神社基礎知識

1. 氏神さまとは

氏神さまは、私たちが住んでいる地域を守っている神社です。 氏神さまは、鎮守さま、産土さまともいいます。

氏神さまに対して、その地域に住んでいる人すべてを氏子といいます。

たとえば、○○神社は××町の氏神、××町の住民は○○神社の氏子というような表現をします。

氏神のもともとの意味は、氏族、つまり血縁で結ばれた一族の守り神でした。 

たとえば、源氏の氏神は八幡さまというようにです。

それは、氏族が一定の地域に集団で暮らし、神々をまつっていた古代社会の名残です。

それが、時代が下るにつれて、地域の守り神へと変遷してきたのです。 

氏神さまは、もっとも身近な神さまです。

神社に参拝するときには、まず氏神さまにお参りしましょう。

2. 地鎮祭とは

建物の建設前に、その土地をお守りしている神様をお迎えして、工事安全と守護を祈念する祭儀を地鎮祭といいます。

土地の中央に忌竹を四隅に立てしめ縄を張り、その中央に神籬(ひもろぎ)を立て神様の依代(よりしろ)にします。

祭儀は、修祓・降神・祝詞奏上・玉串拝礼等を行ない、最後に昇神行なわれて終了します。

3. 上棟祭とは

建築工事が進み棟木を上げるときに家屋や工事をつかさどる神様をまつり安全を願するまつりです。

終わって、棟木に棟札を取り付けます。

4. 家移清祓祭とは

家が完成したときや引っ越しをしたり、マンションなどに入居する場合など、前もって家の中をお祓いするまつりです。

5. 初宮詣とは

出産という大事を、神様のご加護によって無事に終えたことの報告と、子供が生まれて初めて

氏神様に参詣し、子供の健康と成長をお願いするために神社にお参りするのが、初宮詣です。

一般的には、男児が生後31日目・女児が生後33日目に参詣します。(地方によって違いがあります)

百日詣り(ももかまいり)と言って100日目に参拝する事もあります。

初宮詣には、子供に祝い着を着せ、夫の母(姑)が抱くのが慣習になっています。

6. 七五三は男女それぞれ何歳で祝うのか

古くは「髪置き」「袴着」「帯解き」の祝いといい、「髪置き」は3歳の男女のお祝いで、今まで剃っていた髪をこの日から伸ばし始める儀式です。

「袴着」は5歳の男児のお祝いで、初めて袴をつける儀式、「帯解き」は7歳の女児のお祝いで、着物の付け紐を取り去り帯に替える儀式です。

現在ではその年齢にあたる子供に晴れ着を着せて11月15日に参詣し、子供の成長と健康を祈願する儀礼となりました。

本来は数え年で祝いますが、最近は満年齢でのお祝いが多いようです。

また日取りも11月15日にはこだわらず、それ以前に参拝する傾向が強くなっています。

7. 帯祝いとは

胎児の無事と成長、そして安産を祈る儀礼です。

主として妊娠5ヶ月目頃の戌(いぬ)の日にさらし木綿を長さ7尺5寸3分(七五三にちなむ)に断ち下腹に巻きます。

戌の日に行うのは、犬が安産であるとされている事から、それにあやかるためです。 

8. お七夜とは

生後7日目のお祝いで、生まれた子に名を付け、社会の一員として仲間入りしたことを認めてもらう儀式です。

古く日本では、誕生間もない新生児の生命は、産神(うぶがみ)の保護下にあると信じられていました。

産後すぐに死亡してしまうことが多く、お七夜はその成長を確かめる大切な折り目でもありました。

子に名が付けられるのは、人間として存在できるようになったことを意味します。

産神は「うぶのかみ」ともいい、出産の前後を通して、妊婦や新生児を見守ってくれると信じられている神であり、また、お七夜は父親の産の忌みが明ける日でもあります。

名付けは、一般にはお七夜に行われます。

役場への出生届は戸籍法に基づき、生後3日目から14日までに済ませなければならないと同時に、名前も届け出ることになっています。 

名前が決まると、名付け親は奉書などの白い紙に清書し、神棚に供えたり、床の間に貼っておく風習があります。

9. 祝 年とは

自分の生まれた(干支)が61年目に再び巡って来ることを「還暦」といいます。

この還暦からは祝年といいます。

今までの長寿を神様に感謝し、今後の更なる長寿と健康を祈願します。

祝年には還暦61歳、古稀70歳、喜寿77歳、傘寿80歳、卒寿90歳、白寿99歳、百寿100歳、茶寿108歳、皇寿111歳、昔寿120歳、天寿182歳などがあります。

(何れも数え年) 「天寿を全うする」という言葉はここから引用されています。

 10. 祝詞とは(のりと)

皆さんが神社でご祈祷をお受けになる時、神前で神職が必ず奏上するのが祝詞です。

初めは神の言葉そのものを祝詞と言っていましたが、その後は神に奏上する言葉をさして祝詞と言うようになりました。

祝詞は神話の中で、天児屋根命(あめのこやねのみこと)が天岩戸の前で奏上したのが始まりとされています。

祝詞は宣り詞(のりごと)といわれ、初めは神の言葉として上から下に申し伝える言葉で、これを宣命体といいます。

これに対して、神に奏上する祝詞を奏上体といい、現在の祝詞は奏上体です。

11. 神棚はどこに設けたらいいか

神棚は明るく清浄な高い場所(目線よりも上)に、南向きあるいは東向きに設けます。

神棚の中央には宮形を置き、その中にお神札を納めます。

12. 神棚がない場合にお神札はどのようにお祀りするか

近年の住宅事情・住宅様式によっては、神棚を設けられない場合が多いようです。

その場合にはタンスなどの上を綺麗に片づけ、そこへお祀りすればよいでしょう。

また、柱や壁にお神札を貼るときには、画鋲は使わずに糊などで貼ってください。

13. 参拝の作法は

まず、手水舎の水で両手を清めて口をすすぎます。次に賽銭箱にお賽銭を入れて鈴を鳴らし、2拝2拍手1拝の作法にて拝礼します。

(拝とは深いお辞儀のこと)鈴を鳴らすのは、鈴には魔除けの霊力があるとともに、その清らかな音色で神様をお招きしこれから祈願を申し上げるという一種の合図の役割を果たしているからです。

また、拍手は敬う気持ちの表われと言えます。

14. 狛犬とは

狛犬は「高麗犬」「胡麻犬」とも書き、神社の入り口や拝殿の前などに置かれている一対の獣形像のことを言います。

狛犬の原形はオリエント・インドにおけるライオン像で、それが中国大陸や朝鮮半島を経て渡来しました。

狛犬は神社の守護と魔除けのために置かれています。吽は呼気と吸気を表わし、「阿吽の呼吸」といわれるように、両者一体となって神社に邪気を入れないで守護しているという意味です。

15. 神社で榊を使用するのは

榊は「神」と「木」の合字で、神の木または神にお供えされる木という意味になります。

の世界と人間の世界とを隔てる「境」を表わすための木、つまり「境の木」が転じて「さかき」と読む語源になったとも言われています。

東京では榊を神事に用いていますが、榊のない寒冷地ではモミやスギなどが用いられるようです。

この榊に紙垂(しで)をつけたものが、皆さんがご祈祷の時ご神前に捧げる「玉串」です。

玉串を神職よりお受けになったら神前に進み出て、根が神様に向くようにしてお捧げください。

そして2拝2拍手1拝でご参拝します。この儀式を「玉串奉奠」といいます。

16. 鳥居とは

地図にも鳥居のマークで神社が示されているように、鳥居は神社の象徴とも言えます。

鳥居は神社の入り口に立ち、そこから先が神域であることを示しています。

鳥居の語源には2説あり、「通り入る」が転じたもの、「天照大神が天の岩戸にお隠れの時、ニワトリを止まり木にとまらせて鳴かせた」ところから鳥居というものです。

鳥居にも多くの種類がありますが、大別すると「神明鳥居」と「明神鳥居」の2つになります。

17. 注連縄(しめなわ)とは

注連縄は紙垂を付けたワラ縄で、鳥居やご神木など、神が鎮座している場所や神聖な場所には必ず張られています。

神話で「天照大神が天の岩戸から出た後に、再び大神が岩戸にこもったりしないように、神々が立ち入り禁止の意味で天の岩戸に張り巡らした」のが始まりとされています。

18. 神道のお葬式とは

神式のお葬式は神葬祭といいます。

神葬祭の源流は、神話の世界に登場し、「天若日子(あめのわかひこ)」の葬儀の様子を見ることができます。

江戸時代、幕府によりキリスト教信仰防止のため、人々は必ず寺に所属しなければならないという寺請制度が実施されました。

そのため仏式のお葬式が強制されるようになり、神葬祭は一般の生活から完全に消えてしまいましたが、その後国学の興隆により復活しました。

日本人の死生観は、「人間は神々の世界から生まれ、やがて一生を終えると神々の世界へかえっていく」というものでした。

死者の世界は我々の暮らしのすぐそばにあり、常に現世と交流しながら、我々を見守ってくれていると考えていたようです。

19. 忌の期間は

この期間は、最長で親の死亡した場合の50日間とされており、この期間が過ぎれば神棚のお祀りを再開し、神社への賛否も差し支えありません。

忌は、死者のけがれがついているため慎む期間のことで、この間は神棚の前に半紙を貼って隠し、お祀りや神社への参拝もしないこととされています。