投稿日: 2016/05/17 6:57:24
熊本地震が起こり、原発の危険性が再認識されている。川内原発にトラブルが起こると、四国や九州など、「安全な場所」を求めて移住ができた福島原発事故の時と違って、日本中が放射能に汚染され、日本国内に逃げる場所はなくなると言われている。そもそも、原発は、プルトニウムの貯蔵及び再処理の課題を解決せずに稼動しており、危険でリスクが高く、安くもなければ、クリーンなエネルギーでもないことが指摘されていた。そして、現在と将来にわたって、あまりにも危険であることを、福島原発事故で、私たちは体験し学んだ。現在、日本で唯一稼動している川内原発の稼動を停止しなくてよいのだろうか。
2011年、福島原発事故直後、多量の放射性物質が放出され、広範囲に飛散するという大事故が発生した。それにともなって10万に近い数の人たちが、生活の基盤を奪われ、いつ帰れるとの展望もなく長期にわたる避難生活―難民化―を余儀なくされている。原子力発電の欠陥の中心にあるのが核分裂生成物すなわち「死の灰」の発生という問題である。この原発の放射性廃棄物を無害化することも、その寿命を短縮することも、事実上不可能である。それゆえ、無害化不可能な有毒物質を稼動にともなって生みだし続ける原子力発電は、未熟な技術と言わざるをえない。(山本義隆「福島の原発事故をめぐって」)
原発の事故は巨大地震と違って完全に予期されていたことである。原発はもともと核反応という非ニュートン的現象をニュートン物理学の技術の枠内で制御しようとする原理的に矛盾し、当初から破綻した技術である。だから、原発は絶対に建設してはならない。(関曠野「フクシマ以後-エネルギー・通貨・主権」)
2人が、共通に指摘しているのは、原子力発電所は、核分裂生成物=プルトニウムの貯蔵、及び再処理の課題を解決せずに、稼動しており、きわめて危険であり、即刻、廃止すべきであるという警告であった。
そして日本が地震国だという現実だ。私たちが注目しなければならないのは、日本の原発立地が、すっぽり、地震地帯に入っており、原発立地として、きわめて危険な場所に原発が立地しているといった現実である。(茂木清夫・東大名誉教授)
にもかかわらず、現在、日本政府は、こうした指摘を一切無視して、原発の再稼動と、原子力発電所の海外輸出、それに、高速増殖炉の建設に、しゃにむに突き進んでいる。
そうした中、4月14日夜から16日未明にかけて、M6.5、M7といった群発地震が九州・熊本地方を襲った。14日夜の大地震の震源は白奈久断層帯の北部と見られている。そして16日の未明の地震は、その北東側の布田川断層帯で起こった。気象庁は地震の活動範囲が西南側、鹿児島県側にも広がっていることを発表した。そこには、現在、稼動中である九州電力・川内原発が存在する。また、愛媛県の四国電力・伊方原発のある中央構造線への影響が及ぶことの可能性も指摘されている。
私たちの生活にとって、日本の原発は必要ないことが、福島原発事故以降、立証済みである。日米の一部の人間による日本の核戦略路線を見直し、夢想から醒めて、現実を直視した安全な生活保障へと舵を切る声を、選挙をはじめ、あらゆる場で、大きくあげていく運動と、生活者としてのセンスが期待されている。
(運営委員 豊田正樹)