池田昌之のホームページ Masayuki Ikeda's website

English/Japanese                           (↓ペルム/三畳系チャートの調査風景.New Zealand, Arrow Rocks島にて) 
所属: 静岡大学 理学研究科 地球科学専攻 生物環境科学講座 助教 教員データベース
研究対象 : (詳細は本ページ下部にあります。)
・地球史を通じた気候変動のダイナミクス、特に日射量変動に伴う環境変動とそメカニズム,生物の絶滅・進化との関係について研究を行っています
最近は,太陽系惑星のカオス的挙動に伴う,大気二酸化炭素(CO2)などの炭素循環や陸域-海洋の環境変動(モンスーン,大陸風化,砂漠化、海洋無酸素,海洋酸性化)、恐竜など陸上生物の進化、および隕石衝突や津波堆積物に興味を持っています. 
・新潟堆積盆の褶曲形成史
研究分野 地質学(地球環境史学,堆積学,層序学,古気候学,古環境学,古生物学,古天文学,構造地質学)   
論文:
19. Ikeda, M., Tada, R., Ozaki, K., 2017 Astronomical pacing of the global silica cycle recorded in Mesozoic bedded cherts. Nature Communications doi:10.1038/ncomms15532(中生代層状チャートの縞模様が天文学的周期に伴う陸域環境変動、特にメガモンスーンに伴う大陸風化速度変動に起因した、というメガモンスーン仮説の検証を試みました。More→

18. 舘下 雄輝沢田 安藤 卓人池田 昌之, 2016. 堆積岩中のカロタンおよびその派生物の GC/MS 解析. Res. Org. Geochem. 32, 55 − 66. 

17. Ikeda, M., Baumgartner P, Bole M., 2016  Orbital-scale changes in redox condition and biogenic silica/detrital fluxes of the middle Jurassic radiolarite in Tethys (Sogno, Lombardy, N-Italy): Possible link with glaciation? Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 440, 725-733.(イタリア中期ジュラ紀の層状チャートの堆積リズムから,ミランコビッチサイクルで酸化還元度と生物源シリカ/砕屑物フラックスが変動していたことを示した.両者の位相関係が変化することについて、当時発達した氷床量変動による海水準変動で説明を試みた.)

16. Kitamura A., Ohashi Y., Ishibashi H., Miyairi Y., Yokoyama Y., Ikuta R., Ito Y., Ikeda M., Shimano T., 2016. Holocene geohazard events on the southern Izu Peninsula, central Japan. Quaternary International. 397, 541-554.

15. Ikeda, M., Hori S. R., Okada Y., Nakada R., 2015. Volcanism and deep-sea acidification across the end-Triassic extinction event. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology440, 725-733.(三畳紀末絶滅層準前後で深海チャートの色調が明赤色から紫,暗赤色に変化することに着目し、元素組成・鉱物組成を元に三畳紀末絶滅事変における火山活動と深海酸性化イベントの時期について議論した.)

14. 曽田勝仁, 尾上哲治, 池田昌之, 2015. 九州東部津久見地域に分布する秩父帯中部三畳系層状チャートのサイクル層序学的検討.地質学雑誌.121, 147-152.

13. 岡田有希, 堀 利栄, 池田昌之, 池原 実, 2015, パンサラッサ海深海堆積物における三畳系−ジュラ系境界層の地球化学的検討.大阪微化石研究会誌特別号,第 15 号,p.219-232. 

12. Kameda, J., Kouketsu, Y., Shimizu, M., Yamaguchi, A., Hamada, Y., Hamahashi, M., Koge, H., Fukuchi, R., Ikeda, M., Kogure, T., Kimura., G., 2014. The influence of organic–rich shear zones on pelagic sediment deformation and seismogenesis in a subduction zone. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences. 109, 228-238. DOI: 10.2465/jmps.140403.

11. Ikeda, M., and Hori S. R., 2014. Effects of Karoo-Ferrar Volcanism and Astronomical Cycles on the Toarcian Oceanic Anoxic Events (Early Jurassic)Paleo-3410, 134-142doi:10.1016/j.palaeo.2014.05.026(ジュラ紀Toarcian海洋無酸素事変は2回のイベントで、両方ともKarooの火山活動の時期に起こり,更にミランコビッチサイクルの40万年周期の極大期に開始し、極小期に終了したことを示した

10. Ikeda, M., and Tada R., 2014. A 70 million year astronomical time scale of the deep-sea sequence (Inuyama, Japan): Implication for Triassic-Jurassic geochronology. Earth and Planetary Science Letters, 399, 30-43.doi:10.1016/j.epsl.2014.04.031(犬山の7000万年間分の深海性層状チャートの縞模様から世界最長の天文学的年代層序を構築。他地域のイベントと高精度で対比を可能にする

9. 池田昌之, 2014. ミランコビッチサイクルを用いた天文学的年代調整:サイクル層序の進展. 月刊地球/号外第四紀研究における年代測定法の新展開:10年間の進展.51-58.(ミランコビッチ仮説を応用したサイクル層序とオービタルチューニングの歴史と有用性、限界について、第四紀の研究を例に解説した.)

8. Ikeda, M., Tada R., and Sakuma H., 2014. A 65 million year astronomical time scale of the deep-sea sequence (Inuyama, Japan): Implication for Triassic-Jurassic time scale. Strati2013, 201-203.(犬山の7000万年間分の深海性層状チャートの縞模様から世界最長の天文学的年代層序を構築。他地域のイベントと高精度で対比を可能にする

7. Ikeda M., 2013. Cyclostratigraphy of the Triassic to Jurassic deep-sea sequences in Japan: Frequency modulation for stratigraphic correlation. The Triassic System. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin, 61, 259-267. (北海道神居古潭地域,及び犬山地域の三畳-ジュラ系層状チャートのサイクル層序を確立.両地域のチャート層厚変動が,同様の周期変調様式を示したことに基づく対比の高精度化について議論した.)

6. Kaiho K., Yatsua S., Oba M., Gorjan P., Casier J. G., Ikeda M., 2013. A forest fire and soil erosion event during the Late Devonian mass extinction, Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 392, 272–280. (デボン紀の大量絶滅時期のバイオマーカー分析により,森林火災,土壌流出,海洋無酸素事変が大量絶滅の前後2万年,計4万年間以内に起きたことを実証.時間尺度は,層状石灰岩の帯磁率変動(陸源砕屑物供給率指標)に見られたミランコビッチサイクルから推定.)


5. 
Ikeda, M., and Tada, R.,
2013
Long-period astronomical cycles from the Upper Triassic to Lower Jurassic bedded chert sequence, Inuyama, Japan; Geologic evidence for the chaotic evolution of Solar Planets. 
Earth, Planets and Space, 65, 351-361. (約200万年周期の長周期ミランコビッチサイクルの周波数の変化が,三畳紀からジュラ紀に変わったことを犬山チャートから検出.この結果は,天体力学計算における太陽系惑星のカオス的挙動の制約にも応用できる.さらに,200万年周期のミランコビッチサイクルの”カオス的”な振幅の変化が,地球システムの何らかの増幅プロセスを介して,日射量変動自体には殆どない800万年周期の気候変動を引き起こす可能性を示唆.)

4. Sakuma, H., Tada, R., 
Ikeda, M.,
 
Kashiyama, N., Ohkouchi, N., O. Ogawa, S. Watanabe, E. Tajika and, S. Yamamoto, 2012, High-resolution lithostratigraphy and organic carbon isotope stratigraphy of the Lower Triassic pelagic sequence in central Japan, The Island Arc. 21, 79-100. 
(下部-中部三畳系遠洋堆積層の高解像度岩相-化石-d13C層序を構築.ペルム紀末大量絶滅以降,三畳紀前期は堆積速度が異常に高いことから,陸域植生の崩壊により風成塵放出量が増大した可能性を示唆.)

4. Ikeda, M., Sakuma, H., Tada, R., Takahashi, S., 2011, Enhanced chemical weathering during early Triassic in response to the colllapse of terrestrial ecosystem after the end-Permian mass extinction, Mineralogical Magazine75, 1080.

3. Ikeda, M.Tada, R., Karasuda, A., Sakuma, H., 2010b., Long-period Astronomical Cycles from the Upper Triassic to Lower Jurassic Bedded Chert sequence: Implications for Jurassic Cyclostratigraphy, Earth Science Frontiers17, 112-113.

2. Ikeda M., Ryuji Tada, Hironobu Sakuma, 2010a, Astronomical cycle origin of bedded chert; a middle Triassic bedded chert sequence, Inuyama, Japan. Earth and Planetary Science Letters, 297, 369-378.(遠洋深海性層状チャートの縞模様が地球軌道要素に伴う日射量変動”ミランコビッチサイクル”に起因していたことを検証.これにより中生代の気候変動と生物進化を天文学的時間軸で議論できるようになる.→右上図はIkeda et al.,2010Fig2.犬山地域の柱状図)

1. 池田昌之・山路 敦 (2008) 新潟県長岡市北東方,東山背斜の形成時期:古流向と地質構造からの推定. 地質学雑誌, 114, 405-414.(東山油田で背斜が隆起を始めたのは300万年前以降で,今まで考えられていたより数百万年遅いことが,詳細な地質図作成と古流向解析,小断層解析の結果判明.こうしたことは,石油鉱床生成を 探る基礎データになる.卒業研究.右図東山地域の地質図↓) 

学位
 
博士(理学)2012:東京大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 (指導教官: 多田隆治) 
士論文: 中生代層状チャートの堆積リズムに刻まれた天文学的周期とグローバルシリカ循環
Astronomical cycle recorded in the rhythms of the Mesozoic bedded chert and its relation with the global silica cycle 
修士(理学)2009:東京大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻 (指導教官: 多田隆治) 
修士論文: 美濃帯犬山地域中部三畳系層状チャートの堆積リズムにみられたミランコビッチサイクルと古気候変動の関連性 
Milankovitch cycle detected from the bedded chert sequence, Inuyama, Japan, and its linkage to paleoclimate change
学士(理学)2007年:京都大学理学部地質学鉱物学教室 (指導教官: 山路敦) 
学士論文: 長岡市北東方,東山背斜の形成時期:古流向と小断層解析による推定

略歴 :
2003年: 福岡県私立明治学園高等学校 卒業 
2007年: 京都大学理学部 地質学鉱物学教室 卒業 
2009年: 東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻 修士課程 卒業 
2009年
2012: 日本学術振興会特別研究員(DC1@東京大学)に採用
2011年: コロンビア大学 ラモント地球観測研究所 客員研究員(東京大学  
OYIR
 
インターンシップ)
2012年3月22日:東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程 卒業
2012年~2014年: 愛媛大学大学院 理工学研究科 数理物質科学専攻 特別研究員(PD) 
2012年~2014年: コロンビア大学 ラモント地球観測研究所 客員研究員
2014年~2015年: ローザンヌ大学 客員研究員
2014年~:静岡大学理学研究科地球科学科 助教(現在に至る)
■受賞歴 
2007年:日本地質学会 優秀講演賞 受賞(池田・山路2008) 
2008年:日本地質学会 優秀ポスター賞 受賞(Ikeda et al., 2010EPSL
2009年:東京大学理学系研究奨励賞(修士) 受賞
2009年:The Best Student Poster Award (The 12th Meeting of the International Association of Radiolarian Paleontologists the Micropalaeontological Society) 受賞
2010年: 日本地質学会賞 受賞
2013年:日本堆積学会 最優秀講演賞 受賞
2013年:日本堆積学会 論文賞 受賞(Ikeda et al., 2010EPSL) 
研究助成
2014 
– 
2015年
 平成26年度最先端研究推進経費 教育研究プロジェクト経費.陸-深海層の国際対比による中生代環境変動ダイナミクスの解読
2014 – 2016年
 
 若手B
 
:「
 長周期ミランコビッチサイクルに伴う炭素循環動態の解読  
2014年-
 
 
 Fondation Herbette @Lausanne University(スイス) 
 Cyclostratigraphy of Mesozoic radiolarites from Panthalassa and Tethys - Towards a global oceanic fertility and climate record.」
2013年:
 
高知大学海洋コア総合研究センター 全国共同利用 
題目  
 
 
中生代遠洋性堆積層における古地磁気学的検討:全球シリカ循環の
解読に向けて」
2012 – 2015年
 
 日本学術振興会科学研究補助金・特別研究員奨励金(PD)@愛媛大学
 
 
「大量絶滅時期の大気CO2削減機構として大陸風化の評価
   
2012年: 藤原ナチュラルヒストリー振興財団
  
 
陸域-遠洋域の高精度統合層序対比による三畳紀/ジュラ紀境界大量絶滅からの回復過程の解明  
2009 – 2012年
 
 日本学術振興会科学研究補助金・特別研究員奨励金(DC1)@東京大学
 
「ペルム紀末大量絶滅からの表層環境と生態系の
   
回復過程における
 
  
相互作用の解明」
2011年: コロンビア大学ラモント地球観測研究所 Paul Olsen教授研究室 客員研究員     
 
 
. (Columbia University, Lamont Doherty Earth Observatory)
 
 層状チャートの堆積リズム
形成メカニズムの解明:メガモンスーン仮説の検証」

2011年: 東京大学学術研究活動等奨励事業(国内)

「北海道神居古潭帯三畳-白亜系層状チャートの野外地質調査」

2010年: 東京大学GCOE国際学会派遣プログラム旅費支援 The 8th International Congress on the Jurassic System (Sichuan, China, 2010.8)  

 
GCOE国際学会派遣プログラム
2009年: J-DESK旅費支援 IODP INVEST (IODP New Ventures in Exploring Scientific Targets,Bramen, Germany 2009,9, 23-25. )

■提案書/報告書

3. Ikeda (2010) Report on the 8™ International Congress on the Jurassic System (Jurassic-2010). http://www.gcoe-earths.org/research/2010RA/pdfs/2010GCOE-VISIT_MasayukiIkeda.pdf.

2. 池田昌之・泉賢太郎 (2010) The 8th International Congress on the Jurassic System (August 9-13, Shehong of Suinig, Sichuan, China) 参加

1.Masayuki Ikeda, Ryuji Tada, Hitoshi Hasegawa H. (2009) Long periodicity (3.6 Myr) Milankovitch cycle and its potential impacts on the Earth system dynamics, IODP INVEST White Paper.報告. 地質学 News.

■担当講義全て分担
地球科学研究入門
地球科学論文演習I, III, II, IV
地球科学英語演習
地学実験(PCB, G)
地質調査法実習I (新カリ+旧カリ)
地質調査法実習II
地球科学野外実習II
地球科学長期巡検I, II,III,  IV 
地球科学特別演習(院) I, II, III, IV


★研究テーマ

Q.太陽からの日射量の変化が地球の気候変動と生物進化にどう影響を与えるか?

 昼と夜、また四季の変化は,太陽から日射量が変わることによって引き起こされます.この日射量は太陽活動や地球軌道によって様々な時間スケールで変動します。特に,ミランコビッチサイクルとよばれる約2万年(歳差運動),4万年(地軸の傾き),10万年(離心率)の準周期的な長期変動は氷床量やモンスーン強度の変動を駆動し,さらにそれらの変動が大気CO2濃度の変化などを介して地球システム内で増幅されることにより,特に10万年周期が氷期-間氷期サイクルのグローバルな気候変動を引き起こすスイッチとなったことが古くから知られています.しかし,さらに長周期の40万年から数1000万年周期の日射量変動の存在はあまり注目されておらず,その地球環境への影響も未解明です.現在は,ちょうど40万年周期,240万年周期の極小期の時期でもあるため,これらの周期でどのような気候変動が起こるかを解明することは現在の地球環境を理解する上で重要かも知れません.
 私は,史上最大規模とされるペルム紀-三畳紀(P/T)境界大量絶滅や,恐竜の繁栄のきっかけとなった三畳紀/ジュラ紀(T/J)境界大量絶滅とその回復過程を研究を通して,長周期の日射量変動の地球環境(物質循環)への影響を研究しています.
 今後,地球史を通した長周期の日射量変動の地球環境変動,生態系への影響を解明したいと考えています.

【現在進行中の研究テーマ】
   1. 大量絶滅イベントにおける表層環境と生態系の回復過程とその相互作用の解明.
   2. 遠洋深海性層状チャートの堆積メカニズムの解明:メガモンスーン仮説
   3. 地層の縞模様から天文学的年代目盛の確立:“ミランコビッチ“サイクル層序
   4. 地層の縞模様から見えてきた太陽系運動のカオス的挙動
   5. 海洋無酸素事変と日射量変動の関連性の解明:ペルム紀-三畳紀,ジュラ紀Toarcian,白亜紀,デボン紀のOAEsのメカニズム探求
   6.  陸域環境変動にモンスーンが与える影響の解明
   7.  生物多様性と日射量変動の関連性の解明
 約2億5000万年前のペルム紀/三畳紀(P/T)境界には顕生代最大規模の大量絶滅が起きたことが知られ,生物種の90~95%が絶滅したとも言われています.さらにその後、表層環境と生態系がこの大絶滅から回復するのに500万年以上もの時間がかかったことが分かってきましたが,なぜ回復が遅れたのか,その実態は未だ謎のままです.

 私はこの謎を解くため,日本の付加体中に広く分布する遠洋深海性堆積物”層状チャート”を主な対象として研究を行っています.この層状チャートの色の変化からこの絶滅を引き起こし,回復を遅らせた直接要因の一つとして長期間の超海洋無酸素事変(Superanoxia参照; Isozaki, 1997 Science)があげられていますが,その実態は未解明でした.未解明の要因として,この時期の地質記録が地殻変動で断片的にしか残されていないことが大きな問題でした.

 そこで,私は地道
な地質調査によって各地の断片的な地層の重なり(層序)を1枚1枚記載し,多地域を比較してつなぎ合わせることにより,回復過程の層序を完全連続に復元しました(Ikeda et al. 2010 EPSL).  さらに、地層の1枚1枚がミランコビッチ・サイクルの日射量変動に対応している可能性がみえてきたので,現在は,このP/T境界大量絶滅からの回復過程において,日射量変動が表層環境と生態系にどのように影響を与えたのか,について研究しています.

2.  遠洋深海性層状チャートの堆積メカニズムの解明
 遠洋深海性層状チャートという地層は、主に放散虫という珪素の殻をもつプランクトンの化石からなるチャートと主に風で運ばれてきた風成塵からなる頁岩がcm単位でリズミカルに繰り返していからなります.このチャート,頁岩数千枚の厚さを野外で計測し,周期解析を行った結果,
2枚,5枚,20枚,100枚,200枚,500枚,1500枚周期が検出されました.化石層序年代によると,このチャート1枚の堆積期間が約2万年に相当することから,堆積リズムは4万年10万年40.5万年200万年400万年1000万年, 3000万年周期に相当し,これらの周期は日射量変動のそれと対応することから,この日射量変動がチャート・頁岩の堆積リズムの起源であったと考えられます(Ikeda et al. 2010, 2014).
 そこで,日射量変動がどのようなメカニズムで地球環境に影響を与えたのか,当時の地球システム・物質循環の観点から地球化学的に検討しています.

3.  地層の縞模様から天文学的年代目盛の確立:“ミランコビッチ“サイクル層序
地層から貴重な化石を発掘したり,その岩石から興味深い化学分析結果が得られても,その年代が正確に決まらなければ、生物進化や気候変動のグローバルな時空間変遷を理解することは出来ません.このような年代精度の問題は古くなればなるほど深刻で,たとえ誤差が数%でも1億年前では数百万年になるため,過去に地球環境が激動していたにもかかわらず,気候変動のプロセスやメカニズムに未解明な点を多く残していました.

 そこで,地層に刻まれた日射量変動の周期性から,天文学的な周期性を地層の時間目盛として利用することができます.木や貝の年輪と同様に,地層の縞々にも1年で1枚で出来た層(年縞)や地球軌道要素の数万年周期の縞模様があり,理論上,数億年前の地層1枚1枚に1年~数万年単位での時間目盛を正確に刻むことができます.これをサイクル層序cyclostratigraphyと呼びます.ただし,前提として地層の1枚が何年に対応するかを解明した上で,別の手法で大体の時代を決める必要があります.そのため,この手法は新生代の後半では適用されてきましたが,古い時代では地層が不完全にしか残されていないため,断片的にしか適用されてきませんでした.

一方,遠洋深海性層状チャートは数千万年という非常に長い時間,連続的に堆積しているため,長期間の地球環境と地球軌道の変動を解読する有力な“古文書“であると言えます.ただし,地球軌道要素はその周期が変調することが知られているため,正確な天体力学的な数値計算を行う必要があります.しかし,100万年オーダーの長周期の軌道要素はカオス的に変動することが知られているため,長期間の数値計算は不確定性が大きいと考えられています.一方,40万年周期は木星と金星の重力相互作用に起因し,木星が非常に大きいため,40万年の周期性は地質時代を通じて非常に安定であることが知られています.現在は,この40万年周期(チャート約20枚分)を時間目盛として,天文学的年代スケールの確立を試みています.今後,太陽系惑星のカオス進化を地層の周期解析によって復元することで,地球史を通じた地球軌道要素と日射量変動の復元も行いたいと考えています.

4.  地層の縞模様から太陽系惑星運動の”カオス進化”を復元

地球の公転軌道は太陽と他の惑星(水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星)の重力相互作用によって僅かながら刻々と変化しています.その結果,ミランコビッチサイクルとよばれる約2万年の歳差運動,約4万年の地軸の傾きの変化,約10万年の離心率の変化として“周期的”に変動しています.しかし,100万年以上の長周期サイクルはカオス的で,天体力学計算によれば現在と異なるモードがあることが予言されています.しかし,理論的にカオスであることは分かっても,実際過去にどうだったのかを知ることは出来ません.

そこで,過去に堆積した地層から地球軌道周期の痕跡を見つけることで,太陽系の惑星運動がどのように進化をしていたのかを明らかにすることが出来ます.私の研究している三畳紀ージュラ紀の地質記録には,現代の240万年周期,480万年周期ではなく,180万年,360万年周期が卓越していました.これらの周期は地球と火星の重力相互作用に起因するのですが,地球と火星の永年共鳴はカオス的であることが天文学的に予言されています.
北米Newark超層群の湖堆積物からも、三畳紀後期に180万年周期と360万年周期が報告されており,三畳紀には現在とは別のモードであったことが地質学的に明らかになりました(Ikeda et al. 2010 EPSL).興味深いことに,ジュラ紀前期の層状チャートには180万年周期と240万年周期が交互に現れる特殊なスペクトルがあることがウェーブレット解析によって明らかになり,これはちょうどカオスのモード遷移時期に対応すると考えられます(Ikeda and Tada, 2013 EPS, 2014 EPSL).
このカオスのモード遷移時期は天体軌道モデルに大きな制約を与えることが出来るとともに,このカオス的変動は日射量変動をも引き起こすため、地球環境へ与えた影響もあるかもしれません。今後,太陽系惑星のカオス進化を地層の周期解析によって復元することによって,地球史を通じた日射量変動の復元も行いたいと考えています.

5. 海洋無酸素事変と日射量変動の関連性の解明:ペルム紀-三畳紀,ジュラ紀トアルシアン,白亜紀のOAE Ikeda and Hori, 2014ほか準備中
6. 陸域環境変動にモンスーンが与える影響の解明  準備中
7. 生物多様性と日射量変動の関連性の解明   準備中

★研究業績 詳細

学会発表
国際学会 (口頭4件,ポスター6件,うち筆頭口頭3件,ポスター5件)

IKEDA M., Sakuma, H .and Tada R., High-resolution and continuous reconstruction of the lower-middle Triassic pelagic sequence (Inuyama, Japan): Implication for the productivity recovery process from end-Permian mass extinction, European Geosciences Union General Assembly (Viena, Austria, 2008.4)-A-07590. ポスター.[PDF]

IKEDA M., Sakuma, H. and Tada R., Milankovitch cycles detected in the middle Triassic bedded chert (Inuyama, Japan) and its relation with bottom water oxygenation changes, American Geophysical Union Fall Meeting (San Francisco, USA, 2008.12) ポスター.[PDF]

Sakuma, H., Tada, R.,
IKEDA M., Kashiyama, Y, Ohkouchi, N, Ogawa, N O, Watanabe, S, Tajika, E, Yamamoto, S, High-resolution Reconstruction of the Bottom-water Oxygenation Condition of Panthalassa During the Early Triassic Based on Sediment Fabric Analysis of Pelagic Sequence in Central Japan, American Geophysical Union Fall Meeting (San Francisco, USA, 2008.12) ポスター.[PDF]

IKEDA M., Sakuma, H., and Tada R.    Milankovitch cycles detected from the sedimentary rhythms of bedded chert and its relation to diversity dynamics of radi-olarian fossils. The 12th Meeting of the International Association of Radiolarian Paleontologists the Micropalaeontological Society    2009,9,14-17 Nanjing, China. ポスター. The Best Student Poster Award を受賞

Sakuma, H., Tada, R,
IKEDA M., Kashiyama, Y, Ohkouchi, N, Ogawa, N O, Watanabe, S, Tajika, E, Yamamoto, S    High-resolution Reconstruction of the Bottom-water Oxygenation Condition of Panthalassa During the Early Triassic Chert Gap Based on Sediment Fabric Analysis of Pelagic Sequence in Central Japan. The 12th Meeting of the International Association of Radiolarian Paleontologists the Micropalaeontological Society. 2009,9,14-17. Nanjing, China.口頭

IKEDA M., Hitoshi H. and Tada R., Milankovith origin of sedimentary rhythms of bedded chert: A Megamonsoon hypothesis. IODP INVEST, (Bramen, Germany 2009,9, 23-25. ) ポスター[PDF]

IKEDA M., Sakuma, H. and Tada R., High-resolution correlation of the late Triassic (Raetian) to the early Jurassic (Toarcian) between Pelagic sequence of Panthalassa and terrestrial sequence of Pangea using Milankovitch cycles. American Geophysical Union Fall Meeting.  GP23B-0794. (San Francisco, USA, 2009.12) ポスター.[PDF]

IKEDA M.Tada R., Karasuda A., and Sakuma, H., Long period astronomical cycles from the Upper Triassic to lower Jurassic Bedded chert sequence: implications for Jurassic cyclostratigraphy. The 8th International Congress on the Jurassic System (Sichuan, China, 2010.8) 口頭.


IKEDA M.
Sakuma, H.
Tada R., and Takahashi, S.,
 Changes in biogenic Si and dust flux in the Panthalassic Ocean during the early Triassic "Chert Gap". The XVII International Congress on the Carboniferous and Permian (Parth, China, 2011.6. 3-8) 口頭.

IKEDA M.
Sakuma, H.
Tada R., and Takahashi, S., Enhanced chemical weathering during early Triassic in response to the collapse of terrestrial ecosystem after the end-Permian mass extinction. Gold Schmidt (Pragha, Czech Republic, 2011.8) 口頭.
 75, 1080.

国内学会 (口頭13件,ポスター19件,うち筆頭口頭8件,ポスター5件)

池田昌之,山路 敦,東山背斜(新潟県長岡市)の成長開始時期:地質構造と古流向からの推定.日本地質学会第114回学術大会(札幌,2007.9).ポスター.(優秀講演賞を受賞)

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,下部―中部三畳系遠洋性堆積物(犬山,美濃帯)の高解像度完全連続層序に基づくペルム紀末大量絶滅からの生物生産の回復過程復元.日本堆積学会(弘前,2008.4)ポスター.

池田昌之,山路 敦,大坪 誠,東山背斜(新潟県長岡市)の褶曲成長時期:古流向,地質構造,小断層解析による推定.日本地球惑星科学連合(幕張,2008.5)口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,三畳系遠洋性堆積物(犬山,美濃帯)の高解像度完全連続層序の復元:P/T境界大量絶滅からの回復過程の解明に向けて.日本地球惑星科学連合(幕張,2008.5)ポスター.

・佐久間広展,多田隆治,柏山祐一郎,
池田昌之,大河内直彦,小川奈々子,田近英一,渡辺哲子,山本信治.犬山地域の遠洋性堆積物層序に基づく三畳紀前期を通した深海底酸化還元環境の変遷.日本地球惑星科学連合(幕張,2008,5)口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,層状チャートの堆積リズムはミランコビッチ・サイクルに起因したか?:中部三畳系犬山地域の例.日本地質学会第115回学術大会(秋田,2008.9)ポスター.(優秀ポスター賞を受賞)

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,ミランコビッチ・サイクルに起因した層状チャートの堆積リズム:中部三畳系犬山地域の例.古海洋シンポジウム(東京大学海洋研究所,2009.1)口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,中部三畳系層状チャート(美濃帯犬山地域)の堆積リズムに見られたミランコビッチ・サイクルと深海酸化還元度への影響.日本堆積学会2009年3月京都枚方大会O-17.口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,美濃帯犬山地域中部三畳系層状チャートから検出されたミランコビッチサイクルと深海酸化還元度の変動との関連性.日本地球惑星科学連合2009年大会,幕張,2009年5月18日.口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,美濃帯犬山地域中部三畳系層状チャートの堆積リズムから検出されたミランコビッチサイクルとサイクル層序.日本地球惑星科学連合2009年大会,幕張,2009年5月18日.ポスター.

・佐久間広展,多田隆治,
池田昌之,柏山祐一郎,大河内直彦,小川奈々子,渡部哲子,田近英一,山本信治.三畳紀前期の遠洋域における表層生物生産性と底層水酸化還元度の関係.日本地球惑星科学連合2009年大会,幕張,2009年5月18日.口頭.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,美濃帯犬山地域中部三畳系層状チャートの堆積リズムにみられるミランコビッチサイクルと放散虫化石多様性変動.日本古生物学会2009年例会,千葉大学,2009年6月27日.ポスター.

池田昌之,佐久間広展,多田隆治,層状チャートの堆積リズムとメガモンスーンの関連性.古海洋シンポジウム(東京大学海洋研究所,2010.1)口頭.

・烏田典明,
池田昌之,佐久間広展,多田隆治,山本信治,美濃帯犬山地域層状チャートからの平行葉理保存度と黄鉄鉱の三畳からみたToarcian?OAEの認定.日本堆積学会. 2010.3,26-27    (茨城大学).ポスター

佐久間広展,多田隆治,池田昌之,柏山祐一郎,大河内直彦,小川奈々子,渡部哲子,田近英一,山本信治.ペルム紀/三畳紀境界のパンサラサにおける海洋euxiniaと大量絶滅との関係.日本地球惑星科学連合2010年大会,幕張,2010年5月25日.口頭.

池田昌之,多田隆治,佐久間広展,烏田明典下部ジュラ系層状チャートの長周期のミランコビッチサイクル;太陽系惑星のカオス運動への示唆 日本地球惑星科学連合2010年大会,幕張,2010年5月25日.口頭.

多田隆治池田昌之佐久間広展,烏田明典,中生代層状チャートのサイクル層序;天文学的年代スケールの確立と地球史イベントの解明に向けて 日本地球惑星科学連合2010年大会,幕張,2010 年5月25日.ポスター

山北 聡,松本鉄平,前山暁之,竹村厚司,小森はる菜,,相田吉昭,酒井豊三郎,藤口匠吾,堀 利栄,小玉一人,鎌田祥仁,鈴木紀毅,高橋聡,池田昌之,K. Bernhard Sporli, Hamish J. Campbell, ニュージーランド,アローロックスOruatemanu層のSmithian-Spathianコノドント生層序.日本古生物学会第160回例会(筑波大,2010,6).口頭

池田昌之,多田隆治,佐久間広展,烏田明典・野上孝也・山本信治.メガモンスーン仮説:層状チャートの堆積リズムの成因.日本地質学会第117回学術大会(富山,2010.9)口頭発表.


・山北 聡,竹村厚司,小森はる菜,相田吉昭,堀 利栄,鎌田祥仁,高橋聡,池田昌之,K. Bernhard Sporli, Hamish J. Campbell, ニュージーランド,アローロックス南岸ARFセクションのInduan(三畳紀前期)コノドント生層序.日本古生物学会第160回例会(高知大,2011,1).
 

小森はる菜,竹村厚司,山北 聡,相田吉昭,堀 利栄,鎌田祥仁,高橋聡,池田昌之,K. Bernhard Sporli, Hamish J. Campbell, ニュージーランド,アローロックス南岸ARFセクションのInduan(三畳紀前期)放散虫化石群集.日本古生物学会第160回例会(高知大,2011,1)


IKEDA M., Paul E. Olsen, Tada R., and Karasuda A.,  

Long-period astronomical cycles detected form Triassic-Jurassic bedded chert sequence and lacustrine Newark supergroup: implications for the long-term Solar system behavior. 

Japan Geoscience Union (Makuhari, Japan, 2011.5) aural.[PDF]

IKEDA M.Paul E. Olsen, Tada R., and Karasuda A., 8-myr cycle detected from the sedimentary rhythms of bedded chert and terrestrial dry-wet cycle: evidences from the upper Triassic to lower Jurassic bedded chert sequence and Newark Supergroup. Japan Geoscience Union (Makuhari, Japan, 2011.5) poster.


竹村厚司,

小森はる菜,山北 聡,相田吉昭,堀 利栄,鎌田祥仁,高橋聡,池田昌之,K. Bernhard Sporli, Hamish J. Campbell, ニュージーランド北島,アローロックスにおける三畳紀最前期放散虫群集の変遷.日本古生物学会第161回例会(金沢大,2011,6)


一般向け
岐阜県立博物館の常設展,及び特別展「ジオペディアぎふ~岐阜の大地から地球史を探る~」(http://www.gifu-kenpaku.jp/toppics/8989;2012年7月~9月)に層状チャートの堆積リズムに関する研究成果(Ikeda et al., 2010 EPSL )を展示.

池田昌之,地層から読み解く環境変動,地球惑星科学公開シンポジウム「気候異変〜過去・現在・未来〜」(東京大学駒場キャンパス ,20095シンポジウムポスター)

・池田昌之中生代深海堆積岩の堆積リズムに刻まれた天文学的周期と表層環境変動, 第6回地文台シンポジウム&東工大流動機構国際ワークショップ. Masayuki Ikeda, Astronomical cycle and Earth system dynamics recorded in the rhythms of the Mesozoic deep sea sedimentary rock. 6th Symposium on the Science by Astronomical Earth Observatory . (東工大,2011.10).

【その他の業績】


大坪誠,山口直文,大橋聖和,山岡香子,山口飛鳥,池田昌之.地質学会若手の集い日本地質学会第115回学術大会(秋田,2008 .9)
大坪誠,山口直文,大橋聖和,山口飛鳥,池田昌之.地質学会若手の集い日本地質学会第116回学術大会(岡山,2009.9)
大坪誠,山口直文,大橋聖和,山口飛鳥,池田昌之.地質学会若手の集い日本地質学会第117回学術大会(富山,2010.9)
地球システム・地球進化ニューイヤースクール 
2009年度~

所属学会:
日本地球惑星科学連合,日本地質学会,日本堆積学会,日本古生物学会,American Geophysical Union, European Geoscience Union


Key word
層状チャート,堆積リズム,縞々,サイクル層序,周期解析,AR, ウェーブレット解析,S変換,ミランコビッチサイクル,軌道要素,歳差運動,地軸,離心率,永年共鳴,カオス,葉理,生物擾乱,酸化還元,海洋無酸素事変,遠洋,深海,湖成層,化学風化,シリカ循環,風成塵,モンスーン,超大陸パンゲア,Newark超層群、メガモンスーン,湿潤,乾燥,大陸風化,二酸化炭素,温室効果,温暖化,寒冷化,宇宙線, 化石,放散虫,多様性, 海底扇状地,古流向,小断層解析,長岡(新潟),犬山(愛知),郡上八幡(岐阜),竜ヶ岳(京都),津久見,玖珠(大分), San Francisco (U.S.A.), Arrow Rocks (New Zea Land), Newark, Hartford, Fundy (U.S.A.)
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