平成12年度の群馬県、安中市「生きものふれあいの里整備事業」として、安中市立碓東小学校にビオガーデン(ビオトープ)を造った。コンクリートやビニルシート等の人工物を使わず、地元にある粘土や石等で作り上げた。また、地域の里山の希少植物、河川、湿地の小動物等の保護地の役割をも果たしている。
未来塾ではホタルの川整備やホタルを通じた環境保護活動などの実績から専門家として当初より参加。校庭東側に井戸水を使った約60mの川と池を造り、メダカ、ハヤ、カワニナなどを放流。その周辺にはクヌギ、ナラ、カエデなどの樹木や四季折々の草花を植え、自然観察ができるようにした。
碓東小学校でのビオガーデンづくりのようす。PTAの他、地域の方々、企業が協力し合う「グランドワーク」方式でビオガーデンづくりに取り組んだ。
現在の「碓東流水池」
池の北側には手押し式井戸ポンプ(通称、ガチャポンプ)が設置され、子供たちの遊び場にもなっている。また、災害時の水源としても期待されている。年間を通じ、歩道の整備、川の清掃、草刈り、木や草花の植栽等を行なっている。地域の人たちや卒業生、保育園の園児たちが気軽に訪れ、四季を通して変化するビオガーデンを楽しんだり、小学校の児童との交流を深めている。
現在でも年に数回、PTAの皆さんとビオガーデンの整備、清掃を実施している。夏には草刈りや山から落ちてしまった土を元に戻す作業、植栽、川の護岸の修復など、冬には川の中の落ち葉さらい、その中に混じってしまったカワニナを川に戻す作業など、多くの方々のご協力のもと実施している。
毎年6月に流水池完成記念行事を行ない、メンバーが出向き、児童に自然保護やビオガーデンの使用方法などの講話を行っている。
全校児童を対象に開催された集会で「流水池ソング」合唱、校長講和、環境委員会によるビオガーデンについての発表の後、1年生と3年生を対象に、流水地の構造や、そこに棲む動植物を見ながら、児童からの質問に答える形で、流水池や動植物、自然環境に関する学習会を行っている。
環境委員会による発表
3年生は松本代表の講和
1年生は流水池で遊び方の勉強
2011年、全国学校・園庭ビオトープコンクール(日本生態系協会主催)において学校・園庭ビオトープ奨励賞を受賞した。これは優れた取り組みを行うものを讃え表彰するもので、この年では県内唯一の受賞校であった。
2018年には群馬銀行環境財団教育賞(現・公益財団法人ぐんぎん財団主催)において優秀賞を受賞した。県内の小中高校および特別支援学校を対象に、身近な生活環境の改善や自然環境の保全に意欲的に関わり、積極的に行動がとれるよう育成を図ることを目的として、環境改善や保全についての実践的な活動を募集し、その中から優れた活動を表彰するもの。
ビオガーデン内のベンチが腐食して危険な状態になったため、2019年~2020年夏にかけてベンチを作り替えることになった。松井田地区に山を持つ方からの木材提供の申し出もあり、木を伐採して「丸太ベンチ」を作り設置した。また、ガチャポンポンプ周辺のレンガも貼り替えを行った。
2020年8月3日付 上毛新聞
2023年6月にはこれらの活動が「開かれた学校、地域との交流」と認められ、市内の小学校では初のユネスコスクールに認定された。
2024年12月、「流水池整備体験」を実施。これは3年生の総合的な学習の一環として、碓東流水池の整備を通じて、地域の自然環境に興味を持って貰うことなどを主な目的としている。
この時期の流水地は、多くの落ち葉が水面を覆い尽くしているが、この落ち葉をさらって、その落ち葉と一緒にあがってくる生き物を捕獲、また池に戻していくという作業を体験して貰った。整備作業だけでなく、どんな生き物がいるのか観察も併せておこなった。
水面や中にたまった落ち葉を掬う
落ち葉の中から生き物を探し、川へ戻す
どんな生き物がいるのか観察も実施