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1998年〜1999年にイギリスの大学院に留学していた際,実はホームページを作成して日記を付けていました。今見直してみると間違いだらけだし,恥ずかしいこともたくさん書いているのですが,留学を考えている皆さんの参考にでもなればと思い,ここに転載しておきます。ちなみに一番古い日記が一番下にあります。

8月14日『ある日の出来事』

~今回はOzawaがある掲示板に書き込んだ日記をそのまま転載します。いつもの日記とは全く異なった文体で書いてあるので、そのギャップを楽しみながらお読み下さい。~

これは広島出身のOzawaが大学院進学の際、四国の鳴門に引っ越しをし、そこで知り合ったMさんとの心暖まる交流を描いたノン・フィクションである(多少、脚色あり、いや結構..)。

~出会い 先程、煙草を買いに外に出たのだが、その時に郵便物をチェックすると久し振りに日本から手紙が来ていた。送り主はMさん。俺が鳴門に左遷されて以 来2年間同じアパートの隣人だった人である。「向こう3軒両隣り」という言葉があった一昔ならまだしも、人間関係が希薄になりつつある現代においては、挨 拶を交わせば良い方で、隣の人の顔を全く見た事が無いという場合も珍しくない。御多分にもれずアパートに入った最初の2ヶ月は誰が住んでいるか知りもしな かったのだが、このMさんとの出会いは突然訪れた。それは俺が所属する大学院で開催されていた県人会での事。今までこういった会には縁が無かったので、最 初くらいはという軽い気持ちで参加したのだが、そこで隣に座っていたのがMさんだった。広島から離れた土地での同郷の人というのはそれだけでも心強いも の。自然と会話もはずむのだが、その時幹事の人から配付された名簿を見て驚いた。

Ozawa 出身:広島県広島市・・・・ 住所:わんわんアパート 102号 M 出身:広島県東広島市 住所:わんわんアパート 103号

「同じアパート...。しかも隣....。」これ程の奇遇があろうか(反語)。広島から遠く離れた四国の地に引っ越してきて入ったアパート に同郷のMさんが..。しかも田舎なので同じアパートという事はたまにあるが、まさか隣同士とは...。お互い顔を見合わせて、キョトンとしつつもちょっ とした嬉しさを感じつつ、世が更けるまで酒を酌み交わしたのであった。まさに見知らぬ人が旧知の仲になったも同然の瞬間であった。いやあ、世間は狭いもの である。

~そして旅立ち それからは本当によく遊ぶようになった。というよりも俺は23歳、向こうは29歳という歳の差カップルだったので、向こうに奢ってもらいつつ遊ん でもらったというのが的を得た表現なのかもしれない。あまりにも交流があったので、時には楽しく時には正直鬱陶しく思いながらも、2年間があっという間に 過ぎ去っていった。

そして修了式。Mさんはもちろん広島に帰る事になったが、俺は何故かまた鳴門に残る事になった。つまり..別れである。不思議と涙は出な かった。男同士ってのはこんなもんなんだろう。お互い固く握手をしてこれから先の健闘を祈りつつ別れを告げた。1998年4月の事である。

それから月日は流れる。Mさんは仕事をしている事もあり、なかなか連絡がつかなかったが、思い出したように時折電話をしてきてくれた。そし て俺が留学をする前には1度遊びにも来てくれた。そんな中で俺が気になっていたのは、Mさんには全く浮いた話が無いという事であった。入学した当時は29 歳だったが、もう既に30歳を越えている。まあ今となっては30歳を越えて独身なんてのは珍しくないが、浮いた話がここ数年全く無かったというは気にか かっていた。留学前に会った時も何も言って無かったし...。

そのMさんから今日手紙が届いた。仕事が忙しかったらしく、約1年ぶりの彼からの便りである。封を開けると中には今まで便りをなかなか出せ なくて悪かったという詫びの言葉、今仕事がとても忙しいが充実している事など近況が綴ってあった。そこで目に飛び込んできた文章に俺は目を疑った。

「突然ですが、今度10月に結婚する事になりました」

結婚...。一瞬読み間違いかと思ったが、確かにそう書いてある。事の顛末はこうである。留学前にMさんが俺を訪ねてきてくれた時には、浮 いた話は全然無かった。だが1999年4月に上司の紹介で見合いをする事になり、そこから話はトントン拍子に進んでいって知り合ってわずか半年で結婚とい う事になったらしい。

「あのMさんが...。」

非常に嬉しい知らせであり、自分の事のように胸が踊っているのがわかる。けれどもその一方で少し寂しさを堪え切れない自分もいた。まあ、M さんは今まで数年間彼女がいなかったのが不思議なくらいの人。ちょっと頑固で融通の効かない面はあるが、兄貴肌で後輩にも好かれていた。こんな展開になっ てもちっとも不思議ではないのだが、あまりの急展開には俺も驚いた。俺は自分を落ち着けるように、くしゃくしゃになった煙草をポケットから取り出し火を付 けた。何なんだろう、、この感情は。。。もちろん嬉しいのだが、妙に切ない気分でもある。

何故だかわからない。ただこれは人間として自然な感情のような気がする。楽しかった大学院の2年間。Mさんの結婚と共にその記憶が想い出に なってしまったのだろう。そして、その日々は二度と帰ってこない。。。何だか今でも落ち着かない。灰皿には吸い殻の山が出来てしまっている。まあ、いいだ ろう。とりあえず今日は1人でビールで乾杯しよう。

「おめでとう、Mさん」

俺は心の中で呟き、ビールを一気に飲み干した。

<完>

8月11日『Total Eclipse』

グランド・クロス...、ノストラダムスの予言の日...。なんて言われた皆既日食の日、結局何も怒りませんでしたね。日本にいた時にビートたけしの番組 で、いろんな人がノストラダムスの予言を検証していましたが、あの人達今となっては肩身が狭いでしょう(この予言が現実のものとなる事に命というか職業を かけてしまってる人もいたけど、あの人達は今どうしてるんだろう)。まあ、それはともかく平穏無事と言いますか、何も無かったのは素直に喜ぶべきです。個 人的にはもしノストラダムスがあの時代に皆既日食を見事に予言していたのだとしたら、それはそれである意味すごい事だとは思うんですけどね。

実は何を隠そう僕は小学生時代(小学4年から1年間)に地域の公民館の天文サークルに所属していました。今となってはそのサークルがどういう活動を 行なっていたかを思い出すのは難しいですが、七夕の日に天の川を見ながらパーティーをやったり、綺麗な満月を天体望遠鏡で見たり、難しい説明は抜きにして 宇宙の神秘に触れさせてもらっていたと思います。けれども、そこでそういった分野に目覚める事もなく、今までハーレー彗星、獅子座流星群(まあ、これはイ ギリスにいたからしょうがないですけど)といった世紀のイベントをことごとく見逃してきました。その僕が今回は何を思ったか今世紀最後と言われる皆既日食 を見に行こうと思いました。その理由としては(1)あまりにもイギリスのメディアが大騒ぎするので、ちょっと影響された、(2)綺麗に見えるのはコーン ウォールらしいけど、自分の大学の敷地内でも充分に見れる、という何とも自分らしいというか物臭な決断でした。いつもは夜型生活の僕もこの日は何故か早起 き(と言っても社会人の人に比べたら遅い)して10時40分頃友達と連れ添い大学の敷地内の見晴らしの良い駐車場へと向いました。あいにく空は曇り空、時 折太陽が雲の隙間から顔を覗かせますが、こういった観測には最悪のコンディションと言えるでしょう。一番綺麗に太陽と月が重なるのが11時20分くらいと 聞いていたのですが、ふと空を見上げるともう既に太陽が欠けていました。何か不思議な感じがしますよね。何時も月が満ち欠けするのは何気なく見ているけ ど、太陽が欠けるなんて普段は考えもしない。というか太陽は眩しいから直接見た事も殆どない。それが、ふと気を付けて見上げてみると太陽が欠けているんで すから...。「わ、すごい」なんて思わず声を出しながら観測会場(と言っても単なる駐車場の横のちょっと盛り上がった芝生の上)へと向いました。さて芝 生に到着してみると、やっぱり同じような事を考える人は結構いるもので、最初は人もまばらだったのに、11時を過ぎる頃には結構な賑わいを見せるように なっていました。地面に寝転がって静かに見つめる人もいれば、団体で大騒ぎしながら見ている人もいる。まあ、こんな雰囲気別におかしくはないのですが、何 がおかしいかって殆どの人が「皆既日食専用サングラス」というものを携えている事でした。このサングラスはいわゆる小学生用の雑誌とかに昔付録として付い ていた3D眼鏡を想像してもらえれば良いと思います。つまり紙で出来た薄っぺらいお世辞にも格好良くは見えないサングラスです。これをほぼ全員がかけて太 陽をぼーっと見てるんですから、ちょっと考えるとお間抜けな光景です。だって現に日食には興味の無い通りすがりの人は笑いながらこっちを見てましたし、中 にはその怪しげなサングラス集団をカメラで取り始める人もいる始末。僕なんかもこの写真を一般公開されてしまったら、もうお婿には行けません。。。

さて、肝心の皆既日食の方はどうだったかというとやっぱり天気が災いしました。時折思い付いたように綺麗に顔をのぞかせてはくれるものの、 殆どは雲の間に隠れてしまって綺麗には見えませんでした。でも一番太陽と月が重なる時間帯にはあたりが少し暗くなって幻想的な雰囲気でした。これで晴れて さえいればねえ...残念です。

今回の皆既日食、もう大騒ぎで中にはその為にわざわざツアーで皆既日食がよく見える土地へ出かけていく人もいました。自分の家に帰ってテレ ビでその光景を見たのですが、コーンウォールなんかはもう人が沢山!!でもせっかくなのにこれだけ曇ってしまっていたら、感動も薄れてしまうでしょうね。 ただ驚いたことには、やっぱりテレビで見ると綺麗にダイアモンドリングが出来ていたし、コーンウォールなんかは綺麗に太陽と月が重なるので、まさに夜と見 間違えるくらいに辺りが真っ暗になっていました。やっぱり自然の力って凄いと同時に美しいですね。これからはこういう◯◯年に1度!!という大切な時はき ちんと見るようにしようと痛感した日でした。でも個人的には何かにつけて大騒ぎするイギリス人の方が面白かったです。だって、よく日本人は何でもかんでも 大騒ぎしてお祭りにしたがるって言いますけど、そんな事言ってたらイギリスはどうなるんだろう。今回の皆既日食も80年に1度って騒いでいたけど、実は再 来年にはどこか他の地域で見られるそうですし..。何かイギリス人って大袈裟です。

8月5日『最後の見送り』

この先、まだまだ沢山の見送りがあるでしょうけど、今日はとりあえず一番仲の良かったシンガポール人のBを見送る日でした。最後という事で2人でタウン・ センターに行き、彼のお土産ショッピングにずーっと付き合い夕方に映画"Austin Powers"を見てきました。結局最後だと言うのに特別な事は何もしませんでしたね。でもまあこういう普通の日常を送ってから見送るっていうのもなかな か良いもだなと思います。そして午後8時頃に大学の部屋に帰ってくると別の友達からのメッセージが挟んであり「夕食の準備は出来ています」との事。そこで 早速友達のフラットに出かけ夕食を御馳走になる事になりました。そして雑談をしながらの夕食。その後は、もちろん御約束で大学のバーに行きプールをしよう という事になりました。Bとは仲は良かったものの、学期中はお互いに忙しくてなかなか遊ぶことが出来ませんでした。それがここにきてお互いに時間があると いう事で急に毎日のように遊ぶようになりました。と言っても何か特別の事をする訳ではなくて、毎日同じような事の繰り返し。でも何だか居心地が良いんです よね。改めて彼と知り合った事に感謝しました。Bは早朝の4時にヒースロー空港行きのバスに乗るため、前日に部屋の鍵をAccomodation Officeに返却していました。という事はもう既に居場所が無いので、僕の部屋に荷物を全て置いてそのまま寝ずに旅立つ予定にしていたのですが、最後の 日という事で夜中にどこかに出かけて行きました。その間、急に珍しく雨が降り出し雷が鳴り始めました。もちろんそんな事を予想できるはずもないBは案の 定、びしょ濡れになって帰ってきました。Bは自分で「ああ、空が僕の為に泣いてくれている」なんて言っていましたが、しっかり僕は突っ込んでおきました。 結局最後の最後まで2人でしょうもない話ばかり。Bは時折感傷的になったりしていましたが、僕はこういう雰囲気が苦手なので何とかふざけた方向へ持ってい こう持っていこうとしていました。そんな中、普段はとってもお茶目なBが真面目な顔をして「実は僕は雷が恐いんだ」と言い始めました。彼によると、

「前にも話した事があると思うけど、僕は兵役についていた事がある。軍隊はよくジャングルとかで 訓練をするんだけど、その時に今みたいに大雨が降って雷が落ちることがあるんだ。もちろん僕は生きているから被害には合ってないんだけど、何人かの人々が訓練中に犠牲になってしまった。だから、今でも雷が鳴ると怯えてしまうんだ」

との事でした。僕はいろんな国があり、それぞれの事情があるんだなあという事を改めて感じると同時に、普段はふざけた事ばかり言っているB がこのように真面目な話をしてくれた事がちょっと嬉しくもありました。ちょっと時間にルーズだけどとっても心が優しくてお茶面なB。このような友達が出来 ただけでもイギリスに来た甲斐があったというものです。

さてそんな真面目な雰囲気も束の間、またすぐにお互い変な話ばかりをしている内に出発の時刻がやってきました。最後に、

B「論文がんばって!!」 Ozawa「うん。今度は日本、シンガポール、イギリスのどこかで会おう!!」

と言い合ってお別れしました。こういう雰囲気は苦手でいつも素っ気無くしてしまうのですが、この時もそうでした。そしてBもちょっと照れくさそうに手を振っていました。まあ、男同士。こんなもんで良いのかも知れません。それにまたきっと会えるでしょうし...。

ちょっと感傷的ですが、これからまた現実へと舞い戻ります。

8月4日『ここはイタリア??』

掲示板などにも書きましたが、ここ1週間は友達の見送りに追われていました。月曜日は日本人の学部生の女の子、火曜日はまた別の女の子、そして木曜日はシ ンガポール人のBと何と1週間の中で3連続。そのため論文で忙しいはずにも関わらず毎日のように遊びの予定が入っていました。大体のパターンは午後にバス に乗ってタウン・センターに出ていき、食事をしたり映画を見たりとのんびりと散策。その後、大学に帰ってきて誰かの家で揃ってビールを飲みながら夕食。そ して夜10時前に大学のバーに出かけプールをしながらビールを飲む...。という感じです。最近は大分日が沈むのが早くなってきましたが、それでもサマー タイム。日中は日本とは比べ物にならない程長いです。だからこそこういう有意義な遊び方が出来るんでしょうね。

さてこのように遊びの予定が多くなり外に出る事が多くなって気付いたのは、至る所でイタリア人の子供がいるという事です。これは何故かというと、夏 休みの間イタリアから小学生~中学生くらいまでの子供達が短期でエセックス大学に英語を勉強(一応、建て前上は)しに来るのです。これは毎年恒例の事で僕 も知っていたのですが、問題なのは彼らの行動です。一体どういう教育を受けているのかはわかりませんが、彼らは生活する上でのルールを全く知らない。例え ば大学内のお店でお金を払う時、みんな列に並ぶのは常識なのですが、イタリア人の子供達はその列が目に入ってないかのように平気で割り込んでくる。そして 授業が午前中に終わって午後から彼らは集団でタウン・センターに出かけていくのですが、その時に同じバスに乗り合わせたら最後、目的地に到着するまで彼ら は大騒ぎするため、喧騒の中に巻き込まれてしまいげっそりするのです。この子供達が単独で行動しているなら何とか注意のしようもあります。けれども彼らは 絶対に集団行動。しかも質が悪い事には彼らは殆ど英語が話せない為、注意しても馬の耳に念仏状態なのです。そして集団で夜遊び...。と言っても大学は田 舎にあるので、彼らが遊ぶ所は必然的に大学内のバー。そしてお酒は飲めないので、プールをする台の周りにたかって普通2人でプレイする所を10数人で台を 囲んで遊んでいる。しかもここでもルールを守らないので、まさに無秩序状態。一応引率の先生もいる事はいるのですが、日本と違って夜は全くの放任状態。見 回りに来ても何も言おうとしない。そんなもんだから先生に隠れて煙草を吸う子供はいるし、人の迷惑考えずにはしゃぎ回る子はいるしで、もう本当にげっそり します。そんな中ショックだったのはまだ13、4の女の子で僕より背の低い子が僕のすぐ側を通った時、腰の位置が僕よりも断然上にあった事。日本人って寸 胴ですけど、こんな子供に負けてしまうとは...。

まあそれはともかく、彼らの行動には目の余る所はありますが、やっぱり子供。可愛らしい所もあります。この前僕とB、そして日本人の女の子 の3人でフリスビーを芝生の上でやっていた時、いきなり1人のイタリア人の男の子が近付いてきました。何かと思えば、「一緒にやらせてくれないか??」と 辿々しく一言。「何だ、可愛い所もあるやん。」と思いつつ、一緒に遊びました。ただ途中でいきなり一服し始めたのには閉口。そしてその彼が「1本いる か??」と僕に聞いてきて、それに注意せずに「あ、ありがと」ともらった僕にはもっと閉口。まあ、ちょっとしたルールは全然守ろうとはしませんが、いざ一 緒になってみるととってもフレンドリーで可愛らしいなと思った出来事でした。

この毎年恒例のイタリア人の子供の受け入れには学生の間から苦情が相次いでいます。けれどもその分、エセックス大学に莫大なお金を落としていってくれるのも事実。一体、この先どうなるんでしょうかねえ。

7月28日『別れ、そして別れ』

よく出会いがあれば別れがあり、別れがあった後には出会いがあるなんて言いますよね。今僕のいる大学でも丁度今は学生の入れ替えの時期です。学部生は6月 初旬に学期が終わり、夏休みはほぼ全員が自分の故郷へと帰っていきます。そしてキャンパスに残されるのは論文に苦しむ大学院生(特にマスター、9月に論文 が締めきりなので)、そして予備コースへと入学してきた新しい留学生達だけになる訳です。学期中はあまりにも人が多くて嫌になる事もあるのですが、ここま で人が少ないのも少し寂しい気がします。僕のいるフラットでも僕が帰ってくるのと入れ替えにアメリカ人のN(約2ヶ月の短期滞在だった)が仕事を終えてア メリカへ、そしてフィンランド人のMは自分の国へ骨休めに帰っていってしまいました。残されたのは僕と新しく入ってきたカップル。このカップルは僕が日本 に帰っている間に入ってきたので殆ど面識がありません。しかも人見知りをするようで、全然話しかけてこようとせず、2人の世界に浸りきってしまっていま す。これから残り2ヶ月間ちょっと孤独な戦いになりそうです。

これは僕が特殊なのかもしれませんが、イギリスに来てからの知り合いは大学院生よりも学部生が多くの割合を占めていました。というのも大学院生同士 でも気の合いそうな人がいる事はいるのですが、やはり勉強がメインになってしまってなかなかお互いのプライベートな時間を削ってまで会う余裕が無かったの です。その点、学部生の人達はまだ余裕があって(と言っても実質的には大学院生と同じかそれ以上に忙しいのですが)、パーティーに誘ってもらったりプール をしに行ったりして交流がありました。けれども学部生のほぼ全員は7月の中旬くらいまでに母国に帰ってしまったので、ちょっと寂しい物があります。大学院 生の中でも交流のある人はいますが、あまりそこまで気が合わない人なので....。大学院生の中で一番よく食事を一緒にしたり町に出かけたりしているアラ ビア人のRはとても良い人なのですが、宗教上の問題でアルコールが全くダメなのです。これはお酒好き(お酒というよりはその場の雰囲気)が好きな僕にとっ ては大きなネックなんですよねえ。昼間の健全な付き合いはできても、夜ふと思い立った時に「飲みに行こう!!」って誘えないですから。彼以外にも交流のあ る人はいますが、残りの人達の9割以上は女性。人によってはハーレム状態で良いじゃないか、と思うかもしれませんが、実際そのハーレム状態の真っただ中に いる本人にとってはそんなに快適な物じゃありません。やっぱりいろいろと気を使いますし、多くの女性が好むウィンドウ・ショッピングなどには全然興味が無 いですしね。基本的な自由時間の使い方が異なるので、やっぱり男友達といる方が楽と言えば楽です。この1年間友達に、「ああ、男の友達が欲しい!!」と訴 え続けてきましたが、結局事態はそんなに改善されないままにここまで来てしまいました。ここまで来たらもう諦めて勉強に集中する事にしましょう。

そんな事を漠然と考えながらここ1週間位過ごしてきたのですが、今日思いがけない訪問者がありました。それは学部生のシンガポール人の男の 子Bです。彼とはちょっとした切っ掛けで知り合ったのですが、いわゆる"nice guy"という言葉がそのまま当てはまるような人です。気は優しくて力持ち、いやいやお酒も飲める。映画やプールが好きという共通点もあり、お互い忙しい ながらも暇を見つけては遊んでいたのです。ところが一時帰国から帰ってきた時に彼からメッセージが届いていて「7月23日までしかイギリスにいない」とあ りました。そこでてっきり帰ってしまったと思い込んで、連絡を取らずじまいだったのですが、今日いきなり訪問者を告げるブザーが鳴りました。僕はちょうど その時夜寝をしていたもので無視しようと思ったのですが、あまりにもしつこく鳴るので根負けして玄関に不機嫌な顔をしながら行きました。そうすると、そこ ににこにこしながらBが立っていたのです。彼曰く「部屋の電気が付いていたから寄ってみた」との事。正直言って嬉しかったです。この先2ヶ月間、仲の良 かった友達とはもう会えないだろうと思ってましたしね。そこで急きょ、夜寝を中断してバーへビールを飲みつつプールをしに行く事になりました。彼が来てく れた時間が夜の10時、そしてバーが閉まる時間が夜の11時という事で時間はあまり無かったのですが、聞く所によると彼も来週にはシンガポールへ帰るらし いので、残り少ない時間を大切にしようと思ったのです。わずか1時間あまりでしたが、ここ1週間位殆ど外出していなかったので良い息抜きになりました。そ してせっかくなので彼がシンガポールに帰ってしまう前に僕が日本料理を御馳走する事にしました。何て友達思いのOzawaでしょう!!まあ、数多い友達の 中でも彼とは結構これから先も良い友達でいれそうな気がするので、こういう関係は大切にしたいなと思います。

さて、今日は別れ続きで沈んでいる時に思いがけず嬉しい訪問者がありましたが、これから先、何か新しい出会いはあるのでしょうか。。。

6月23日『新発見』

掲示板にも書きましたが、今日Warwick大学に在籍する友達Nと、その友達Kが来てくれました。Kさんとは直接知り合いでは無かったのですが、Kさん 自身エセックス大学に興味があり、僕がHPを持っている事をNがKさんに教えてくれたらしいんです。そしてKさんが僕にメールをくれた事が以前ありまし た。今回僕が一時帰国する前にNがエセックスを訪れる事になり、丁度エセックスに興味のあるKさんにとっても都合が良いという事でNとKさんが2人でエ セックスを訪れてくれたのでした。

午後1時30分に大学から近いColchesterの駅に到着するという事で、バスで迎えに行き御対面。Nとも久し振り、Kさんは初対面という事で 少し不思議な感じがしました(僕は結構人見知りしてしまうので)。けれどもお互い自己紹介をし(何かお見合いみたい)、Nとも近況報告を簡単に済ませバス に乗り込み、2人が行ってみたいと言っていたTown Centreへとまず向いました。町並みを見た2人の感想はColchesterは思ったよりも都会で、Warwickよりイギリスらしい雰囲気が漂って いる町だという事でした。以前、今回とは逆のパターンでNを訪ねてWarwickへと行った事があるんですが、その時は僕がWarwickの町並みは Colchesterより断然良いと思ったんですけどね。やっぱり、旅行先では全てが新鮮で良く見えてしまうんでしょうか。3人で「隣の芝生が青く見える とはこの事だ」と言いました。まあ、一応Colchesterはイギリスで一番歴史の古い町らしいです。その分、他の町とはまたひと味違った雰囲気がある のは確かなんですけど、一体どうなんでしょうか..。とりあえず、3人とも昼食を取っていなかったという事で、僕がColchesterで行った事のある 数少ないレストランの中の1つ、フランス料理のレストランへと2人を案内しました。以前に来た時は値段も手頃で店員の愛想も良かったので、この店を選んだ のですが、これが大失敗。昼時を過ぎて店員の数が減ってしまったせいか(そうは見えなかったけど)、だらけてしまっていたせいか注文しても全然料理が届か ないんです。みんな昼御飯を食べてなくてお腹は減っているし、店員は全く気が付かないフリしているし..。もうイライラのし通し..。1時間弱くらい待っ て、遂にNが「もう大分前に注文したんですけど...」と文句を言うと、「もうすぐ来ますので」との返事。文句を言った甲斐があってか、それから5分程し て料理がようやく来ました。でも注文したのは一体なんだったと思います??たかが、サンドイッチなんです...。そんなに時間かかりませんよねえ、サンド イッチ作るのに。たかが、サンドイッチ、されどサンドイッチ、あなどれません。絶対、あれは作るのを忘れたとしか考えられない。まあ、長居したお陰でいろ いろな話が出来たのは面白かったですけどね。

いきなり出鼻をくじかれ、ツアーガイド失格の烙印を押されない為にもがんばろうと言う事で、次はお城に行きました。このお城は相当古く、み なさんが想像するような優雅なお城と言うよりは歴史を感じさせるお城です。何せ、Roman人の頃に建てられた物ですから(って何時頃だろう...)。こ のお城に来るのは僕自身3度めくらいなのですが、今回初めてお城の中が博物館みたいになっている事を知りました。情けない..。そこの入場料は高かったの で諦め、とりあえずお城の周りを歩いてみる事にしたのですが、そこでまた新発見。何と、お城の背後に公園があったのです!!しかも花が綺麗に咲き誇り、少 し遠くには池が見渡せるような結構大きな公園が..。これにはびっくりしました。一体僕は今まで何を見てきたんでしょうね。でも今まで観光するような気分 にならなかったからしょうがないのかも。それにしてもちょっとひどすぎるって感じでしたね。もうこの時点でツアーガイドは失格。自らツアーの参加者の1員 と化してしまいました。

昼食に予想外の時間を割いたため、お城を見た後にウィンドウ・ショッピングをしているとすぐに夕方。とりあえずはエセックス大学を見る事も 目的の1つだったので、バスに乗って大学へと向いました。そこで取りあえずキャンパス内をちょこっとだけ歩いて、いきなり旅行のメイン・イベントは終わっ てしまいましたのでした(それが主目的やったんちゃうんかい!!)。これぞまさに「船頭のいない船は進まない」って奴でしょうか。しかしまだまだこれから です。夜には近くの村へ川沿いの道を散歩がてらに歩き、パブで夕食を取るという計画が待っていたのです。「フラットメイトと仲良くしよう作戦」を未だに決 行中のOzawa、アメリカ人のフラットメイトも誘って(フィンランド人のフラットメイトはジムに出かけてしまっていなかった)4人で散歩に出かけまし た。日本人の友達Mがその村にいるので、その子ともパブで合流する事にして...。この近くの村へと続く道、最近(これまた最近かい!!)友達に案内して もらって初めて歩いたのですが、とっても綺麗で感動したのです。それをNとKにも見せてあげたいと思ったもので...。ところがここでまた落とし穴。何と 夕方になって急に天候が悪くなってどう考えても散歩日和ではなかったのです。でも今更、計画を変更する事も出来ない自称ツアーガイドのOzawa。無理矢 理散歩を強行したのですが、天気が悪い日にこの道を歩いてみると、何とも薄気味悪い道へと変わり果てていました。ああ、失敗したなあと思っても後の祭り。 とりあえずは黙々と、3、40分の道のりを歩き目的の村へと到着しました。そこでパブを探し辿り着くと、もうすでに村在住のMは来ていました。

パブでの夕食はまずまずだったんじゃないでしょうか。みんなでお酒を飲み夕食を食べつつ楽しめました。途中で帰ると言っていたフラットメイ トのアメリカ人も最後までいてくれたしね。何とか最後は面目躍如で切り抜けましたとさ。帰りは暗くなっていたし疲れていたのでバスで帰りました。寮に辿り 着くと結構みんな疲れ果てていたので、シャワーを各々浴びてすぐに就寝してしまいました。実は夜中にちょっとした面白い事件もあったのですが、それは3人 だけの秘密という事で...。次の日、疲れていたにも関わらず2人は朝8時に起床してWarwickへと帰って行きました。Warwickと Colchesterは片道3時間以上かかる行程ですからねえ。お二人ともお疲れ様でした。

今回は一応接待役だったのですが、何か自分まで思いきり楽しんでしまっていたような気がします。初対面だったKさんも面白い人だったし、2 人が来てくれたお陰で今まで知らなかったエセックスの1面も見る事が出来ましたしね。何だか、今まで見ている風景は全く同じなのですが、こうしてお客さん が来てくれて一緒に歩いていると、何だか全く別の物を見ているような気がして新鮮です。イギリス滞在も残り少ないというのもあり、最近イギリスの風景が眩 しく感じられて仕方がありません。やっぱりイギリスに来て良かったなあと思った1日でした。お疲れさま、そしてありがとね、N、K!!

追伸:夜に散歩して村へ行ったのは良いのですが、実はその村の一番の見どころ、川沿いのパブへ行くのを忘れてしまいました(と言うよりその 時は知らなかった)。2人が帰った日にまた友達と行ってそこへ連れて行ってもらい、「わあ、こんな所があったんだ。綺麗!!」と言うと、「何言ってるの。 ここが一番の見所なのよ。」と言われてしまいました。ああ、ごめんよー、N、K。やっぱツアーガイド失格だわ。

6月21日『クラッシックは世界を救う!!』

掲示板でも予告していたので知っている人は知っているかもしれませんが、今日はロンドンはロイヤル・フェスティバル・ホールで行なわれた小沢征爾指揮、 ウィーン・フィルのコンサートに行ってきました。実は知る人ぞ知るのですが、僕は中学・高校と吹奏楽部、大学ではオーケストラに所属していたアーティスト なのです!!(誰も言ってくれないだろうから言っておきますが)でも普通はこんなに長く音楽をやっているとクラッシック音楽に興味を持ち詳しくなるのです が、僕は全くのド素人状態(謙遜は全く無し)。クラッシック音楽も普段全然聞かないし、演奏会にも殆ど行った事がありませんでした。だって、眠たくなりま すよねえ、クラッシックって。では何故今回行ったかと言うと、

(1)僕でも知っている小沢征爾、ウィーン・フィルという世界でも最高級の組み合わせだった (2)以前からイギリスらしい歴史のあるホールに行ってみたかった (3)日本ではこのレベルだと15000円~20000円するのに、ここでは2000円から鑑賞できた

という理由からでした。一番安い席でも良かったのですが、このイギリス期間滞在中最初で最後のクラッシックコンサートだろうと思い、ちょっと頑張って中程の値段である6000円の席を購入していました。

その日は午前中にゼミがあったので殆ど寝ないまま、ロンドン行きの電車に。そして友達と一緒にちょっと優雅なイタリア料理(?多分)を食べ て、ウィンドウ・ショッピング(僕はあんまり好きじゃないけど、女性がいるとやっぱりね)をして時間を潰し目的地であるロイヤル・フェスティバル・ホール へと向いました。ここは僕が予想していたよりも新しい建物でちょっとがっかりしましたが、ロケーションはばっちり。テムズ川のすぐ畔に建っていて何とバッ クにはあのビッグ・ベンが見えます。う~ん、イギリス。そして中に入るとクロークやイギリスにはお決まりのバーがあったので、御約束通り「戦の前の一杯」 という事でギネスを半パイントだけ頂きました。それにしても小沢征爾指揮という事なのでしょうが、日本人が本当に沢山来ていました。少なくとも全観客の 1/3、多ければ半分くらいはいたのではないでしょうか。こんなに多くの日本人を見たのはイギリスに来て以来でちょっと驚くやら懐かしいやら..。そんな こんなでビールを飲んで良い気持ちになっている所で開演時間(午後7時30分)が来たのでホールの中へと入りました。ホールに入るとやはりちょっと近代的 な造り。もうすこし歴史を感じさせるホールを想像していたのでちょっとがっかりしましたが、その造りはやっぱり日本ではなかなかお目にかかれないような感 じです。やっぱりイギリスはスペースを無駄と言える程生かしているので解放感があるんですよね。席も少しは高いお金を払った甲斐があってか、近すぎず遠す ぎず舞台のセンターに近い所でした。

さて、いよいよ開演です。楽団員が入ってきてチューニングを始めます。そして、指揮者小沢征爾の登場!!はっきり言ってミーハーになっちゃ いました。今までテレビでしか見た事の無かった小沢征爾さんがそこにいるのですから。普段はあんまり感情を表さないと言われる僕も何だか興奮してしまい、 「わあ、本物だぁ、すげえ」と思わず呟いてしまいました。

(と、ここで演奏の詳細を書いても良いのですが、このHPの主旨に外れるし、自分があまり詳しく無いという事もあって省略します)

僕自身は少ないながらも何度かクラッシックコンサートに行って、自分自身も何度か舞台に立っているので、普通だったのですが、一緒に来ていた友達が不思議に思ったらしい事を2つ程挙げますと、

・楽章の合間に少し間があるのですが、その時に観客がみんなこぞって咳をし初めて大合唱になる ・演奏が終わって拍手をする時に、指揮者が何度も出たり引っ込んだり、楽団員を立たせたりしている

らしいです。なるほどね。最初は僕も意識し始めたら何かおかしくなっちゃいました。クラッシックの曲の途中には普通のポップスと違って結構 静寂があるんです。そこも大事な曲の一部。だからしーんとしている時に誰かが咳をしちゃうと結構台無しになってしまうんです。そういう意味では観客も楽団 員の1員となって音楽を作り上げているみたいな感じですね(おお、我ながら良い表現だ)。でもそれを意識して聞いていると、ちょっと笑えます。次に2番目 は指揮者は演奏が終わったら引っ込むのは当然なのですが、観客のルールという所でしょうか。良い演奏をしたと誉めたたえる為に、1度指揮者が引っ込んでも ずーっと拍手をし続けるんです。それに応える形で指揮者も出てきて挨拶をする訳です。楽団員を立たせるのは、「僕だけの力で演奏が出来たじゃない、みんな が演奏してくれたからだ」という気持ちを示す為です(本当か??)。だから楽団員が指揮者のパフォーマンスを誉めたたえる時には、指揮者が楽団員を立たせ ようとしても、わざと立たずに「いや、君が良かったからここまで良い演奏ができたんだ」という気持ちを示す場合もあります。

まあ、これ以上僕の無知をひけらかすのは止めておいて(僕の知り合いで専門知識をきちんと持った人が覗いている可能性もあるので)、演奏は 今一歩という所でした。本当に良い演奏ならば、みなさん御存じスタンディング・オベーションが起きる(僕もその中に初めていた時は感動した)のですが、今 回のコンサートでは立って拍手をする人はまばら。僕も立って拍手しようという気持ちまではいきませんでした。そこは残念でしたかね。だから僕はその間上京 したての少年のように、カメラをバシバシ撮りまくってました(普通、カメラは不可の所が多いのですが、今回は許可されていた)。

残念な所は多々あったものの、良い経験をしました。最近イギリスを去る日が近付いている事もあり、感傷的になる事が時折あります。今回も演 奏の途中の休憩の時にテラスに出て、日が沈みかけオレンジ色に輝くテムズ川の流れ、そしてビッグ・ベンを眺めながら、「ああ、やっぱりイギリスは良いな あ」と再確認しました。もちろん感傷的になるだけではなく、最後だからという事で日が暮れイルミネーションが輝いているビッグ・ベンを背景に写真まで撮っ ちゃいました。何てミーハーなんでしょう。でも最後だからね、自分の想い出の中だけではなく何か形に残しておきたかったんです。その内このHPにその時の 写真を載せられたら良いですねえ。とにもかくにも久し振りにクラッシックを聞くと心が和みます。気のせいか普段見ているイギリスの風景もとても平和で穏や かな物に見えました。

という事でちょっとした日帰り旅行。クラッシック音楽を聞いて心がとても和みましたが、やっぱり日帰り(というか半日帰り)のロンドン遠征は疲れました。帰ってからは爆睡してしまいました。ああ、明日から頑張らないと...。

6月12日『別れの季節』

エセックス大学には日本からの交換留学生が沢山来ています。今日はその人達が地獄の試験週間をようやく終えて近々日本に帰国するという事で、お別れパー ティーが行なわれました。普通に考えると大学院生である僕と学部生である彼女/彼らの接点は殆ど無いのですが、秋学期(98年10月)が始まる前に1ヶ月 間予備コースを受講していた時に知り合ったのです。それから本格的に学期が始まってからというものの、僕も勉強に追われるというか精神的に忙しい毎日、そ して彼女/彼らも忙しい毎日を送っていてなかなか会う機会はありませんでした。何しろこの1年間弱の間に全員が顔を合わせたのは1、2回くらいですから。 でもやっぱり一時は同じフラットを共有した仲間達。会わないなりにも時折思いついたように連絡を取り合い最後くらいはという事での開催となりました。「盛 大なパーティーにしよう」という事だったので”フラットメイトと仲良くしよう大作戦”を決行中の僕はアメリカ人のN(フィンランド人のNはその時ちょうど いなかった)、サウジアラビア人のRを誘ってパーティーへと向いました。

会場に到着すると既にそこには沢山の人が来ていました。同じフラットを共有して以来この1年間キャンパスの中で殆ど顔を合わせる事の無かった懐かし い顔、1ヶ月に1回くらいはキャンパス内で偶然会ってお茶を一緒に飲んだ顔など、など...。何だかノスタルジアとでも言うのでしょうか、何とも言えない 感情が沸き起こってきました。今思えば予備コースの1ヶ月間はイギリスに滞在中の中でも一番自由で気楽な楽しい時間でした。夕食時にはどこからともなくみ んな集まってきて毎日のように話をし、週末が近くなると顔を合わせたメンバーに声をかけて大学内のバーに飲みに行ったり..。酒の肴に恋愛の話をしたり、 時には恐い話をしたりして「ああ、どこの国の人でも同じような感情を抱いたりするんだなあ」と妙に嬉しかったものです。それが一旦学期が始まってしまうと 状況は一変しました。物理的な時間はきちんと管理をすれば作れるのですが、何よりも精神的には余裕が全然ありません。自然と仲良くしていたフラットメイト とも関係が疎遠になり、各々孤独な時間を過ごすようになっていたのでした。それにしても時間の経つのは早い。ついこの間夜暗くなりかけた頃に不安一杯で初 めてエセックス大学の寮に到着し、ドキドキしながら寮へと通じるドアを開けたのです。その時一番最初に聞こえてきたのが日本語でびっくりすると同時に正直 ちょっとほっとしたものでした。一番最初に出会って話をした日本人の女の子も来ていたので、「あの時一番最初に声をかけてくれて、テスコ(近くのスー パー)にも連れて行ってくれたよねえ。もうあれが1年近くも前の事だなんて信じられない」と言いました。そう、あれがもう1年近くも前の事なんで す....。時の経つのは恐ろしい程早い。

懐かしい顔が揃う中で談笑していると自然とリラックスできお酒もどんどん進みます。そしてパーティーが始まって1時間くらい経過した頃、シ ンガポール人のB、イタリア人のFがやってきました。この2人は僕の日本人の友達の紹介で知り合い、かつて1度だけパーティーをした仲です。普通1度だけ ならそこまで仲良くはならないのですが、その時に妙に意気投合しe-mailでやり取りをしたりキャンパス内で偶然顔を合わせると話し込んでいました。け れどもやっぱりお互いに忙しい身、結局また何時かパーティーをやろうやろうと言いつつ2回目のパーティーが結局最後の会になってしまったのでした。何だか 懐かしいと思うと同時に寂しい気持ちもしました。でもイタリア人のFは日本人女性と婚約していて来日する予定です。そしてシンガポール人のBは日本へは来 ませんが、シンガポールと言えばアジアの中の御近所。今度再会できるのが何時の事かはわかりませんが、4、5年以内にはまたどこかで再会しようと約束し合 いました。やっぱりこうやって苦しい生活の中でも意気投合して仲良くなった友達は掛け替えの無い財産です。頻繁にとはいかないまでもこれからもずっと連絡 を取り合って交流を続けて行きたいと思います。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。こちらのパーティーでは個人個人が好きな時に勝手に帰っていくので、人数が少なくなって きた所で後片付けをしお開きにする事となりました。ガンガン飲んで良い気持ちになっていた僕にとっては「まだ、これからだ!!」という感じでしたが、その 時点で既に午前3時を回っていましたからね。フラットメイトのN、サウジアラビア人のRは既に先に帰っていたので、ほろ酔いの中で1人帰り道を歩きながら 考えました。一体僕は1年間何をしてきたんだろうと。確かに勉強の面においては紆余曲折はあったにせよ、それなりに頑張って乗り越えてきました。けれども その分こういった遊びの部分を多いに犠牲にしてきたという感は否めません。このHPを開始した当初の『最近思う事』にヨーロッパ系の人は遊ぶ時は遊ぶ、勉 強する時は勉強するという時間の管理が上手でうらやましいと書きました。その時に僕もせっかく1年間という限られた時間なのだから、遊ぶ時は遊んで、勉強 もしっかりしようと心に誓ったものです。けれどもこうして今少し時間的にも精神的にも余裕が出てきて振り返ってみると、結局は勉強にばかり囚われてしまっ て遊ぶ時間を削ってしまっていたんです。何かせっかくなのに、勿体無いとしか言いようがありません。それを取り戻すかのように今学期に入ってからは友人か らの誘いも出来るだけ受け入れ、自分からも積極的に誘ったり遊びに行ったりするようにしているのですが、そうすると今度は勉強がやっぱり疎かになってしま う。なかなかこういった時間管理は難しいですね。留学の主目的の1つは大学院の学位を取って帰る事。もちろんそれが全てではありませんが、遊んでばかり 言って学位を取り損なってしまったのでは何の意味もありません。これからもう残り少ないですが、「よく遊びよく学べ」をモットーにやっていきたいです(こ うした時間管理をきちんと身につければ日本に帰っても役に立つと思いますし...)。

とにもかくにもここイギリスで知り合う事の出来た人達に感謝して、そしてこれからも末永く交流が続く事を祈りつつ...。

何だか小学生みたいな日記ですな。

6月10日『羊いっぱい』

今日は日本人4人で中華料理店に行きました。というのもメンバーの中の女性2人が最近誕生日を迎えたという事で、「じゃあ、今日は僕ともう1人のおごりで 中華料理でも!!」という話になったのでした。行き先はコルチェスタ-(僕のいる大学のある町)の駅から一駅のちょっとした外れにある"Fontana" と呼ばれる中華料理店で、イギリス人にも大人気のお店のようで週末は予約をしなければ入れない程だそうです。僕達が行ったのは平日でしたが、一応念のため に前日に予約しておきました。目的のお店がちょっとした町外れ(と言いつつ、コルチェスタ-自体が田舎なので、ちょっとしたと言ってもとてつもない)なの で、久し振りに電車に乗ったのですが、やっぱり電車は良いです!!コルチェスタ-の町をちょっと外れるとそこにはのどかな田園風景が延々と続きます。こう いうのが嫌いな人にはちょっと退屈な風景ですが、僕は自然大好きなので1人でちょっと興奮。窓の外に羊の群れが広がっているのを見て、「あっ、羊だ!!」 なんて叫んでました。ほんの10分足らずの時間でしたが、やっぱり電車は良いです。また近々乗りたいなと思いました。遊園地のジェットコースターじゃない ですけどね。

さて何時もはボケボケしている僕を始めとした一行が目的の駅に到着し、そこからは約20分間の徒歩でした。やっぱりちょっと町を離れるととてつもな い田舎です。周りには殆ど家が無く、360度全てがイギリス独特の緑の穏やかな丘陵地帯に囲まれています。僕は不思議な事に都会に行くと元気が無くなるの ですが、こういった自然がいっぱいの所に来ると妙に元気になります(知っている人は知っている)。この時も例にもれず、足取りも軽く1人わくわくしながら 歩いていると、みんなが「Ozawa、楽しんでるでしょ。いつもと全然違うよ。」なんて突っ込まれました。こんな場所だと歩くのは全然苦になりません。 20分もあっという間に過ぎ去り目的のお店に到着しました。ちゃんとレディース・ファーストの原則を守りつつ、ちゃんとドアを開けて先に女性をお店の中に 招き入れたりしながら、「ああ、少しはジェントルマンになったかな」と自己満足の世界。お店の中に入ると、イギリス風にアレンジされたちょっとお洒落な洋 風レストランみたいな感じです。しかも人気があるという噂は本当のようで、平日の夜7時だというのに(しかもとてつもない田舎にあるのに)お店の中はもう 2、3組のお客が来て食事を楽しんでいました。負けじと僕達もテーブルに座り(もちろん、この時もレディース・ファーストね)、上から2番目の良いコース と、お勧めのワインを頼む事にしました。はっきり言って安い店ではありません。でもとても雰囲気は良いのです。もちろんお店の内装もあるのですが、何と 言っても店員の態度が素晴しかった!!常に気を配ってくれて、何とも人当たりの良い世間話の好きな気さくな人ばかりでした。やっぱりお店の店員の態度は重 要、特にイギリスでは結構気分屋の店員が多いだけにこういう人達に会うと何だかとても安心します(ここの店員はみんなアジア系の人達)。

そしていよいよ料理の登場です。これが本当にちょっとしたフランス料理に負けない豪華さです。スターターから始まって、北京ダック、メイ ン...と続くのですが、どれもみんな美味しい!!そして何よりも驚いたのはその量の多さ。みんなこの夕食に備えて昼食は抜いたり抑えたりしていた(貧乏 性だ、僕なんかは朝から御飯を抜いていた)のですが、それでも次から次へと出てくる料理には閉口。結局最後は「持って帰りたいんですが...」なんて店員 に頼む始末でした。いやあ、大満足。さすが世界中どこでも認知されている中華料理だけありますね。でもやっぱり中華料理は日本で食べる物とはひと味違いま す。どことなくイギリス人の味覚に合うようにアレンジされています。こういう中華料理の奥の深さ、柔軟さがここまで中華料理が世界中で受け入れられている 理由の1つかも知れませんね。正直言って僕は日本風にアレンジされた中華料理がやっぱり好きですけど。そうこうして大満足の食事を終えて帰ろうとすると、 そこでまたちょっとした気配りに出会いました。料理を持ってきてくれる店員達と、いろいろと食事中に楽しく雑談をしていた時に、「僕達はエセックスの学生 で、コルチェスタ-から出てきたんだ」という話をしていたんです。すると、わざわざコルチェスターから出てきてくれたんだし、駅までは遠いのでお店のオー ナーが駅まで送ってくれるというのです。いやあ、心憎いですね。でもこうしたちょっとした気配りでお客さんが「良い店だった。次も絶対に来よう」なんて思 うもの。"Fontana"がここまで人気のお店なのは味だけではないという事を実感しました。送ってくれるのは良いのですが、最終の電車まではもうあま り時間がありません。オーナーもなんとか間に合うようにすると言う事で、勘定をしてそそくさとお店を出てオーナーの所有する車へと向かいました。

さて、そこで僕達が目にした車は何だと思いますか。な、なんと黄色のBMW!!すごい!!僕は車に詳しく無いので車種まではわかりません が、BMWと言えばお高い車だって事くらいはわかります。しかもイギリスでは結構おんぼろの車が走っている事が多いので、このような高級車は目立ちます。 しかも黄色なんて....(ノー・コメント)。驚きながら車に乗り込むと本皮のシート、まだ新品でしょうか、ほのかに皮の匂いが漂ってきます。そして何よ りも早いね!!日本で僕が在籍している大学に車好きの教官がいて、BMWに乗っているのですが、その先生曰く「BMWは自分の体と一体感がある」(ちょっ とニュアンスは違ったかも)との事でしたが、まさにその通り。オーナーも間に合わせようとして急いでいるのですが、その加速は凄いの一言。そして、前に車 がいて停まる時にもすーっと停まる。すごいなあ、やっぱり高い車は違う。日本では軽自動車の僕には考えられない世界です。そしてやっぱりあのお店は儲かっ ているんだなあと改めて実感しました。さすがに高級車!!(関係無いけど)あっという間に駅につきました。そしてオーナーが駅のプラットフォームまで送っ てくれてそこにいた人達に聞くと、どうやらまだ電車は来ていないようで一安心。それを確認したオーナーは「また、来てね」と言い残して、颯爽と去って行き ました。格好良いなあ、僕にあの格好良さが身に付く日は何時の事か(まあ、来ないと思うけど)。

食事も満足、お店の人の暖かさにも満足、そして緑一杯の自然にも満足。しばらくキャンパスから出ていなかった僕にとって出費は痛かったもの の、とても楽しい1日でした。女性陣のお2人、誕生日おめでとう。そして何よりも2人の誕生日であるという事をすっかり忘れて、一番はしゃいで楽しみま くっていた自分に乾杯!!

6月6日『1人入っただけで』

今日は1ヶ月に1度のアジア食のお店が来る日でした。イギリスでも最近はアジア系の食事が注目されていて、ある程度の食材は近くのスーパーで手に入る事は 入ります。でも、生粋のアジア系の食材なんかはロンドンに住んでいるならまだしも、僕が住んでいるような田舎ではなかなか手に入りません。と言う事でこの ような機会は僕にとって(というかアジア系の人々にとって)とても貴重な物であると言えます。どこからやって来るのかは知りませんが、毎月第1日曜日真っ 白の大きなバンが車一杯にアジア系(韓国人の人がやっているので、韓国系の食材が中心ですが)の食材を載せて大学の駐車場にやってきます。その時ばかりは 大学中のアジア系の学生が集まってきて長い列を作るので、早く行かなければすぐに人気商品は無くなってしまうんですよね。今回は試験期間中という事もあっ たのでしょうか。ちょっと遅れて行ったにも関わらず、並ぶ事も無くお目当ての食材(キムチ、日本米もどき、韓国ラーメン)を買う事が出来ました。

希望の物を沢山抱えて大満足で自分のフラットに帰ってくるとそこにフラットメイトのフィンランド人Mがいました。ここで話を脱線して僕のいるフラッ トメイトの御紹介。僕のフラットはバスルームは各部屋に付いていて台所だけを4人のフラットメイトで共有しています。その構成はつい最近まで僕、日本人の おじさん、フィンランド人、シンガポール人のカップルでした。ところが、日本人のおじさんが急に「僕はもう飽きた」と言ってフラットから出て行き、シンガ ポール人のカップルもいきなり何の連絡も無く行方不明。という事でしばらくはフィンランド人と僕の2人暮し状態だったのです。実は今までフラットメイトの 関係はあまり良くない物でした(ここで書くと長くなってしまうので省略しますが..。確か昔の日記に原因を書いたような気も)。と言う事で僕とフィンラン ド人の女の子Mとの関係もあまり良い物ではありませんでした。僕は挨拶をして何とか仲良くなろうとするのですが、とっても真面目で気分の波が激しい子なの で、なかなか上手く行かなかったのです。それが日本人のおじさんの後に新しいフラットメイトが入ってきてフラットの状況は一変しました。その新しいフラッ トメイトはアメリカ人の女の子Nです。7月末まで研究の為短期滞在をするという事らしいのですが、とてもアメリカンで気さくな女の子。姿を見ると必ず挨拶 をして話しかけてくれるとても良い子です。その子の影響でしょうか。Mの態度がいきなり変わったのです。まだNが入ってきて日は浅いのですが、いきなり意 気投合した様子。キッチンで長々と世間話をしたり、女性雑誌を読みながら談笑しています。ここまで半年以上Mとは一緒にいた訳ですが、こんなに明るく笑う 女の子だったとは知らなかった...。

という事で最近Mの機嫌はとっても良い様子。「今がフラットの人間関係を良い物にする絶好のチャンスだ」と思った僕はMに話しかけました。

Ozawa「ねえ、この大学にアジア系の食材を売りに来る店があるって知ってる?」 M「え??知らないわ。そんなのあるの?」 Ozawa「うん、月に1回、最初の日曜日に韓国人の人が売りに来るんだよ。今日が丁度その日なんだよ。」 M「あら、そうなの。私はいつもOzawaがアジア系の食材を使っているのを見て、一体どこで買ってきているんだろうと不思議に思っていたのよ。」 Ozawa「興味があるんなら、行ってみる??場所を教えてあげるよ。別に買わなくても良いんだし。」 M「そうね、行ってみようかしら」

こんな感じで会話をした後、僕はMを連れてその場所に連れて行ってあげました。そしてそのお店に入った時のMの嬉しそうな顔!!「わあ、す ごい。こんなお店があったのねえ」なんて目を輝かせながらいろいろな品物を興味深げに見ています。そこでわからない物に関しては僕が説明してあげて、Mは 幾つかの食材を買いました(確か、豆腐、韓国海苔、うどん、そばだったかな?)。とっても大満足のM、帰り際に、「店の中にはアジア系の人が多かったけ ど、他の人達は知らないのかしら。勿体無い。」なんてつぶやいていました。いやあ、Ozawa作戦大成功。そのお店に出かけたのは午後の事だったのです が、夜にまたまた台所で出会って「どうだった??買った物は?」と聞くと、「韓国海苔はとってもおいしくて、もう全部食べちゃった」なんてにこにこしなが ら言ってました。人間変われば変わる物ですねえ。やっぱりせっかく1つのフラットに住んでいるんだから、人間関係は円滑な方が良いです。これもアメリカ人 の女の子Nが僕達のフラットに入ってきてくれたお陰かな。Nもとっても話しやすい子です。ただ今度は女性2、男性1という逆ハーレム状態になってしまって いるので、僕がとっと居心地が悪くなりつつあるというのも事実なんですけどね。でも何とかがんばって3人で仲良くなれるように努力してます。日本人には慣 れない一つ屋根の下での男女混同の共同生活。でもやっぱり少しは努力をして明るいフラットにしたいですね(フラットによっては、人間関係が最悪になってし まっている所も多い)。これからもず~~っとこのままでいけば良いなあと思った1日でした。でもMは気分屋だからなあ、どうだろう...。

後日談:後日、日本人だけ(僕を含めて3人)でちらし寿司を作った時、丁度キッチンにMとNがいたので、お裾分けしてあげました。その時のMの嬉しそうな顔...。まだまだ今の所は良い感じみたいです。

5月27日『きつい一言』

最近、本当に天気の良い日が続いていて、夏がもうすぐそこまで来ているのを感じます。何と言っても朝4時位から明るくなって夜10時位まで明るいというの は日本ではなかなか考えられません。そこでせっかくのイギリスの長い日中を楽しもうと何とか夜型生活から朝型生活へ移行しようと思うのですが、なかなか実 行できず依然として極度の夜型生活が続いています。何とかして普通の人と同じ生活をしたいのですが...。

毎週木曜日は自分の部屋のバスルームをクリーナーの人が午前11時頃に来て掃除してくれる日です。今日27日がその日に当たるのですが、極度の夜型 生活にどっぷりとつかっていたという事もあり、自分の部屋の前のドアに「今日は掃除してくれなくて良いから」とメッセージを書いて貼っておきました。そし て午後までの睡眠を楽しもうと眠りに落ちていたのですが、午前11時頃、何だか外が騒がしくなってきました。僕が住んでいる寮は4人でキッチンを共用して いるのですが、どうやら声はそこから聞こえてきます。しかもいつものような穏やかな様子ではなく、どうやら言い争いをしているような声が聞こえてくるので す。けれども眠気には勝てません。何とか布団を頭の上に被り声の主が早く立ち去ってくれるのを待ちました。でも20分、30分経っても依然として収まる気 配はありません。仕方が無くイライラしながら(寝起きは最高に悪い)ベッドから飛び出し、外の様子を伺う事にしました。すると、どうやら学生とクリーナー の間でもめているようです。どうやら学生はフラットの事で気に入らない事がある様子。それをクリーナーに文句を言い改善してくれるように求めているので す。「そういう事は他の場所でやってくれよ」なんて思いつつも聞き耳を立てます。クリーナーのおばちゃんは各々のフラットを担当していて、僕も毎日のよう に顔を合わせる人なのですが結構気立ての良さそうな人です。そのクリーナーに対して学生は何とも横柄な態度で詰め寄ります。「一体、どうしてくれるんだ。 ◯◯しろよ!!」みたいな感じで...。そこで手に負えないと感じたのでしょうか。クリーナーのおばちゃんは寮の全てを管轄する責任者に電話をして、その 学生の対応してくれるように頼んだみたいです。5分程経過して責任者は僕のフラットに到着しました。けれども当の本人である学生はもうその時には自分のフ ラットに一旦戻っていました。けれどもまだ煮えきれないらしく、今度は電話で文句を言う為に僕のフラットの共用の電話に電話してきました(いい加減にして 欲しいと僕は思っていたのですが)。しばらくは相手の言い分を電話ごしに聞いていたその責任者。あまりにも相手の態度が横柄なんでしょう、段々と腹を立て てきているのがわかります。「そんな命令口調で言わないで」と何度も電話の向こうの学生に向かって言っています。でも学生の態度は一向に改善されないので しょう(もちろん姿は見えないので推測だけですが)。とうとう、というか遂に責任者はキレました。そこで受話器に向かって一言、"I'm not YOUR woman!!!!!"そう強い口調で言うや否やガチャンと受話 器を置きました。その時僕は詳しい事態を把握していなかった(学生と大学の職員がもめているという程度)のですが、その言葉を聞いた時は爽快感がありまし たね。「よくやった」って感じで。日本語だったら「私はあんたの女じゃないのよ、命令しないで!!」みたいな感じになるのでしょうが、日本でどんなに相手 に横柄な態度で命令されたとしても、こんな事をきっぱり言える人は少ないですよね。もちろんイギリスでもそこまで頻繁には使われないでしょうし、この責任 者の女性も余程相手の態度に腹を立てていたから、こういう表現が出たのでしょうが、それにしても聞いている僕の方がすかっとしました。

事件は取りあえず収拾。その後、状況をよく把握していなかった僕は、そこにまだ1人残っていたクリーナーに「一体、何があったの??もめて いたみたいだけど..。」と聞いてみました。するとそのクリーナーは話し好きなので、堰を切ったように話し始めました。でも....言っている事が殆どわ からない....。イギリスには地方だけではなく、階級によっても訛りがあります。大学の先生や学生などが話している英語は綺麗でまだ理解できるのです が、このクリーナーの人が話す英語はまるで英語じゃ無いように聞こえてきます。5分くらい、そのクリーナーの説明(というか愚痴)を聞かされた後、「大変 だったね」と一言僕は言っただけでした。一体何を言っていたんだろう、彼女は。後日、クリーナーの話を全く理解できなかったという話をここで3年間学生を している人に話したら、「心配しなくても良いよ。私だって3年ここにいて、未だに殆ど彼女の英語を理解できないから」と言ってました。とは言ってもやっぱ りこういう訛りも聞き取れるようにならないとね。まだまだ修行が足りませぬ。それにしても格好良かったです、この一言。女性の方は横柄な態度を取られたら 是非使ってみましょう!!(と勧めておいて何かもめ事が起きても責任は取れません)。

5月15日『Milleniumで大騒ぎ』

夏学期に入ってからというものの、主な拘束時間はゼミしかありません。そのゼミの時間も学生の都合で決められるので、1週間に1回~1ヶ月に1回まで結構 自由に決められてしまいます。そんな中、せっかくお金を沢山払っている事だし、気がつくとのんびりしてしまう性格の僕は、なるべく週1回ゼミを指導教官に してもらうようにお願いしています。けれども、この学期はイギリス留学期間中で唯一、自分の時間を沢山使えてイギリスを満喫できる時間であり、勉強ばかり していても勿体無い。というこで、今回は1週間ゼミをお休みにさせてもらう事にして旅行をする事に決めました。今回の行き先はグリニッジ、そう、世界の標 準時を刻み続ける土地です。

金曜日の深夜まで続いたパーティーにも関わらず、旅行をするとなると何故か早く目が覚めるもの。これは小学校のときから変わっていません。何だかわ くわくして午前中にはきちんと目を覚まし(普通の人なら、当然ですが、僕にとっては...)、大学からバス、電車と乗り継いでロンドンに入ります。そして 今度はロンドンで地下鉄に乗り換え、ウェストミンスターへ。グリニッジへ行くにはどう考えても電車でそのまま入った方が早いのですが(約15分くらい)、 今回は敢えてウェストミンスターで降り、そこから遊覧船に乗る事にしたのでした。値段は片道6£、往復7£くらいでしたが、わざわざ往復を買ってもしょう がないだろうという事で、片道を購入し、いざ船へ。思ったよりも小さな船ですが、オープン・デッキで眺めは良さそうです。そして定刻を5分程過ぎた午後1 時35分に、船はウェストミンスターを後にしたのでした。

実はあんまり期待していなかったのですが、これが予想以上に綺麗。あいにくの空模様で、今1つ物足りなかった事は事実ですが、それでもやは りイギリスの歴史ある建物を左に、右にと眺めながら水上を走っていくのは快感です。またガイドさんのアナウンスもユーモア溢れるもので、肌寒さと時間を忘 れさせてくれます。道中、幾度となく橋の下を通るのですが、やはり普段は上からや横からしか見る事のできない橋を真下から眺めるのは感動ものでしたね。み んな所構わず美しい景色にカメラを向けていました。「う~~ん、これこそ正しいイギリスの休日の過ごし方だ!」なんて妙に感傷にふけりながら、ガイドさん の説明に耳を傾け景色を楽しんでいました。

ところが、そこには落とし穴が..。ガイドさんの説明が2、30分間で終わり、もう着くのかなあと思い降りる準備をしていた(他の乗客もそ う思い込んでいた)所、ガイドさんから「到着までにはあと、2、30分かかります」というアナウンスが..。そうなんです、前半はロンドンの中心近くとい う事で観光スポットが川沿いに沢山あるのですが、ロンドン郊外へ船が進んでいくに連れて、観光スポットは全く無くなり、普通の住宅地になってしまうので す。つまり、何の変哲もない風景が延々2、30分続くという訳です。そうなると、今までガイドさんの説明を聞きながらのんびりしていた気持ちはどこへや ら。今まで忘れていた寒さも急激にぶり返してきます。グリニッジに到着するまではもうブルブルと震えていて地獄を見ました。でもそんな中でもビールを悠々 と飲んでいる人がいたりする、何とも不思議な国、イギリスです。

さて、いよいよグリニッジに到着。まずは腹ごしらえという事で近くのパブへ入りました。けれどもランチの時間帯は過ぎているにも関わらず、 観光地のせいか、どこのパブも人でごった返しています。仕方なく、空いているパブに入った所、値段は高いし味もいまいち..。やっぱり、空いているからに はそれなりの理由があるものです。とりあえずお腹に詰め込んでまずはマーケットの散策に出かけました。グリニッジは天文台の他にも土、日曜日に開かれる マーケットで有名な街です。本当に街の至る所にマーケットが散在しています。ウィンドウ・ショッピングが嫌いな僕がこのようなマーケットに行った理由は、 実は占いでした。僕の知り合いに占い好きの人がいて、「グリニッジのマーケットにすごい占い師がいる」と言っていたのです。僕はそこまで興味がある訳では ないのですが、10~20£くらいだという事と、人生の中で1回くらいはそういう占いをやってみるのは面白いかも、という理由で占い師を探す為にマーケッ トに潜入したのです。けれども、健闘むなしく、占い師は発見できず..。今日はお休みなんだろうと勝手に決めつけ天文台へと向かいました(帰った後に、実 は僕が見落としていたマーケットに占い師がいたことが判明)。

天文台は小高い丘の上にあります。そこに辿り着くまでに大きな公園を横切るのですが、自然大好きの僕はそこでもう感動。ここまで大きい公園 は日本ではなかなかお目にかかれません。日本人って貧乏性なんですかね。どうもスペースがあると細々といろいろ作ってしまいがちですが、イギリスでは無駄 と思える程スペースを広く活用しています。そんな大きな公園を走り出したくなる衝動にかられながら、丘の上に到着。そこからはまたまた綺麗な眺望です。テ ムズ川を挟んで広がる町並み、そしてMillenium(千年祭)に備えて建築されているMillenium Domeが見えます。今まで活躍する事の少なかったカメラを取り出して、写真を沢山とりました(また機会があればHPに載せようと思います)。景色はとも かく、天文台の感想は、と言うと思ったよりも呆気無かったです。時間を正確に刻む為にコンピューター制御のデジタル時計があったり、いろいろな物が展示し てあったりはするんですけどね。子午線も一応引いてあるのですが、何か物足りない(と言いつつ、その上を嬉しそうに歩きましたけど)。でも今回の旅行の目 的はリフレッシュ。そして自然好きの僕にとっては沢山緑を見られたという事で大満足の旅でした。

帰りはロンドンにせっかく出てきたという事で、日本料理屋さんで天ぷら、お寿司を食べました。1回目に友達と言った時はイギリスに来て以来 の本格的な日本食という事で、大感動だったのですが、2回目ともなると感動も薄れてくるものです。今回はもちろんおいしいと感じたのですが、1回目程の感 動はありませんでした。でもとにもかくにも肉体的にも精神的にも満足して、エセックスへの電車に乗り現実の世界へと戻って行ったのでした。

今回の旅では、ガイドさんの話にもよく登場してきましたが、Milleniumがもうすぐそこまで来ているんだなという事を実感しました。 イギリスではこのMilleniumに備えて、いろいろなイベントが企画されて大騒ぎです。けれどもそこで思い出したのは、先日会ったアメリカでPh. Dをしているタイ人の話。「イギリスってMilleniumで大騒ぎしていてびっくりしちゃった。だって、アメリカではY2K問題(コンピューターが 2000年を迎えるにあたって、誤作動をしてしまう)の対策で大変だもの」。よく考えてみればそちらの方が大きな問題です。でもイギリス人は何かのんびり していて、Y2Kで大きな問題が起きて初めて慌て始めるような気がします。まあ、そんなのんびりした所がイギリスの良い所なんでしょうけど、本当に大丈夫 なの??と聞きたくなる今日この頃です。

5月14日『雨、雨』

今日は雨がずっと降り続いています。やっぱりこういう日は何だか気分まで陰鬱になってきます。それにしても何でイギリスの人は傘をささないんでしょうか。 天気がころころ変わるから一々出かける時に傘を携帯しないのでしょうが、今日みたいに大粒な雨が降っている日はさしても良いと思うのですが...。僕は今 日外に出た時に雨が降っていたので慌てて傘を部屋から探してさして行きましたが、傘をさしているのは僕かアジア系の人ばかり。何だか気恥ずかしいようなば からしいような気分になって、そっと鞄の中にしまいました。何と気弱な...。

今日、前の学期に出したエッセイが全て返ってきました。これで論文以外の提出物は全て点数がついて返ってきたという事になるのですが、学部で発行さ れる冊子の規則に基づけばどうやらこの時点でドロップ・アウトは無さそうです。ほっと一安心という所でしょうか。秋学期は自分が予想したよりも点数が悪く ショックを受けていましたが、今回は前回よりも軒並み点数が上がりました。やっぱりイギリスでのエッセイの書き方に慣れてきた結果なのでしょうか。実際、 秋学期に出したエッセイよりも今回のエッセイは全然労力を使っていないし、時間も2/3程度しか費やしていないのです(こんな事ではいけないのですが)。 それでも点数が上がったのにはやはり慣れがあるのでしょうかね。それともう1つの理由として考えられるのは今回のエッセイが予備知識をある程度持っている 分野が多かったという事です。予備知識を持っていればある程度の勝負ができるという事がわかってほっとしたと同時に、イギリスの大学院に予備知識を全く持 たずに行く事の無謀さも感じました。今までに出したエッセイ8つの内、ある程度の予備知識がある物が4つ、全く無い物が4つと丁度半々だったのですが、見 事に点数は分かれました。でもせっかくイギリスの大学院に来ているのですから、今まで自分にとって未知だった分野を垣間見る事が出来たのは収穫でしたね。 日本にいたら絶対に勉強する機会は無かった(というか、興味を持たなかった)ものばかりですから。予備知識が無い分、苦労はしましたが、絶対にこれは今後 の糧になると確信できます。考えてみれば当然ですよね。予備知識が無かったら良い点数は取れないし、あればあるだけ良い点数は取れる。みんなが予備知識を 持っている授業で全く素人の僕が10週間の勉強で勝負を挑もうというのはちょっと無謀なのかもしれません。でもこれは言い訳にはなりません。実際、まだま だ頑張ろうと思えば頑張れた訳ですし、みんなとの差を補う為に人一倍の努力をしたかと言えばそうではなくて、人並みの努力しかしなかった訳で...。まさ に「後悔先に立たず」で今さら後悔しても遅いんですけどね。もう1年あればもっと良い点数を取ってやるなんて思うのですが、こんな事をこの時点で思う人に 限って仮にもう1年いても同じような事を繰り返してしまうんです。今回の事を教訓にまた今後の研究に生かすとしましょう。

僕は100%の力を出し切って頑張ったとは言えませんが、他人の力は借りずに自分の力で自分の意見を述べようと努力してきたという事は胸を 張って言えます。けれども中には良からぬ噂も聞きます。エセックス大学は留学生が多い(言語系はどこの大学院でも多いとは思うのですが)事で有名です。そ うすると中には悪い事を考えてしまう学生もいるのです。それは何かと言うと、そうです。前の日記にも出てきたcheatingです。他人の作品を引用する のはきちんと文献情報を明記すれば何の問題も無いのですが、他人の作品を丸写しするのは完全なcheatingです。それが英語の文献ばかりの場合は大学 の先生もその道の専門家ですからばれてしまう危険が高いんですね。でもそういう悪い事を企む学生もそこまで馬鹿ではありません。では何をするかと言うと、 自分の母国語で書かれた他人の作品を丸写ししてしまうんです。もちろん大学の先生の大半はイギリス人ですから、他の国の言語は読めません。ドイツ語やフラ ンス語ならまだ第2言語として読み書きできる先生は多いのですが、それが日本語やギリシャ語などになると読み書きできる先生は殆ど皆無です。そこに付け込 んで自分の母国語の文献を翻訳してしまうんです。はっきり言ってばれる可能性はゼロに近いです。しかも母国語で論文として出版されている物を使う訳だか ら、構成などもしっかりしています。それを英語にして自分のエッセイとして提出するととんでもない良い点数をもらったりするんですよね。な、なんとそんな おいしい方法があったのか!!いやいや、そうではなくて、そんな事をする人もいるのかと驚きました(もちろんごく一部の人達だけで、大部分の人は真面目に やっていますけど)。僕は別にそういう事をする人達には何も言うつもりは無いのですが、何か大金を払ってイギリスの大学院に来ているのが勿体無いような気 がしてなりません。今や海外の大学院で学ぶなんて珍しい事ではなくなってきました。そんな中で重要になってくるのは、「イギリスの大学院で学位を取った」 ではなくて、「イギリスの大学院で何を考え何をしたか」という事になってくると思うんです。つまりプロダクトよりもプロセスです。それなのに、自分で考え る事を放棄してしまうなんて、どう考えても勿体無いと思いません?今回、前半戦を終わってドロップ・アウトしてしまった人が何人かいます。でも僕はそうい う人達に言ってあげたい。「cheatingをしてのほほんとしている人の方が今は上のように思えるけど、数年後には絶対自分の力で苦労した君たちの方が 上に行ける!!」って(一体、僕は何者なんだろうか)。

と、他人の事を兎や角言っている余裕はありません。前半戦よりも後半戦の方がドロップ・アウトする可能性が高いですから。何とか残り3、4ヵ月がんばって生き残りたいですね。さ、がんばらなきゃ。

追記:中には、何と日本の大学院で書いた修論をそのままこっちの修論に使ってしまうという強者もいるとか...。世の中恐ろしい。

5月10日(日)『やっぱりアジア』

今日は天気が非常に良い日でした。先日の日記にも書きましたが、夕方からタイ人の友達Kと大学の近くにあるWivenhoeへ散歩に出かけました。散歩と 言っても目的があって、Kの友達のタイ人2人(現在アメリカのピッツバーグの大学院でPh. Dをやっているらしい)をWivenhoeにある駅に迎えに行ったのです。その際に川沿いに大学からWivenhoeへと続く遊歩道を通りました。この道 は前々から綺麗だと聞いていたのですが、今まで行く機会に恵まれていませんでした。そしてようやく半年以上経過した今日この道を通る事が出来たのですが、 もう感動でした。予想以上に綺麗!!天気が良かったのもあり、川面が陽光を反射してキラキラと輝いています。魚もいるのでしょうか、鳥がさかんに水の中の 獲物を狙って上空から飛び込んできます。海が近い事もあり、磯の香りもかすかに漂ってきます。歩いてWivenhoeまで約30分。途中に森があったりす るのですが、基本的には右手に川を眺めながらの代り映えしない景色。でもやっぱり絵になります。天気が良いのもあって、みんなランニングや散歩、自転車に 乗って通り過ぎて行くのですが、時折すれちがう人と笑顔で挨拶を交わしました。やっぱり、いいですイギリスは!!綺麗な町並みも好きだけど、こういう田舎 の風景も最高ですね。カメラを持って行かなかったのを後悔しましたが、次の機会には是非是非記念に1枚撮っておこうと思います。何でこんな綺麗な場所を今 まで知らなかったんでしょうか。

そんなこんなで綺麗な風景を眺めながらKと話して歩いている内にあっという間に駅に到着。そこには既に予定よりも早く到着したKの友人2人が待って いました。そこで1つ気になっていたのは前から聞いていた事。今回一緒に散歩したタイ人の友人Kは僕が予備コースの時のクラスメートで、オーラル・プレゼ ンテーションもペアを組んで一緒にやりました。その時に打ち合わせでお互いの教育システムについて語り合ったのですが、その時にKが「タイでは、英語を勉 強している人はモチベーションが高くて、タイ人同士でも英語でしゃべったりする」と聞いていたのです。その事を聞いた時「へー、すごいなー」と思って、知 り合いの日本人の友達に話したら、その子は「私の親友はタイ人だけど、絶対にそんな事ない!!タイ人にとっては、お互いに英語で喋り合うのはとても恥ずか しい事らしいのよ!!」って言ってたのです。一体どちらかわからなくなっていた僕にはそれを確認する絶好のチャンス。はてさてどう喋りかけるのかなと思っ ていたら、「◯▼□*%¥!!」。え??思いっきりタイ語だ。まあ、久し振りにあってるからタイ語で話しているんだろう。僕を紹介してくれる時にはどう紹 介してくれるのかなと思っていると、「□▽×÷???Ozawa」(もちろん、紹介してくれた時はファーストネームだったけど)。思いっきりタイ語やんけぇ!!!と心の中で突っ込みますが、やはり道中ずっとタイ語。Nanakoよ、君の事を疑って悪かった。やっぱりタイ人はタイ語しか話さないわ。そんなこんなで英語があまり得意でないのかなと言うとそうではない。アメリカでPh Dをやっているだけあって、英語はもうペラペラ喋ります。世の中不公平..。

とにもかくにも荷物が多かったのでタクシーで大学へ到着。夕方7時からパーティーをやるという事で一旦僕は家に帰って待機する事になりまし た。そして約束の7時、家にあったワイン、ビールをお土産にKの寮に行きました。そこでまたまた感動!!そこにはタイ・カレーを始めとするタイ料理の 数々!!早く食べたいという衝動を抑えつつメンバーが集まるのを待ちます。結局はKのフラットメイトの日本人1人、タイ人3人(Kとその友人2人)、イギ リス人1人というメンバーでした。早速メンバーが集まった所で乾杯、食べ始めます。これがまた見た目だけではなくおいしい!!Kはしきりに「辛く無い?? 大丈夫??」と聞いてきましたが、何のその。こんなの辛いなんて言ってはいられません。本当においしいかったんです。だから、「この料理なら僕はお金を 払っても良いよ」なんて言っちゃいました。唯一ヨーロッパ代表だったイギリス人の人もアジア系の食事は好きらしく盛んに食べていました。このイギリス人の おじさん、授業で姿を見かけた事はあったのですが、話した事はありませんでした。今日話をしてみると、英語の先生として世界各地(特にアジア)を飛び回っ ている。日本でも数年前に教えていた事があったとの事でした。彼はどうやらアジアの方が好きらしく、「僕はイギリスの天気も嫌いだし、食事も嫌いだ。人も アジアの方が全然人なつっこいような気がするし」と言います。そしてここエセックスでPh. Dを取得した後はタイに行きたいと言っていました。やはり、アジア各国を回っているだけあって知識も豊富。日本の事も結構知っています。僕の知り合いのア メリカ人の先生で日本に滞在している人がいますが、この人は日本の文化、言葉を受け入れようとしません。来日3年目になるのに、「こんにちは」も言えない んです。せっかく来てるならその国の文化を楽しめば良いのにね、言葉にしたって少しくらい覚えようとするのが礼儀だとは思うんだけど。。それに比べてこの イギリス人のおじさんは非常に日本の事に関しても博識で素晴しいなと思いました。こういう個々レベルでの文化交流、あるいは理解しようとする姿勢だけでも 評価できますよね(偉そうですが)。

あっという間に食事も終わり、パーティーも11時過ぎにお開きとなりました。久し振りに本当に楽しい時間を過ごせました。やっぱりアジア系 の食事は1番!!タイも1度は行ってみたい国。イギリスに来てから、今まであんまり目の行かなかったアジアにも非常に興味が涌いてきています。ここイギリ スで沢山知り合いの輪を広げてまた今度暇がある時に是非アジアを巡ってみたいなと思いました。

5月7日『気分は爽快』

今学期も本格的に活動し始めました。やる気になっている所で先日のような事件に出会い、出鼻をくじかれた感がありましたが、精神 的にはもう8、9割方復活してきたようです。留学と言うのは予想異常に辛いもの、そのために精神的に異常を来たしてしまう人も少なくありません。僕は典型 的なB型の楽天家なので、そのような事は無かったのですが、この半年間ちょっと自分にしては暗すぎたなと思います。何しろ周りが英語だけの生活というだけ でもストレスが溜るもの、その上授業の課題は容赦なく襲ってくる。これで毎日にこにこしていろというのが無理な話なのかもしれません。そしてイギリスの冬 はとても陰鬱な天気。Seasonal depressionという表現を聞いた事がありましたが、それもあり得る話かななんて思います。僕も前半の半年間はあまりにも暗かった為に、友人から授 業中に「どうして、そんなシリアスな顔してるの??」と聞かれた事がありました。自分では全然そんな顔をしているつもりは無かったのですが、周りから見れ ばそう見えたのかもしれませんね。気を付けないと...。けれども春を迎えて新しい学期に入ったと同時に課題からも解放され、天気も良くなってきて何だか 普通に過ごしていても浮き浮きする毎日が続いています。自然と笑顔も増えてきますし、友人からの誘いに積極的に応じたり、自分から誘う事も多くなってきま した。昔から人付き合いが悪い方ではなかった(特に、飲み会なんかは絶対に誘われたら断わらなかった)僕が、つい最近までは勉強以外に何もする気が起こら なくて頻繁に誘いを断わっていましたから...。環境が変われば人も変わりますね。とにもかくにも、今までの半年間勉強だけに専念(??物理的にではなく て精神的に)してしまった分、残り数カ月間は遊んで、勉強して、遊んで、勉強してを上手く組み合わせていきたいと思っています。

今日は第2回目のゼミがありました。ゼミにははっきり言って先生によって当たり外れがありますし、日本の大学院程こちらの大学院は面倒を見てくれ ません。最初に配られた資料にも「ゼミの時間は◯◯時間以内」なんて制限が設けられていたんです。それで計算するとこの学期中、1週間に30分も見てもら えない計算です。「これだけお金を払ってるのに」なんてがっかりしていましたが、どうやら僕が指導教官に選んだ先生は大当たりのようです。見た目からして 厳しそうな先生なのですが、冗談を良く言って笑わせてくれるし、親身になって指導をしてくれます。何よりも良いのは時間にルーズな事!!つまり時間に几帳 面な先生なら、「ゼミの時間は◯◯時間以内と決められているから今日はこの辺で」なんて事になりかねません。でも僕が選んだ先生は質問すればするだけ話を してくれます(もちろん質問しなければすぐに10分もしない内に終わってしまうんですけど)。どんなに時間をオーバーしても求めれば求めるだけ返してくれ ます。はっきり言って楽しいです。これはイギリスの大学、大学院に共通している事だと思うのですが、こちらの先生は黙っていたら決して何も与えてくれない んです。けれども求めれば求めた分だけ返してくれる先生が多いような気がします。つまり学生の自主性に任せているんですね。その顕著な例はゼミの日が定期 的では無い事。日本だったら、毎週何曜日の何時からというのが普通ですが、こちらではゼミの終わりに「じゃあ、次は何時にするかい??」と聞いてきます。 そこで「じゃあ、1週間後に」と言うも「じゃあ、1ヶ月後に」と言うも学生次第。考えようによってはこれが本来の姿なのかも知れないという気がしないでも ありません。僕は自分で自分を追い込まないと出来ないタイプ(それにお金も沢山払っている)なので、できる限り1週間に1回のペースで見てもらおうと考え ています。でも今日ばかりは「2週間後にお願いします」と言ってしまいました。何故でしょう。。それは来週くらいにちょっとした小旅行に行こうと思ってい るからです。今学期こそは遊びと勉強の両立を目指していますからね。今回だけはちょっと自分に甘えて2、3日遊ばさせてもらおうと思っています。目的地は まだ決定していませんがふらりと予定は未定の旅を楽しんできます。

そんなこんなでちょっと45分間のゼミが終わろうとした時、指導教官の先生が「R先生から聞いたんだけど..」と話を持ちかけてきました。そう、あ の忌まわしい事件の事です(前回の日記参照)。自分では随分前の事のように思いますが、まだ解決してから数日間しか経っていませんからね。26日に事件が 発生してから、その事をR先生が僕の指導教官に言っていたらしいのです。「Ozawaは全く同じエッセイを出してるんだ。一体どう言う事なのか混乱して る」と。前にも書いたようにこれは秘書の過ちでR先生は何が起きているかわからなかったのもありますが、僕の知らない所で結構大騒動になりかけていたよう です(恐ろしい)。そこでその事件の結末を知らなかった指導教官に「僕の方が混乱してますよ。あれは秘書の落ち度だったんですから。」と笑いながら話しま した。もうこうなったら笑い話にしなければしょうがないですからね。そうしたら指導教官の先生は同情してくれたらしく、そしてまた秘書の人もかばいながら 「とんだ災難だったけど、秘書の人は責めないでやってくれ。彼女もいろいろと仕事があり過ぎて忙しいんだ。」と言います。そこで、「そんなつもりはありま せんよ。僕は公正な点数さえもらえれば問題ないですから。」と言うと笑ってましたね。まあ、日本では考えられない事件ではありましたが、イギリスではごく 当然のように起きてしまう事件ですからね。怒る気にはなれません、これぞ異文化理解って奴でしょうか。

まだ釈然としない部分は残っているものの、こんな感じで楽しく過ごすようにしています。ゼミからの帰り道、予備コースの時のクラスメイトに 会って久し振りに話をして今度の日曜日Wivenhoe(大学の近くにある美しい小さな村)へ行こうという話もまとまりました。楽しみです。とりあえずは 残りも少ない事だし、1日1日を大切にしながらいきたいですね。これが今後残り4ヶ月間の抱負でしょうか。

特別日記:事件の真相(4月27日~5月4日)

はっきり言って事件という程大した事件ではありませんでした。但しイギリスの大学院は想像以上に厳しい所です。その点を汲み取りながら読んでいただければ幸いです。下のような背景知識があれば話の展開を理解できると思います。

背景知識

■エセックス大学では授業がLGというアルファベットと数字の組み合わせで表されています(例えばLG325『犬と私』やLG409『日本の演歌』)。 ■日本でもそうですが、エッセイなどを書く場合イギリスでは他人の文章を引用する際に細心の注意を払うように言われます。これに反するとcheatingとされ点数が与えられません。最悪の場合には学校を退学させられます。それ程厳しい罰則です。このcheatingの中には他人の文章を勝手に引用するだけではなく、自分の作品を引用することも含まれています。 ■エッセイはどの授業の物であっても一括して秘書に提出しなければいけません。そして授業の担当の先生が点数を付けたエッセイは1回秘書を通じて学生に戻されます。けれども採点に公正を期す為に、これらのエッセイは学外の人(External Examiner)が改めて採点します。その為、点数を確認した後、また提出し直さなければいけない訳です。エッセイの流れとしては、エッセイ完成、提出→秘書へ→担当教官が採点後、秘書を通じて学生へ→学生は点数を確認した後、再び秘書へ ■R先生は問題があっても"No Problem"が口癖。つまり"No Problem"と言われても安心は出来ない。

4月27日『序章~解放感の中で~』

エセックス大学の大学院では多少学部間で差がありますが、各ターム4本エッセイが課題として出ます。最初の2学期が授業、最後の学期は論文という形式なの で合計8本のエッセイを出す事になる訳です。秋学期(98年10月8日~12月18日)に苦労して4本のエッセイを出し終え、春学期(99年1月18 日~3月27日)も課題のエッセイで苦しんでいました。そしてイースター休み(~4月25日)明けの4月27日晴れて最後のエッセイを出し終えました。も うその時の解放感は最高です。何しろ半年間、2週間に1本のペースで3000語の英語を書くという精神的に余裕の無い状況にいた訳ですから。早速27日は 久し振りに町中に出て映画を見たり、中華料理を食べたりして息抜きをしました。そして家に帰ってきたのが午前12時前。日課になっているメールをチェック してみると論文の指導教官の先生から『明日、論文の進行具合を報告に来て欲しい』との事。『えっ??もう少し休ませてくれ』とは正直思いましたが、今まで の課題に比べれば今回は自分の興味のある事1本に絞って勉強できます。だから疲れていたとは言え、次の日(4月28日)のゼミに備えてレジメを作成しベッ トに入ったのでした。次の日にとんでもない手紙を目にするとは思いもせずに。。。

4月28日『事件勃発??』

そして4月28日になりました。指定された時間に指導教官の部屋に行くとまだ前の人が時間をオーバーしてゼミで話し込んでいるようです。そこで僕は Internal Mailという物をチェックしようと思いました。これは大学内の郵便システムで大学内(例えば大学の先生から生徒へ)での通信が各宛先に配送されるので す。そしてチェックしてみると珍しく手紙が。何だろうと思って開けてみました。するとそれはR先生からの手紙で次のような文が書いてありました。

26th April The assignment you have submitted for LG 602 seems to be the same one as LG 502. Could you come and see me to explain?

LG 602というのは昨日提出したばかりのエッセイ、LG 502は秋学期に提出したエッセイです。ここで頭を過ったのは、『え、もしかしてこれってcheatingって事なのか』という事でした。 cheatingの罰則は厳しいとは聞いていたけど今まで順調にやってきました。でも最後の最後でこの手紙。。一体何???頭はまさに???で一杯です。 もちろんその日論文の為の最初のゼミも集中できる訳なく、次の日にR先生に会う事にして寮に戻ってきました。家に帰ってもやっぱり不安です。 cheatingならまさに退学という事になってしまう訳ですから。この短い英文から考えられる事は2つでした。

(1)sameっていう位だからLG 602とLG 502が全く同じなのだろう (2)LG 602とLG 502のエッセイで扱っている題材は異なるものの、内容が似通り過ぎている。つまりcheating。

(1)に関しては全く考えられません。だってつい先日にLG 602のエッセイを出した訳ですから。となると最悪の事態(2)という事になるんだろうかと愕然としました。そこでまず何をしたかと言うと、僕 は"same"の単語の意味を英和辞典で引きました。というのも"same"という単語は僕の頭の中では今まで「同じ」という意味で捉えていたのです。でも「同じ」というのだったら、全く同じという事になってしまう。cheatingであるというのなら、「似通っている」と いう意味が無ければいけないはずです。そこで辞書を取り出し引いてみると、な、なんと「似通っている」という意味もある。あ~~~、これは cheatingだと思いました。そこで今度は秋学期に提出したエッセイと今回提出したエッセイをコンピューターからプリントアウトして見比べてみる。 扱っている題材は違うけど大きな枠組みでは一緒。結論もそう言われてみれば似通っている気がしないでもない。でも僕の考えではcheatingとは思えま せん。ところがこのR先生というのが曲者。秋学期に出したLG 502のエッセイは、提出前にドラフトを見てもらってコメントしてもらったのですが、その時に、"No Problem"と言ったのです。そこで安心してエッセイを提出したらとても悪い点数がついて返ってきたという事件があったもので。。だからこの先生なら 厳しく見てこれはcheatingだって言ってしまうかもしれない。もうどんどん妄想は広がります。「よし、仮にcheatingだったとしよう。でも僕 はcheatingだと思わない。これは断固として抵抗して戦わねば!!」今度は強気になってきます。そこでどのように戦えば良いかを規則が書いてある本 を見ながら見当。すると「納得が行かない場合にはStudent Union(学生で組織される団体)に助けを求める事ができる」と書いてあります。「よし、じゃあ、先生が敵なら学生を味方につければいいわけだ」と妙に 納得。そして規則を読みつづけると大学側も強気です。「こちらで判断してcheatingと認められた場合はその課題だけではなく、他の課題の点数をゼロ にする事ができる」と脅しにかかる。「え、、、他の課題までゼロにしちゃうの、それはちょっと。。。」とまた弱気になってみる自分。。こうなってくるとも う何が何だかわかりません。「とりあえずは明日先生に会いに行って決着を付けよう」と思いベットに入ったのですが、眠れるはずも無く殆ど眠れないまま朝を 迎え決戦の時はやってきたのでした。

4月29日『愕然。。』

そして4月29日。約束の時間はやってきました。こういう時には証拠が重要。きちんとLG 602とLG 502のエッセイを両方プリントアウトして持ってきました。自分の中ではシナリオは出来上がっています。

R先生「君、この2つのエッセイは似通り過ぎてないかい。cheatingだよ。」 Ozawa「先生、それは無いでしょう。この2つのエッセイを見て下さい。どう考えたって別物でしょう。一体どこか同じと言うんですか!!(ちょっと怒った感じで)」 R先生「う~ん、そう言われてみればそうかもしれないな。うん、これはcheatingじゃない」 Ozawa「そうでしょう。わかってくれれば良いんです。では、失礼」(ドアをバタンと閉める)

うん、これで完璧。そしてR先生の部屋のドアをいざノック。でも所詮は小心者のOzawa。心臓はバクバク鳴っています。部屋に入るとR先 生笑顔で「やあ。」と一言。この笑顔も曲者なんだよなと思いつつ、「先日、手紙を受け取ったんですが」と切り出すと、「ああ、そうか。じゃあ、座ってく れ。」と椅子を勧めてくれました。この先生、何時もはあまり椅子を勧めません。椅子を勧めるという事は長期戦なのでしょう。まずは先制攻撃が重要。僕は ちょっと困ったような怒ったような調子で、「一体何が起こってるんですか??僕には何が何だかわからないのですが。。」と言いました。すると cheatingと思い込んでいた僕に思いがけないR先生の一言。「LG 602として提出されたエッセイが、君が秋学期に提出したLG 502のエッセイと全く同じなんだよ。僕も何が何だかわからない。思うに、君が間違えてプリントアウトしてLG 502のエッセイをLG 602として出してしまったんじゃないのかなあ。」僕は呆気に取られました。だってcheatingだって思い込 んで戦う準備までしてきたのに、全く同じだってR先生は言います。僕が持ってきた2つのエッセイを見ても「うん、LG 602として提出されたのはこのLG 502のエッセイだよ」と確信を持って言う。戦う意欲は急に失せて今度は落ち込みました。「え、cheatingだと思ってたら全く同じ??そんな間違え てプリントアウトするなんて考えられないけど、LG 602のエッセイを出した時は徹夜明けで確かにぼーっとしてた。確信を持ってそんな事は無いなんて言い切れない。もし間違って出していたとしたら、一体点 数はどうなるんだ。こんなので退学とかになったら恥ずかしすぎる。。。」いきなり先制パンチを出したつもりが、予想外のカウンターを浴びてしまい意気消 沈。でも聞くべき事は聞かなければいけません。「もし間違いだとして、一体どうなるんですか??」するとR先生、「今ははっきりわからないから5月4日に また来てくれ。心配しないで良いよ、No Problemだ」が~~~~~ん、"No Problem"って確かにR先生は言った。あの言ってはいけない禁断の言葉を。。。もう完全なノックダウンです。部屋から出る時R先生は笑顔で見送ってくれましたが、僕は入った時よりも15度程前かがみになりながら部屋を後にしたのでした。

4月30日~5月3日『憂鬱な日々』

こういう時は落ち込むものです。そして誰でも良いから話を聞いて欲しい。そんな事もあり、友達を誘って5月4日までの間、連日のように飲みに行きました。 部屋にいても落ち着かないし、眠れない。そんな時に限って全てをマイナス方向に考えてしまうもの。もうまさに気分はブルー一色です。こういう時に海外は辛 いですね。長年付き合ってきた仲の良い友達も側にはいてくれない訳ですから。そんなこんなで5月4日を迎えたのです。

5月4日『呆気無い幕切れ』

幕切れは呆気無いものでした。5月4日、R先生の所へ出向く前にメールをチェックしていると、秘書から次のようなメールが届いていました。

Dear Mr Ozawa,

We do not appear to have your essay for LG502. Please would you bring this in to the office as soon as possible as it needs to be sent to the External Examiner. This is most important as until this is done, your mark cannot be confirmed.

Thank you,

この文章を見ても訳がわからない人は分からないと思いますが、僕はすぐに状況が飲み込めました。つまり今回の事件の発端は秘書だったのです。秋学期に提出したエッセイLG 502はExternal Examinerに提出する為に、僕は間違い無く秘書に再提出しました。けれども秘書はそれがLG 602の提出期限に近かったために、それをLG 502の物と勘違いしてしまったみたいなのです。そのため、それをそのままLG 602のエッセイとしてR先生に提出し、R先生から上記のような手紙が届いたと。。それは提出したはずのLG 502のエッセイを秘書が受け取っていないと主張している事からわかります。これを確認する為にR先生の所に行きました。するとR先生はLG 602として提出されたLG 502のエッセイを持ってきていました。それを見るとカバーシートに僕は間違い無くLG 502と書いているにも関わらず、秘書が御丁寧にもLG 602と書き直しているではありませんか!!はあ、R先生もようやく状況 を飲み込めたようでした。ほっと一安心ですが、そこで気になるのは点数。何せ秋学期にはとても悪い点数を貰いましたから。。直接は言ってくれませんでした が、ふと覗いてみると秋学期よりも格段に良い点数。この先生の厳しさを考えると良い部類に入るでしょう。ようやく肩の荷がおりました。ワイングラス片手に 葉巻きでもくわえたい気分ですな。

とこのような顛末でした。はっきり言って大した事ではありません。でも厳しいと言われ実際に厳しいイギリスの大学院で苦しみながらも今まで 順調に問題無くやってきた訳です。そして最後という時にこのような事件に巻き込まれてしまった訳ですから、ちょっと不安になってしまったのです。そしてこ のような時に限っていろいろな事を考えてしまうものです。実はこの事件以外にも同時に悩んだ事があったのですが、その事については触れないでおこうと思い ます。何はともあれ、事件は解決。日本だったら本当に考えられないような事件でした。でも日常生活ではこのようなイギリスのいい加減さに慣れていたので、 秘書に対して怒る気にはなれません。何とかこれ以上の問題は起こさないでくれと願うばかりです。そしてこんなつまらない事で悩んでいる時に、僕を励まして くれた人々には感謝しています。本当にありがとうございました。

4月15日『来年の今頃は??』

今日いつものように図書館へと向かったのですが、普段だったら休み中という事もあってキャンパスはゴーストタウンと化しています。ところが今日は何だか騒 がしい。しかも変な帽子みたいなのを被って人が歩いています。そう、分かる人なら分かると思いますが今日は去年エセックス大学を卒業、修了した人達のセレ モニーだったのです。やっぱり格好良いですね。今まで写真とかでは見た事があったのですが、実際にイギリスの卒業式の服装を見るのは初めて。どのように着 るのかも知らなかったのですが、どうやら男性の場合はスーツの上にコートを羽織って、頭にあのとんがった三角帽子を被るみたいです。何かはたから見ている 分には確かに格好良い(ミーハーだ)なあと思ったのですが、果たして僕が運良く大学院を修了する事が出来たとして実際に自分があの格好をするとなると一体 どうなんだろうと想像してしまいました。どんなにがんばっても似合いそうにないです。

それにしてもイギリスでの卒業のセレモニーの光景は日本と一緒。せっかくの晴れ姿だからという事で一生懸命身だしなみを整えたり(なんと、キャンパ スの中に用意周到にも鏡が何台か用意してあった。日本みたいにみんなトイレに駆け込むよりは効率が良いですね)、友人や家族と一緒に写真撮影したり。。。 ここ数週間静まり返っていたキャンパスが嘘みたいでした。このようにイギリスの卒業セレモニーを垣間見て確かに憧れみたいなものは抱くのですが、個人的な 感想だと日本の方がお祭り気分で楽しそう。日本の卒業式と言えば、大学では決まった服装が無いからみんな思い思いに着物を着てみたりスーツを着てみたり、 中には寒い季節に水着姿とか、人各々ですよね。それに比べてイギリスはみんな一様に黒のコートに黒の帽子。男の人はあんまりそこまで気にしないかもしれな いけど、女の人にとっては物足りないかも知れないですね。何だかあまりにも黒だらけなので陰鬱な雰囲気が漂っているのも確かです。これも一生に一度くらい しか味わえないと思えば楽しそうですけど(果たして本当に修了できるのだろうか)。

最近部屋にこもりっきりの事が多くてあまりイギリスにいる事を実感する機会が無かったのですが、久し振りに「ああ、自分はイギリスにいるんだ」と感じました。来年には僕も同じように笑顔で黒のコートを羽織っていたいものです。

それにしても最近の天気は変わりやすいし、寒い。何とかならないのだろうか。。。

4月12日 『サマータイムの謎???』

ようやくセイが1本終わりほっとしている週末です。やっぱり一口に留学と言っても大変です。これはどこかにも書いたと思うけど日本の大学院で2年間かける 所をイギリスでは1年間でやる訳ですからね。その分、大変になる事は予測はしていたのですが、ここまでとは思いませんでした。とりあえず、1本、次にまた 1本と何とかこなしていって早めに解放されたいものです。

それにしてもサマータイムに入ったという事もあるのでしょうが、最近外が明るい!!実は恥ずかしながら最初はこのトリックに気付いていませんでし た。トリックと言う程の事ではなく、みんな知っている事ですが、サマータイムになると時計の針が1時間進みますよね。つまり今まで夕方5時だったのが、夕 方6時になる訳です。つまり単純に考えればいくら夕方6時とは言え、つい先日までは夕方5時だったのです。それならば、外はサマータイムではない時に比べ て明るいはずです。でも僕はそんな事気付きもせずに、「ああ、さすがサマータイムだなあ、入った途端夜遅くまで明るくなるもんなあ、すごいなあ、このシス テム!!」って1人で感動してました(反省)。そうですよね、いくらサマータイムだからと言って急に明るくなるはずなんてない。でも最近はさすがに夜遅く まで明るくなってきました。今度こそ、本当です!!これから夏にかけては夜遅くまで明るく過ごしい天気が続きます。でも勉強が本業の学生生活をしている人 にとってはこの明るさは大敵です。これもどこかで書いた(最近物忘れが。。)のですが、勉強が忙しくなると万国共通でみんな夜型生活に突入します。これは 朝起きるのが遅いという事もありますが、昼は明るすぎて勉強する気にならないという理由もあるでしょう。確かに、憂鬱な冬を乗り切った後で迎えるイギリス の素晴しい季節。こんな良い陽気の中で勉強をしていると何か罪悪感にさいなまれます。そんな中で大学に在学して3年目のシンガポール人は、夏の間部屋の カーテンを閉め切って外の明るさが部屋に入ってこない状況、つまり擬似的に部屋の中を夜にしてしまって、勉強していたそうです。こんな事をした事があると いう人は僕の周りでは結構います。僕もこれから論文に取りかからなければいけないので、窓ガラスに段ボールでも貼ろうかななんて考えています。

そう言えば、日本でもサマータイムを導入するかどうか国会で審議されているらしいですね。「日本でサマータイム??」という気もしますが、 実際昔日本でもサマータイムは導入されていましたしね。その時の理由は残業時間の延長につながるなんて事だったらしいですが、このような理由で1回廃止さ れたものをまた復活してもまた批判を浴びそうな気が。。。今回の建て前は、「環境に優しい、電気の節減」などらしいですがどうでしょう。個人的にはそれぞ れの国が勝手にサマータイムを導入してその導入期間も違ったりすると時差の計算をするのが難しくなってしまうから嫌なんですけどね。と言ってもそんなに時 差の計算を毎日するという趣味は持っていませんが。。とりあえず、今後の動向に注目しましょう(日本は行動が遅いから、僕がイギリスに滞在している間は関 係ないでしょうけど)。

4月1日

今日はエイプリールフール、と同時に日本では新年度の始まりです。今はイギリスで生活していて、休みの真っ最中なので、あまり気分一新という感じではあり ません。でも、留学も後半戦に突入ということで気を引き締めていかなければいけないなと思います。エイプリールフールと言えば新聞やテレビで嘘のニュース をそれらしく報道する事で有名ですが、昼まで寝過ごしてしまった僕には関係ありませんでした。ただせっかくイギリスにいるからということで、新聞は記念に 購入しました。またゆっくり時間がある時に見てみると面白いニュースがあるかもしれません。

前回のクリスマス休みの時にはみんな家族とすごす為に自分の家に帰ってしまってキャンパスはゴーストタウンと化してしまっていました。今回も人の数 は明らかに少なくなっているのですが、人はまだ沢山いるようです。それもそのはず、今回の休みは比較的短い(1ヶ月弱)上に休み明けには試験が待ち構えて いるのです。さすがに普段はのんびりしている学部生も戦々恐々としているようです。僕は幸いな事に試験が無い学部に所属しているのですが、この休み中に課 題のエッセイが2本あるということでやはりどこにも出かける事ができません。そこでもちろんキャンパスに残っているのですが、かといって勉強にあまり身が 入らないのが現状です。うちの大学はキャンパスの広さの割には学生数が多く、人口密度が高いです。そこで学期中は何となくどこに行っても人がいっぱいで慌 ただしい雰囲気が漂っています(図書館に限らずカフェやレストランでも)。けれども一旦休みに入ってしまうと人の数が一気に減って何となくゆったりとした 空気が流れるんですよね。学期中はあまりにもドタバタしていて、クラスメイトとキャンパスで会っても挨拶を交わすだけだったり、少し話すだけだったりする のですが、今はキャンパスで会うとベンチに腰掛けて話し込んでしまったりします。こういうのんびりした時間をすごしていると幸せだなと感じます。もちろん 学期中に課題で追われている時にも何と言うか充実感は感じるのですが、その時とは全く別の感覚でしょうか。やはり生活には緩急が必要だなと感じます。しば らくは鋭気を養って来るべき後半戦に備えなければ。。

イギリスではサマータイムに入り天気が良い日が続いています。出不精で友人の間では有名な僕もさすがに外に出ないともったいなく感じでぶら りと散歩に出かけたりする日が多くなってきました。やはりあれだけ長く憂鬱なイギリスの冬を経験したからこそ、この春が妙に嬉しかったりするんでしょう ね。いつもは課題に追われて心に余裕の無い生活を送りがちですが、今日抱いているような心の余裕を常に持ち続けたいなと思った1日でした。

これから始まるイギリスの素晴しい季節を楽しみつつ、そしてこれから始まる厳しくも充実した後半戦へ期待をふくらませつつ

3月24日

今日もまた寒い1日、つい最近まで明るく日が照り付けていたのが嘘のようです。でも最近、天気が良かろうが悪かろうが関係のない毎日を送っている自分がちょっと物悲しかったりするんですけど。。。

そんな中でちょっとだけ嬉しい事がありました。この話をするにはイギリス人の労働意欲の無さにまつわる話から始めなければいけません。これはイギリ スに来てからのカルチャーショックの1つだったのですが、とにかくイギリス人は労働意欲があまりありません。去年の日記にも書いたと思うのですが、図書館 を◯時まで開けておくと予告しておきながら、平気で1時間前くらいに閉館してしまったり、レストランに行っても、相手の気が向くまで(決して忙しいのでは ない)注文を聞いてもらえないなんてことは日常茶飯事です。それは大学の事務に関しても言える事で、「◯月◯日までに、××の資料を生徒に配付する」とか 年間スケジュールには書いてあるのに、実際に配付されるのは指定された日時の何週間も後であるとか。。。このようなイギリス方式に慣れてくると、僕達のよ うな外国人の反応は大きく2つに分かれます。それは、

(1)徹底的に、しかも大袈裟に苦情を言う (2)諦めてのんびりと暮らす

(1)の場合であれば、例えば夜中にフラットの暖房が効かずに寒くて暖房を入れて欲しいと宿直の人に電話するとします。その場合に、「寒い んで、申し訳ないですけど暖房入れてもらえないでしょうか。」なんて日本式に謙虚に依頼しても無駄なのです。相手は相手にしてくれません。そんな時は、 「どうしたんだ、この寒さは!!あまりに寒いから部屋につららができてしまったぞ!!俺の体が凍傷になったらどうしてくれる!!早く暖房を入れてください よ!!」ってしつこくね。イギリスに長年滞在している人はこんなイギリス式交渉術を覚えていきます。逆にそんな勇気のない人は(2)に当てはまり、「あ あ、またか。しょうがないな、いつかは。。」なんてのんびり暮らしています。僕はどちらかと言えば後者に当てはまります。

こんなイギリス人の労働意欲の無さ(というか仕事の対応の遅さかな?)を考えると今回僕のフラットで起きた事が妙に嬉しかったりするので す。それはフラットで共用しているキッチンのドアの事でした。このドアは、他のフラットと違ってねじが弛んでいるのか、閉まる時に『バタン!!』と物凄い 音を立てるのです。僕はそんなに神経質な方ではないのですが、このドアの音はあまりにも神経を逆撫でする音でした。特に僕の部屋はキッチンの真横にあり、 ドアの音が直接響いてくる。もうエッセイで死にそうな思いをしている時に、この音を聞くともうイライラして、壁を蹴りたくなるというか踊りたくなる(?) 衝動にいつもかられていました。そこでまずAccommodation Office(大学関係の寮を管理する事務所)にドアを直してもらうように電話しようと思ったのですが、まだイギリス生活が短くそんなイギリス式交渉術は 身についていない。そこで自衛策を考えました。「ドアが音を立てるのは、ドアとドアの枠がぶつかる時だ。じゃあ、そのドア枠とドアが接する場所にスポンジ を貼って、ドアとドア枠が接触しないようにすれば良いのではないか。」と。そこでいそいそとスポンジを切ってドア枠に貼るとこれが大成功。全くと言って良 い程音がしなくなったので喜んでいたのです。これがかれこれ2ヶ月程前の事でした。

けれどもつい最近僕が寝ている時に、キッチンからAccommodation Officeの管理者がフラットメイトの1人に向かってすごい剣幕でしゃべっている話し声が聞こえてきました。その時は寝ぼけていたのでわからなかったの ですが、あとでフラットメイトに聞くと管理者が「あんなものを貼ってはいけない!!あのドアは火事の時に火を遮断する物だから、きちんと閉まらなければい けない。なのにあんなもの貼ったら閉まらないじゃないの!!」と怒っていたらしいのです。僕はその時、フラットメイトが僕の代わりに怒られてしまった事に 謝罪すると同時に、いよいよイギリス式交渉術を初活用して電話しなければと思っていたのです。そんなもめ事があって3日後の今日。昼間頃また、 Accommodation Officeの管理人の声が聞こえてくる。どうやら今度は僕に対して同情的な様子。「どうやらフラットの子の1人が、あまりの騒音に耐えかねてこれを貼っ たらしいの。何とかしてあげなきゃね。」そんな会話をぼんやり聞いていて夕方にキッチンに行くと、な、なんとドアが直っている、完璧に。どうやら交渉する 事なく僕の願いが達成されたようなのです。名付けて『同情作戦』とでも言いましょうか。普通日本ならそのドアの所に貼ってあるスポンジを見て状況を理解す れば、その日のうちに間違い無く修理するのでしょうが、このイギリスで3日後に修理。しかも交渉する事無しに。。これはイギリスではすごい快挙のような気 がします。このように書くと短期間の勝利のような気がしますが、実はこのドアは半年前から問題になっていました。前一緒にフラットを共有していた台湾人 も、このドアの騒音に悩まされAccommodation Officeに苦情を言い続けていました。けれども結局改善される事なく、フラットを出ていくはめになりました。そして今回ようやくこのドアの問題が解決 されたのです。前の台湾人が電話で苦情を言っても改善されなかったこのドアが、スポンジ1つで。。。すごいですねえ、何気ない小さなスポンジに感謝。そし て台湾人のキャシーよ!!遂に僕はやりました!!

苦節半年、スポンジは我がフラットを救いました。スポンジに感謝。(ちょっと大袈裟)

3月19日(金)

学期も終盤に近付きエッセイの締め切りも大詰めを迎えています。この時期になると図書館に行っても文献を検索したりコピーしたりする人でごった返し、コ ピー機の前には長蛇の列(イギリス名物とでも言ってしまっていいのでしょうか)ができます。カフェなどでも、エッセイの下書きとにらめっこしながらコー ヒーを飲んでいる人をよく見かけます。どこかのコンテンツにも書きましたが、エセックス大学は1学期が10週間から構成されています。その間に大学院の場 合は平均して3000語のエッセイを4本、つまり2週間に1本のペースで書いていくのです。そのペースさえ保てれば、大変であるのには変わりがないにせよ そこまでは辛くないと思うのですがそうはいきません。締め切りが殆ど学期末あるいは休み明けに集中するために、みんななかなか計画を上手くたてられないの です。これはどうやら万国共通の悩みのようです。大体、学期の始めは休み明けで友人と再会を祝して、2~3週間程いたるフラットから毎日のように大きな音 楽が夜遅くまで聞こえてきます。そして学期が中盤になっても必ずどこかのフラットでは大騒ぎ。それが学期末になるとみんな焦り始めてぱたりと音がしなくな る。。。同じパターンです。最初はキャンパスで会う顔もみんな生き生きして楽しそうなのに、学期末になると見るからにしかめっ面をして歩いている人が多く なる。そして体重も落ち、吹き出物も増え、寝不足の為に目の下にクマができ。。。まさにみんな魂をぶらさげながら歩いています。僕もその1人なのですが、 今回はみんながやり始めた時期に息抜きをしてしまっていたために、まだ魂をぶらさげる状態までには至っていません。別に健康そうなのは悪い事ではないので すが、あまりにもクラスメイトがみんな睡眠不足で眠そうな顔をして、やつれ果てた姿をしているのをみると、何か自分が悪い事でもしているみたいな錯覚に襲 われます。早く僕もみんなの仲間入りをして、魂をぶら下げてキャンパスを歩かないと。。。

今回は2学期目ということもあり、前の学期よりもエッセイを断然早く取りかかったのですが、やっぱり締め切り真際でどたばたしています。その原因を 分析してみると、実は僕が怠惰なせいだけではないようです。締め切り真際にどたばたエッセイを書くと時間が迫って入る為に考える時間も限られてきますよ ね。けれども早くとりかかると、変な所で考え込んでしまって普通だったら1、2日で答えを出す所を1週間も悩み続けたりするのです。どうやら僕は時間を ゆっくりかけるよりは、短期間で強制的に答えを生み出す方が向いているようです(なんてちょっと言い訳みたいですが)。なかにはきちんと学期の始めから自 分のペースをつかんで、着実に1つ1つ終わらせていく人もいるんですけどねえ。簡単そうでなかなかできないものです。そう言えば、締め切り真際にどたばた するのは万国共通みたいだと書きましたが、勉強をし始めると夜型になるというのもどうやらそうみたいです。それが証拠に大学院生用のフラットでは午前中、 殆ど人の出入りがありません。そして図書館に行っても午後や夕方の人ごみが嘘のように人がいません。僕は夜型が行き過ぎて午後に寝たりすることも時折ある のですが、そのような生活パターンの時には朝1番に図書館に行く事にしています。はっきりいって非常に爽快です。だって殆ど人がいないのですから。誰もい ない階の自習机で勉強の合間に、時折イギリスの風景を眺めていると幸せを感じます。元々僕は人ごみが嫌いなので、午後とか夕方に図書館に勉強しようと思っ て行ってあまりの人の多さにうんざりして帰ってくる事がよくあります。それに比べて朝1番の図書館は自分1人で独占しているようで良いものです。じゃあ、 朝型の生活を送れば良いじゃないかと言われそうですが、まさにその通り。絶対夜型よりも朝型の方が能率が上がるし、気持ち良いはずなんですけどねえ。今ま でに何回も試みて挫折しています。朝型になるのは、働くようになってからのお楽しみということにしましょう(と言っておきながら夜の仕事に就いたりし て。。)。

3月18日(木)

本当に久しぶりのアップになっていました。実は知っている方は知っていらっしゃると思いますが、ターム中の忙しい時期、リフレッシュを兼ねてロンドンを中 心にイギリスを満喫していたのです。その為アップを1ヶ月近くもすることができませんでした。この模様はまた近々日記か特集で取り上げたいと思っていま す。

先週までは雨が降っていたり曇っていたりで何とも憂鬱な天気が続いていたのですが、ここ数日本当に暖かく春らしい陽気が続いています(また週末には 冷え込むという噂ですが)。どうやら近々サマータイムも始まるようです。長く陰鬱なイギリスの冬の後だけに、この眩いばかりの日光の下を歩くのはとても気 持ちが良いものです。もう半年以上も同じキャンパスの中で生活しており、キャンパス内を歩き回るうさぎやがちょうなどは見慣れてしまっていたのですが、こ の陽気のせいか通常はキャンパスの湖近くに生息しているはずのがちょうが、遠く離れた僕の寮の近くまでよちよちと家族揃って遠征してきて、昼寝をしたりし ています。今日は授業の帰り、そのがちょうの御一行様に遭遇しました。僕の歩いている方向の真横から歩いてきたのですが、僕が目の前に来るときょとんとし て家族揃って立ち止まって、僕が通り過ぎるのを今か今かと待ち構えていました。近寄っても逃げる様子もありません。可愛いですね。こういう状況を写真に1 枚取れれば良いのですが、さすがに毎日カメラを持って授業に行くわけには行かないので断念しています。キャンパス内に広がる芝生にも水仙の花が咲き始め春 を感じさせます。大学の方で春を感じさせる事と言えば、キャンパスの中にあるカフェがお店の前の広場に椅子を置いてオープンカフェを始めたということで しょうか。その為かいつもよりも広場に学生の数が多く、みんな久しぶりの陽気を飲み物片手にのんびりと楽しんでいる様子でした。さあ、いよいよイギリスで 一番気持ちの良い季節が始まりますね。楽しみです。

それとは逆に僕の心はあまり晴れません。というのも学期末を控えエッセイの締切りに追われているからなのです。しかもイースターの休み (1ヶ月間)中にもエッセイが山積みで実際には休みは無さそう。。。せっかくの良い季節だというのにイギリスの陽気を楽しむ時間も無いのです。まあ、その 原因の1つはターム中にも関わらずゆっくりし過ぎてしまった事にあるので自業自得という奴なのですが、せっかくの限りある1年間ですからねえ。遊びに勉強 に精一杯がんばりたいとは思うのですが、両立するのはなかなか難しいです。今学期が終われば、僕は残りの半年間、論文1本に集中して勉強をすることになり ます。半年間で16000語の論文を書き上げてしまわなければいけないので、はっきりいって想像もつかない程大変な事なのですが、論文1つに集中できる 事、そしてゼミが週1回しかないということで、今までの半年間よりは精神的、そして時間的余裕は出来そうです(そうやってダラダラしていると、また締切り 真際になって慌てることになるんですけど)。だから後半戦を迎える前に考える理想的な残り半年間の過ごし方は、平日は規則正しく真面目に勉強して休日は ちょっと息抜き。そして1ヶ月に1回くらいはイギリスの地方に1人で小旅行をするということです。実はイギリスで行きたい所は沢山あるのです。元々田舎が 好きなので、何もないような所で海や山を見つめながらぼけっとしたいですね。ロンドンもとても魅力的な街でエンターテイメントを求めるなら間違い無くロン ドンなのですが、結構ロンドンは僕にとって行くだけで疲れてしまう街なのです(あまりに人が多すぎて)。だから日本食が恋しくなった時、ミュージカルなど が見たくなった時に限定しようと思います。僕の町からロンドンまでは電車で1時間なので、がんばれば日帰りもできますしね。こんな理想的な生活ができれば 何の文句もないのですが、果たしてどうなることやら。。。御期待下さい。

最後に1つ。この度スキャナーがめでたく手に入りました。欲を言えばデジカメなのですが、そこまではお金が無いのでスキャナーで妥協したのです。今は使い方を勉強している暇が無いのですが、またイースター休みに入れば写真を載せられたら良いなあと思っています。

2月19日

あまりにも歳月の流れる早さに驚きながらこの日記を書いています。最近は学期も半分が終わろうとしているということもあり、毎日なにかしらやる事があり時 間的な余裕は作ろうと思えばあるのですが、精神的な余裕が無くますますキャンパスの中に閉じこもって寮と図書館の間を往復する日々が続いています。今日は 朝、図書館が開館すると同時に図書館へと行きました。本来は夜型の人間なのですが、最近夜型がずれこんで何時の間にか朝型になってしまっているのです。そ こで家にいるよりはということで、図書館に行ったという訳です。キャンパスの割にはエセックス大学は人口密度が高いので、午後などに図書館に行くと人が多 くてうんざりするのですが、やっぱり朝1番は良いですね。人もまばらで勉強にも集中できます。勉強の合間にふと窓の外に広がるイギリスの風景を眺めなが ら、「ああ、やっぱり来て良かった。幸せだなあ」とつくづく思いました。忙しいながらもこのような事を思えるのは、期間が1年間という短い間だけだからも 知れません。時折、このままイギリスの博士課程に進学したいなあと思う事もありますが、それは僕の性格上止めておいた方が良いというのはわかっています。 もしも数年間滞在する事になったら、だらけてしまいそうなので。。。今はこの限りある時間を精一杯満喫しようと思っています。限りがあるからこそ、美しく 見えるものがあるということでしょうか(う~ん、哲学的になってしまうので止めておこう)。いずれにせよ、これからイギリスで最も美しい季節の始まり、わ くわくします。

今日はエセックス大学に来ている日本人大学生の事について書きたいと思います。元々エセックス大学は学生数の中における日本人の比率は高い大学の1 つなのですが、最近妙に日本人の集団を見るなあと思っていました。そこで友達に聞いてみると、とあるA外国語大学の学生が3週間という短期でエセックス大 学に来ているとのことでした。これは人によって意見の別れる所だと思うのですが、僕はこの制度には反対です。というのもそのA外国語大学が3週間という短 期間で学生を派遣する意図が見えてこないのです。1年間のように長期間ではなくこのように短期間で派遣を行なう意図は主に2つ考えられます。これはあくま でも僕自身の考えですが、

(1)短期間で英語が話されている国に行って、その土地の文化に触れる機会を学生に与える (2)短期間とは言えども英語圏で勉強をすることによって、英語能力を高めその後の学習へとつなげる

ということです。A外国語大学がどちらの意図を持って派遣しているかはわかりませんが(もしかすると両方かも知れない)、どちらにしても疑 問が残ります。まず(1)であったと仮定して、何故エセックス大学に派遣する必要があるのでしょうか。(1)の場合であれば異文化学習ということが主眼に なるはずですが、お世辞にも大学のキャンパスはイギリスの文化を反映しているとは思えません。それならば、イギリスの一般の家庭にホームステイして、イギ リスを旅行するなどの方がまだ意義があるように思えるのですが。。。その方が学生も絶対に楽しいし、イギリスの文化に触れる事ができると思うんですけど ね。大学のキャンパスをうろうろしている姿をよく見かけますが、大学の中を歩き回ったって、うさぎやがちょうにしか会えません(でも、きょうそのがちょう と一緒に写真を取っている光景を見かけましたが、、、実は楽しんでるのかな?)。次に(2)だと仮定してみましょう。どうやらA外国語大学から派遣されて いる学生達は、EFL Unit(留学生の英語力を高めるサポートをする組織)で集団で授業を受けているようです。これも疑問だと思いませんか?イギリスにせっかく来て結局クラ スメートは日本人ばかりなのです。これだと駅前留学と全く同じだと思うし、そんな高いお金を出してまでイギリスの大学に来る意味が無いと思うんですけど ね。もしも短期間でも英語能力を高めるという意図があるのなら、幾つかのグループに分けて各々の学生を別の語学学校などに在籍させるという方が英語で話す 機会は沢山あるし楽しいはずです。

結局A外国語大学がどちらの意図で派遣しているにせよ、僕にとってみれば疑問な訳です。実際に来ている学生を見ていると楽しそうなのは良い のですが、キャンパスの中で暇そうに時間を潰している姿をよく見るのです。せっかくイギリスに来ているのに、キャンパスで煙草を吸いながら時間を潰すなん てあまりにももったいないような気がします。でもこれはA外国語大学の責任だけではありません。もちろんエセックス大学にも責任があるのです。前にどこか に書きましたが、イギリスの大学は今財政難に陥っておりどのようにして大学を存続させるかで苦労しています。だから悪い言い方で言えば、このような日本人 の集団は絶好の資金源になる訳です。だから簡単に受け入れてしまうんでしょうね。資金難なのはわかりますが、もう少し受け入れ体制をしっかりしないと自分 で自分の首を絞める結果に陥ってしまうのは明白です。がんばらなきゃ、エセックス大学も!!

誤解を招くといけないので付け加えておきますが、このような学生の交流が悪いと言っているのではもちろんありません。そういった交流には僕も大賛成です。ただやり方がね、ちょっともったいないような気がする訳でした。

2月13日

久しぶりの日記です。最近日記を書く暇が無いという訳ではないのですが、僕の性格上1つの事をやり始めると他の事が手につかなくなる為(今回の場合はエッ セイに取りかかっている)、日記などのコンテンツをアップするのが滞ってしまっています。また地道に時間を見つけてはアップしていこうと思っているのでよ ろしくお願いします。

時間があれば掲示板にイギリスのバレンタイン事情について特集したいと書きました。けれどもこのような状況なので情報収集するのは難しそうです。そ れに加えて今年はバレンタインが日曜日だということもあり、学内でもあんまり盛り上がりが無いですしね。でも町中に出かけた人に聞くとやはり、カード売り 場は大混雑、テスコなどの大手のスーパーでもバレンタインセールを行なっているようです。やはり日本と同じようにイギリスでも盛り上がっているようです。 大学内でも企画は幾つかあります。バレンタインデーということで、恋愛物の映画を上映したりだとか、バーでもバレンタインで夜中までパーティーをやるそう です。僕の在学している大学の場合では4つある内の1つのバー("Underground"と呼ばれている、その名の通り地下にあります)は毎日企画をし ていて(例えば毎週水曜日はカラオケデーとか)チケットを売っているのですが、今回の企画ばかりはチケットを売り出してすぐにチケットが売り切れてしまっ たようです。いやはや恐るべし、イギリスです。イギリスなどの国ではクリスマスが盛り上がるのは当然の事だと思っていましたが、バレンタインデーも結構盛 り上がるものらしいですね。話によるとバレンタインデーはロンドンなどの都会に出ると、カップルがハート型の風船を持って仲良く歩いていたり、レストラン なども予約でいっぱいらしいです。結局、日本のクリスマスと同じような状況なんですね。ただイギリスの場合は男性も女性にカードや花束を送るという点で異 なっていますが、この方が公平な気もします。ここで1つ僕の友達の可哀相な話を。それは昨年のバレンタインデーの事。僕の友達の日本人女性Aさんのフラッ トに可愛いギリシャ人の女性が住んでいたらしいのです。もちろん可愛いから男性は放っておかないということで、バレンタインデー前から花束が数多く送られ てきていたそうです。そして肝心のバレンタインデー当日。当人であるギリシャ人の女性はどこかに出かけてしまっていて、Aさんはフラットにいたんです。も ちろんバレンタインデー当日ということで、数多く花束が送られてくる。けれどもギリシャ人女性がいないということでその花束がInformation Centre(日本で言うと宿直みたいにガードマンが常駐している場所)に一時的に届けられたようなのです。それに困ったガードマンがAさんに電話してき て「頼むからこの花束を取りに来てくれ」と言いました。もちろんAさんは嫌だったのですが、ギリシャ人女性はいないし、ガードマンもしつこく頼むので Information Centreまで取りに行きました。そして花束を沢山抱えてフラットに帰る途中、花束を沢山抱えたAさんを見て、見知らぬ男性達はAさんを冷やかしまくっ ていたそうです。まあ、誰でもバレンタインデーに花束を沢山抱えていたらそうだと思いますよね。Aさんはその時、「違うんだよ、私じゃないんだってば」と 心の中で寂しく突っ込んでいたそうです。御愁傷様でした。

このようにイギリスでのバレンタインデーという日を楽しみたいとは思います。でも忙しさの余りそういった状況を楽しめなくなってしまってい る自分が少し寂しくもあります。明日バレンタインデーも結局は何の予定も無く、エッセイをやるために寮と図書館の往復になりそうですし。。まあこれこそ学 生のあるべき姿と言えばそうなのでしょうが、せっかくの1年間という貴重な期間。遊びに勉強にとイギリスを満喫したいというのが本音です。でも実際は勉強 に専念すると遊びの方が疎かになってしまうし、遊びの方に専念すると勉強が疎かになってしまうしで、なかなか両立が難しいんですよね。もう少し器用に生ま れてくれば良かったのですが、こればかりはどうしようもないようです。唯一嬉しい知らせは2月14日のバレンタインデーに大学時代の同級生Nちゃんが結婚 式を挙げる事。日本にいたら行きたかったのですが、残念ですね。電報だけは送りましたが、大学時代の同級生の女性第1号ということで是非行って花嫁姿を見 たかった。本人からの事後報告を楽しみに待つ事にしましょう。おめでとう、Nちゃん!!

2月5日

掲示板にも書きましたが、昨日散髪に行ってきました。今その可愛い髪型で2月5日になりたての時間にこの日記を書いています。そこで感じた事は、以前にも 書いたかもしれませんが、やっぱり海外に来た所で日本で染み付いた生活習慣というのはなかなか抜けないものだということでした。僕は日本にいる時から、人 ごみが苦手でウィンドウ・ショッピングなんぞしたことがありませんでした。町中にでるのは何か買わなければいけないものがある時だけ。そしてせっかく出て も必要なものを買ったらすぐ帰るのです。せっかくイギリスに来たのに、この習慣は続いています。誰か友達と行こうという話になれば喜んで行くんですけど ね。もしかすると自分では独り上手だと思い込んでおきながら、逆に独り下手なのかもしれません。

このようにイギリスに来ても町に出かけるという機会が殆ど無いので、それに伴って髪も伸び放題になっていました。さすがに昨日は自分で嫌気がさして 切りに行った訳です。イギリスに来て初めて散髪屋(こういう表現を今でもするのだろうか。。)に行ったのですが、行く前から嫌な予感はしていました。「切 りに行ったら、めちゃくちゃ短くされる」とか「アジア系は前髪を降ろして揃えるという変なイメージがあるから、切りに行ったら、前髪をぼっちゃんみたいに 揃えられるとか」。。。前者の方は確かなようで、切りに行った人みんながみんな面白いように短くなりすぎて帰ってくるののです。まあ、僕はいつもまとめて 切る方だったので、その事に関しては全然心配していなかったんですけどね。

そして今日いよいよ行きました。僕はあんまりこぎれいなお店は嫌いなので、丁度良いあまり一目につかないお店を選んで入りました。イギリス の散髪屋で面白いのは"Dry Cut"というものがあることです。これはその名の通り、髪をばさばさ切っていってシャンプーもシェイビングも何もせずにはい終わりというサービスです。 これはものの10分もあれば終わってしまいます。僕はそのサービスを選びました。そして座った僕を見て、さすがに店員さんもちょっと呆れていたみたいでし たね。そりゃそうでしょう、もう落ち武者状態でしたから。そこで店員さんが髪を切り始めたのですが、僕は日本にいる時から髪を切る人の感性に任せて何も注 文はつけないことにしています(というより面倒臭いし、とにかく切ってくれれば良いというだけですが)。店員さんがいろいろ切りながら聞いているのです が、「うん、うん良きにはからえ」で、全く何も言いませんでした。ただ1つ失敗した事。それはチャリ(これって広島弁なのかな?)別名もみあげの部分に来 た時に、店員さんが、「ここは切る??」って聞いてきたのに、そのまま惰性で「うん」と答えてしまったのです。「あっ」と思った時には時既に遅し。。。哀 れにももみあげ君は床へひらひらと舞い落ちていきました。片方切られてしまったら、さすがに片方だけ残す訳にはいけないですよね。もうしょうがないので、 あきらめました。さようなら、もみあげ君。それにしてもお店にもよるんだろうけど、僕が行ったお店の人はテクニックも何もありゃしない。まさに普通のはさ みでも使っているような感覚で無造作にばさばさ切っていくんです。これなら、僕にもできそうだよなあと思いました。そして約10分間で終了。値段は 5£50(約1000円ちょっと)。これでこの値段は高いと思いませんか?日本だったら安い所でも1時間くらいかけて丁寧にやってくれるのにねえ。まあ、 仕方が無いです。そう言えば今日偶然バスで会ったクラスメイトの韓国人の女の子に髪を切りに行くと言ったら、「私は自分の国でライセンスを持っているか ら、今度から安く切ってあげるわよ」と言っていました。今度からは彼女に頼む事にしよう。

という訳でまたしばらくは髪を切りに行かなくても良さそうです。でもせっかくイギリスにいるんだから、もう少し元気に出回っても良いかなと 最近思います。滞在期間も残り約半年になってしまいましたしね。最後に1つ疑問な事。それは髪を切り終わった時に、店員さんがおもむろにティッシュペー パーを1枚僕に渡してくれたのです。あれは一体何の意味があったんだろう。聞けば良かったんですが、何かそんなことも知らないのかと思われそうでちょっと 癪だったのです。しょうがないので知ったかぶりして、身体なんぞを申し訳程度にそのティッシュではたいてみたりしたのですが、どうもしっくりこなかった。 だから店員さんが向こうを向いた隙にさっとポケットの中に隠して知らんぷりしてました。ああ、今になって気になってきた。あのティッシュの意味は一 体。。。誰か知っている人がいたら教えて下さい。

2月3日

先日の日記に、エッセイの評価が返ってきてその評価が予想以上に悪かったためにショックを受けたという話を書きました。今日はその続編を書こうと思いま す。今日、そのエッセイの評価をしてくれた先生に会いに行きました。何故会いに行ったかというと、文句を言う為、ではなく、何故この点数なのかという原因 を知りたかったのです。この先生の授業は今学期もあるので、もう同じ過ちは犯したくないという所でしょうか。人当たりは良い先生なので、「どういう所が悪 いのかをもっと詳細にコメントして欲しい」と言うと快く部屋へと招き入れてくれました。そこで言われたのはエッセイの中のつながり(linkage)が悪 いということでした。でも僕の中では先生の言っているようにエッセイの構成を展開しているつもりだったので、その事を伝えると、「そういう意図で書いたの なら何の問題もない。ただこのエッセイではそれが伝わってこない」みたいな事を言われました。はっきり言ってショックでした。仮にも今まで日本で10年以 上英語を勉強してきていたのに、そのような事を言われたのです。但しそのように言われても仕方がない部分もあります。日本の大学院でもエッセイなどはもち ろん書いてきましたが、修士論文などの重要なエッセイ以外は英語で書く必要が無かったのです。だから日本語で論を展開する事には慣れていても(英語で書く のに比べればという程度ですが)、英語で書くと上手く伝わっていない部分が多かったようなのです。先生は「こっちの大学院に来て初めて書いたエッセイでこ の点数を取れたんだから、全然悪く無い。ショックを受ける程ではないよ。」と言ってくれましたが、やっぱり慰めにしか聞こえませんよね。今度こそはもっと ゆっくり時間をかけて、英語自体も磨きをかけて勝負してやろうと心に誓ったのでした。

はっきり言ってこの先生は人柄の良い先生なのですが、正直に言えば、僕からするとちょっと疑問な発言も多いのです。例えば、言っている事が矛盾だら け(前回言った事と今回言った事が違うとか)、授業中でも「この部分は僕はよくわからないなあ」なんて言ってみたりして。今回エッセイの件について聞きに 言った時でも、最後には「僕の評価基準にも悪い所があった」なんて言い出す始末ですから。こんなことは絶対に思っていても言ってはいけませんよね。そんな 事言ってしまうと、みんなのエッセイの評価が覆ってしまう訳ですから。スポーツの審判と同じで、1回下した判定は決して覆して欲しくない(もちろん、覆っ てエッセイの点数が上がるのは嬉しいですけど)。誰がどう見てもホームランだとしても、審判がファールだと言えばファールなのです。もう少し、断固とした 態度で臨んで欲しかったなあ。実際、ちょっと先生のコメントに疑問はあったものの、大部分は僕自身納得していた訳ですから。このように書くと先生の悪口を 書いているように見えるかもしれませんが、決してそういう意味ではなく、やはりイギリスの大学院で勝負する際に、ネイティブに負けたくないという気持ちの 表れだと思って下さい。指摘されてただ無意味に反発するのではなく、自分で納得できる部分は受け入れるつもりです。但し、ネイティブではないという事に引 け目を感じて、ネイティブが言うから全て正しいんだと思ってはしまいたくないんですよね。今はその気持ちに実力が伴っていませんが、残り約半年でどこまで 両者を融合させる事ができるかが今後の僕の課題だと思っています。

このように悔しいという気持ちが強いですが、それと同時に嬉しいという気持ちもあります。日本で勉強していたら、こんな気持ちをすることは なかったでしょうからね。そういう意味で非常に毎日刺激的な毎日であり、ネイティブではないからと言って容赦はしないという大学の姿勢はとても尊敬すべき 所だと思います。はっきり言って考えるだけならネイティブでもネイティブでなくても同じなんです。だって、一応同じように生まれて同じように勉強してきた 訳ですから。ただそれを言葉にしようとした時に、英語が母国語か、母国語でないかというのが大きな差になってしまっています。本来ならばそのような事では いけないのでしょうが、事実、今学期良い成績を独占したのはネイティブばかりでした。悔しいですねえ、本当に。頑張れ留学生、もちろん僕を含めて。

そんな中、今日フラットメイトがパーティーで余ったケーキをくれたので、ちょっと上機嫌になってしまう単純な自分が可愛かったりする今日この頃でした。

2月1日

いよいよ2月も始まりました。最近日本にいても月日の流れる早さを感じていたのですが、イギリスに来てからというもの体感速度が倍増しているような気がし ます。滞在予定が1年1ヶ月ですから、今月で折り返し地点の6ヶ月目に突入することになりました。この半年間一体何が進歩したかと考えると、反省する部分 も多いですが、一日一日を大切にこれからも過ごして行きたいと思います。

最近学期が始まったせいもあり、大学の外に出る機会がめっきりと減ってしまいました。その分、どこでストレス発散をするかというと、物欲の無い僕の ことですから、睡眠を取るか料理を作るかです。後者の方は必要に迫られてという部分も大きいです。元々料理を作るのは嫌いではなかったので、僕なんかは苦 痛ではないのですが、やはりイギリスに来て外食をすると高くつくし、あまりおいしくないので、みんな自炊をするようになってきます。だからどんなに料理が 下手な人でもイギリスに来ると料理が上手になるなんて言われています。ちなみに僕の今日の献立は、ほうれん草のおひたし、焼き魚、ポテトサラダ、タマネギ と卵のおみそ汁、そして御飯でした。とっても日本人してるでしょ。こちらに来て何だか料理のレパートリーが増えたような気がします。結構料理を作るのっ て、娯楽が少ないキャンパスの中においては良い息抜きになったりします。イギリスに来て間違い無く成長した事と言えば、料理が上手になったということで しょうか。友達の間では、「イギリスで居酒屋を開けば?」なんて言われています。そういう道も面白いかななんて思う今日この頃です。

イギリスの食事と言えば、oilyかつheavyです。典型的なものとしては、イギリスの代表的な料理(??)フィッシュアンドチップスで しょう。このように、日本食で言えば御飯代わりにチップスというのが普通です。たまに食べるとおいしかったりするのですが、これが毎日続くと僕なんかは耐 えられません。一時期本当にイギリスの食事に嫌気がさして、買い物にも行かずパンばかり食べていた日々がありました。でも日本食中心の食事にしてからは健 康になってきました。やっぱり食事というのは大切ですね。欧米人からすれば、日本のお味噌や醤油なんていうのは変な匂いがして、食べられたものではないの でしょうが、僕からすればイギリスの食事は食べられたものではありません。育ってきた環境でここまで味覚も変わってくるものなんですね。イギリスに来て自 分が日本人だなと感じる瞬間、それはやはり日本食を食べてほっとしている時かもしれません。

1月27日

ああ、ようやく今日一段落つきました。金曜日に、3000語のエッセイ、月曜日に1500語のエッセイ、水曜日にオーラルプレゼンテーションとここ数日間 盛り沢山でした。もう少し余裕を持ってやれば良いんですけどね、なかなか僕の性格上できないんですよね。そして1つの事が終わらないと次の事を出来ない性 格なので、エッセイが重なった時には平行してやることができない...。これは結構深刻な問題です。今学期こそは余裕を持ってやりましょう。と自分に誓っ ています。

今回のオーラルプレゼンテーションは2~30ページの論文を読んでレビューし、それに対する意見を述べるというものでした。けれどもその論文の量、 制限時間が5分ということを考えると、どうしても入り切らなかったのです。だから今回はあまりしたくはなかったのですが、発表用の原稿をばっちり一語1句 考えていきました。そのお陰で時間内におさまったのですが、問題が1つありました。それは何と自分の書いた字が汚すぎて読めなかったのです。やっぱり発表 ということで緊張する、そこでまた原稿に基づいて発表しようとするから困ってしまって....。まあ、今回の発表は評価に関係ないものだったので、良かっ たのですが、これが実際に評価に関係のある発表だったらと思うとぞっとします...。やっぱり今度から発表する時はアウトラインだけにして、細かな文はそ の場で考える事にしようと思いました。はぁ、それにしても緊張した。

それはそうとして、最近の僕のフラット事情について。僕のフラットは大学院生専用で、4人でキッチンを共用しています。1人はフィンランド 人、1人はシンガポール人、そしてもう1人は日本人。実は今までいろいろ問題があって(これはちょっとここでは述べられないのですが)、あまり仲が良くな かったのですね。でも最近よく話をするようになってきました。そのきっかけはフィンランド人の女の子がある日カード(入り口のドアを開けるためのもの)を 忘れて出かけてしまったのです。その時に、呼び鈴を鳴らして僕に開けてくれと頼んだのです。そこでもちろん開けてあげたのですが、そんな些細な事から少し ずつ話せる関係が築けるようになってきました。シンガボール人は彼女と同棲しているのですが、この人もまた良い人で最近話すようになってきました。やっぱ り大学院生になるとフラットでの生活がメインになってきますから、フラットメイトとの相性は重要です。それが最近良い方向に動きつつあるので、ちょっと一 安心って所ですか。これからが楽しみです。まだ1つ実は解決できていない問題があるんですけどね(勘が良い人ならわかるかもしれないけど...)。まあ、 お茶を濁して言うと共同生活である以上、お互いを思い遣る気持ちが必要で、自分勝手に行動してしまうと良好な関係は築けないという所でしょう(わからな いって??知りたい人はメールで御連絡を。。個人的にお教えします)。

忙しいながらも、最近本当に私生活でも勉強でも充実した毎日を送っていると実感します。気付いてみると、もう留学生活の半分近くが終了してしまいました。このままの調子でラストスパートには早いけど、がんばっていこうと思います。ではでは。

1月26日

久しぶりの日記です。先週末から課題の提出が2つ続き、ようやく昨日終わりました。そこでささやかな祝杯をあげて、また現実に戻っている所です。エッセイ の提出あり、秋学期に提出したエッセイが帰ってきたりとイベントが続いています。ま、全部学校関係のイベントというのが寂しい気もしますが...。

僕が在学している大学院では1学期に4科目×2時間、それが2学期続いて最後の学期は論文を書き上げるというシステムになっています(これは多少の 違いこそあれ、どこのイギリスの大学院でも同じだと思います)。僕は日本でも大学院に在籍しているのですが、ここでやることは殆どが自分にとって未知の分 野ばかりです。全く自分の専攻分野から外れているという訳ではないのですが、ここまで沢山の分野があるという事に最近驚いています。具体的には僕は日本で 英語教育を専門にしていたのですが、こちらでは応用言語学を専門にしています。もちろん応用言語学の中にも教育は含まれてくると思うのですが、どちらかと いえば言葉にも表れているように、理論的な事(言語学など)を応用していかに教育に生かすかという事が応用言語学では重要です。それに対して英語教育でも もちろん様々な分野からの応用は行なわれていますが、理論よりも実践という言葉の方がより重要視されている気がします(この両者の定義については恥ずかし ながら自分でも模索中なので、また時間がある時にでも調べて『最近思う事』か『英語/英語教育』でアップしたいと思います)。日本の大学で言えば、英語教 育は教育学部的なこと、応用言語学は文学部英文科の英語学的なことをやっているんですね。だから日本では聞いた事はあってもやったことがなかった普遍文法 であるとか、音韻論などを苦しみながらやっています。正直言って新しい事ばかりなので、苦しい部分も多いです。でも楽しい部分の方が大きいです。せっかく 1年という期間限定で来ているのですから、日本での貯金を使いながら生活をしても良いのですが、それでは意味がないような気が僕自身するのです。だから日 本でやっていたような英語教育分野の授業ももちろんあることはあるのですが、敢えて今までやった事が無かったテーマを選んでエッセイを書くようにしていま す。その背景にあるのはもちろん勉強になるということ、そして逆にこれが日本に帰ってからの貯金になるということでしょうか(後者の方が大きいかも)。

先日の日記にエッセイの評価が低くてショックを受けたということを書きました。それはやはり10週で新しい事をやって良い評価を取ろうとす るのが間違っているのかもしれません。でもそれは言い訳にしたくはないですね。いくら相手が今までに専門にやってきた人であったとしても、ネイティブで あったとしても、やるからには勝ちたいという気持ちは常に持っています。現段階では恥ずかしながら両者に勝つ事は出来ていませんが、ここにいる間に少なく とも1度は勝って帰りたいと思います。これが単なる戯言にならないように、必死の努力をしなければいけませんけどね。前の学期はちょっと中盤で遊び過ぎて しまったので、今学期こそは最後までやろうと思っているのですが、みんな最初はやる気まんまんなんですよね。この気持ちが何時まで続くかが問題だ。

今学期の抱負『1に勉強、2に勉強、3、4が無くて5に遊び』結局遊ぶんかい!!(でも後者もとっても大切...)

1月23日(土)

みなさんお久し振りでございます。徹夜明けのぼけっとした状態でこの日記を書いています。こういう状態なので文章に脈絡が無いかもしれませんが、お許し下さい(こう書いている間にも何度も打ち間違えてしまう。。。)。

最近とっても学生しています。金曜日には1つの課題の提出があり、徹夜で死んでいました。今度の月曜日にもう1つの課題を提出なので、それが終われ ばほんの少しだけは余裕ができると思います。というか、そのはずだったのですが、何を血迷ったか、水曜日の授業での発表(ボランティアだったにも関わら ず)に自ら手を挙げてしまい、やらなければいけないのです。ほんとに、何を考えているんでしょ、僕は。。。ま、これは評価には関係ないらしいし、5分間だ けなので月曜日の課題が終わった後にでも準備して備える事にしましょう。一応自分から希望して留学しているわけですしね。自らこういった忙しい状況へと追 い込むのも良い事なのかもしれません。お陰で日本にいる時には殆ど味わう事の無かった良い意味での緊張感を味わってますし。

そうそう1つだけショックな事がありました。前の学期に出していた課題のエッセイの評価が昨日帰ってきたのです。その評価の悪かったこ と。。。。日本みたいに、A,B,C,Dという評価では無いので単純比較はできないのですが、自分の予想していたものよりは全然悪かった。自分では評価を みるまでは、日本でいう所のA評価は取れるかななんて甘い考えだったのですが、そんな事は無かったですね。やっぱり厳しい。。。かといって強制送還に至る 点数では無かったですし、日本の評価で言えばB(多分ね)に入ってはいると思うので前向きに考えなければいけないですけどね。こういう経験も日本の大学院 では最近味わっていなかったので、ショックは大きかったです。ただ逆に(僕にありがちな前向き思考って奴です)考えれば、こういう今までなかなか味わう事 のできなかったショックを味わえたっていうのも有り難いっていうのかな。日本にいれば、こんな厳しい思いをすることはなかったのかと思うと、良い経験で す。

そこで感じるのは日本の大学院とイギリスの大学院(というか僕がいる大学院)の違いです。日本の大学院は、小数精鋭で、大学の先生は学生を 育てる義務がある。だから一応授業で先生の言う事をこなしていけば、それなりの成績がもらえますよね。もしも先生の元についてやっていて成績が悪ければ、 それは先生の管理能力に責任があるという話にもなりかねません(実際、そういう話を何度も聞いてましたし)。それに対してイギリスの大学院は、全く逆で す。人数は日本の大学院と比べ物にならない位多い(しかもイギリスの大学の学科の人数よりも多かったりする)。そして先生は一応エッセイなどの相談には 乗ってくれるけれども、結局の評価は学生の実力次第。成績が悪かろうが、良かろうがそれは学生自身の問題なのです。そこで僕がショックだった話へとつなが るのです。今回僕が評価をもらったエッセイは提出前に先生に見せていました。そして、いろいろ「構成はおかしくないですか?」とか「つながりはおかしくな いですか?」と聞いて、先生は「O.K.だ」と言っていたんです。日本だったら、先生からO.K.が出ていれば間違い無く良い成績は取れます。それが取れ 無かったもんですから。。。

ここで今のイギリスの大学、大学院の状況を述べたいと思います。イギリスの大学、大学院と言えばみなさんの中にはまだエリートが行く場所だ という感覚がある方が多いかもしれません。確かに、それは数年前まではそうだったようです。イギリスの大学進学率はわずか2、30%でしたし、大学院も小 数精鋭でした。それがみなさんも御存じのように、長引く不況で大学側も資金不足に悩むようになってきました。そこで昔は無料同然だった大学の授業料を徴収 する代わりに、門戸を広く解放する事にしたのです。それはここ数年で大学進学率は90%近くなったこと、大学院の人数が2、3倍になったこと(これはあく までも僕の学科の場合ですが)をみてもわかります。みなさんも試しに大学院に応募してみればわかりますが、殆どの場合受け入れてくれます。

僕は日本の大学院、イギリスの大学院のどちらが本来の姿なのかわかりません。確かに成績は自分の実力次第というのは間違っていないと思いま す。但し、高い授業料を取って学生に提供するのは勉強する『場所』だけであるというのは僕にはあまり納得がいかないですね。数年前までの状況は僕自身が体 験していないので、知る由もないですが、人数がここまで増えてしまった今の状況では学生を育てるというのは、はっきりいって不可能だと思います。このよう な状況が続けば、逆に学生数は減っていくような気がするんですけどねえ。どうなんでしょうか。あまりにも僕が在籍する大学は学生をほったらかしにする為 に、自殺率が高いそうです(実際、僕がここに来てから、1、2件ありました。恐ろしい。。。)。まあ、まだ先は長いのでもう少し状況を見極めてまたこの話 題に触れたいと思います。久し振りにちょっとダークな日記でした。みなさんはどう思いますか???

1月18日(月)

いよいよ、1ヶ月という長い沈黙を破って新学期がスタートしました。冬休み中は、前の日記にも書いたように、キャンパス内に人がほとんどおらず、僕は人と あまり会う事なく自分の部屋で課題に取り組んでいました。けれどもどうしてもやる気が起こらず、このホームページを作るなど現実逃避をしていたんです。で も今日から早速授業に行ってみて元気になりました。やっぱ良いですね。キャンパスの大きさの割には学生数が多いので、どこに行っても人だらけなのですが、 沢山の刺激を受けます。1ヶ月間、恥ずかしながら英語を使う機会が殆ど無かったのですが、今日知り合いに久し振りに会ったりして英語を話してとても楽し かったです。やっぱりこうでなきゃね、留学は。元々長年留学を夢に抱いて実現しただけに、今回のチャンスにかける気持ちは大きいのですが、冬休み中はその 気持ちが萎えかけていました。でも今日でまた復活!!これから授業も続くし、生活のリズムも築けるので、大変ながらも楽しい毎日が続く予感がします。平日 は勉強して、週末は飲みに行ったり遊びに行ったりね。また新たに気持ちを入れ替えて今学期10週間を有意義に過ごしたいと思います。また、イギリス留学日 記らしい日記をアップできるようにがんばりますね。これからもよろしくお願いします。

1月15日(金)

最近お勉強モードに入ってはいるのですが、僕にとっての一番の敵は睡魔です。昔から僕の事を知っている人はわかるように、僕はあまり欲がありません。その 代わり、睡眠時間というのは僕にとってかけがえの無い至福の時なのです。昨日も夜12時頃眠くなっていて、本来なら爆睡をして幸せを噛み締めるところなの ですが、課題が山積みなため、「よし、午前3時に起きよう」と意気込んで目覚ましをセットして寝ました。それが運の尽きでしたね。何度も繰り替えしている にも関わらず、はっと気が付くと朝の5時。見事に寝坊してしまいました。これからはノルマを達成してから寝る事にしよう!!(これも僕のいつもの口 癖...)。でもストレスが溜っている時ほど眠くなるのはどうしてだろう??みなさんはこんな経験ありませんか?

話は変わり、ちょっとイギリスに関わる話を...。これはイギリスに限られた事ではないと思うのですが、欧米の人というのは自分を表現するのが上手 と良く言われます。但し、これは悪い言い方で言えばとても自己中心的だとも思えます。この欧米人に対する感想は、現在アメリカ留学中のMasato氏も抱 いているみたいです。例えば、レストランなどに行った時、日本だったら店に入った途端どんなに店が忙しくても「いらっしゃいませ~」と店員が挨拶をしてく れて、「うん、うん、良きにはからえ...。」なんて気分で食事ができますよね。でもイギリスでレストランなんかに入って注文を言うためにレジに行くと、 目の前に店員がいるにも関わらず、のんびりと料理を作っています。まるで僕の存在なんかないように....。そして気が向いた時に、"Can I help you?"だって。「遅いっちゅうねん!!」と突っ込みたくなる事がよくあります。どう考えても忙しそうではないんですけどね。そういう突っ込みを入れた くなるような経験は図書館でもありました。それはクリスマスの事でした。クリスマスということで、その日はいつもは夜10時まで開いている図書館が午後1 時に閉まると予定表には書いてあったのです。そこで、休み中の課題の資料をせっせとコピーしていたのですが、何と12時に閉館を知らせるブザー が....。「えっ!!」と思い、図書館員に「今日は1時まで開いているって書いてあったよ」と言うと、「でもブザーがなったでしょ。だから閉館。」と一 言。さあ、みなさんも御一緒に、「どないやっちゅうねん!!」。ほんとうに自己中心的というか何と言うか。良い言い方で言えば日本人と違ってあくせくして ないということなんでしょうけどねえ。それにしてもそれに対して一言謝りの言葉があれば良いと思いません?でも滅多に謝罪の言葉を聞くことなんてありませ ん。"I'm sorry."なんて言葉は死語なのか??"I'm sorry ABOUT THAT."という表現は時折聞くんですけどね。どうも心がこもっていないような....。

よく欧米のスタイルは見習うべきだと言われるじゃないですか。でも僕自身のここまで留学してきた中での感想は、「確かに見習うべき部分もあ るが、日本人だって捨てたもんじゃないぞ。」ということですかね。ただもちろんイギリス人は憎めない人達ですよ。良い言い方で言えば、のんびりしているだ けですからね。僕の友達でイギリス生活が長い人は、「ここに来たら何でも誇張して言わなければ相手にしてもらえない」と言っていました。日本の大学と同じ ように大学内に診療所があって診察は無料なのですが、単に「風邪をひいた」とだけ言ったら相手にしてもらえないそうです。そんな時には死にそうな声をし て、「インフルエンザで熱が40度くらいあるんだ...。」と言ってみましょう。きっと診察してもらえるでしょう。そう言えば、イギリスで救急車を呼んで も下手をすると、「タクシーで病院まで行きなさい」と言われるとか...。不思議な国、イギリスです。

ちょっとこの日記の文体がお笑いに走りかけてるかも...。気を付けよう。

1月13日(水)

今日は料理を作りたくない気分だったので、大学内のカフェにハンバーガーセットを買いに行きました(いわゆるハンバーガー、ポテト、ジュースの組み合わ せ)。日記にも書きましたが、この前の日曜日にカフェに行った時には人はほとんどおらずし~んと静まり帰っていたのですが、今日行ってみるとカフェが人で ごった返していました。それもそのはず、今度の学期が来週の18日(月)から始まるのです。今まで休みボケで何だか実感がわかないでいましたが、1ヶ月振 りくらいにクラスメイトに会ったりして、いよいよ学期が始まるということを実感してしまいました。

冬休み中の現実逃避を兼ねて始めたこのホームページ、現在はほぼ毎日のように更新できていますが、さすがに学期が始まると毎日という訳にはいかない でしょうね(これで毎日していたら、笑ってやってください)。こういった日記を毎日のように書き続けるというのは、そんなに重労働ではないのですが、各々 のページをアップするというのは僕にとってまだまだ重労働です。だから、学期が始まれば週に1、2回くらいの更新というか、アップを目安に頑張って行きた いと思います。これからも見捨てないで応援して下さいね。1ヶ月近くあった冬休みを、現実逃避気味に過ごしてしまったのは後悔しています。「ああ、もう少 し早めにやって、早めに終わらせておけばこの1週間はゆっくりできるのになあ。」なんて最近いつも思います。もちろんきちんと計画的に課題をこなしている 人はこなしているのですが、この状況は世界共通のようですね。僕の友達のシンガポール人は僕と同じだけの課題の数をこなさなければいけないのですが、この 前の月曜日に一緒に食事をした時、「まだ全然取りかかっていない...。」なんて嘆いていました。やっぱり毎日何もないというのはペースをつかみにくいん ですよね。1週間に1回か、2回だけでも、何らかの行事があれば、それを目安にがんばることができるのですが、1ヶ月間何もないっていうのはやっぱり僕に は向きません。こうやって苦しい思いをして、いつも「今度こそは早めに取りかかって後で楽しよう!!」と思うのですが、喉元過ぎれば何とやらで、すぐこの 苦しみを忘れてしまうんですよね。反省しないと....。そう言えば、シンガポール人も僕と同じ状況とは言え、相手は英語が公用語の国、同じに考えてしま うと後悔しますね。何せ、エッセイを書き上げるのにもこっちはアイデアをまとめるだけではなく、英語自体も考えなければいけませんからね。ああ、がんばり ましょう。

こんな感じで今は愚痴のような事を言っていますが、学期が新たに始まったらもう少し『イギリス』という言葉に関連した日記を書けるようにが んばります。あまりにも愚痴ばかりこの日記で続くようだったら、『Ozawaの今日の愚痴』とでもタイトルを変更しなければいけません。何はともあれ、学 期開始まであと少し。有意義な留学生活を送れるようにがんばります。

1月10日(日)

冬休みも残り1週間、そろそろ課題も大詰めです。さて、今はキャンパスの中に住んでいるのですが、休み中ということで学内の機能もほぼ停止しておりあまり 出歩く事がありません。今日は久し振りに寮の部屋から出て、洗濯をし、学内のカフェでイングリッシュ・ブレックファーストを食べました(僕の事をよく知っ ている人は、『Ozawaが朝食!!』と驚くかもしれません。でも誤解なきよう。夜型のまま朝に突入しているので...)。学期中は、それはもううんざり するくらい人がいるのですが、今日のカフェはもう僕専用状態でした。日本にいる時から人ごみは苦手だったのですが、ここまで人がいないと逆に寂しい気もし ます。人間まさに無いものねだりですね。僕のフラットは4人住んでいるのですが、何と今いるのは僕だけです。みんな優雅に休暇を楽しんでいるというのに、 僕は一体何をしているんでしょうか。はい、勉強している(??)んです。ま、それはいいとして寮もやっぱりし~んと静まりかえっています。この寮は壁が薄 くて特に共用のキッチンのドアは人の出入りが多いと、バタンバタンと音を立てこののんびり屋の僕でさえイライラするのですが、その音も全くしません。ここ まで静かだとちょっと落ち着かないかもね。でもまた学期が始まってみんなが帰ってくるとイライラするんでしょうけど...。

留学、それは予想以上に精神的に大変な事です。どんなにひとり上手な人でも寂しくなってしまう。この僕でさえ時折寂しくなってしまうんですから(そ このあなた、笑わないように)。やっぱりその原因としては言葉が一番大きいでしょう。自分の思う事を何の不自由も無く話す事ができるというのならば、問題 ないでしょうが、僕はまだそのレベルには程遠いもので...。イギリス人のグループの中でポツンと外国人は僕1人で飲んでいるという状況が、今までに1回 ありましたが、その時はもう何が何やら...。もうちょっと英語が話せるようにならないといけませんね。でも自分が満足できる状態になるには一生かかって も無理かも知れませんけど...。ま、ぼちぼちと行きましょう。

そうそう今日は1ヶ月に1回、Korean Shopが来る日です。エッセクス大学はアジア系の学生が多い(一番留学生が多い国はギリシャという噂)大学なので、月に1度アジア系の食材を売りに車が やって来てくれるのです。ロンドンまで遠いし、アジア系の食材はなかなか手に入りにくいので重宝しています。月に1回ということで、何時も来る時には長蛇 の列ができます。でもこのKorean Shopにも弱点が2つ。1つは、やはり価格が高いという事。まあ、これはどこでもイギリスなら一緒なのでしょうがないです。2つめは、言葉が韓国の言葉 なので、下手な食材を見た目だけで買ってしまうとどうやって料理して良いかわからないのです。一応料理の仕方は書いてあるのですが、さすがに読めませんか らねえ。まあ、今日も負けずに買いに行ってきます。そう言えば、僕の友達で現在ウォーリック大学に留学中のNanakoも大学にKorean Shopが来ると言っていました。この2つのお店が同一の物かどうかは未確認です。確認でき次第報告します。

1月7日(水)

いやあ、ようやくホームページが完成しました。下書きは出来ていたのですが、アップロードのやり方が全然わからなかったもので...。最初は大学のスペー スにアップロードしようと思いましたが、どんなにがんばってもできないので、あきらめて無料のスペースを借りる事にしました。そのお陰で広告が至るページ に入ってしまっていますが、御勘弁を。ここまでやって1つ失敗を発見。このホームページの経営サイトであるGeo Citiesは実は日本にもあったんですね。だからGuestbookの部分も、日本のサイトでやっておけば日本語で表示されたとうことなんです。やり直 してアップロードすればいいだけなんですが、面倒臭がりなもので止めました。それに遠い将来には英語版も完成させようと思っているので、そのときにはこち らの方が便利ですしね。

下書きは出来ていたものの、いざ一旦アップロードが出来ると、どんどん欲が出てきていろいろと付け加えてしまいました。一番最初にアップロードした 段階のホームページを御覧になった方は、この変化にびっくりするかも(??)。でもまだまだ初心者なので勉強の合間にホームページの勉強もしようと思って います。実はHTMLの仕組みは全然知りませんし、知る予定もありません。それでもホームページが出来てしまったということで、僕と同じような初心者の方 が一念発起してホームページを作ってみよう!!とか思ってくれたら嬉しいです。何せ、僕でも出来たんですから..。最近大学時代のサークルの後輩達を始め として、多くの人がホームページを作っています。やはり若い(と言っても1、2歳しか違わないけど)人たちは、こういうのを学ぶのが早いですね。彼/彼女 らのホームページを見ると、自分のホームページは情けない限りです。それはさておき、ホームページを通じて、ここ数年会っていない人たちの近況を知る事が できるのは嬉しいです。e-mailさえ、日本ではあまり普及していませんが、それでさえ、最近僕の大学の同級生の半分近くはメールアドレスを持つように なってきました。世の中便利すぎて恐いです。

今後のこのホームページは日記を中心に更新していく予定です。肝心の真面目な部分、『英語/英語教育』などの部分はまだ未完成なのでそれも早く仕上げなければいけません。もうすぐ新学期が始まってしまうので、どうなるかはわかりませんが...。 とにもかくにも、今後末永く可愛がってやって下さい。

12月30日(水)

今年ももう終わりですね。早いものです。そうそう昨日久し振りにロンドンへと行ってきました。今回イギリスに来てから2回目です。前回行ったのが10月の 始めだったので、約3ヶ月振りです。学期中は何かと忙しくてロンドンまで1時間で出ることができるとは言え、なかなか機会がないんですよね、これがまた。 前回は日本で友達だった子が時を同じくしてウォーリック大学に留学しているので、その子とロンドンで会おうということで会いました。バッキンガム宮殿に 行ったりハロッズデパートへ出かけたりと、この時はまさに観光しました。でも今回はまさに前回とは対照的。今回行った所は、丁度クリスマス後のバーゲン セールということで、ベネトンなどの有名所のお店のショッピング(でも何も買わなかった)。その後、アジア系の料理に飢えていたので、中華街でお食事(お いしかったーー!!)。そして午後はメインの日本食の買い出しへと出かけました。ピカデリーサーカス付近にそういうお店は揃っています。日本食料品店 ARIGATO(面白い名前ですね)、そして日本関連の商品を食料品から週刊誌まで置いているJAPAN CENTREをはしごしました。これで何とか年末年始日本人らしい生活が送れそうで一安心です。

それにしてもイギリスに来て4ヶ月が経過しようとしていますが、食事だけはやっぱり慣れません。幸運な事に寮が自炊なので、自分で日本食もどきを 作って食べる事ができるのですが、やっぱり困るのは調味料を始めとした日本独特の食材です。 近くのスーパーで醤油、日本酒は手に入るのですが、みりんや麺類などちょっとしたものがなかなか手に入りません。例えば、お好み焼きをしようと思って材料 は揃ってもお好みソースがない、とか....。だからこういう機会を見つけては買い出しにでかけたりするのですが、問題なのはやっぱり値段!!みりんが1 本1000円とか、梅干しがすこしだけ入っているものが1000円とかすると、日本では何気なく買っていたのに、どうしてもためらってしまいます。もしも イギリスに何年間も滞在して毎日毎日日本食を食べるとしたら、間違い無く破産してしまうでしょうね。僕の場合1年間という期間限定だから良いですが、イギ リスに長年滞在している人なんてどうしているんだろう..。 やっぱり僕は日本人ですね。JAPAN CENTREでたこ焼きやお寿司のパックを見た時は感動してしまいました。これまた高くて買えなかったのですが、いつかは贅沢して食べてやる!!こんな可哀相な僕に日本食の支援を!!

12月

やっぱり予想通りでした。エッセイの締め切り前は死にました。まあ、でもとりあえず今学期も終了!!成績は恐いけど気にしないことにしましょう。キャンパ スは休みに入りし~んと静まりかえっています。あんなに活気に満ちあふれていたのが嘘みたい...。人ごみは嫌いなので学期中は「あ~」と思う事もあった のですが、ここまで静かになってしまうと何ともかんとも寂しいです。

11月

気付いたら11月になっていました。月の流れるのは早いものです。何とか生きています。でもやっぱり勉強中心の生活ですね。それにしても授業の進度が早す ぎる!!最初は正直言ってなめていたものの、授業の進度の早さにびっくり。予習をするだけで精一杯です。これにエッセイの締め切りが迫って来たらどうなる ことやら..。

10月

いよいよ大学院生活が始まりました。イギリスの大学は小数で行なうということを聞いていたのですが、全然でした。何しろここ数年の教育改革で大学への進学 率が約30%から90%くらいまで上昇したのです。この異常な上昇率からみてもイギリスの高等教育の歪みが見えてくるでしょう。ちょっと期待外れでがっか りしながらも何とか生活を続けています。

大学内にバーを始めとして何でも揃っているのはびっくりです。下手をすると大学の外に出なくても生活できてしまいます。まあ、それもそのはず。一番 近いスーパーマーケットでさえ歩いて20分位かかってしまうので、大学内で用を足せないととんでもないことになってしまいます。

9月

いよいよ念願の留学へ。とは言え人生25年の中で2回目の海外旅行ということで、飛行機に乗る時はドキドキしました。イギリスのヒースロー空港に到着する と入国審査があるのですが、そこで久し振りに聞いたイギリス英語で「ああ、俺はイギリスに来たんだなあ....。」と感じました。イギリスに到着したのは 午後4時過ぎで結局大学に到着したのは午後9時頃でした。やっぱり1人見知らぬ土地に投げ出されたという事で心細かったです。9月は10月から本格的に始 まる大学院生活のための準備期間。結構フラットメイトとも仲良くなり楽しい1ヶ月間を過ごしました。大学の中は緑も一杯!!至る所をうさぎやリスが走り 回っています。こういった土地の使い方は日本にはないですね。日本だと余った土地を見るとすぐに何か作ってしまうから...。

まあ、何はともあれイギリス生活の始まり。頑張らなければいけません。