本研究は、移民・難民の増加等により諸民族・諸宗教の多元化の様相を強める世界の現況を踏まえ、集団間の共生を脅かすメカニズムと調和的関係の構築に向けた方策について、アジア地域における民族間関係と宗教間関係に力点を置き実証的・実践的かつ問題解決指向型の研究をめざす。
日本の状況分析を加え、対象地域の経験と現状を批判的に検証しながら、将来への問題提起と包摂的で持続的な共生秩序の形成に向けた提言を示すことで、多文化共生社会への道を模索しつつある日本に対する社会貢献の一端をも果たそうとするものである。
一部の多文化社会について用いられる「列柱型社会」や「列柱構造」という表現。諸民族が縦割りで互いに干渉も助け合いも意識もなしに単に共存(ないし併存)している状況を比喩的に称したもの。我々が研究対象とする南アジアや東南アジアの多元社会も、これと似たところがあります。互いに孤立し排除し合い、エスニシティの単位内でしか交わらない、心を開かない、好意を及ぼさない。それに対して、日本はどうなのか、どういう方向に進むべきなのか。こう考えたとき、あるべき姿として浮かぶのが、社会的包摂(social inclusion)が実現された社会、つまり包摂型の社会です。
本研究プログラムのロゴの図案は、いくつもの円柱が孤立して離ればなれに立っているのではなく、上から見たときに、いろいろな色彩を帯びた(つまり、さまざまなエスニシティをかかえた)たくさんの円が同心円状に寄り添い、1つの大きな輪、いわば大輪の花となって1つに纏まっているイメージを醸し出すものとして考案されました。各色は宗教のシンボルカラーにちなんでいます。