熱圏と宇宙環境

地球周辺の宇宙空間は、真空(何もない)領域ではありません。太陽から地球(惑星)に向かって、太陽風と呼ばれる(太陽磁場を伴った)プラズマの流れが押し寄せています。地球の場合、固有磁場があるために荷電粒子の流れは直接大気領域に吹きつけることはありません。しかしながら、地球周辺の電磁環境はこの太陽風の影響を強く受け、時として磁気嵐などの激しい現象が起こります。様々な過程を経て太陽風エネルギーは超高層大気(熱圏)へと到達し、消費されます。オーロラ現象やこれに伴う加熱現象がエネルギー消費過程に他なりません。超高層物理学の分野では、「いつ」「どこで」「どのくらい」のエネルギーが熱圏・電離圏へ流入し、大気変動を引き起こすのかを知るために様々な観測・理論研究が進められています。

下図は、熱圏領域の現象とエネルギーの流れを模式的に書いたものです。宇宙と地球とのはざまにある熱圏領域は、上部(宇宙空間・磁気圏)からと下層大気領域からの両方からエネルギーが流入し、常に激しく変動しています。