3月14日(月) 新規実験に向けての準備

Post date: 2016/03/16 22:13:45

先週で実験は新しい境地に到達した.次のフェーズに向けて,準備作業を進める.やる内容を決めて,少し準備作業をすることである.願わくば,今週中に新しいフェーズの実験を完了させたい.

新規プロトコールの策定と文献整理

新しい実験を始めるにあたり,まずはプロトコールを策定する.いくつか参考になる文献がある.それから必要な情報を抜き出す.もし事前に誰かがやっていたとしたら,それを参考にして効率的に実験を進めればよい.自分がそこで一から条件出しをする必要はない(そこが大事だと思えば,条件出しをするのは自由だが).

過去の文献も整理する.久しぶりに文献を読み返すと,実験系自体に理解が深まっているため,より深く文献を読むことができるようになっている.

機械系から見たタンパク質溶液の分注について

タンパク質溶液を分注した.分注して小分けするのは,サンプルの汚染と溶解・凍結による劣化を防ぐことが基本的な役割である.また分注自体は地味かつ簡単であり,すぐ終わるものであって,大きく苦労を自慢できる作業でもない.

この分注の意義は身近な所でも理解できる.大袋のお菓子は,一度開封すると全体が湿気って駄目になる.一方で個包装のお菓子は1つずつ食べていけて,1つの袋の開封が他に影響しない.大きいボトルの炭酸飲料は全体の炭酸が抜ける.小分けにした炭酸飲料は1本ずつ飲めて,1本の開栓が他のボトルに影響しないのも同じ話である.

この辺りの作業は難しくない.原理的にも簡単な話である.生体試料を使う実験では,当たり前のことかと思う.なのでこれを知っていたからといって,全く自慢できる話でもない.

ある分野で当たり前だとしても,それを教えてもらわないと,自然発生的に分注する考えを持つのには時間がかかる.ということを指摘したい.教えてもらうことで,効率よくその概念が身につけられる.

1.5mLのチューブを50本使っていると,「一度にそんなに使うのはなぜだ?」と聞かれたりする.なぜ疑問を持つのかというと,バイオ的なテクニックや原理に馴染みがないからである.周囲にいる研究室メンバーのこれまでのバックグラウンドは,機械や電気工学が主である(一部生体工学もいたりするが).機械で習うのは金属とプラスチックの加工ぐらいかなと,ということで知らないのは仕方ないと思っている.

自分も学部と大学院の授業や実験では,教わったことはない.ただ過去,修士課程のときに接した生物物理の研究室の学生や,博士課程のときに研究室にいた生物物理出身のポスドクの人に教えてもらった幸運があっただけである.

最初のタンパク質溶液を使う方法を知りたいと言っていたので,簡単にポスドクに実験を教える.その彼はMEMSプロセスはよく知っている.ところが生体材料はあまり触った経験がない.このような技術は簡単ではあるけれども,見て覚えた方が早いのは事実である.