課題別分科会

■午前

  • 第1分科会 大学図書館史

例年通り、大阪でも大学図書館史の分科会を設ける。歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」、E.H. カーの言葉は有名であるが、本分科会の趣旨は、ただ過去をふりかえる事ではない。現在の理解である。現在のかたちが成立するまでには、幾多のプロセスが当然有り、その経緯を知らなければ、何故そのようなかたちになっているのかは理解できない。そして現在の理解なくして未来は視えない。ダイトケンの現在の姿にしても、ここに至るまでの、成立から現在に至るまでの歴史を知らなければ、理解はできない。

本分科会は過去に対しても、現在、未来に対しても開かれたものとしたい。本年は特にテーマは設けずに、参加者の皆様に話題を提供していただきたいと考えている。どのようなテーマでも構わないので、ぜひ分科会に御参加いただきたい。

<担当>

三角太郎(山形大学) misumi [at] jm.kj.yamagata-u.ac.jp

大石博昭(新潟大学)

  • 第2分科会 コレクション構築

当日配付資料: 事前アンケート集計結果(PDF:0.2MB)

「所蔵からアクセスへ」といわれるように、資料の電子化にともない、コレクション構築のあり方が様変わりしてきています。電子ジャーナルや電子ブックは、もはや大学図書館にとって当たり前の存在となっている一方、図書等の資料の収集もまだ不要になったわけではありません。

電子ジャーナルの値上がりや資料費の削減等にも対応しながら、大学構成員のニーズに合ったコレクションの構築やリソースのマネジメントを行っていくためには、どのようにしたらよいのでしょうか。

電子化時代のコレクション構築について、皆さんと考えてみたいと思います。

コレクション構築分科会では参加者間での議論と情報交換を中心に進めていく予定です。そのための材料として事前アンケートを実施しています。参加予定の方はぜひアンケートへの回答をお願いいたします。8月25日(水)まで受け付けています。

<担当>

大田原章雄(東京藝術大学) ohtahara [at] gmail.com

磯本善男(北海道大学)

  • 第3分科会 リカレント教育

本分科会では、図書館職員を対象としたリカレント教育の現状報告、リカレント教育が仕事や生活の中でもつ意味についての意見交換を予定しています。

平素の業務を振り返りますと、電子情報の普及、カリキュラムへの参加、運営コストの最適化、人的資源の管理に関した問題が生じており、これらの問題解決のために、絶えず、能力や知識を向上させることが必要となっています。また、自身の研究テーマを追求している図書館職員もいることと思われます。

能力・知識の向上や研究テーマの追求するためにリカレント教育を考えている方々の間では、社会人を対象とした大学・大学院のコース、科目履修や聴講の制度にはどのようなものがあるか、それらは図書館職員(現職者・退職者)にどのように活用されているかについて興味がもたれています。リカレント教育を受けている方々、これから受けようと考えている方々、継続教育、認定制度、検定試験に興味をもたれている方々、ぜひ本分科会へ参加して、経験談や意見をお聞かせください。

<担当>

井ノ口 雄久(高崎健康福祉大学)

北川 正路(東京慈恵会医科大学)

  • 第4分科会 図書館システム

当日配付資料: プログラム(PDF:0.2MB) 小野永貴さん資料(PDF:2.3MB)

2010.8.26 メイン講演タイトルが決定しました!

○講師: 小野 永貴さん (つくば大学大学院図書館情報メディア研究科 / 株式会社しずくラボ

代表取締役社長)

○テーマ:「国内外の事例からみるWeb時代の図書館システム ~利用履歴活用、図書館ポータル、

情報発信~(仮題)」

今回のテーマは、「2010年代の図書館サービス ~貸出履歴活用の次へ~」です。

 本分科会では、参加者からの調査、研究、実践等の報告を素材としつつ、図書館システムに係わる

事項について、意見を交換し、もって各館におけるサービスの向上と業務の改善に資したいと思いま

す。

 今回は、利用者の行動記録の活用やコンテンツの分析など、近年の情報サービスにおいて一般的に

用いられている情報活用技術や情報学的知見の実用化という点について、特に考えてみたいと思いま

す。

 まずは、メイン講演を行います。

 【テーマ】「国内外の事例からみるWeb時代の図書館システム ~利用履歴活用、図書館ポータル、

情報発信~(仮題)」

 【講師】 小野 永貴さん (つくば大学大学院図書館情報メディア研究科 / 株式会社しずく

ラボ代表取締役社長)

 小野さんは、つくば大学大学院図書館情報メディア研究科で大学院生として研究される傍ら、株式

会社しずくラボの代表取締役としても活躍されておいでです。株式会社しずくラボの

「ProjectShizuku」では、電子化により失われた図書館内での本を媒介とした人のつながりを復活さ

せることを目標とし、新たな図書館システムの機能を提案されています。

 「ProjectShizuku」は、貸出履歴の活用などで、広く図書館界の話題になりましたので、ご存じの

方も多いのではないでしょうか。

 また、小野さんは、「情報管理」Vol. 53 (2010) , No. 4に、「Web時代にあるべき未来の図書館

サービスの胎動 貸出履歴の議論を超えたShizuku2.0の実現へ」を投稿されました。当分科会では、

この論文をベースにお話しいただき、参加者の皆さんとディスカッションで深めたいと考えています。

 Web時代の図書館の先駆者として活躍される小野さんの講演、そして小野さんとのディスカッショ

ンを、どうぞお楽しみに!

 さらに、サブトピックとして、以下の発表・質疑応答も、予定しています(意見交換含め、約30分

程度)。

 【テーマ】 「次世代NACSIS-CAT/ILLの在り方について:展望と課題(仮題)」

 【講師】 渡邉 英理子 さん (京都大学附属図書館)

 NIIのWG「図書館・連携作業部会 WG1(次世代学術コンテンツ基盤・目録関連WG)」で、メンバー

として活躍されている渡邉さんに、以下のテーマについてお話を頂きます。

 ・「次世代目録所在情報サービスの在り方について(最終報告)」に書かれていること

 ・現在の検討体制(NII×図書館)と検討内容

 ・最近の世界や国内の動き

 ・今日本の大学図書館が必要としているインフラ・機能とは?(問題提起)

<担当>

大綱浩一(国立民族学博物館) tsuna [at] sky.plala.or.jp

井上昌彦(関西学院 聖和短期大学図書館) inoue [at] kwansei.ac.jp

午後

  • 第5分科会 機関リポジトリ

当日配付資料: 加藤さん資料(PDF:0.2MB)

日本の学術機関リポジトリは共同リポジトリを含め 160以上を数え,デジタルリポジトリ連合(DRF)の参加機関は113大学となり,CSI委託事業も継続され,機関リポジトリの構築・運営は大学図書館の重要課題となってきています。今年の本分科会はそのような状況を踏まえ,機関リポジトリの構築・運用について情報交換・経験交流を中心に進めたいと考えています。

内容は以下を予定しています。

    • 「ドイツスタディーツアー」※1参加の菅原光さん(一橋大学)から,ドイツの機関リポジトリやオープン・アクセス事業,情報政策等についての報告。

    • 機関リポジトリシステムの体験サイト「UsrCom」※2について,プロジェクト代表の加藤晃一さん(浜松医科大学)から紹介。

    • DRF企画WGメンバーの前田信治さん(大阪大学)を迎え,参加者同士の情報交換・経験交流(フリーディスカッション)。

これから構築を考える方でも参考になる情報提供を考えておりますので,参加ご希望の方は事前に担当者までお知らせください。

※1:「ドイツスタディツアー報告-連携と革新」カレントアウェアネス-E No.169 2010.4.14

※2:「UsrCom」5種類6バージョンのシステムお試しと,掲示板システムを持つ。平成20-21年度のCSI事業(コンテンツ系)により構築・運用中。

<担当>

加藤晃一(浜松医科大学) kabe [at] hama-med.ac.jp

菅原 光(一橋大学)

森石みどり(大阪大学)

  • 第6分科会 利用者支援

当日配付資料: 進行メモ(PDF:0.1MB) 堀先生資料(PDF:0.5MB) 上原さん資料(PDF:0.6MB)(当日配付資料の内容を少し更新しています)

利用者支援分科会では、日本の大学図書館界に広がり続ける「ラーニング・コモンズ」を改めて取り上げたいと考えています。この新しい学びの場が注目を浴び始めてから数年が経ちました。 DOC(大図研オープンカレッジ)のテーマになったのもすでに3年前のことです。当時、ラーニング・コモンズを導入している大学図書館は数えるほどでしたが、その後、この新しい学びの場は着実に増え続けています。一種のトレンドになったラーニング・コモンズが、どのようなかたちで利用者を支援しているのか、また今後、学習支援・教育支援の面でどのような可能性を秘めているのか、新しい学びの場の「いま」と「これから」を考え直す分科会にしていきたいと思います。

なお、分科会では「ラーニング・コモンズは、本当に図書館で行う必要のあるサービスか。図書館ならではのサービスを提供できるだけの内容を伴ったサービスを展開できるのか。名前だけに終わっていないか。」この点にも踏み込んで議論を行いたいと思います。議論を活発に行うために、皆さまのお考えをまとめておいていただければ幸いです。

<事例報告>

堀 一成様(大阪大学 大学教育実践センター准教授)

上原恵美様(大阪大学附属図書館)

昨年度設置された大阪大学のラーニング・コモンズについて、また「学生が自ら学ぶ場を提供する」ということについて、教員・図書館員それぞれの視点からお話を頂きます。

<担当>

野村健(東京支部) nomurali [at] hotmail.com

宮原詩麻(広島経済大学) sm-miya [at] hue.ac.jp

  • 第7分科会 出版・流通

今年のメインテーマは大阪です。書店や取次を一昨年からテーマにしてきましたが今年は大阪の出版・流通を考えてみようとしています。歴史を考える取り組みです。幸い、関連する書籍もでてますし、適切な講演を企画できれば最高です。ということで進行していましたが最適の方を講師としてお迎えすることができました。

花園大学文学部の増田のぞみ先生で講演タイトルは「大阪におけるマンガとマンガ出版」です。先生は京都国際漫画ミュージアム研究員を経て、最近では吉川登編『近代大阪の出版』(創元社)で「近代大阪における漫画出版」を執筆されています。”大阪パック」や赤本マンガの話題から大阪の出版社や大阪で活躍する作家の紹介など大阪とマンガとの関係を多角的に考えられればと思っております。”という概要を頂いていますので担当としても期待しております。

また世間でいろいろ騒がれている電子書籍ですが1時間ほど、経験交流の時間を持ちたいと考えています。机上の空論ではなく体験を語って情報交換をしようという企画です。とりあえず担当の亀田はiPhoneでの読書体験を語りますが参加者の実体験を募集します。申込制はとらずレジメもいりませんが全員の方に発言を求めますのでご用意を。特にiPadとキンドルの使用した経験のある方を求めています。

<担当>

亀田俊一(和光大学)kame [at] wako.ac.jp

中島慶子(豊橋創造大学)

  • 第8分科会 図書館経営

業務委託や市場化テストの議論の時によく耳にするする言葉に「効率化」や「効果的」があります。しかし、図書館を運営する上での「効率的」「効果的」な運営方法とは一体どのようなものなのでしょうか?今回の図書館経営分科会では、図書館経営に関わる多様な観点から参加者に各図書館の事例を報告していただき、業務委託の問題や市場化テストの動向と問題にも絡めて、いま図書館が抱えている課題等について議論してみたいと思います。

<担当>

池田貴儀(独立行政法人日本原子力研究開発機構)

登坂善四郎(横浜市立大学)