自然な振る舞い

研究詳細(Research Details)

1. 生物の基本原則に着目したビデオゲームエージェントの自然な振る舞いの自動獲得

このマリオ↓,どう見えますか?

敵を前にしてためらったり,穴を大きなジャンプで飛び越えたり.

とても人間らしい振る舞いだと思いませんか?

でも,このマリオ・・・

本研究で自動獲得されたCOMプレイヤの操作なんです!

本研究では,

「生物の『身体的な制約』と『生き延びるために必要な欲求』の条件下で最適化された行動,

及び,その過程が『自然な振る舞い』であると受容される」という仮説に基づき,

試行錯誤と取捨選択によるCOMプレイヤの成長(戦略の自動獲得)を,

ビデオゲームの強化学習(Q学習)の枠組みに「生物の基本原則」を導入することで実現しています.

生物の基本原則として,現段階では以下の4つを考えています.

  • 身体的な制約

1. 見間違いなどによる観測情報の「ゆらぎ」

2. 観測から行動制御における「遅れ」

3. キー操作による「疲れ」

  • 生き延びるために必要な欲求(慣れ親しみ,新奇なるものへの希求)

4. 「訓練」「挑戦」のバランス

獲得された振る舞いをもう一度,動画でご覧下さい.

人間の中級者のプレイ動画に見えませんか?

こちらの動画はいかがでしょうか?

左は人間の初級者っぽく,右は人間の熟練者っぽくないでしょうか?

このように,「生物の基本原則」である4つのパラメータを少し調整すれば,

人間らしい様々な振る舞いが獲得できるのも,本研究の特徴です.

これにより,ゲームにおけるレベルデザイン(難易度の調節)にも貢献できます.

また,既存研究で獲得された「機械的な」振る舞いに対して,

本研究の「生物の基本原則」を導入することも可能です.

Mario AI Competition 優勝エージェント [Robin, 2009]

←に対し,「生物の基本原則」を導入

「生物の基本原則」を導入することで,少し,人間らしい振る舞いになったと思いませんか?

このように,本研究の「生物の基本原則」は,学習手法やゲームジャンルといった対象に限定されることなく

COMの自然な振る舞いを表出する学習フレームワークとして有用であると考えています.

<関連する研究業績>

  1. 藤井叙人・佐藤祐一・若間弘典・片寄晴弘,「生物の基本原則の導入によるビデオゲームCOMプレイヤの『人間らしい』振る舞いの自動獲得」,情報処理学会 エンタテインメントコンピューティング研究会(SIG-EC27),Vol. 2013-EC-27 No.16,公立はこだて未来大学,2013/03/16 [DOWNLOAD]

  2. Nobuto Fujii, Yuichi Sato, Hironori Wakama, Haruhiro Katayose, "Autonomously Acquiring a Video Game Agent's Behavior: Letting Players Feel Like Playing with a Human Player", International Conference on Advances in Computer Entertainment Technology 2012 (ACE2012), pp. 490-493 , Crowne Plaza Kathmandu Nepal, 11/2012 [DOWNLOAD]

  3. 藤井叙人・佐藤祐一・若間弘典・片寄晴弘,「観測情報の信頼性に着目したビデオゲームエージェントの自律的行動獲得」,情報処理学会 エンタテインメントコンピューティング2012,pp. 17-26,神戸大学 六甲台キャンパス,2012/09/28 [DOWNLOAD]