小さい金属の容器(カトリ)に入ったおかずをターリーと呼ばれる金属の皿の上に並べたミールス(定食)。中央にあるご飯の右上にある赤い料理は、中国料理でよく使わる湯葉をスパイスを用いてインド風にアレンジしたものである。また、ワダイと呼ばれるインド風ドーナツの右隣の料理は、キュウリを甘酢であえた東南アジア風の酢の物であるが、サラダとして提供されている。東南アジアのカフェやレストランでは、現地でよく使われる食材がをインド風にアレンジされたフュージョン料理として、現地で食される料理がインド料理の中に混じって提供されることがある。
(2023年1月11日 クアラルンプール、リトルインディアのカフェにて 岡光信子撮影)
チャクルック"chakluk"
マニプールの伝統的な食事スタイルはチャクルックと呼ばれます。チャクは米飯、ルックはご飯のお供。現在はプラスチックの器などに代わってしまっていますが、特別な機会にはダナ(Dana)と呼ばれるバナナの葉で作られた器で提供されます。
ダルに相当する豆のスープ(hawai thongba)、ンガリと呼ばれる魚醤を加えた冷製おかず(eromba)、バニヤン・リーフと米を混ぜたおかずウティ(uti)、魚のカレーが必要です。
(2023年2月17日インド インパール、撮影:工藤さくら、情報提供: Mexico Sorokhaibam)
ネワールのブェ「宴会」
カトマンズのネワールの人たちは、結婚式や人生儀礼などの特別な機会に、藁を編み込んだスクルと呼ばれる座布団で特別な食事を取ります。お米から作られた干飯が必ず必要で、普段食べている炊いた米は、ケガレの観点から避けられます。ロプテと呼ばれる葉の器に水牛肉の料理やインゲン豆などのカレー、フェヌグリークのカレー、油菜の和え物、豆もやしなど、1度に6種類ずつの料理が3度給仕されます。しょっぱいもの、酸っぱいもの、甘いもの、消化を助けるものなど、考え尽くされた構成でネワール文化を象徴するのがこのスクル・ブェです。
(2023年2月25日ネパール カトマンドゥ、工藤さくら撮影)
Shiitake Mushrooms
日本産のタネを使って栽培されたシイタケやエノキタケは、アジア各国でよく食べられています。写真は北東インドのマニプール州のローカルスーパーで売られていた乾燥シイタケです。シイタケ栽培は日本人とも縁の深い、インパールでも行われています。また、エノキタケはタイで栽培されたものが輸入されていました。
(2023年2月16日インド インパール、工藤さくら撮影)
マレーシア連邦で暮らすインド系の人々は総人口の7%。移民の大半はタミル系で、さらにほとんどは低カースト出身者で占められる。高カーストの出自をもつ者は菜食主義のことも多いが、低カースト出身者は相対的に肉食の比率が高い。だから、菜食主義者だとしても、肉の味を経験していて、おいしさを覚えている人が多い。
一方、マレーシアには華人(中国系移民)も少なくない(人口の4分の1弱)。彼らは基本的に肉食で、肉なら何でも食べる。しかし仏教徒の場合、純菜食かどうかは別として、ベジタリアンも一定数いる。仏教寺院の周辺に菜食(素食、仿葷素菜)のレストランが見られるのもこのためだ。彼らもほぼ全員「肉の味」を知っている。
マレーシアの食の風景で時折言及されるのが「もどき料理」。グルテン質の大豆ミートを使って中華風にアレンジした「海鮮もどき」、「チキンもどき」、「チャーシューもどき」等々が、地元スーパーでもふつうに売っている。
ところで、インド料理についても、この「もどき」がある。かつてマレー半島の南端・ジョホールバルで調査していたとき、インドレストランで魚そっくりのかたちをしたベジタリアン料理を薦められた。
さて、写真は何の料理に見えるだろうか?先日クアラルンプルのインド菜食レストランで注文したもの。その名も「プローンズ65」。プローンズ(=海老)に似せたというが、私にはチキンに、つまり「チキン65」に見えた。(「チキン65」は南インド発祥とされる、香辛料を使った鶏肉の唐揚げ)食べてみると、プリッとした食感があって、それなりに食べれる、というか、まあまあ美味しい。これも移民先における食の変容の一例である。
(2023年8月25日、山下博司撮影)