1月8日(金)研究室セミナー

Post date: 2016/01/09 23:26:00

今いるのは大学の研究室であるからして,学生はトレーニングを受けて成長していく.トレーニング中であるから,発表が分かりにくいこともあるし,プロジェクトが迷走することもある.

博士の学生からの発表は,まだ十分に磨き上げられたものではないかもしれないが,自分に考える機会を与えてくれる.自分も学生のときには成長途上であって,同じようなことをやってしまっていることを思い出す.今回感じたことは,今後の役に立つと思うので,記述しておく.

1)研究の方向性

今回の発表では,本質的な機能を忘れたまま,実験数だけが増えていた.それにより実験結果では,何かが動く様子は見られた.でも動かすために設計や条件を変えていたので,本質をサポートする実験結果からは変わっていた.

教授からのメインのコメント

  1. 何かの機能が動いたという結果が見たいだけのために,最初の目的を忘れて注力してはいけない.それにより不可欠な工学的機能を消す可能性が高い.たしかに動いたことはとても嬉しいことであるが,本質を見忘れてはいけない.
  2. まずその重要な機能(仮説)が実証できるように注力しなければならない.当初の方法で実施してみてそれが実証できなければ,方法を変えればよい.
  3. 本質の機能をカバーせずに,間違った方向に進んで努力すると,1-2年レベルで無駄にする.

2)Circulation Tumor Cells (CTC)についてのJournal Club

馴染みが薄い題材であるから,少し理解が難しかった.限られた時間の中では,網羅しようとしすぎてアプローチの数が多すぎ(10個程度)ても,理解が難しくなる.

メインの骨格を残して,もうちょっと構成を分かりやすくすると,理解しやすくなると思った.自分が発表するなら,こうするかな.

  1. CTCとは?
  2. がんにおけるCTCの重要性 がんのバイオマーカーになる
  3. CTCについてのメインの問題 重要ではあるが,10 mL中に1–10 cellsと数が少なく,検出が難しい
  4. 検出の問題に対する主要なアプローチ ※3-4個程度に絞る
  5. 結論と将来展望

3)新しいデバイスの提案

最初のアイデアの提示だったので,簡単な作製方法を述べて,実現可能性まで提示していた.サイズ感も捉えているのはよかった.

一方で下記の点を理解するのが難しかった.これらが説明できるようになれば,かなり価値が伝わるようになる.

  1. その研究に取り組むことには,どのような重要性があるのか?
  2. これまでの研究では,何が問題として存在しているのか?
  3. 自分はどのようなアプローチを選択して利用するのか?
  4. そのアプローチはどのような工夫があり,他にはないどのような利点をもたらすのか?

これらの他の人の発表を聞きながら,自分ならどうするかを考えておけば,他人の力を使いながら自分を成長させることができる.指摘された事項と同じことを防げれば,大きな時間の節約になる.