外来種が在来種に取って代わって問題視される一方で、同じような餌を利用する近縁種同士が共存することもあります。何が種の運命を決めるのでしょうか?それがわかれば、どんな外来種が問題を起こすのか?どうすれば多様な種の共存を維持できるのか?を理解し、生物や自然の管理に役に立つはずです。この問いに対し、私たちは“性”に注目して解明を目指しています。
重要になるのが繁殖干渉という現象です。異なる種同士の間で求愛(動物)や送粉(植物)が生じ、それが何らかの悪影響をもたらす場合、その2種が共存するのは難しくなります。これが繁殖干渉です。繁殖干渉は、理論的には以前から予測されていましたが、実証的にその存在が知られるようになったのは最近のことです。(だから、生態学の教科書にも載っていません。詳しくは『繁殖干渉』などをどうぞ。)
私たちの研究室では、ダンゴムシ、ゾウムシ、スジシマドジョウなどの動物、タンポポ、イヌノフグリ、ホトケノザなどの植物、ゾウリムシなどの原生生物を対象として、生物種の入れ替わりや共存に性が及ぼす影響について研究しています。その成果は、外来種問題の理解や在来種保全手法の開発などに貢献することが期待されています。
植物を食害するイモムシ(蛾や蝶の幼虫)には、多くの天敵がいます。鳥、ハチ、カマキリ、アリ、寄生バチ、寄生バエ、多種多様な病原菌、、。多くのイモムシたちは体を守るヨロイも、反撃する毒も持ちません。それでもイモムシたちは、天敵からの攻撃をかわし命を繋いでいます。天敵たちもそれに対抗し、さまざまな攻撃の手段を発達させてきました。
私たちの研究室では、身近なイモムシを対象として、そのような天敵との攻防を明らかにする研究を行っています。たとえば、寄生バエが宿主であるイモムシの行動を変化させる現象について研究しています。これらの成果は、自然界のバランスがいかにして保たれているかを理解するとともに、農作物等の害虫であるイモムシを防除する手法の開発につながると期待しています。
その他にもいろんな研究をやっている人がいます。生物の生態、特に生物間の相互作用に関することで、きちんと研究として成立するなら、基本的には何をやってもOKです。(研究として成立するというところが、実は難しいのですが。)
過去には、魚が刺し網のどこに引っかかるか調べた人とか、色々な模様のお団子を木の枝に付けて鳥に食べられるスピードを研究した人とか、琵琶湖からの距離とクモの大きさの関係を調べた人とか、色々います。これらも生物種間の相互作用に関する研究の一部です。