2019年7月発行

映画のイコノロジー飛行新聞 Die ikonologische Flugzeitung des Kinos Vol.4-1

メトロポリス(ニューヨーク)1927

メトロポリス板書(ニューヨーク)1927


Joh.Fredersen. 兄弟の息子 Freder sen ヤハ神


Klub der Söhne 御曹司クラブ(寡婦の息子たち=フリーメイソン)で遊ぶFrederはマリアが労働者の子供たちを連れて現れ、「お前たちの兄弟Brüderよ」の言葉に目覚め地下世界(人喰い モロク神)に行き、労働者ゲオルギーの身代わりに。ゲオルギーはFrederの服でYoshiwaraへ。


後をつけるFredersenのスパイ=カテドラルでバビロンの大淫婦の説教をする修道士


Rotwang 赤い強制 妻Helをフレデルセンに奪われる


機械人間でHelを甦らせるがその過程で右手(Rechthand 正義)を失う。

機械をバビロンの大淫婦=魔女マリアにして新バベル(Fredersen=脳)を労働者煽動で破壊するよう命じる。

聖女マリアをHelだと思いカテドラルで追い詰めるが、Helの息子Frederによって落下。

『メトロポリス』競技場全景
ナチス時代の建築
『メトロポリス』の機械の変容「モロク!」
古代カナンのモロク神


テア・フォン・ハルボー 原作・脚本(ラング米に亡命で離婚 ナチ協力)

フリッツ・ラング 監督 1926年製作 翌年公開、米で短縮公開。

『カリガリからヒトラーへ』のクラカウアー(フランクフルト左派)はラングの資本家(脳)と労働者(手)の和解を批判し、フレデルのマリアへの依存を(腰に抱きつく子供の姿勢)と情緒過多による「心臓Herz」の役割による解決を否定。

更に「心臓機械Herzmaschine」を破壊し子供たちを溺死の危険に晒し、マリアに煽動され、またマリアを魔女として火刑にする愚かな労働者大衆という視点を批判した。

『メトロポリス』 人造人間とロートヴァンク
ルドルフⅡ世の自動機械


ナチス運動にハルボーは共鳴(1931年)

ユダヤ系F・ラングは『M』製作後、アメリカ亡命

J・ゲッベルス『メトロポリス』評価。ミュンヘン共産政権・ヒトラー一揆

バベルの塔建設(神に近付く人間の叡智と崩壊)

ニムロド。メイソンの失われた言葉の発見、Fredersenのコンパス。

政治状況と中世(Rotwang赤い強制=管区、魔術、魔女狩り、人造人間=ゴーレム)

カオスから秩序を求める大衆、機械の破壊と聖女の預言する調停者(手と脳をつなぐ心臓)

ラングは「心臓機械」の破壊と大洪水(カタストロフ)、Frederの曖昧さ描写。


ドイツ・ロマン主義 / ナチズム

『メトロポリス』 緋色の龍に乗るマリアの姿
『美と力への道』で踊るマリー・ヴィクマンの弟子
『メトロポリス』 人造人間とマリアと放電光
ルドルフⅡ世の自動機械。皇帝が鏡を見ると現れる。
ヒトラーが計画したベルリン改造「ゲルマニア」の模型


ルドルフⅡ世 板書


驚異の部屋の収集品は、サンゴや椰子の実、ユニコーンの角など、キリスト教世界秩序の外部マージナル・カオス 秩序内の二極対立を外なるカオスで融解

ボヘミア民衆芸能人形劇と技巧魔術Ars magica 30年戦争でボヘミア敗北。

人形劇による民族自決、スペイン・カトリック抵抗運動。


ヤン・シュヴァンクマイエル「私のシュルレアリズムはA・ブルトンのそれではなくルドルフⅡ世のもの」


ボヘミア教会指導者、ヤン・コメニウスは亡国の子供の為の教育として「絵本」=イメージによる伝達。

カンパネッラ『太陽の都』

J・V・アンドレーエらの薔薇十字運動

『メトロポリス』 火刑台に縛られた偽マリアと群衆
『意志の勝利』撮影中のヒトラーとリーフェンシュタール
『メトロポリス』 カテドラル正面に向かう労働者の群れ
ナチス運動の英雄像


ヨーロッパ 世界支配 近代主義

第一次世界大戦=機械による無差別大量破壊

第二次大戦後 米ソ二極対立。キリスト教コスモス崩壊

1980年代からルドルフⅡ世時代の評価、秩序からカオス。

ヴィーン美術史美術館によるルドルフⅡ世の自動機械修復。

『ルドルフⅡ世の部屋』新設。



松本夏樹