2022年より碓東小隣接の「原種フジバカマ育成園」を整備。フジバカマは日当たりのよい河原の湿った草地などに自生する多年草で、近年では自生地が消失し、環境省のレッドリストで準絶滅危惧に指定。花の色が藤色で、花弁の形が袴のようであることから、フジバカマという名前になったとされている。
また、アサギマダラという蝶がこの花めがけて飛来することでも知られている。アサギマダラは「旅する蝶」としても知られ、台湾や東南アジアなどから日本へ飛来する。雌を呼び込むためのフェロモンを作るために、フジバカマの花の蜜を吸うことが分かっており、各地でアサギマダラを観察する動きが広がっている。
2022年5月9日、碓東小隣接の畑にフジバカマの苗を植えた事が「原種フジバカマ育成園」のスタート。同小学校の企画委員、環境委員の皆さんに協力していただき作業を進めた。
作業前にフジバカマとアサギマダラの説明
作業のようす
無事終了。皆さん、おつかれさまでした!
校舎側から「原種フジバカマ育成園」へ直接に出入りできるように通路を整備。学校敷地と間の水路にも枕木を再利用した木材を渡し、安全に通行できるようした。
使用済みの枕木を活用
学校と育成園を繋ぐ通路を整備
看板も設置
「アサギマダラ」の観察時に使うほか、児童や地域の方の交流の場として活用すべく、丸太のベンチを作成し、設置した。
丸太の接続部窪みの加工
本体と脚部を接続して塗装
搬入、設置
毎年8~9月にアサギマダラの生態や観察に関する学習会を行っている。これまでに3回実施。
講師は群馬ナチュラリスト自然保護協議会代表の宮前和夫さん。宮前先生は長年、蝶などを研究されており、県立自然史博物館専門委員として活躍されていた方。また、碓東小学校の校長も歴任された方でもあり、碓東流水地での活動についてもごご支援いただいている。
学習会では沢山の写真やパネル、資料を示しながら、アサギマダラに関する最新の研究結果をはじめ、地球温暖化や私たちができる身近な自然環境保護活動など広い視点で解説していただいた。
宮前和夫先生
写真や資料を数多くご用意いた だいた
松本代表からフジバカマの生育状態を報告
県内および周辺のアサギマダラやフジバカマの関連施設などを訪れている。また、各地の観察会などにも参加。アサギマダラやフジバカマに関わっている皆様方との交流、情報交換を目的としている。
榛名山にて自然観察会
鹿沢にて自然観察会
「下仁田町藤井の藤袴園」視察
2023年10月、アサギマダラマーキング体験を実施。これは総合学習の時間として、自然環境や命の大切さなど学んでもらう機会とした。同校の元校長で群馬ナチュラリスト自然保護協議会の宮前和夫先生による講和につづいて、8つの班に分かれてマーキング開始。アサギマダラを初めて目にする児童も多く、移動のルートや生態等をメンバーや先生に質問するなど、興味を持ってくれた。 この模様は地元紙「上毛新聞」でも取り上げられた。
児童の皆さんとメンバーのあいさつ
宮前先生による講和
マーキング(捕獲地、月日等を羽根に書く)
原種フジバカマ育成園でマーキング後、放ったアサギマダラが鹿児島県喜界島にて再捕獲された。「GN03 あんなか 10.7」とあり、10月7日にマーキングした個体と確認。安中から約1,200kmもの距離を移動していたことが判明した。
別の個体も静岡県で複数の確認がされており、今まで謎とされていた「旅する蝶」の移動ルートが解明されつつあるようです。
なお、この様子は上毛新聞(2023年12月30日付)にて紹介されました。
フジバカマの植栽は「原種フジバカマ育成園」のみではなく、各地で実施。植栽の指導、助言なども行っている。
2025年5月7日放映 群馬テレビニュース
2025年5月8日付 上毛新聞
2024年7月、群馬ナチュラリスト自然保護協議会では、次代を担う子ども達にアサギマダラの生態や命の大切さ、地球温暖化などを考えて貰うきっかけとして、紙芝居「翔べ!! アサギマダラ ~小さな命のバトンリレー~」を作成。この紙芝居は、安中でマーキングされたアサギマダラが遠く鹿児島県喜界島にて再捕獲されたことを基に、碓東小と未来塾についても述べられている。
紙芝居のお披露目のようす
紙芝居「翔べ!! アサギマダラ ~小さな命のバトンリレー~」
途中、見覚えのある風景が所々で出てきます
2024年9月10日付 上毛新聞
2024年9月、アサギマダラの飛来を前に、「原種フジバカマ育成園」の整備を実施。「フジバカマ育成中」と書かれたオリジナルののぼり旗を設置。雨で崩れかけた出入口のスロープの補修も行った。また、来場者にお配りするリーフレットや各種資料を入れておくためのポストの設置も併せて行った。
新たに設置したのぼり旗
出入口のスロープを転圧機を使って補修
来場者向け配布資料入れとするポストを設置
「原種フジバカマ育成園」に看板と掲示板を設置。木材の製材から行った。そのうち掲示板は板3枚を合体させて、1つの大きな板にして設置。柱に取り付けるための金具もオリジナル。未来塾メンバーのお手製で、鉄の板を折り曲げて形を整えて塗装したもの。文字は木の板を文字の形に切り抜き、貼って仕上げた。
丸太をスライスして板に
板の隙間を最小にする加工
金具も既製品ではなく作成しました
作製した取付金具
金具を使って柱に板を取り付けます
掲示板は板を3枚組み合わせます
掲示板には各種情報を掲示予定
看板に貼りつける文字を切り抜きます
文字を一つひとつ貼りつけて完成‼
2024年度前半を振り返って、活動の様子を「原種フジバカマ育成園だより」としてまとめた。昨年に実施した小学生のアサギマダラのマーキング体験の様子や、鹿児島県喜界島で再捕獲されたアサギマダラについて記載している新聞記事も載せた。
A4版カラー印刷で、アサギマダラの飛来に合わせて、「原種フジバカマ育成園」にて配布予定。