ぬるぬる

(同性愛、性的描写あり)

([shindanmaker.com/464476]診断結果より)





少し前に、新しい海外製の潤滑ゼリーを買ったのが事の発端だ。

秋葉原のおもちゃ屋で見つけた。ぬるぬるで、舐めても大丈夫な成分でできている。フルーツの味がするシリーズで、僕はライチのやつを買ったのだ。


ほら見て、一見何かわからないパッケージなんだよ。ハンドクリームみたい。

一緒に帰ってきたヒロキは既にボクサーパンツ一丁で、ばかみたいに濃いラムコークを飲みながら頷いた。


僕等はボクサーパンツを脱いでベッドに転がり込み、そのゼリーを使った。

しかし僕の下でゼリーを舐めたヒロキは、急に吐き気を催し、夕飯を全部吐いてしまい、鼻水が止まらなくなったのだ。

今まで他のローションで致すときはそんなことはなかったし、ヒロキも体調は悪くなかったようで、これは全くゼリーのせいだというのは明らかだった。


大丈夫かな、救急車とか……。

いや大丈夫、落ち着いてきたから。冷えるからベッド入ってて。

トイレで鼻をかみながらまだ吐いているヒロキの、裸の背中は広くて、背骨がゴツゴツ出ていた。


でも僕としては舐められて嘔吐されていることには違いなく、ベッドの中でどうしようもなく悲しくなっていた。

懐かしい悲しみだった。初めてするときもヒロキは吐いた。あのときは余裕の無い僕が少し強引に口に押し込んだからだけども。


学生時代、酒に酔った勢いで男二人でラブホテルに入ってバカをした。そういうのはヒロキに対する言い訳で、本当はずっとヒロキが好きだった。

じっと見つめる横顔とか。目元とか。裸足の時の足の大きさ。少し掠れた声。

僕はヒロキに関して何一つ飽きなかった。情けないことに、こんなアラサーになるまで。


さて、ヒロキの体調と勢いはわりとすぐ回復したけど、僕の勢いはもう回復しなくなっていた。

眠いふりをしていても、ヒロキは僕の背中をノックして、欲求不満の証拠をこすりつけて、急患でーすとか囁いてくる。ばか。


僕は呆れながらも寝返りをうって、見せてごらん、と医者の役をしてやった。

ヒロキがそれを僕に握らせると、まったくばかばかしいことに、僕はじんわりと安心してしまう。


わかってるんだ、吐くほど汚い感情だって。世間から見ればどんなパッケージにしたって、ぬるぬると気持ち悪くて。

それでもまだ足を洗えない。僕が悪いって、まだ謝る気にならない。

体に乗り上げると同時にゼリーを蹴り落とすと、ヒロキはおかしそうにふきだした。


おまけ (以下診断結果まま)

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きじへの今夜のお題は『ぬるぬる / 酒に酔った勢いで / 見せてごらん』です。

https://shindanmaker.com/464476

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