11月6日(金)2015年研究室ミーティング

Post date: 2015/11/08 16:21:45

久しぶりに研究室全体のミーティングで発表する.新しい手法について,まとめて提案する.メインテーマを進めるためのサブテーマの手法ではある.この単体でも実用性は高く,多くの他の人も使ってもらうことができる.こちらも短期間で論文にまとめられれば,多くの人の役に立つ.早く完成させたい.もしかすると特許も取れるかもしれない.

人々が気にする問題と論文掲載雑誌の質

研究室ミーティングでは「人々が気にする問題」に取り組むべき,という話があった.人々が気にする重要問題への解決になっていれば,論文が掲載される雑誌の格も高くなる.しかし,大した話になっていなければ,論文が掲載される雑誌の格も低くなる.

自分は,あまり意識して高いインパクトファクタージャーナルを狙っていなかった.高いインパクトファクターのジャーナルを目指せば,必然的に重要問題へ選択的に取り組めるようにする効用がある.

デバイスの作りやすさ

別の話としては,デバイスの作りやすさについても言及された.

  • あまり複雑なデバイスを作製しても,他の人が再現できない
  • 再現できないと,研究の波及効果も小さくなる
  • もし大きな効用がなければ,そのようなデバイスは作らない方がいい

この辺りの意見は,当たり前であるが,深く考えたことはなかった.

たしかに,複雑で難しいことを達成できたこと自体には技術的なチャレンジはあっても,社会的な価値はない.テストでは難しい問題の点数が高いけれど,実際には波及効果で点数がつけられている.

シーズとニーズ

またもう1つの話では,技術的な強みから入って意味付けを行った例が挙げられた.

  • 研究室で最近出版したNature姉妹誌の論文の研究にて,他の手法ではできない強みがあった
  • しかし,その生物学的な意味(役立ちポイント)は明確ではなかった
  • その手法に生物学的な意味を見出すのに教授は1年半かかった
  • もし見つけられなければ,大した論文にはならなかった

という認識をしていた.

自分が思うには,技術シーズが最初に来て,後からその技術に社会的なニーズで意味付けをするのは結構難しい.数年のレベルでは,ニーズとの関連付けができない場合もある.うまく意味付けがされないと,その研究は拡大せず,個人的な話で終わりやすい.その逆に,問題であるニーズの発生点から始め,技術開発にいたる方が簡単である.問題が重要なら,その解決方法の質が多少低くても,考えられて提案されることに意味がある.

まとめ

色々と通して見えてくるのは,アメリカでの研究では,とても社会や研究者コミュニティへの波及効果を大事にしているということである.これまであまりその評価軸は意識していなかった.留学して2ヶ月あまりであるけれど,新しい価値軸がはっきりと見えてきた.

夕方ぐらいまで,少し寒気がして,体調が悪かった.運動もやめておこうと考えていたら,気がついたら治っていた.軽い風邪の兆候だったのだろうか.ともかく治ってよかった.