第28回 櫟まつり(2024年10月20日 開催 道後ふなや)
スローガン---「次へ、進む」
今回は新型コロナもやや収束の気配の中で、去年に引き続きの櫟まつりの開催となった。
講演者は「かつらぎ」主宰の森田純一郎氏。
会場は恒例の,松山は道後の「ふなや」にて開催された。
天候はやや曇りがちな肌寒く感じられた一日であった。参加者は愛媛県下はもちろん,各地から
からも会員が参列し、去年と同様に総勢114名と大盛況であった。
祭りの企画は去年と同様に末次朗氏、松田六呉氏を中心として綿密に立てられた。
司会は午前の部は松田かをり氏、午後は渡辺寿美氏により、どんぐりトーナメントは種谷良二氏のもとに
執り行われた。
まず祭り開催の前に、櫛部天思副主宰により、2024年に逝去された2名への黙祷の儀が捧げられた。
村上愛子氏 2024年4月30日没 99歳
「寝すごして急ぐパーマ屋冬ぬくしむ」
井門忠士氏 2024年6月29日没 94歳
「全山の芽吹き促す鐘一つ」
その後、司会の進行をもとに勧められた。
主宰の講話の要点としては
「基本に戻る、読むこと大事、書く事大事の5分5部の割合で俳句に取り組んで欲しい」
とのことであった。
その後,櫟賞、新同人の紹介、特別作品の表彰等が行われ,受賞者の一年間の努力
に会員一同,惜しみない拍手を送った。
森田純一郎氏の講演内容は「写生句のよろこび」と題しての内容であった。
1.阿波野青畝の「俳句のこころ」
⑴良い俳句とはものをよく見る事
⑵意味の分かる句で生命力の感じられるもの
⑶流行をとりいれることも大事。
2.「主観と客観についてのたとえ話」
要約 主観がなければ客観なし。
主観と客観は表裏一体である。
3.阿波野青畝の3例句
葛城の山懐に寝釈迦かな
水揺れて鳳凰堂へ蛇の首
さみだれのあまだればかり浮御堂
4.森田峠について
⑴岸本尚樹氏の峠評
師の青畝は天才、峠氏は凡才で」写生と諧謔の融合」と喝破。
峠句は否定表現が多い。そんななかに峠氏の一種の逆説てきなオリジナリティがあると思われる。
⑵峠俳論集「写生のこころ」の紹介
一歩の新しみは出せずとも新しみを出せれば良し
写生句は意味情景が明確でなければならない。もちろん、言わなくても良いことは省略すればよい。
5.峠の代表句2句
箱河豚の鰭は東西南北に
かんじきを最も戸口近吊る
見たことから感動を選びと言う主観にして客観の真意。
平明に読んで感動と発見、面白さを追求した。
6.森田純一郎氏の考える写生句とは
⑴自身の目にしたものの感動を詠む
観光パンフレットてきなものはダメ
⑵作意がなく自然によまれた句もの
---理屈はダメ
⑶当たり前、平凡、付き過ぎは避ける
⑷季語を詠む
季語以外の出来事に重点がおかれてはいけない。
⑸読後感の良い句
残忍なことは詠まない、
俳句は人生の喜びであるべき
7.取らない句とはの例
⑴虫の声---昼間の情景で詠まない
季語をよく知ること
⑵季語と季節感は合わせる
⑶季語が動きそうな句は詠まない
例---田植え時、墓参時などなど
⑷あまりにも自分事は避ける
その後はどんぐりトーナメント、櫟まつり特選句の順で進行し、
各位の労をねぎらい、お開きとなった。
以下はその時のほんの数コマと今回は特別として会場風景を掲載した。
作句や明日への糧の一材料になれば幸いである。
2024年10月20日
文責 櫟ホームページ管理人 宍野宏治