続けた。
「あたしは恋人。遠慮せず欲しいものを言っていいんだよ」
「まじでなんでも嬉しいんだって」
問答を繰り返して十分は経っただろうか。ぷんぷんと頬を膨らませる彼女には悪いけれど、誕生日を祝いたいという想いだけで充分で愛しさが込み上げてしまう。僕の好きな人が僕のことを好きでいてくれるという奇跡の毎日が続いていることが堪らなく幸せで、僕にとってはこれ以上ない贈り物なのだ。
彼女は「ヴゥー」と子犬の威嚇よろしく唸り出した。
さて、愛しい気遣い姫をどう説得しようか。
「わかった!!」
「ん?」
彼女は立ち上がると左手を腰にあて右腕と人差し指を伸ばし高らかに宣言した。
「あんたが世界で1番好きな女があんたのことを世界で1番考えて宇宙で1番喜ばせるプレゼントを贈ってやる!」
一息でそう言うと「首を洗ってまってろ」と甘い捨て台詞を決めて、あっという間に家を出て行く。
ソファーに残された彼女のスマホと財布にふっと笑いが漏れる。
「こういう時間こそ最高のプレゼントだよ」
そう呟いて、僕は姫の後を追いかけた。