投稿日: 2017/07/27 9:48:27
東京都議選の結果を、マスコミは一様に「自民大敗」と唱っている。
小池百合子都知事が代表を務める地域政党「都民ファーストの会」に加えて、公明党や、民進党、自民党から移籍した小池氏支持勢力が、都議会第一党に躍進。それを受けて、安倍首相の求心力が大きく低下したことを“都議選ショック”と報じている。
今回の都議選における安倍政権に対する批判・糾弾が自民党に大敗をもたらしたことは、私たちにとって喜ぶべきことであり大きな前進であるということを、まず確認しておきたい。しかし、北朝鮮「ICBMの成功」報道が、投票日前になされたならば、今回の自民党大敗が、もたらされたであろうか。それだけ、時代は大きな変化の中にあり、無党派層の増大による党派政治の困難な状況を、どこから変えていくのか、今回の選挙結果を検証しながら考えてみたい。
新聞報道では、安倍1強自民党のおごりが招いた結果だと、安倍政権を批判する一方で、「民進党『受け皿』になれず 深刻さがわかっているのか」(毎日新聞社説)といった民進党に対する批判が展開されている。「自民党惨敗の陰に隠れているが、もう一つ、東京都議選で敗北した政党が民進党だ。獲得したのはわずか5議席。にもかかわらず、党内には『最悪の予想は上回った』とほっとした空気さえ漂っている」と手厳しい。
今回の都議選で明らかになった政党別の得票数、それも前回2013年の都議選と比較して、どのような変化が見られたのかを見ていくと、都民ファーストが都議会127議席のうち55議席を確保。公明党の23議席を加えると78議席、自民党は23議席であった。新聞報道によれば、安倍首相のこの間の独善的な政権運営に対する不信が、都議選において、反自民というかたちで、小池知事の都民ファーストへの票となって現れたとされている。ただ実際の得票数を都民ファーストと自民党で比較すると都民ファーストの190万票に対して自民は126万票である。しかし、都民ファーストに移籍した自民票の40万を加えると160万票となる。また民進党についても、今回、民進党が獲得した票は38万票であったが、民進党から都民ファーストに移籍した議員票を考慮すると、都民ファーストに流れた民進党票は44万票あり、それを加えたトータルの民進党票は83万票と、前回都議選の69万票から大きく票を伸ばしたことがわかる。ちなみに共産党の票は前回の61万票に対して77万票と伸ばし、公明党も63万から73万と票を伸ばしている。マスコミの報道では民進党の得票数は大幅に減少、離党ドミノが止まらないとしているが、都民ファーストに流れたとはいえ、それを加えた実際の得票数の推移を見れば、民進党の評価も変わってこよう。
選挙戦において反自民・反安倍で野党共闘を組むといった時、そうした幅の広さを許容することが抵抗の陣形をつくっていく為には必要である。このことを民進党の安住代表代行は「『穏健リベラル』に『・(ポツ)革新』勢力、共産勢力を加えて戦うしかない。(政策的に)交じり合うことはなかなか難しいけど、そちらも議席が倍増し、こちらも倍増すれば、結果的に政治の緊張状態を作れる。安倍1強を終わらせて、もう一つの塊が国民に見える形になっていく」(Journalism 2017年6月号)と述べている。今回の都議選が示した教訓として今後の選挙においても是非、活かしていきたいものである。(運営委員 豊田正樹)