05.色抜きと染色

▼木の実の染色について

大島桜や山形のサクランボなど、白色の木の実もあるが、椿をはじめ、ほとんどの木の実はその含まれているタンニン分のため、茶色などの色のものが多い。そのため、まず過酸化水素を用いてある程度漂白し、染色しやすいように調整する。

画像は脱色前、荒磨き後の椿の実

1)脱色

過酸化水素を適量、ホーロー容器に入れ、水を加え火にかける。少し温度が上がったら木の実をいれ、煮立たないように注意して、様子を見ながら脱色する。仕上がったら水洗いしておく。

過酸化水素にて脱色。

▲均一に色が抜けているか確認。

▲脱色前と比べると、明らかに様子の違いがわかる。

2)染色

塩基性染料が木の実には適している。

染料を容器に入れぬるま湯を加える。色の濃さは端切れの板や指先につけて確認する。

これに脱色後の木の実を漬けて染める。染料は色見本により各色、また混ぜて使うこともある。

一定の時間を置いて洗剤を使ってよく洗い、水洗いの後に日陰で乾燥させる。

塩基染料をぬるま湯で溶く

木片などで色味を確認

脱色後の実を投入し時間を置く

よく水洗いする

日陰にて乾燥させる

脱色・染色後の実

3)特殊な染色(黒・エンジ色の染色)

黒・エンジ色などは、白髪染めなどに使われる薬品(パラフェニレンジアミン)を使って染める。

薬品は金槌などでなるべく細かく砕いて容器に入れ、ぬるま湯で溶かして使用する。この薬品は繰り返し使うことができるので、使用後も容器で取っておく。

溶いたばかりの薬品

数回使用した後の薬品

1:椿の実をエンジ色に染める

・塩基性染料で赤に染めた実を水に浸す。

・ここにぬるま湯で溶いた薬品を少量加える。

・色が濃くならないように注意して、タイミングを見て引き上げる。

・洗剤で洗って乾燥させる。

赤く染めた実を水に浸し薬品を投入

色味を見ながら一定時間置く

右側が薬品で変化させたエンジ色

2:椿の実を黒色に染める

・薬品を溶かしたぬるま湯に荒磨き後の椿の実を入れて1時間ほど置く。

・実を引き上げて他の容器に移し水に浸す。

・ここに過酸化水素を少量加えると、短時間で黒色に染まる。

・洗剤で洗って乾燥させる。

荒磨き後の実を薬品に浸す

過酸化水素を加える

いわゆる“漆黒”に染まる

薬品で染めた黒色

※ほかの実でも同様の手順で染める。

01.思い出話 02.収穫から選別 03.荒磨きの工程 04.つや出し磨き 05.色抜きと染色 06.塗りの工程 07.塗料について