マイクロ・ナノ医療機器の創出

2016年1月31日

1.機械工学を基盤とした研究開発の目的

革新的な医療と診断の社会的な実現をサポートするマイクロ医療機器(治療機器,診断機器)の創出を進めます.

開発するマイクロ医療機器での基礎的な部分は,機械工学を基盤にできます.機械工学の中では,生体材料を自由自在に配置する技術,さらにそれをモノづくりで実現する技術を利用します.

2.研究の狙い

マイクロレベルで生体材料を操作できれば,特に単一細胞レベルでの生体機能解析と制御が可能になります.また半導体の素子を抗体で修飾して,高機能可することもできます.

細胞は生体の最小機能単位です.これを利用すれば,再生医療や疾患の原因調査などに使用可能です.細胞レベルの医療は,医療への新しい切り口です.従来の分子レベル,組織レベルの医療とも異なります.細胞操作プラットフォームを開発し,複数の単一細胞を同時に超並列的に操作できるシステムを作製し,医工学の分野での革新を行います.

半導体の素子を複数種の抗体で修飾すれば,複数種の対象を同時に検出することも可能となります.

3.研究のアプローチ

具体的に研究開発を行う基礎技術

具体的には,基礎技術として以下の3テーマの研究を進めています.これらを組み合わせて目的のマイクロ・ナノ医療機器を創出します.

  1. 超並列細胞マニピュレーション
  2. <細胞の自由自在な操作・配置>
  3. 超並列細胞内デリバリー
  4. <細胞内への物質導入>
  5. 超並列生体材料配置
  6. <生体材料の配置>

超並列

ここで出てくるキーワードには超並列があります.超並列とは単なる並列を超えたという意味があります.特にその数を増やしても複雑さの程度が指数関数的に増えないことを含めます.

超並列には1)同条件で多量に処理する場合,2)多条件で多量に処理する場合の2通りあります.まずは同条件で多量に処理するところから初めます.

さらに研究を続けて,多条件で多量の処理に到達します.流路や電気の個別配線が必要な場合には,使用できる数には10^2から10^3というところに制限があります.

ただし解決する手段もあります.ディスプレイに利用しているマトリクス配線を用いれば,使用できる数の制限はある程度取り除けます.またマルチプレクサを利用して選択的に素子を選び取ることも可能です.

具体的に研究開発を行う医療機器

具体的に研究開発を行う医療機器は,以下の3テーマです.

  1. 細胞機能制御・安定品質保証システム
  2. 疾患モデルを再構築する細胞配置システム
  3. 超並列生体材料配置プリンタ