投稿日: 2017/08/22 11:23:14
私は「九条の会 ヒロシマ」の会員で定期的に様々な情報配信を得ている。7月初めの配信のなかに、たいへん興味深い「ファシズムの14の初期警報」というのがあった。アメリカ・ワシントンDCにある「ホロコースト記念館」に展示されているローレンス・ブリットという政治学者の言葉だそうだ(英文からの訳は江崎孝参院議員秘書・鳥越保浩氏の訳文をもとに私が調整した)。以下番号順に紹介する。
1.強力で執拗なナショナリズムの宣伝、2.人権の重要性の蔑視、3.敵の同定/スケープゴートづくりで統合、4.軍隊の優越/貪欲な軍国主義、5.性差別の蔓延、6.マスメディアの統制、7.安全保障への執着、8.宗教と支配層エリートの癒着、9.企業権力の保護、10.労働者の力の抑圧もしくは排除、11.知識人と芸術の軽視と抑圧、12.犯罪取り締まりと刑罰への執着、13.縁故主義と汚職の蔓延、14.不正選挙、以上が「初期警報」であるが、「ホロコースト記念館」の展示ということだから、この兆候のいくつかの出現に気づいたならば「ホロコースト」の忍び寄りだと感じるように!ということなのだろう。ちょっと考えると、このいくつかは“America First”を掲げ自分に都合の悪い事実や批判を全て“Fake News”(偽情報)と片付けて、CNNなどマスメディアを攻撃するトランプ大統領に当てはまるように思うが、そのアメリカはファシズムとは判断されない。
日本はどうか。数年前に遡ると、第1次安倍内閣(206.9~2007.9)の教育基本法改正、国民投票法制定、第2次安倍内閣(2012.12~)以降の立憲主義・民主主義無視(特に2014.12~第3次内閣からの「安倍一強」体制)の暴政を振りかえると、1.2.3.6.7.8.12.13.の8つも兆候が目立っている。特定秘密保護法(2013)、集団的自衛権容認閣議決定(2014)、安保法制(戦争法)(2015)、共謀罪法(2017)と続く一連の法制定の強行は、「戦後レジームからの脱却」=改憲にひた走る安倍内閣の前のめりをあからさまに示したと思う。
だからと言って安倍内閣と日本社会がファシズムの入り口に立っているというわけではない。安保法制(戦争法)に反対して出現した国会前10万人集会・デモという“老壮青”3結合の「市民社会」、共謀罪法に反対し・思想良心の自由を抑圧した戦前治安維持法の歴史を現憲法下に繰り返してはならないという全国津々浦々に広がった「市民」の声は、creeping fascismを許さない平和主義・民主主義・立憲主義の目に見えた十分な基盤であろう。
今年になって「安倍一強」体制の驕りは急速に高まり、衆人の前に大手を振って現れ出た。国会委員会審議で首相席から野党議員の発言に自らヤジを飛ばす異常、極右「日本会議」系で安倍夫人も協力して幼稚園児に教育勅語を暗唱させる異常な学校法人に財務官僚の「忖度」で国有地を9割引きで売り渡す(記録を残さない)異常、首相と長年親密な友人・理事長の学校法人の獣医学部設置申請に「国家戦略特区」制度を巧みに不公正利用する(関連文書を廃棄した)縁故主義の異常。都議選前日の7月1日に秋葉原・安倍応援演説に集合して「アベは辞めろ!」コールの正当な声をあげた多数の有権者に向かって「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかないんです」と叫んだ安倍晋三、都議選応援演説(国分寺)で政権に批判的なマスメディアに対し「落とすなら落としてみろ。マスコミが選挙を左右すると思ったら大間違いだ」と叫んだ二階自民党幹事長。有権者市民の安倍・自民党不信の怒りはもはや沸点に達した!つまりこうした異常を目の前にしていた・全有権者の約1割を占める東京の有権者は自民議席を6割も減らしたのである(風に乗った「都民ファーストの会」が受け皿)。そして約1週間後の内閣支持率は急速に低落し、支持は朝日33%(-5)・読売36%(-13)・NHK35%(-13)、不支持は朝日47%(+5)・読売52%(+11)・NHK48%(+12)となった。 8月3日の内閣改造(野田聖子総務相、河野太郎外相のサプライズ?)後も内閣支持率の回復は微々たるものだ。もう安倍さん、本当はサヨウナラ、退場なんです!(運営委員 古川 純)