Post date: 2020/01/29
Keywords: ADHD、LD、青年期、抑うつ、不適応、障害学生支援
日本LD学会第3回研究集会に参加してきました。
基調講演は、鳥居深雪先生(神戸大学)で、インクルーシブ教育についてでした。
NeuroDiversityに関する内容など、鳥居先生らしく、分かりやすい具体例と学校現場への示唆ある内容でした。特に、障害者差別解消法における合理的配慮とセルフ・アドボカシーの関係は、これからの学校教育、あるいは子どもの障害告知・自己理解教育において重要になってくると思いました。
思い返せば、前任校で肢体不自由のある大学生の合理的配慮について、JASOの調査を調べ論文にまとめた時も書きました。当時はアドボカシーという用語を使いませんでしたが、「自分でどのような支援があるとよいのか、理解し、大学・企業側に伝える」自己理解とスキルが必要であることをまとめました。また10年近く前の事ですが、PCを使った作文構成の学習支援を受けていたお子さんが、中学校でも作文を同じようにやって良いか担任の先生に質問した、というエピソードがあります。その子はこうすれば自分は上手にやれる、という学習の仕方を学び、自己効力感を高めると共に、学校でそのような方法を許可してもらえるよう申請した・・・鳥居先生のいう「アドボカシー」を上手に身につけた例でしょう。こういう例を増やしていけるよう実践を重ねたいですね。
もちろん小学生・中学生等の発達段階や個人の表出能力等を考慮し、大人がアドボケーターになる場面も必要です。「アドボカシー」が大切だから、本人が言うまで待ちます、支援しません・・・じゃ、子どもは傷ついて起き上がれなくなっちゃいます。本人が失敗できる環境、失敗しても立ち直れる環境が大事ですね。鳥居先生も「子どもは失敗する権利をもっている。先生がわざと失敗させる権利は持ってないのですが(笑)」と言ってました。臨床に携わるものとして、子どもの思いを保護者や学校に通訳していくことも忘れずにいきたいです。
また、研究発表で「大学生における診断閾下のADHD特性が抑うつや大学生活適応に影響する」というポスター発表を行いました。発達的グレーゾーンの学生さんも、抑うつ症状や大学生活の不適応感を持っていることを示したものです。
大学の学生相談室や障害学生支援室といった方や高校の先生方と議論させて頂きました。またある先生から「小学校時代指導していた子どもが大学進学後、上手くいかず中退・帰省してうーん・・・ていう状態に・・・」というお話を伺いました。大学という場所にいるものとして、小学校・中学校・高校の先生方が上手に育ててきた学生たちが、立ち直れないほど失敗しないように、上手にバトンを受け取りたいと思いました。
最後の公開シンポジウムはリヒテルズ直子さんの本で紹介されている「オランダの教育」「イエナプランの実践(日本での!)」と、赤木和重先生(神戸大学)の「アメリカの貧困地域の学校」でした。多様な学び方を補償する学び場、学校をどのように創るか、という内容で、正直驚いた部分も多く、「日本の“公”教育でもできる可能性がある」けど、そのためには「教員養成の問題」があると感じた内容でした。
いずれまとめる時間がとれれば・・・。
以上