下記は私が執筆し、平成27年8月21日の週刊秋田の Health に掲載されたものです。
神経障害性疼痛
最近、神経障害性疼痛という言葉を耳にする機会が増えてきていますが、神経障害性疼痛とは一体どのようなものなのでしょうか。
まず、痛みはその起こる原因により大きく3つに分けられています。
① 神経末端に刺激が加わり痛さを感じるもの(裂傷、火傷、尿管結石など)
② 神経組織の障害により異常な神経伝達が起こり痛いと感じるもの
③ 心理的な要因により痛みを感じてしまうもの(痛み刺激や神経損傷がない)
このうち②に分類されるのが神経障害性疼痛で、さらに下記の2つに分けられます。
a) 末梢性神経障害性疼痛(帯状疱疹後の神経痛、糖尿病による四肢の痛み、脊椎ヘルニアによる神経根痛、末梢神経の挫滅や断裂後の疼痛 など)
b) 中枢性神経障害性疼痛(脊髄損傷後の疼痛、脳卒中後の痛み など)
神経障害性疼痛の痛みを“ミリミリ”“ジンジン”と表現することがありますが、秋田弁で手や足が“ヤム”“ヤメル”と話される方も多くいます。
この痛みはしびれを伴うことが多くて夜間安静時にも持続し、眠りが妨げられることも稀でありません。
また、低気圧の接近や湿気の増加、気温の低下により症状が悪化することもあり、“天気予報ができる”と豪語される方もいます。
疼痛の範囲は障害された神経の支配領域に一致しており、脳卒中の場合には半身の疼痛を訴え年単位で徐々に変化することもあります。
神経障害性疼痛は治療に難渋することが多く、一般的な鎮痛剤(抗炎症薬)はほぼ無効で、湿布や塗り薬の効果もありません。
しかし、“知覚神経の異常な興奮を脊髄内で抑える薬”や“痛みを抑制する神経を活性化させる薬”の研究が進み、ようやく薬物治療に
光明が差しつつあります。また、脊椎ヘルニアなどにより神経根が圧迫されている場合には手術が有効なこともあり、神経障害性疼痛で
お悩みの方は医療機関に御相談下さい。
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