投稿日: 2019/03/18 11:38:00
確定申告の時期が今年も巡ってきた。認定NPO法人「現代の理論・社会フォーラム」に寄付をよせていただいた方々にはしっかり税の還付を請求してほしいと思う。
ふるさと納税に協力した人たちも税を還付してもらう権利はある。「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」という創設の趣旨にもとづいていれば、当然のことであろう。ただ、ふるさと納税には返礼品が目当てという人が少なくなく、その損得を比較するサイトは大いに賑わっているようだ。
最近も総務省は、返礼品は地元産品で過大にならぬよう3割以内に、と警告を発している。税の還付も返礼品も、欧米に比べて民間の公共への寄付額が少ない日本の社会に寄付の文化を根付かせる、という目的もあったはずである。
昨年のクリスマス商戦前にロンドンに登場した「Choose Love (愛のある選択)」という店は、開店の朝、店の外には行列ができたというが、店内に陳列されていたのは、寝袋やブランケット、ソーラーランプなど「難民たちが生活に欠かせない」商品ばかり。商品ひとつひとつに、なぜ、どのようにそれが選ばれたのか、使われるのか、の説明が添えられている。ここで客が購入した品は、客の手に渡るのではなく同等の品が難民キャンプへと届けられるという、支援が目的の店である。このストアでの買い物体験は、難民について学びながら、その場で実際の支援活動への参加ができるようにデザインされている。購入するには、商品のタグをレジまで持っていくか、売り場にいるスタッフに直接声をかける。そこでも支援活動について話を聞くことができるため、購入商品が具体的にどのように使われるかがよくわかる。
これこそが市民社会に根付いた寄付文化の一例であろう。
ふるさと納税も最近では使用目的を明確にして募集する自治体も出てきたようで、返礼品のコスパだけが判断基準ではない「賢い選択」も徐々に増えているようだ。そこで思い出したのが、沖縄の市町村へふるさと納税を誘われたことである。その時はその一年だけだったが、考えてみればずっと続けるべきだったと思う。米軍基地の大半を引き受けている沖縄県に、特に基地反対を明確にして国からの交付金を減らされている自治体に、内地で米軍基地撤去を支持している人間として応援するのは当然であり、ふるさと納税の趣旨にも沿っている。そんな面倒臭いことせずに支援する市民運動に直接カンパしたらどうだ、という意見もあるかもしれないが、税の仕組みを通じて公共に金を回すというところに意味があると思う。そんなことで沖縄人の内地人に対する不信や不満が解消するわけでもないが、それなりの額が集まれば少しは役に立つかもしれない。
沖縄県のウェブサイトでは県自身と41の市町村のふるさと納税への返礼品などの案内を見ることができる。ちなみに沖縄県には返礼品はないが使い方を指定することはできる。市町村によっては返礼品を出すところもあるので、ラフティー(豚三枚肉の柔らか煮)やもずくを肴にオリオンビールや泡盛を飲んで楽しむこともできる。還付してもらえる税金が払えない身ではあるが、今年はそうしようと考えている。(運営委員 牧梶郎)