Post date: 2020/04/16
Keywords: 遠隔授業、インターネット、Microsoft Teams、Webex、Zoom
コロナ感染症が猛威を振るう中、佐賀大学でも遠隔授業の波が押し寄せています。
遠隔授業の形態は大きく分けて3つあります。個人的な感想としてまとめておきます。
この領域の専門家がいろいろとネットに公開してくれてますので、ここでは技術的なことは触れません。
1.課題配信型
従来の通信教育に近いものですね。また授業時間のスタートに課題を配信して、時間中に回収・解説をする、という双方向性とオンタイム性を意識するところが、進研ゼミ等とは違うところ。また課題配信型はアクティブラーニング、問題解決型学習(PBL)、反転授業など、これまでに実践されてきた形式と重なる部分が多いので、導入コストは低いみたいです。
一番の売りは、メールだけで完結できることで、パソコンやタブレットを持たない学生、インターネット環境が十分でない学生でも授業参加できること。教育の機会均等や学習権、授業料等を考えると、特に小中学校等の公教育や私立大学ではいいかもしれません。
おすすめは非常勤先が提示したGoogle Classroom。なかなか便利そうです。
まぁ、これまでにMoodleやGoogle Forms等のサービスを使って似たことをやっていた先生は(大学には)多いと思いますので、学生も慣れがあるのがいいですね。
以下の、課題配信型と比べ、動画配信型、ライブ配信型の方が見栄えはいいんですが、講義はYoutubeや映画と違うので、90分も見てられない、という点を忘れてはいけないと思います。また教員は1日の中の1コマかもしれませんが、学生は1日に何コマもありますので、ネットワークなどの問題だけでなく、ディスプレイ視聴時間の長さによる疲労などの問題を考慮する必要があるでしょう・・・動画でもライブでも、課題配信型と混ぜて、視聴時間を短めにする工夫が重要だと思います。
2.動画配信型(オンデマンド)
これは従来の放送大学システムですね。いっそ大学が放送大学にお金を払い、学生が利用できるようにした方が質が高いように思います。放送大学の動画でカバーできない科目を、次に紹介するライブ配信型で補えば、と思ったり。
実際にはPowerPointやKeynoteで音声付きの動画を作成し、Webにアップするわけですね。
個人的にYoutubeやiTunesにあげた方が、集客・宣伝効果が高そうな気がするのですが、先生方の中には「(同じ大学の学生であっても)履修登録してない学生に見られるなんて」、「まして外部の人に・・・」、「同僚や他学部の教員に見られるのだって気になるのに」という考えもあります。
佐賀大学では、MicrosoftのStreamという動画配信サービスを利用することになりました。学生アカウントのある人だけが見られる、というものです。後述のTeamsとの連携の良さがいいですね
3.ライブ配信型(生中継)
一番双方向性が担保されるのがライブ配信ですね。ようやく大学にツイキャスやYoutubeライブの時代が・・・笑
その場で投げかけの質問したり、グループ作業させたりといろいろできそうです。
正直、教員養成学部の人間としては、公教育のIT化の遅れ、教員のスキル不足、学校のネットワークインフラや機材、システム管理者等の不在など、問題が山積していることを踏まえると、将来の学校に入る大学生が、この手の遠隔授業に馴染んでくれるのはありがたいです。
ZoomやWherebyがあれば、、、と思ったんですが、Zoomの問題は大学が学生に強制するにはちょっと厳しいですね。各個人が自己判断のもとでやるならいいんですが。
佐賀大学では、MicrosoftのTeamsというサービスを使う案が出ています。Teamsの利用方法や導入方法の説明が非常に遅かったので、勝手に資料を作ってコースの先生方や学生と練習しました。そのおかげで、なんとなくやれそうだ、と結果期待がもてました。お試しに参加した学生さんの反応もよかったです。
しかし、問題なのは、類似のWebexというサービスを新たに契約し、選択できるようにしたこと。WebexはZoomと同じで、リンクやコードでオンライン会場を作るので、アクセスは非常に簡単です。しかし、授業、という意味では、Teamsの方ができることが多く、便利です。Teamsは資料管理などもOffice365やOnedriveで一元化できるので、学生にとって分かりやすいんですよね。ましてや、どんな学校現場でもMS Officeは契約します。教員養成学部としては大学生の間に慣れ親しんでくれると、将来の学校の校務や授業にも・・・と妄想してしまいます。
TeamsはもともとOffice 365に入ってたのになぜ?という感じです。このせいで、学生がしばらく2通りのライブ配信に戸惑うことでしょう。。。
遠隔授業は、不登校や病弱、離島などの遠隔地といった様々な理由で教育の機会にアクセスできない子どもや保護者の福音になるかもしれません。一方、やはり課題になるのは、ITインフラやIT機器の格差、そして義務教育時代における経験の少なさです。日本はこのあたり、自己責任論で進めてきた結果、ツケが回ってきてる感じです。有事のために税金を普段から投入しておかないから・・・。文部省や自治体によってはモデル校を作ったり、タブレット全員配布を目指して頑張ってますが、これを契機に、内閣や財務省に若い人が入って変えてくれるよう、有権者として声をあげたいところです。
以上