01 駅裏ジオロジー

別称「神居古潭石」

駅裏01(グーグルアースより)

JR旭川駅南口の広場です.写真「駅裏01」はグーグルアースより拝借.

駅南口からすぐですので,なにかのついでに見にいくとよいでしょう.

駅裏02 石庭全景(ボレアロ=プー original)

これが全景です.まずは左側にある立派な銘板に近づいてみましょう.

駅裏03 白い銘板(ボレアロ=プー original)

「名石 神居古潭石」の銘板ですが,これは神居古潭の石ではありません.

鍾乳洞で有名な当麻の石灰岩々体から切り出された大理石です.

当麻の石灰岩々体は大部分が再結晶の進んだ白色〜灰色の石灰岩ですが,

一部には,このようなピンク色した大理石が掘り出されていました.

さて,神居古潭峡谷には,きれいな岩石がたくさん産出しました.

あまり有名になったので乱掘が進み,

これが非常に貴重なものであると理解されるようにになった頃には,

もうほとんど残っていませんでした.

現在では採掘は禁止されていますし,神居古潭で岩石に傷をつけることも禁止されています.

過去には,何度か銘石ブームみたいなのがあって,床の間に飾ったり,

大きなものは庭石として愛されていました.

現在でも,古いお家の庭や客間にある床の間に飾ってあるお家があると思います.

駅裏04 黒い銘板(ボレアロ=プー original)

日本語としても,科学的にも,かなり残念な説明文ですが,

旭川ライオンズクラブとしても,かなりがんばったということで許してあげてください.

「1億数千年前の大陸移動中に起こった…」は奇妙すぎます.

これは「大陸移動」移動ではなく,「海洋プレートの拡大に伴う現象」です.海洋プレートの拡大は,はるか昔から起きてますし,現在も続いているから,時代について限定するのはおかしいのです.これは,“神居古潭石になった元の石”が堆積した時代のことを示したいのだと思われますね.

元の石は海洋底に溜まった(堆積した)泥岩やチャートとよばれる岩石,さらに海底火山活動でできた火山灰ほかの火山噴出物,そして火山島の周りにできたサンゴ礁や火山体が崩れてできた石灰岩や砂岩・礫岩,そんなものが海洋プレートの移動に伴って大陸の縁辺部に到着し,プレートが大陸下に沈み込むのに引きずられて地下深くに閉じこめられ,さらに“高温高圧”によって岩石化したものです.

でも,地球全体の環境から見れば,この環境は「低温高圧下」なので,その変化はわずかなものです.ですから,完全な変成岩ではなく,「片岩」とよばれる石になっています.有名なのは「青色片岩」とよばれるきれいな青色をした石ですが,この青い色が「低温高圧」条件下でできたことを示しているのです.残念ながら,駅裏石庭には,この青色片岩は置いてありません.

片岩にはこのほか,緑色のもの,黒いもの,白いもの,あるいはこれらが層状に重なったものなどがあり,元の地層の状態を色濃く残しています.ちなみに,緑色片岩は火山灰起源,黒色片岩は泥岩起源,白色片岩は砂岩起源と考えられます.

駅裏には,緑色片岩,黒色片岩,あるいは組み合わさったものなどが置いてあります.

生成の詳しいメカニズムは,神居古潭の解説の時にやろうかと考えています.

「神居古潭石は様々なパワーストーンを持つ…」は日本語的におかしいですが,ご愛嬌とお考えください.