スタッフトレーニング(ST)プログラムとは
「ペアレント・プログラム」を活用した家族支援の取組みが進む中、このグループプログラムの中で保護者の皆さんに獲得していただく“子どもの「性格」ではなく、
「行動」で考える(行動で捉える)”という視点や、“子どもを叱って対応するのではなく、できたことに注目してほめて対応する”という支援スタイル、
さらに、子どもだけではなく、自身についても客観的に行動レベルで考えることは、支援者にとっても欠かせない基本的支援技術であると考えます。
ペアレント・プログラムを家族支援のツールとして提供活用する支援者の皆さん自身も、当然、こうしたスキルを身に付けておく必要があると考えます。
このような認識に基づき、支援者を対象としたスキルトレーニングプログラムとして、
まずは児童養護施設職員を対象とした「児童養護施設スタッフトレーニングプログラム」(2013)が開発されました。
その後、里親や情緒障害児短期治療施設職員他、多くの社会的養護に携わる支援者へと対象を拡大し、
効果測定を実施しながら、支援者育成支援の取組みを継続させていただいております。
スタッフトレーニング(ST)プログラムとは
近年、被虐待児保護の増加や発達障害等の障害有り児童の入所率の増加といった養護ニーズの多様化、
複雑化から社会的養護に携わる支援者の皆さんに求められる知識・技術は高度化してきています。専門性の向上のために様々な研修が実施されています。
ただ、知識を得る機会は比較的頻繁に設定されているものの、支援技術を修得するためのトレーニング機会は少ない現状にあります。そ
こで、STプログラムは、基礎的な支援技術の修得を目指して開発されました。
ケアワーカー(児童指導員・保育士)、里親をはじめ、間接的な支援者(調理員・栄養士・学習指導担当職員、地域の学校関係者等)
といった社会的養護に携わる皆さんを対象として実施されています。
「ペアレント・プログラム」同様に応用行動分析学や認知行動療法がベースにされており、現状把握表の作成を行いながら“行動レベル”で捉える視点を養っていきます。
さらに「ペアレント・プログラム」からもう一歩進んで、介入方法の基礎が盛り込まれた内容となっています。
子どもの個別のニーズに応じた適切な支援をしていくための様々なコツやヒントをご紹介しながら「全4回の連続講座形式」でスキルトレーニングを進めていきます。
施設外研修として実施する場合には特に個人のスキルアップを、施設内研修として実施する場合には個々のスキルアップと並行して、
職員の共通理解と協働による支援(チームワーク支援)を実践していきます。
STプログラムは、子どもをほめることで好循環を生み出し、笑顔の中で子どもの力を引き出していくお手伝いをするプログラムです。
施設内研修版のSTプログラムには、Basic(基礎編)とAdvance(応用編)があります。
Basicは、個々のスキルアップに重点がおかれ、職員間で連携する際の方法論の一つを学びます。
Advanceは、Basic受講後に積み上げていただくものです。Basicで修得したスキルの定着を図りながら、チームワーク支援実践を重点的に行います。
(基本的には4回連続講座形式ですが、施設のご事情により3回連続講座での実施も可能です。)
施設外研修版にはBasic(基礎編)と、Advance(応用編)、さらにSV(スーパーバイザー)養成編があります。
Basicは、個々のスキルアップに重点がおかれ、特に自己覚知の要素を積極的に取り入れながら進めていきます。
Advanceは、Basic受講後に積み上げていただくものです。Basicで修得したスキルの定着を図ります。
具体的なやりとりに着目しながら、実践の中でスキルを活用できるようにしていきます。
SV(スーパーバイザー)養成編は、施設内のOJTを円滑に進めるためのノウハウを学んでいただくものです。
実際にご自身にもBasicを受講していただいた後に実施されるBasicプログラムへ研修者として全4回同席していただきながら、
SVの一方法論を学んでいただくことができます。
本研修(ST)の内容と目的
☆ 正しい現状把握(アセスメント)の方法を知ること
☆ 課題設定の基礎(自立支援計画の策定方法)を学ぶこと
☆ 具体的な支援方法を知ること
☆ 自己覚知を促し、より深い他者理解に繋げていくこと
☆ チームワーク支援の重要性とコツを知ること
<期待される効果>
○個人単位で本プログラムに参加される場合(施設外研修版)
・ 正しい現状把握のもとで、的確な課題設定が可能となるため、適切な支援の実施に繋がります。
・ 具体的な声掛け、指示等が実践できるようになることで、子ども達も支援者からの指示を理解しやすくなるため、問題の解決に繋がります。
・ 子どもの特性に応じた褒めポイントや効果的な褒め方を学ぶことで、子どもの成長の促進に繋がります。
・ 支援者本人の問題に気付くことで、子ども間、職員間で生じていた悪循環の解消に役立ちます。
○施設単位で本プログラムに参加される場合(施設内研修版)
(施設内研修として実施する場合には、グループワーク形式を取り入れることによって、上記の効果に加えて、以下の効果が期待できます。)
・ 職員間でズレやすい子どもに対する見立てや、課題に対する、共通認識を深める効果が期待できます。
・ 職員(支援者)間で“職員(支援者)個々の得意・不得意・支援の傾向”等を話し合うことで、職員(支援者)本人だけでなく、
同僚からの理解も深まり、チームワーク支援を行う際の役割分担や担当設定等において有効な示唆が得られること等が期待できます。
【講師】
宮地 菜穂子 : NPO法人アスぺ・エルデの会 理事 ( 元 児童養護施設児童指導員 )
同朋大学社会福祉学部 准教授 / 博士(社会学)・社会福祉士・保育士
【対象】
社会的養護に携わる支援者
(児童養護施設・情緒障害児短期治療施設・乳児院・ファミリーホーム等の職員 , 専門里親etc.)
※ 弊会主催による施設外研修としてのプログラム実施は、随時募集のご案内をさせていただく予定です。
【受講料】
講師派遣によるプログラム実施につきましては、実費[交通費その他(講師派遣料×回数)]でお受けいたします。 お問合せの際、各施設・団体の謝金規定等、ご事情に合わせて無理のない範囲内で、ご相談下さい。
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<お問い合わせ・お申込み先>
施設内研修につきましては、info@as-japan.jp まで、件名に【スタッフトレーニング申込み】と記載し、
担当の宮地まで、メールにてお問い合わせ下さい。
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