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地球上の寒冷陸域においては、森林などの植生圏や積雪・凍土などの雪氷圏と大気圏の間での熱・水・物質の循環が、気候や植生・雪氷の状態を強く支配しています。私達は、それらの循環の強さや様式が実際にどうなっているのかをとらえ、またそれがどんな要因によって決定され、さらに今後どう変化して行くのかを知るために、気象・水文・生態にまたがり、野外観測や数値シミュレーションなどを併用した多角的な研究を行います。その中から、最近特に力を入れている研究をスナップショットでご紹介します。陸面による大気冷却の基礎プロセスである地形効果や乱流過程、またそれらに対する森林の影響などを調べています。
連絡先 渡辺 力教授
E-mail: t-wata(アカウントの後ろに@lowtem.hokudai.ac.jp をつけてください。)
渡辺 力 教授(Tsutomu Watanabe)
研究内容
LESモデルを用いた熱収支インバランス問題の解明
植生乱流や植物動態の数値シミュレーション
植生―大気間の相互作用に関する研究
森林の熱収支やCO2フラックスのタワー観測
下山 宏 助教(Kou Shimoyama)
•北海道の自然に関する気候学的研究(母子里は何故氷点下40度以下まで冷えたのか??)
水平一様な地表面上に発達する不均一乱流場の解析
研究内容•陸域地表面と大気間の熱・水・物質循環過程の解明
大気境界層における二酸化炭素濃度の変動に対する観測研究
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氷河・氷床の変動および熱動力学に関する研究(Ralf Greve,杉山慎、箕輪昌紘)
数10年を超える長い時間スケールにおいて、氷河と氷床は地球気候システムの変動に重要な役割を 果たしています。地球に存在する淡水の90%以上が氷河・氷床に蓄積されており、もしそのすべてが 融解して海洋に流れ込めば、約70m の海面上昇に加えて海洋や大気の循環に大きな影響が予想されます。 温室効果ガスの排出によって温暖化する地球の将来を知るために、氷河・氷床の変動を理解することが きわめて重要だといえます。
私達のグループでは数値シミュレーションや野外観測によって、過去の氷河・氷床変動を再現し、その 将来を予測することを目的に研究を進めています。氷床の熱動力学モデルを駆使した研究では、氷期- 間氷期サイクルにおける北半球の氷床変動、南極氷床の過去と現在の変動、温暖化によるグリーンランド と南極氷床の将来変動の予測などが主要な課題です。このような数値モデルは、南極やグリーンランド、 高山域で掘削された氷コアの年代決定にも応用されています。
また、氷河・氷床の変動をコントロールする氷の流動、氷河水文、質量収支などを理解するため、 アルプス、カムチャツカ、アラスカ、パタゴニアや南極において、野外観測を実施しています。得られた 観測データは、数値計算や室内実験などを援用して解析をおこないます。さらに新しい研究領域として、 火星の極氷冠や、氷で構成されていると予想される木星の衛星エウロパなど、地球外の氷体にも取り組んで います。
グレーベ ラルフ
- Simulation of rapid dynamical changes of the Greenland ice sheet in response to global warming
- Assessing the timing, extent and volume of Tibetan Plateau ice during the last 130,000 years by numerical simulations [external link]
- Induced anisotropy, fast ice flow and climate change in ice sheets
- Evolution and dynamics of the Martian polar ice caps over climatic cycles
- Heinrich Event INtercOmparison HEINO [external link]
- Development of the ice-sheet model SICOPOLIS
杉山 慎
- 東南極しらせ氷河流域における3次元氷床数値モデリング
- 南極氷床における表層積雪の物理構造
- 末端氷河湖の形成に起因した氷河の変動メカニズムの解明
- 山岳氷河における分氷嶺地形の形成メカニズム
- 南米パタゴニア氷原、ペリート・モレノ氷河における短期流動変化
氷河・氷床コアの物性・化学特性と古気候・古環境の復元研究(飯塚芳徳)
氷床コアは数10万年に及ぶ地球の気候・環境変動史を記録しています。私達のグループではX線や 可視光線の光散乱測定技術を駆使したミクロな視点からこれまでにない氷床コア解析を進めています。 近年、氷床コアに含まれる溶存性不純物が直径数μmの塩微粒子として存在していることを発見しました。 溶存性不純物は気候・環境変動史の有力な記録媒体であり、その存在形態が解明されたことは世界中の 氷床コア研究社会に大きなインパクトを与えています。
連絡先
杉山 慎 教授(Shin Sugiyama)
E-mail:sugishin(アカウントの後ろに@lowtem.hokudai.ac.jp をつけてください。)
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「環オホーツク地域」は、その東西にユーラシア大陸と北太平洋、南北に北極圏と日本(温帯)という特徴的な地理的配置をもち、その十字路に位置している。そのため、オホーツク海は、地球上で最も低緯度で結氷する海であり、地球温暖化などの気候変動の影響が、海氷の消長として鋭敏に現れる、いわばセンサーともいえる海域である。また、海氷の消長は、オホーツク海における大気ー海洋間の熱の交換を劇的に変化させ、北半球の大気大循環を変えることが知られており、地球規模の気候・環境変動に重要なインパクトを与えている。同時に、海氷の変動は、オホーツク海や北西太平洋の物質循環や生物生産にも多大な影響をあたえるものと考えられ、漁業資源量などを大きく変動させる可能性を持つ。この環オホーツク地域の地球環境における役割を正しく評価することが本センターの目標である。
連絡先
白岩孝行 准教授(Takayuki Shiraiwa)
E-mail:shiraiwa(アカウントの後ろに@lowtem.hokudai.ac.jp をつけてください。)
白岩孝行 准教授(Takayuki Shiraiwa)
個人ウェブサイト
研究内容
世界自然遺産 知床の漂着ゴミ
陸海結合システムの解明 ベカンベウシ川〜厚岸湖〜厚岸湾に至る物質輸送
カムチャツカ半島の淡水供給が制御する環オホーツク陸海結合システム
アムール川流域の永久凍土分布
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研究概要
北極域陸圏において生物と環境の相互作用を調べ、地球環境へ与える影響やシステムを解明する。すなわち、炭素・水循環や永久凍土の現地調査を行うと共に、大型哺乳類、魚類や、植物の移動分散や遺伝的多様性、自然災害との相互作用等を明らかにする。また、火山活動や地震の観測から発生原理を明らかにし、その予測と防災情報の提供を検討する。
ポドリスキ エブゲニ 助教(Evgeny Podolskiy)
ロシア人です。
モスクワ国立大学を卒業してから名古屋大学で博士と取りました。
フランスでポスドクをしました。
今まで雪と雪崩と氷と天気を勉強しました。
2015年から、杉山先生とグリーンランドの氷河を勉強しています。
最近は雪氷域についての理解を深めるために、ざまざまな波に興味があります(地震計、津波、インフラサウンド)。
これから、よろしくお願いします。
Evgeny Podolskiy, Ph.D.(ジェカ)
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我々は特に極域の大気と海洋の相互作用に着目して研究を行なっています。 研究手法は現場観測、実験、およびリモートセンシングデータなどの解析が主体であり、海面境界過程、 宗谷暖流の海流特性、南大洋の水塊特性、海氷の特性や生成過程など、極域で見られる様々な現象を研究の対象としています。
連絡先
青木 茂 教授(Shigeru Aoki)
E-mail:shigeru(アカウントの後ろに@lowtem.hokudai.ac.jp をつけてください。)
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研究概要
【自然地理学、寒冷陸圏環境、脆弱地域での環境劣化】
気候変動や過剰な人間活動が高緯度帯や高山帯の脆弱な自然環境に与える影響を、主に凍土に注目した自然地理学の観点から研究しています。
教員・連絡先
石川 守 准教授(Mamoru Ishikawa)
E-mail:mishi--at--ees.hokudai.ac.jp