おっぱい
(同性愛描写有)
青いソファの上、アイコはモスコミュールをごくごく飲んだあと、私に寄りかかって甘えた。
「おいし」
アイコは私の肩で、満足げに呟く。
ストッキングを脱いだ、銀行の窓口のお姉さん。
「飲み過ぎ」
缶をとりあげると、アイコは背中にくっついて、私の胸を揉みしだいてくる。
「だめ~、かえして~、わたしのおさけ~!」
返さない。揉みしだかれながら、無視して全部飲む。
「んん~!」
アイコは子供みたいに全力で私を引っ張って、無理矢理キスをした。
服の中、胸の先端に、綺麗なピンクの爪が触れる。
「やっ、つめたっ」
「んふふ~、どやあっ」
窓口勤務のお姉さんの指が、波打つ。
アイシャドーを拭った、生まれたままの目元で笑う。
「サユちゃん、だいすき。だいすき~! はむっ」
アイコは私のおっぱいを口のなかに咥えこんだ。
お酒を飲んでいたからか、少し冷たい舌で、胸の先を包まれている。
私のことをさぐって、味わっているのがわかる。
「……ほんと、おっぱい、好きだね」
もうそれに慣れた私は、目下の綺麗な黒髪を撫でながら呟いた。
「サユのおっぱい、やめらんないんだもん」
そう言いながら、左の乳首を指で探して、柔らかい唇に挟む。
窓口勤務のお姉さんは私にくっつき、ちむちむと音をたてて、おっぱいを吸った。
――ひとつになりたい。
前の人はよく、私を強く抱きしめて、舐めて、噛んで、呻いた。
彼は一体、何のことを言ってたんだろう。
ひとりでひとつなのに。
すぐ離れそうなほど軽やかなアイコの唇に吸われていると、冷静にそう思える。
アイコは、ちゅぱ、と唇を離して、呟いた。
「スキーいきたい」
「なんで、急に」
「サユのおっぱい見てたら、いきたくなった」
アイコは私の乳房に、綺麗な細い指を立てた。
「しゅうーって」
白くて柔らかい雪原のなか、ピンクのネイルは谷間へ滑っていった。
「すべりたいなー」
そのまま谷間の下をくすぐってくるから、私がわかったと音をあげると、アイコは満足げにおっぱいに顔をうずめた。
「じゃあ、ハルくんも呼んでいい?」
いいよ。と私は言った。
共通の友人だ。アイコのことをずっと好きな、パーマの男の子。
「ハルくんて滑れるのかな~」
アイコは眠そうにムニャムニャいいながら、私のおっぱいをずっといじっている。
唇の甘い感覚に、私もうとうとしながら、考えていた。
私は一体、何を考えているんだろう。
ひとりでひとつなのに。