京都で1716年からつづく老舗の和菓子屋さん、御菓子司 若狭屋久茂の商品のひとつにヒンドゥー教の神様「ガネーシャ」のお干菓子があります。
これをつくった八代目の金澤倫子氏は、南インド古典舞踊をされている方で、「長いお付き合いだったガネーシャをお干菓子にするのはとても自然なこと」だったそうです。実は、先代のお父様は大阪外国語大学(現大阪大学)でヒンディー語を専攻されていたとか。
京都の伝統あるお菓子屋さんに南アジアの風が流れています。
お味は、カルダモンが効いているマサラ味です。
(2023年1月1日撮影、金澤倫子氏提供、山下博司撮影、工藤さくら解説)
熊本県 大島石仏山の摩崖仏は、中国河南省にある世界遺産 龍門石窟を模してつくられています。華厳経の中心的な尊格である毘盧舎那仏を中心に、阿形、吽形などの守護神を配した七尊で構成されています。
35年前に施主である大島静喜氏が現地を訪問し、立ちすくむほどに感銘を受けたことをきっかけにこの摩崖仏制作が始まりました。
大島氏の思いを受けて、現在、ネパール人アーティストたちが制作に取り組んでいます。
20世紀で最も大きな摩崖仏として、今後注目を集めそうです。
(2023年1月7日、工藤さくら撮影)
タミルの神・ムルガンは、移民たちを護るように国境を越えて信仰されています。
ここマレーシア・クアラルンプル郊外のバトゥの岩山にあるムルガン神の聖地には、マレーシア中から信者が集まります。
訊いたところ、写真で黄色い服を着た人々もタミル系マレーシア人とのこと。
現代のマレー半島や古代のジャワでは、現地に根づいたヒンドゥー教が地域内の聖地ネットワークを形成し、聖なる場所場所を巡る巡礼も実践されています(いました)。
(2023年1月14日、山下博司撮影)
カトリック教会は、全世界に教会をもつ世界的な宗教組織です。カトリックという言葉は「普遍」という意味を含み、カトリック教会はどこの国のどの場所に行ってもカトリック教会としての普遍性を保ちつつ、宣教地の文化を受け入れて宣教しています。
マレーシアにある Church of Our Lady of the Holy Rosaryは、教会に集まる信者のほとんどが中国系で、ファサードと呼ばれる建物の正面に「教会」を表す「天主堂」という中国語が書かれています。
Church of Our Lady of the Holy Rosary, Kuala Lampur
(2023年1月14日、岡光信子撮影)
Church of Our Lady of the Holy Rosaryは、ほとんどの信者が中国系です。中国系の人は、春節と呼ばれる旧暦の正月を赤い提灯を屋内外に飾って祝います。中国系の信者が多数派を占めるこの教会では、教会内に春節を祝う赤い提灯が用いられています。
Church of Our Lady of the Holy Rosary, Kuala Lampur
(2023年1月14日、岡光信子撮影)
1月15日はタミル人の聖日・ポンガルの日。太陽を神として崇め、甘いお粥(ポンガル)を炊いて人びとに振る舞います。
在外のタミル社会でも同じ日に祝います。ここクアラルンプルでも、今朝そこかしこの家庭や寺院でポンガルの祭事が営まれました。
宗教色の薄い祭りですが、このヒンドゥー寺院ではバラモン司祭が主宰して宗教的に祝われました。
このあと階上の寺院本殿でヒンドゥー儀礼が行われ、最後に甘いポンガルが信者たちに振る舞われました。
(1月15日、山下博司撮影)
Goddess of household「イモイヌ女神」
インド マニプール州のメイティ族の間ではイモイヌ(Imoinu)という女神が信仰されています。家のカマドに住む神さまとして、家庭の繁栄を守ってきたと言われています。もともと形のない神さまでしたが、20年ほど前から老婆の姿をした神像が登場するようになり、最近では、ヒンドゥーのラクシュミー女神がお金の出る壺を抱えている姿をオマージュしたようなものも見られるようになりました。年次の祝祭日には、ワラゴナマズと白米がカマドの女神に捧げられます。
(2023年2月18日インド インパールIma Market(女性専売市場)、情報提供:Mexico Sorokhaibam、撮影:工藤さくら)
7ヶ月半ぶりに訪れたクアラルンプルのシヴァ寺院。19世紀末にこの地にやって来たタミルの移民たち。定着したのが中央駅近くのブリックフィールド地区。そこには今も多くのタミル寺院が息づく。
改修工事が進み、内部は半年前と見違えるようになっている。1ヶ月後には竣工式(クンバービシェーカ)の予定。改修費は30万リンギットとのこと、約1000万円くらい。すべて信者の寄付で賄われたと胸を張る。
午後7時、定時の儀礼がスタート。司祭がスマホからの音楽をBluetoothでスピーカーに繋ぐと、けたたましい楽の音が響く。ここにはバラモン司祭が3人。2人はインドから、1人はマレージア人。司祭が多く必要な儀礼だと、非バラモン司祭が駆り出される。バラモン司祭不足のマレーシア、非バラモン司祭が当たり前になりつつある。
聞くと明日はプラドーシャムの祭事、シヴァ神にちなむ大祭。午後4時半から10時過ぎまでかかるらしい。壁の掲示版に、施食(プラサーダム)の費用を負担する家族の名前と料理名が。料理は3種類。ウルンドゥカンジ(タミル風の甘いお粥)、ビーフン、ナシゴレン。3つのうち2つはマレーシアならではのアイテム、しかしすべて菜食。明日も来て食べたいと思ったが、あずかれるのは夜半近く。現実的ではない。
定時のプージャーに参加したあとホテルに戻る。
(2023年8月27日、山下博司撮影)
いま宿泊しているマレーシア・ペナン島の建物の前にある小さな祠。奥を覗くと口髭を生やしたお爺さんが。拿督(ダト)という神さまである。華人によってシンガポールやインドネシアでも信仰される守護神。「拿督(ダト)」はマレー語に由来し、お爺さんを意味し、敬称としても用いられる。この神については、わからないことも多い。
先日訪れた同島の小さなタミル系ヒンドゥー寺院内にも、同じ神さまが祀られている小祠を見つけた。 しかも7人の拿督が並んでいる珍しいもの。はじめ七母神(サプタ・マートリカー)かと思ったが、司祭のプラカーシュさんに訊くと拿督だという。ヒンドゥー寺院にマレー由来で華人が信仰する神が祀られていて、しかももしかすると南インドの七母神とも混淆している・・・。
東南アジアには不思議な神々の世界が息づいている。
(2023年11月20日・30日、山下博司撮影)