ひょんなことからコーワのフィールドスコープ TSN664 Prominarが手に入ったので、野鳥観察とデジスコを可能にするためのセットアップを試みました。
手元に来たTSN664は中古ではありますが状態もよく、ズーム接眼 TE-6Z(X20〜40)が付属していました。
眼視での観察には何の支障もなく、大満足。これまで、7X50の古い双眼鏡で倍率の問題や、青にじみなどでクロツラヘラサギの脚環を読み取れなかったのが解消。
まず、コリメート撮影でのデジスコ用に機材を揃えるまでということで、手軽に一眼レフカメラと接続できるTSN-PA2を購入。オークションで格安。前の所有者は、画質が気に入らなかったのでしょうか。ネット上で評価されているとおり、リレーレンズによる映像は解像感がなく、デジスコ画像とは格段に差のあるものでした。
先達の方々が達成しているデジスコ写真解像度に迫るため、コンパクトデジカメを買いたい所でしたが、高価なものでもあるので悩んでいたところ、ビデスコなるものに惹かれました。思い切ってSANYO Xacti DMX-CA65という防水機能が特色の機種を購入してみました。上位機種のハイビジョンを無理なく見られる環境でもないですし、2万8千円という値段が魅力。職場でも必要でしょうと交渉して購入してもらいました。
この機種はレンズ開口部にフィルターネジが切られていないため使う方がいないのかと思っていましたが、他にも向かない点がたくさんある機種でした。
フィルターネジが切られていない
オプションでもリモコンの設定がない
連射が効かない
絞り機構が(多分)奥まっているため、思いのほかケラレが大きい
仕様は以下のとおり
637万画素 1/2.5型CCD
35mm換算38~190mm
F3.5〜4.7
動画最大640x480/30fps/3Mbps
そんな不利な状況で、この機種を撮影に使うために行った工作を記録しておきます。
カメラアダプター
フィルターネジのないカメラですから、、TSN-DA1につながるカメラブラケットを自作する必要がありました。
バランスプレートの自作で余った3mm厚のアルミプレートを直角に折り曲げ、43mmの穴を開けアダプターリングをねじ込みました。厳密な光軸調整はできていないですが、実用には問題ない程度です。光軸からカメラが高い位置にあるようなので、三脚穴の当たるところを掘り下げればすみそうです。しばらくは手をつけないでしょう。
08/06/07 追記
しばらくそのままで使うつもりだったのですが、カメラの三脚取り付け穴がつぶれてしまい修理に出しました。
その間に、ブラケットを光軸調整のできる形で作り直すことにしました。レリーズステーも一体型に設計変更です。
まず、アルミフラットバー50mmX3mmX1000mm(\977)とアルミアングルピース50X50X3(\294)を購入してきました。 フラットバーはこの一本でバランスプレート2組も作れます。
バーを250mmの長さに切り出し、綺麗な端の方から90mmの位置に、約45mmの穴を開けます。この穴が43mmアダプターリングより大きいため、光軸ずれに対処できるようになります。アダプターリングとバーの適当な位置に3ヶ所ドリリングします。アダプターリングにはタップを切り、バーの穴を広げゆるゆるにします。これをワッシャーを噛ませたネジで止めれば微調整の効くブラケットになります。エポキシ樹脂で接着するより安心感もありますし。
光軸を調整しても持ち運びなどでカメラが三脚穴を中心に回転してしまい、すぐにずれてしまいます。光軸を出した状態でレンズ周辺を自由樹脂で型どり固定しました。それを装具として使うことで再現性を高めることができました。
レリーズステーに関しては、一体型に変更したことでシャッター操作時のすべりがなくなり安定しました。また、間接プッシュ型にしてアームの先端でシャッター、録画ボタンを選択できるようにしました。アームの材料は歯ブラシの柄です。各ボタン上空にスペースができたので、ズーム操作もスムーズになりました。これでしばらく使っていきます。
レリーズステー
これも余ったアルミプレートを削ってステーを作りましたが、 支点となる場所がないためレンズ周囲に自由樹脂を使って固定する方法をとりました。この辺は防水機種の強みですね。レリーズを強く押し込むとステーが浮き上がってしまいますが、シャッターにゴムを貼りすべりを抑えることでどうにか実用になります。ブラケットからカメラを外した時には取り外しが可能なようにしてあります。
動画用のシャッターというか、recボタンには今のところレリーズをつけていないのですが、同様のステーを二口で作って、レリーズを付け替えることで対応しようかと考えています。
08/06/30 追記
ブラケットの項で書いたように、一体型に改良しました。recボタンにも対応です。
接眼レンズ
ズーム接眼のTE-6Zではケラレる範囲が大きいので、単焦点接眼レンズをでっち上げました。
たまたま職場の機械入れ替えで余った顕微鏡用接眼レンズを、TSN664に嵌められるように細工をしました。TE-6Zを型どりして作ったバヨネット部分を適当にくっつけただけです。またまた、自由樹脂の登場です。便利ですね〜。型どり君とプラリペアの方がもっと綺麗にできるかも。
ここでも光軸に不安が出ますが、片ボケのない状態でよしとしています。
TE-6Zよりはワイドでアイレリーフも長い感じなので、広角端から少しズームするとケラレが消えます。標準状態でついているアイカップを測るとアイレリーフは20mm程度でしょうか。若干の周辺光量減少が見られるズーム域がありますので、もうちょっと何とかしたいところです。本当はPENTAXのワイド接眼なんかを試してみたいのですが、コーワの純正ワイド接眼を買うべきでしょうね。
接眼レンズの本当の倍率を求めてみました。
あにょさんのチャートを使い1〜10まての画素数で比べています。
x20接眼=410dot
顕微鏡接眼=347dot
20:410=x:347 x=16.926829
約17倍になりました。
ということは、この光学系での合成焦点距離は643.2195〜3216.0975mmになります。
ジンバル雲台
Kenkoのnew KDSマウントを、先達の皆さんが行っている様にジンバル雲台化改造しました。ネックを延長していないので仰角が稼げません。スペーサーを作らないと。バランスプレートが長すぎるということもありますが。
マウント部の削りに伴って、軸部分のグリースも洗浄してしまいましたので、カメラレンズヘリコイド用グリースを塗ったところ、良好な粘り感が戻りました。
08/06/30追記
スペーサーを入れました。それなりに仰角が稼げるようになりました。プレートにパーン棒をつけようかな。
バランスプレート
3mm厚のアルミプレートを2枚重ねにして、台形に削りました。50mm巾で、KDSマウントのアリ溝に入らないので、アリ溝のネジ側、垂直面を4mm程削りました。
以上をもって、自作やら改造の楽しみが終結してしまい今後のネタ探しが不安です。
TE-6Zで周辺減光の残った状態の写真です。
顕微鏡接眼での写真は後日上げます。
08/05/25追加
顕微鏡接眼で撮ったビデオからのキャプチャ画像です。
ワイド端から少しズームしたところ。
テレ端からちょっと引いたところ。
この位撮れれば満足。
この間撮れた写真です。
デジタル一眼レフカメラによるリレーレンズ法とコリメート法の比較
08/06/06 追記 リレーレンズ法という手法に問題があるのかと思っていたのですが、比較してみるとそうでもないような感じです。50mmF1.4のマニュアルレンズを顕微鏡接眼レンズと組み合わ せると、コリメート法でケラレなしで撮影できました。合成焦点距離はコリメート法の方がやや大きいかというところ。PA2には800mmF10.4という表示がありますので、35mm換算800X1.5=1200mm付近。コリメート法は(50X1.5)X17=1275mmなのでそんなもんですね。同じ露出条件でコリメート法の方が暗く写り、解像感はそれほど差のない感じでした。
左が、50mmレンズを使ったコリメート法、右がPA2によるリレーレンズ法。どちらもiso200、ss1/20sec.、コリメート法はレンズの絞り開放F1.4。上から全体像リサイズ、二枚目がピクセル等倍、三枚目が画像全体のヒストグラムです。作業場所から隣の庭にあるパパイアを写していますが、金網が間にあって写り込んでいます。
ミラーショックのないデジ一眼が出たら、一眼コリメートに鞍替えと思っていたのですが、対物レンズの限界なんでしょうか、あまりメリットがあるように見えません。Borgなどの天体望遠鏡直焦点の方がずっと良さそうですね。カメラレンズの大口径超望遠はコスト面から考慮すらしてません。