★昆虫生態学(主に,群集生態学)
☆「里山における昆虫(甲虫)群集の生物多様性維持メカニズム」
これまでに,地球上で記録されている生物の総種類数は約182万種である.しかしながら,未だに数多くの未記載種がいることが知られており,実際に地球上に生息している生物の種類数はこの数よりずっと多い.自然界における生物群集は形態,サイズ,生態に関して非常に多様な種から構成される.ある生息場所や時間を考えた場合,これら多様な種の個体群がそれぞれ単独でいるわけではなく,複数の種が共存して生息し群集を形成する.群集とは,広義にはある場所における種個体群の集まりと定義できるが,実際には単なる種個体群の寄せ集めではない.群集は,捕食,共生,種間競争など種間相互作用で結ばれた集合体である.
自然界において,ある地点における群集は非常に多様な種により構成されていることもあれば,少数の種によって構成されていることもある.例えば,一般に熱帯における種多様性は他の高緯度地域と比較して高いといわれている.また,生物多様性や種構成は緯度の違いにかぎらず,標高によっても,島によっても(,景観や植生によっても異なる.このように,場所によって種多様性や種構成が異なるのは何故だろうか?何故ある場所に複数の種が共存できるのだろうか?群集生態学とは,生物間の相互作用,無機的環境と生物との相互作用,および各種の生活史戦略や行動,形態を把握することによって,生物群集の構造を説明し,その空間的・時間的変動の機構を解明する学問分野である.
拙者研究では,様々なタイプの生息環境がモザイク状に分布しているため,多様な種がそこに生息していると考えられている日本の里山と,地球上に生息する生物の中で最も多様な分類群である甲虫目に着目し,多様な種によって構成される群集における構造の空間的・時間的な変動パターンを記載し,その要因を機能グループや同じ生物的特性をもつグループの効果を考慮した全体的なアプローチにより検証することを大きな目的としている.科学の目的は,単なる事実の集積ではなく,繰り返し現れるパターンを探し,それを説明することである.
☆「ジョウカイボン科の生態学的研究」
主に,ジョウカイボン科の季節変動・空間分布パターン,成虫の産卵様式や地域のジョウカイボン相の研究をしている.
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