投稿日: 2019/05/14 10:49:32
玉城デニー沖縄県知事が、「アエラ」(2019年3月11日号)で、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票の結果とこれからの運動の展望について、次のように語っている。
全県での県民投票が危ぶまれた中、多くの方が投票できた。辺野古埋め立ての反対票は、私が知事選で獲得させていただいた票数をはるかに超えた。ウチナーンチュの思いがしっかり出た結果だ。
地元紙などの出口調査では、すべての年代で7割以上の人が辺野古の埋め立て反対に投票したこと、とりわけ20代30代よりも10代での「反対」が多かったことを取り上げ、沖縄での若者の新しい運動の可能性について言及している。
ここでは、沖縄の若者の新しい運動について、地元紙やネットで公表されている若者の運動・声を紹介するかたちで、皆さんにお知らせしてみたい。
この間の県民投票に向けた若者の行動については、渡辺豪氏が「沖縄を深堀り・論考するサイトOKIRON(2019.1.18)」上で、「民意と政治の乖離をどう埋めるか~『辺野古』が日本社会に問うもの」で、次のようなルポルタージュをしている。
見出しには、明るさや元気の「見える化」とある。渡辺氏は「米軍普天間飛行場の返還をめぐる問題は2018年12月、国が移転先とする名護市辺野古の沿岸部への土砂投入に着手。沖縄県の玉城デニー知事が求める「対話」を踏みにじり工事が進む。どうすれば民意と離れた政治に歯止めをかけられるのか」といった問いから、沖縄の今を、沖縄の現地から報告する。
渡辺氏の目に止まったのは、那覇市在住の徳森りまさんのフェイスブックに掲載された記事だ。
辺野古の海に初めて土砂が投入された2018年12月のこと。グラスボートに乗り込んだ若者たちが笑顔をはじけさせながら約50個のカラフルな風船を海上にたなびかせた。「暴力の埋め立てに対し、愛の埋め立て(風船のパフォーマンス)を敢行」。そうした情景をフェイスブックに掲載すると同時に、次のようなメッセージが添えられた。
「埋め立て海域に近づくと、抗議市民を監視する警戒船が近寄ってきた。このとき、風船を持ちながら手を振ると、警戒船の乗員が手を振り返してきた。いつもは威圧的なのに、やり方をかえたら相手の反応も変わってくる」
徳森さんは言う。「イメージって大事。笑顔は強さだし、みんなが求めている。怒ってこぶしを突き上げるばかりではなく、明るさをもっと『見える化』していけば運動のイメージも変わるはず」「ウチナーンチュ(沖縄の人)は笑顔や元気の才能がある。悲しみや怒りを先に持ってくるのではなく、仲間を増やす方向にエネルギーを使ったほうがいい」と。
こうした若者の新しい運動の拡がりが、いま、玉城デニー知事を支援する沖縄の若者の間に根付きつつあり、それに呼応する運動が、本土でもアメリカでも起こりつつある。とりわけ、注目したいのが、2018年12月8日にスタートした、米ホワイトハウスの請願サイト「We the People」でのトランプ米大統領に辺野古新基地建設の一時停止を求める電子署名活動だ。現在、SNSなどを通じて瞬く間に広がり、米政府の正式な回答が得られる20万筆超の署名があつまっているとのこと。
ネット世代が担う新たな社会運動は、政治参加の垣根を低くするアイディアによって着実な広がりを見せていると言えそうである。(運営委員 豊田正樹)