11月25日(水) Nanolab

Post date: 2015/11/30 4:53:05

Nanolabでの作業

午後からPh.D.の学生とNanolab(UCLAのクリーンルーム)に入って,デバイス作製の作業を行う.手慣れたPh.D.の学生に手伝ってもらうことで,かなりスムーズにことが進んだ.実入室時間は,約3時間である.

自分は全てのプロセスは知っているが,それは別の場所のことである.当然ながら,UCLAのことは知っていない.そして作業に必要なものの具体的な配置を知らなければ,作業をすることをできない.薬品,ガラス器具,ピンセット,保護具,窒素ガン,純水,ゴミ箱の配置もイチから覚える.

Nanolab内は,結構混んでいた.ホットプレート,スピンコーターのエリアには,入れ替わり立ち替わり人がやってくる.ホットプレートは6台,スピンコーターは2台あるが,どれも常時使用中になっていた.

計測装置としては,顕微鏡やDektakも使用できた.なかなかに盛りだくさんであった.

自分で加工するメリットしないメリット

あとで面白い話を聞いた.某有名研究室では,Nanolabに入る人が2人に決まっていて,分業制となっている.Nanolabでのデバイス作製には,ラボメンバー全員が取り組んでいない.そうではなくて,クリーンルームでのデバイス作製プロセスよりも後段の方に重きを置いている.後段のプロセス,機能評価,原理構築に励んでいるようである.それが高い研究室の論文生産性をもたらしている.

たしかに思い切って,価値ある領域にフォーカスするやり方もあるかと思う.それはPIの考え方次第である.そのようなやり方は,日本では聞いたことがなかった.PIの考え方が,あまり型に縛られていない.そのアイデア自体も興味深く,一考の余地がある.

教育効果という意味では,全プロセスを体験し,理解した方がいいように感じる.そうすれば,より全体最適に取り組めて,新しい発想を持つ可能性が高まる.もちろんプロセスを自分でやる欠点には,プロセスに投入した分のリソースが減って,他に回すリソースが少なくなる点がある.その分,後段のプロセス,機能評価,原理構築の時間が減る.例の研究室のPIは,おそらくそれを回避し,重要だと思う領域にリソースを投入しているのである.

単にクリーンルームを使うだけであるが,周辺の情報を仕入れたりしていくと,色々と勉強になる.