02.収穫から選別

▼収穫(時期と方法)

伊豆大島では、たくさんの椿が冬から春にかけて美しい花を咲かせ、2月~3月には小さくてかわいらしい緑色の実をつける。

梅雨の雨、厳しい日差しの夏のあつさを乗り切ってようやく完熟していよいよ収穫の時期。

実は5~6センチくらい。3つまたは4つに割れて、中からはかわいらしくて黒くて元気のいい種が5~6個顔を出している。

収穫の時期は長年の慣例によって9月の1週過ぎから。まだ残暑の厳しい中、それぞれかごを背負い、カギのついた長い竹ざおなどを持って老若男女がツバキの実の収穫に精を出している光景は大島の秋の風物詩としてなんとも和やかで温かい風情をかもしだしている。

一般的には、集めた実は椿油やさんに買い取ってもらったり椿油と交換してもらったりして自家用に消費したりしている。

▼選別

椿油やさんでは、椿の実から油を絞ることが目的なので、単純にその実の良し悪しで選別するが、アクセサリー作りにおいては形や実の肌の様子もあわせて選別させていただく。

天然の素材なので一つ一つ様子は異なり、実の肌があまり滑らかでないものはアクセサリー作りの素材としては不向き。実の大小、形状の違いは目的によって使い分ける。

一般的に好まれる形は、カメの甲羅のような形状で『甲丸』と呼ばれる。丸っこいものや涙型のものなど様々があるが、キーホルダーをはじめ、ペンダントヘッドやカフスボタンなど用途も豊富。また、手彫りでお客様の名前などを彫る際に作業がしやすいとされる。

『三角』は主にネックレスの素材として使われ、『四角』『三日月』なども甲丸との組み合わせで面白い素材となる。

▼甲丸

甲丸

▼四角

三角

三日月

▼椿の実・木の実の保存

拾ってきたばかりの実は水分が多いため、長く保存するためには広げて乾燥させておく。生の椿の実は日光に弱くひび割れすることがあるので、アクセサリー用にする場合は陰干しにする。

乾かした実の保存は、蒸れないように風通しをよくする。

乾燥させて保存してある実は、磨きをかけてからの乾燥も早く、使用する1週間ほど前に磨きの作業をすればよい。

※木の実は磨くことによってその表面の皮の組織が壊れて脆くなり、また、カビなどが発生しやすくなる。つまり、磨くことでその木の実は死んでしまうことになる。長く保存するには、乾燥させた生の実の方が管理の手間が少なくなる。