[原著論文] (更新しました・20260530)
武田の甲南大学への着任以降の研究業績です。それ以前の武田が関わった論文、研究費の情報はresearchmapをごらんください。
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## 自己満足のような気もするのですが、最近のリン酸・ポリリン酸の論文にはコメントを入れることにしました。
2018年くらいにリン酸・ポリリン酸研究に舵を切り、8年目です。ようやく定期的に論文発表できるようになってきて感慨深く思っています。興味を持って研究に加わってくれた学生さんたちとの努力の結晶です。
Mislocalized Cytoplasmic Polyphosphate Forms Potentially Toxic Droplets, Highlighting the Essentiality of Vacuolar Polyphosphate in Pi homeostasis
Kojiro Takeda, Rumi Okuyama, Hiyori Takechi, Kaho Fujiyama, Machika Hatori, and Aoi Miwatari
Genes to Cells 31(3) e70118 2026年5月
武田のつぶやき:ポリリン酸(polyP)の必須性と細胞毒性に焦点をあわせた論文です。authorの学生さんはみんな頑張ってくれましたが、特に、リバイスの際の武知さんと奥山さんの頑張りはおおきかった。藤山さんが苦労して拓いてくれた分野であり、羽鳥さん、三渡さんもそれぞれユニークな貢献をされました。
2023のTakado et al.でpolyPが必須となる条件を見出しましたが、その続報という位置付け。液胞でのpolyP合成が細胞質や核におけるオルトリン酸濃度の致死的な上昇を防止している、という仮説の証明を目指しましたが完全には詰めきれておらず、次の一手が必要です。また、この論文では、細胞質に人工的に合成誘導したpolyPが液-液相分離による、いわゆる液滴を形成することを見出しました。このpolyP液滴が細胞毒性をもつのでは?その毒性の機構はなにか?という魅力的な研究課題が生まれました。過剰なpolyPは筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症と関係するという報告(Arredondo et al., Neuron. 2022)もあり、興味深いところです。
The putative polyamine transporter Shp2 facilitates phosphate export in an Xpr1-independent manner and contributes to high phosphate tolerance
Tochi Komamura, Tomoki Nishimura, Naoki Ohta, Masahiro Takado, Tomohiro Matsumoto, Kojiro Takeda
Journal of Biological Chemistry 108056-108056 2024年12月
武田のつぶやき:真核生物では、細胞からリン酸を排出するタンパク質はXpr1のみが知られていました。本論文は、2つめのリン酸排出促進因子を分裂酵母細胞を用いて同定した、という報告です。このリン酸排出活性を持つ因子であるShp2は、ポリアミンであるスペルミジンの細胞外への排出因子のオルソログでもあり、リン酸恒常性とポリアミンの間になんらかのリンクがあるのではないか、と想像がふくらみます。また、用いた遺伝学的スクリーニングによって、Shp2以外にも新因子が取得されており、いずれもリン酸恒常性に関わる新因子である可能性があります。ヒトにオルソログがあるものも複数あり、今後の機能解明が期待されています。
駒村さんの大活躍で世に出た論文ですが、その前段階の長い地道なスクリーニングを遂行してくれた西村さん、太田さんの貢献も大です。松本先生、高堂さんはRI実験を全面サポートしてくださいました。また、両博士との議論から様々な研究の種がうまれつづけています。
Phosphate uptake restriction, phosphate export, and polyphosphate synthesis contribute synergistically to cellular proliferation and survival.
Masahiro Takado, Tochi Komamura, Tomoki Nishimura, Ikkei Ohkubo, Keita Ohuchi, Tomohiro Matsumoto, Kojiro Takeda
The Journal of Biological chemistry 299(12) 105454-105454 2023年11月8日
武田のつぶやき:Sawada et al.の続報で、Pi排出因子Xpr1が登場します。この時点で、Xpr1は真核生物で唯一同定されたPi排出因子でしたが、不思議なことに出芽酵母を含む真菌類では機能解析が進んでいませんでした。また、Pi排出を検出する実験も報告例があまりなかったので、京大の松本先生、高堂さんに協力を依頼し、ラジオアイソトープを用いた実験系をつくるところから始めました。ところが、xpr1遺伝子破壊株(∆xpr1)と野生株でもPi排出活性に顕著な違いがないことがわかり、その日はお通夜のようだったことを覚えています。あきらめず、Xpr1が活性化する条件を探索し、Pi恒常性維持因子であるPqr1やpolyP合成酵素VTC複合体の遺伝子破壊株では、Xpr1依存的なPi排出が劇的に亢進している、という結果に辿り着きました。液体シンチレーションカウンターの前でふるえました。そこから展開して、分裂酵母では、Pqr1によるPi取り込み制限、VTC複合体によるPiの液胞内への隔離(=polyP合成)、Xpr1によるPi排出、の三者が相乗的に機能して、細胞質/核のPi濃度の致死的上昇を防止している、という仮説をたてるに至りました。Pqr1、VTC複合体、Xpr1は、いずれもPi濃度センサーとも言えるSPXドメインをもちます。SPXドメインには、イノシトール8リン酸(Pi濃度の変動を伝えるセカンドメッセンジャー)が結合しますので、これらSPX3因子は同じような制御下にあって、それぞれ別の作用点でPi恒常性維持に寄与していることになります。細胞質のPi恒常性は死活的に重要なので、このように冗長性をもたせた防御機構を、分裂酵母は進化の過程で獲得してきたのではないでしょうか。
高堂さんの活躍はもちろんですが、大久保さんのねばりづよい解析が鍵となっています。アニメ「怪物くん」のテーマソングを口ずさみながら、大久保さんは砂を噛むような地道な解析の日々を耐えて、見事、Xpr1活性が分裂酵母の生存に必須となる条件を発見しました。これがXpr1のPi排出活性検出につながります。
Regulation of inorganic polyphosphate is required for proper vacuolar proteolysis in fission yeast.
Naoya Sawada, Shiori Ueno, Kojiro Takeda
The Journal of Biological Chemistry 297(1) 100891-100891 2021年7月
武田のつぶやき:記念すべき、Pi論文第一号です。武田がポスドク先のOISTで見出したユビキチンリガーゼPqr1から始まったおはなし。Pqr1欠損(∆pqr1)では飢餓誘導性オートファジーに依存したタンパク質分解に異常があることまでわかってからが長かった。Pqr1がSPXドメイン(イノシトールピロリン酸に結合する。Pi恒常性に関わる因子がもつ)を持つことから、よもやとおもって、培地からPiをぬいたところから急展開しました。Pqr1欠損では、細胞内にPiが過剰流入すること、それによってポリリン酸が過剰となること、過剰なポリリン酸は液胞内のタンパク質分解(オートファジーで取り込まれた基質を分解する)を阻害すること、などを示し、ポリリン酸とオートファジー依存的アミノ酸リサイクルとの関係を指摘した論文といえます。Pqr1の研究を始めたのが2010年くらいですから、単純に考えて、10年かかったことになります。あきらめず、こつこつと調べつつけていると、いつか突破口がひらける典型かと思う。第一期大学院生の上野さん、第二期の澤田さんの奮闘も印象的。武田もわかかった、、、。
Nutrient Signaling via the TORC1-Greatwall-PP2A<sup>B55δ</sup> Pathway Responsible for the High Initial Rates of Alcoholic Fermentation in Sake Yeast Strains of Saccharomyces cerevisiae.
Watanabe D, Kajihara T, Sugimoto Y, Takagi K, Mizuno M, Zhou Y, Chen J, Takeda K, Tatebe H, Shiozaki K, Nakazawa N, Izawa S, Akao T, Shimoi H, Maeda T, Takagi H
Applied and environmental microbiology 85(1) 2019年1月1日
NAISTの渡辺先生との共同研究。
The fission yeast Greatwall-Endosulfine pathway is required for proper quiescence/G<sub>0</sub> phase entry and maintenance.
Aono S, Haruna Y, Watanabe YH, Mochida S, Takeda K
Genes to cells : devoted to molecular & cellular mechanisms 2018年12月
武田の大学院時代の同級生・持田さん、生物学科の渡辺洋平先生との共同研究。渡辺先生の研究室で精製したEndosulfineを氷詰めにして新幹線で熊本大まで持っていき、持田さんとin vitro phosphatase assayをおこないました。あの頃は若かった、、、。第一期大学院生の青野さんの奮闘も。
Diverse fission yeast genes required for responding to oxidative and metal stress: Comparative analysis of glutathione-related and other defense gene deletions
Tomas Pluskal, Kenichi Sajiki, Joanne Becker, Kojiro Takeda, Mitsuhiro Yanagida
GENES TO CELLS 21(6) 530-542 2016年6月
Glucose restriction induces transient G2 cell cycle arrest extending cellular chronological lifespan
Fumie Masuda, Mahiro Ishii, Ayaka Mori, Lisa Uehara, Mitsuhiro Yanagida, Kojiro Takeda, Shigeaki Saitoh
SCIENTIFIC REPORTS 6 19629 2016年1月
武田のつぶやき:武田の大学院時代の恩師の柳田さん、先輩である齋藤さんとの共同研究。当時、修士課程学生だった石井さんも大変がんばりました。
The critical glucose concentration for respiration-independent proliferation of fission yeast, Schizosaccharomyces pombe
Kojiro Takeda, Caroline Starzynski, Ayaka Mori, Mitsuhiro Yanagida
MITOCHONDRION 22 91-95 2015年5月
武田のつぶやき:沖縄科学技術大学院大学時代の武田の研究をまとめた論文です。素朴な小品ですが、結構、引用していただいています。
「畢生の大作、と画家が意気込んで描いた作品よりも、肩の力を抜いてささっと書いた商品が案外評価されるものですよ」というのが恩師の柳田さんの評。
The 19S proteasome subunit Rpt3 regulates distribution of CENP-A by associating with centromeric chromatin
Teppei Kitagawa, Kojiro Ishii, Kojiro Takeda, Tomohiro Matsumoto
NATURE COMMUNICATIONS 5 3597 2014年4月