ハイデガー研究会は、ハイデガーを中心とするオープンな哲学的議論の場です。
ハイデガー研究会は、月一回、月末に訳読と研究発表の二本立てで、法政大学大学院を主たる会場として開催してきました。
これまでにも、『哲学への寄与』をテキストとした訳読、またハイデガーをはじめ、さまざまな分野の研究発表が行われてきました。
2012年4月より、若手を中心としたスタッフが運営の中心となり、「新生」ハイデガー研究会が立ち上がりました。輪読会では、12年度は「アナクシマンドロスの箴言」、13年度は全集第11巻『同一性と差異性』を読み進めてきました。また研究発表会、書評会やワークショップ、講演会なども開催してきました。
そして2014年4月の月例研究会より、『省慮(Überlegungen)』と題された全集94・95・96巻収録の通称『黒ノート』(Schwarze Hefte)の輪読会を開催することになりました。
『黒ノート』は、既刊著作や講義録の刊行ののち、ハイデガー自身が全集版として刊行を指示した個人的なノートであり、2014年の2月と3月にようやく刊行されました。94巻は1931-38年のノートを、95巻は1938/39年のノートを、そして96巻は1939-41年のノートを収録しています。黒い表紙にちなんで『黒ノート』と呼ばれていますが、そこに収められた反ユダヤ主義的文言をめぐって、刊行以前からドイツやフランスのメディアを巻き込んで大きな議論となってきました。
ハイデガー研究会では、一面的な批判や擁護ではなく、こうした発言の事実に正面から向き合うとともに、政治的・社会的含意も充分に考慮に入れたうえで、その思想的内実の哲学的究明に取り組みたいと思います。
じっさい『黒ノート』には、反ユダヤ主義的文言や国家社会主義への言及ばかりでなく、前期の『存在と時間』に対する自己反省や、ニーチェをはじめとするさまざまな哲学者との対決、さらには「転回」を画する『哲学への寄与』等のテキストにみられる独自の諸概念についての言及も含まれており、ハイデガー哲学の最深部を究明するための第一級の資料と言って過言ではありません。
しかしまた『黒ノート』は個人的なノートであるだけに、その究明にあたっては、断りなく前提とされている数多くの著作や講義録、断片との比較検討も必要です。ハイデガー研究会では、専門研究集団としての知識を結集して難易度の高いその読解作業に挑むとともに、月例研究会における輪読会をはじめ、シンポジウムや刊行物等をつうじて、その研究成果を公開していきます。
後半の研究発表は、従来通り、発表と質疑に充分な時間を設けて、ほぼ毎月開催してゆく予定です。研究発表のご希望も、随時受け付けています。テーマについては、かならずしもハイデガーだけに限定はしません。関連領域のご発表の申し込みもお待ちしています。学会発表の準備や研究成果を問う場所としてご活用ください。
また、翻訳プロジェクトが稼働中です。若手を中心としたワークグループが現在プロジェクトの企画をまとめています。関心のある方はご連絡ください。
以上の月例会にくわえて、合評会や、講演・ワークショップなどの特別企画も、関係機関・各研究団体と協力しつつ、随時開催していく予定です。
ハイデガーをはじめ、広く哲学に関心を寄せるみなさまの積極的なご参加、お待ちしています。
なお下記のブログ、twitter、Facebookでも、会の開催情報をはじめ、国内外の研究動向の情報などを発信しています。ご参照ください。
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「新生」ハイデガー研究会にご期待ください。