電離圏研究の歴史

電波(地球電磁気)と電離圏研究の歴史

1600: ギルバート「磁石論」の出版 (地球は1つの巨大な磁石である)

(参・・http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/demagint_j.htm)

18世紀: 地磁気の変動が知られるようになる

1839: C. F. Gauss -- 電気伝導度の高い層に言及

1860ごろ: J. C. Maxwell -- 電磁波の存在を予言

1860: Lord Kelvin (W. Thomson) -- 高電気伝導層が大気上層にある?

1878: B. Stewart -- 高層大気中を流れる電流を予言

1887: H. Hertz -- 電磁波の存在を実験的に証明

1890年代: A. S. Popov -- 電磁波による近距離通信に成功

1900: J. J. Thomson -- 電子の発見

1901: G. Marconi -- 大西洋横断通信に成功 (1909: Marconi, Braun ノーベル物理学賞受賞)

1902: A. E. Kennelly, O. Heaviside ? 高層大気中に自由電子があるのではないか?

(かつて、電離圏(電離層)はKennely-Heaviside layerと呼ばれていたこともある)

1903: J. E. Tayler, 1906: J. A. Fleming -- 太陽UV放射が高層大気中の自由電子を作る

1925: E. V. Appleton 電離層の存在を実験的に証明(?)、電波技術の電離圏観測への応用

(1947: Appleton ノーベル物理学賞受賞)

日本の電離圏研究

歴史的には、電波通信による情報伝達の重要性から、電離圏変動の研究が進められてきました。特に第二次大戦までは軍事的な重要性もあったので、文部省(大学・研究所)、逓信省(後の郵政省、総務省)に加えて、陸軍省、海軍省においても低緯度電離圏研究がおこなわれていました。日本の電離圏研究は世界的なものであり、1930年代には電離圏赤道異常の大発見(前田憲一、難波捷吾ら)があった他、50年代にはF領域生成理論(米沢利之)が世界に先駆けて構築されました(ともに電波研究所グループ)。そのほか、電離圏研究ではありませんが、日本人の研究による地球電磁気学分野での大きな成果として、地磁気の逆転現象の発見(1929年、松山基範)があります。

地磁気、電離圏研究のほか、日本の宇宙空間計測、南極観測などの研究の経緯は以下を参照。

日本の地球電磁気学歴史年表」(地球電磁気・地球惑星圏学会)